からくりからくさ (新潮文庫)

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著者 : 梨木香歩
  • 新潮社 (2001年12月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101253336

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からくりからくさ (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 「りかさん」から十数年?後のお話。
    というかこのお話があって、ようこのお話が描かれたのか。
    順番を間違えたので、最初から寂しい始まり。
    あのおばあちゃんが亡くなって、おばあちゃんのお家で共同生活を始めた、蓉子、与希子、紀久、マーガレット、そしてりかさん。
    機織りの音、草木染めの煮出す匂い、庭の野草の調理など現代社会から隔離されたような生活。
    沈黙するりかさんの謎とは。

    マーガレットの率直さ、与希子の素直さにヒヤヒヤしたり、微笑ましく思ったり。
    蓉子の無意識に物を慈しむ様子に嫉妬してしまう。
    「慈しむってことは、思い立って学べるもんじゃない。受け継がれていく伝統だ。」
    糠漬けもおいしくならない私の手。この台詞にドキリとする。

    紀久の闇の深さ、蔦を全身に絡めるような様子が他人事に思えず、それを振り払うように機を織るという行為がうらやましい。
    私の機織はなんだろう。雑巾縫い?

    能面、お蔦伝説、唐草模様、蛇、水蜘蛛、クルド人。
    蔦が絡み合うように、縦糸と横糸が絡むように話がすすんでいく。ルーツ、対立、対比、融合。
    隔離されたような彼女達の生活が外の空気に触れるとき、少しづつ平穏な日々に亀裂が入る。
    何時の間にかいろんなものが絡まって、身動きが取れなくなって息苦しいくらい。
    最後はこれしかないのかもしれない、でもとげを強引に抜かれたような痛みが残る。
    「残った部分は潰さないわ」という蓉子にホッとしたような痛々しいような。

  • 『りかさん』から数年経て、主人公の蓉子は染色を仕事にするようになっていた。祖母が遺した家で3人の下宿人を置き、共に暮らすこととなる。
    鍼灸を学ぶためにアメリカからやってきたマーガレット。美大の学生で、機織りをしている紀久とテキスタイルを研究している与希子。
    4人の共同生活の日常と人間関係の機微を梨木さんらしい筆致で描いていく。

    この作品の発表の方が『りかさん』よりも先なので、こちらから読んだ方がよかったのだと思う。というのは、『りかさん』に収録されている『ミケルの庭』が本作の数年後を描いており、私には状況がわかりにくいところがあった。ようやく今になって、背景はこうだったのかとつながった気がする。後で読み返しておこうと思います。

    それにしても、梨木さんの書く小説は、登場する人たちの配置が絶妙だといつも思う。何らかの弱さや苦しみ、傷ついた過去を抱え、自分を解放できないつらさを常に味わいながら生きていく人。人との距離感を上手にとれなくて迷っている人。自由で無邪気な子どもっぽいところが見え隠れする人。穏やかでありながら、しっかりとした芯を持ち、いろいろな困りごとも淡々と受け止められる不思議と頼りになる人。
    どの人も決して一面的な良し悪しを切り口にすることはなく、弱さと強さを併せ持ち、互いを補いあうような関わりを見せている。
    読んでいると、「誰にでも、あなたの中の良さを見つけ、大切にし必要としてくれる人が必ずいるのですよ。」と梨木さんが語りかけてくれているように感じられる。人や人に起こるすべてのことをあるがままに見つめて、そのまま肯定してくれる世界が広がっているように感じるから。

    この作品の登場人物も、家族関係の中で感情のすれ違いを解決しないまま今日まで持ち越していたり、自分のありったけの時間と労力を費やして書き上げた研究成果に対して横槍を入れられたりする。自分の感情を持て余すことも。。読者が苦しさを共有し、一緒になって腹を立てることでしょう。
    それでも、4人の女性たちは考え方の異なる仲間の存在に大いに影響を受けて、また自分自身で考えを整理しながら、道筋をつけていく様子が好ましい。

    そして、りかさんに待ち受ける結末。

    目の前で突然起こる出来事に読んでいる私も、もう今では会えない人に対して「ああ、こうすればよかった。こうしていたなら・・。」という抑え込んでいた気持ちがあったことを思い出した。

    読んでいると
    苦しいのになぜだか許されるような
    哀しいことなのになぜだかいつか癒えると思えるような
    辛いのは自分だけではないと思えるからなのか・・・。

    もうしばらく梨木さんを追いかけていこうと思っている。

  • 対立と協調の物語。
    うまく現せられないけど、そういうしか出来ない、宿世と輪廻物語が織り込まれた不可思議な物語でした。

    物語の核である染色と織りに例えるなら、静謐な生活という縦糸に、実に様々な対立(主人公四人の関係性であったり、それぞれの家族のことであったり、四人の生活には直接影響しない歴史的事象であったり、実に多くのこと)が横糸として織り込まれているイメージ。

    世俗から隔離されたかのような空間で日々を紡いでいく女四人の、穏やかさと充足感ある生活の中に大なり小なり様々な形で潜むもろい均衡と微妙な距離感、そこから少なからず生まれる対立に、正直なんだか怖くすらなりました。
    でも、対立だけでなく協調や連帯も確かに存在しているのです。

    多分、読み手の性質によって、全く違う印象を与える物語なのかと思いました。

  • 共同生活を送る事になった女性4人と人形1体。それぞれの奇妙な縁と、織物、染物、能面などが気持ちよく交じり合い、最終的には浄化されたような気持ちになった。
    途中、メモしないと分からなくなる人形を巡る人物関係…。

  • 『りかさん』の主人公ようこちゃんが大人になってからの話。
    機織り、人形、能面といった伝統工芸に携わる人たちの思いや、生と死、過去と現世の繋がり、織り柄の歴史、クルドの民族紛争・・・
    盛りだくさんの内容だけど、どれもがどこかで繋がっていて、途中はミステリーのような高揚感もあり、本当に一気に読んでしまいました。

    そして、人の恨みや、憎しみ、怒りといった負の感情がたくさん出てくるのですが、それらの負の感情ときちんと向き合う登場人物たち。
    蓉子さんは独特の雰囲気で、負の感情を丸ごと受け止める才能がどこかにあるようです。
    それは、りかさんのおかげなのか・・・

    今回のりかさんは喋りませんが、その存在感は『りかさん』よりも圧倒的なものがあります。

  • 「りかさん」の続編にあたる内容の物語。ページをめくる手をとめられなくて、ついつい明け方まで、という体験は久しぶりだった。
    前述の本の主人公である(ようこ=蓉子) が長じて出会った友人に焦点が当てられたストーリー。彼女らはそれぞれ、人形である「りかさん」をきっかけに、各自の曽祖父母やそのまた両親、といった自らのルーツを知り、向き合うことになっていく。
    機織りや植物による染色がモチーフとなっており、かなり専門的な知識も登場する。著者の造詣の深さにも驚くが、時間を縦軸にそこを右往左往する人々が織りなす人間模様はまさに機織りのようで、緻密にはりめぐらされた伏線と物語の展開にどんどん引きこまれてしまう。読み進むと、織物が完成に近づくかのように全体の「縁」の模様が浮かび上がる仕掛けで、思わず「あっぱれ!」と言いたくなってしまった。
    しかし一方で、筆者が本当に描きたいのは、こうした鮮やかなストーリー展開だけではないのだろうな、とも思う。そこかしこに巧みに埋め込まれているいくつかのテーマは、マイノリティと呼ばれる人々の苦しみや「家」という制度の考え方、遊ぶ間もなく仕事と機織りに一生を費やしたかつての女性たちのことや今も残る男尊女卑の思想など、決して軽やかではない。そうした歴史を生んできた人間のどうしようもない性とか、業のようなものに対する記述が、そこここに織り込まれているのだ。
    終盤、中心となって描かれた女性が自分の奥底に潜むマグマのような感情、嫉妬心や憎しみを自らの意志でコントロールしきれなかったことに恐れおののくシーンがある。感情という化け物をあたかも目に見えるもののように描く表現力があまりに凄くて、身の毛がよだつような思いだったが、そういうものさえも認めるしかない、受け容れるしかない、というスタンスにも取れる筆致は、どこか優しくて物哀しい。

    男性には受けないような気が、なんとなくするのだけれども、、、
    心の襞を増やしてくれる、こんな文章と出会えて幸運だった。

  • 祖母が遺した古い家に女が四人、私たちは共同生活を始めた。糸を染め、機を織り、庭に生い茂る草が食卓にのる。静かな、けれどたしかな実感に満ちて重ねられてゆく日々。やさしく硬質な結界。だれかが孕む葛藤も、どこかでつながっている四人の思いも、すべてはこの結界と共にある。心を持つ不思議な人形「りかさん」を真ん中にして――。生命の連なりを支える絆を、深く心に伝える物語。
      
    『家守奇譚』『西の魔女が死んだ』に続いての梨木香歩作品3冊目です。上記紹介文を読んでもどんなストーリーなのか見当がつかず、読み始めてからしばらくも何ともつかみどころのないお話だなあ、と思っていました。が、読み進めるうちに梨木さん独特の透明感、静謐さ溢れる文章にはまっていき、物語も四人の女性の不思議な因縁や「りかさん」にまつわる謎解きの様相を見せて、目が離せなくなりました。機織、染織という珍しいテーマにとまどいながら読んでいたところもありましたが、それがすべて伏線となりラストに一点に収束し昇華するシーンは圧巻でしたね。四人の女性たちがそれぞれの生き方、主張をぶつけながらもお互いに支え合って成長する様子の描き方も秀逸です。命の不思議な連鎖を感じさせてくれる優しい作品でした。時系列が逆になってしまいましたが、次は『りかさん』を読む予定です。

  • 与希子と紀久、マーガレット、そして蓉子四人の物語。
    メインは与希子と紀久かな、そこにマーガレットが少し絡んで、蓉子とりかさんがみんなを優しく包み込む。何があるというわけでもなく、しずかに淡々と優しく物語は進んでいく。
    赤光という人形師が出てきて、それぞれが少しずつ赤光と繋がっていたことがわかる(マーガレット以外)。
    最後りかさんが竜女になるところはすごかった。りかさんが竜女になるためにみんなが集まりみんなで紡いできたのかな。
    与希子と紀久は「よきこときく(斧・琴・菊)」なのだろうな。

  • 神崎からの手紙のくだりで私が感じたことを、この物語の中で唯一の第三者と言ってよい竹田が、終焉近くで言葉にしていて、好感を覚えた。

    きっと一枚の織物なんだ。

    それはあらゆる人と時空を覆い尽くすほどの織物だろう。

    何のつながりもないはずの女性たち。彼女らは経糸。

    連綿と受け継がれてゆくもの。それは旧き因習であれ民族の歴史であれ、異端のものに触れてしまえば、変わることを避けられない。それを頑なまでに拒み切れるか、折り合いをつけて変化に身を委ねつつも変わらぬ部分を遺してゆくのか。

    そんな息が詰まるような瞬間を何度となく経験しながら、この世界を構成するあらゆる生命とモノたちが繰り返してきた、変わる時の苦闘、苦痛、苦悩。それが緯糸。

    変化のたびに避けることができない代償を払いながらも、人も人形も、民族も遺跡もそのいのちを長らえてきたのだろう。

    四人を繋いできたあらゆるものの焼失、そして一つ…いや、あるいは二つかもしれない生命の消失が、その凄絶な変化が、新しい生命の誕生に繋がってゆく。

    必然…そうして宿縁。その場に居合わせた者たちの胸をよぎる、同じ思い。そのあとに訪れた穏やかな安らぎ。

    織物は絵とは違い、用いた色が溶け合うことはない。それぞれがそのままに、しかし織りなされたものの醸された深みは底がない。

    …なんという作品だろう。私は呑み込まれてしまった。もっと早くに読むべきだったと思う。

    よき、こと、きく。りかさんとその姉妹人形に贈られた着物の紋様。この謎染は、犬神家の一族にも関わっていた。

    良きこと聞く…という縁起を担いだだけではなく、未来への暗示。

    与希子と紀久への祝福…か。

    深い物語でした。憎しみや恨みと愛は、同じマグマから産まれる情念なんですね。

  • まったくの個人的なものだが、この手は苦手だ。
    まず登場人物たちの浮世離れしたプチセレブな感覚。
    興味をひかれない物語の中心部。
    リアルではなく、かといってファンタジーに徹するでもなく、上品で優しく、軽くて。
    私には無縁の美しい世界。
    やれやれ、読み終えるのに努力が必要でした。ぽいっ。

  • 蓉子の祖母の家に暮らす4人の女たちと、りかさん。あの家は、蓉子たち4人にとっては、まさに天蚕(ヤママユガ)の繭だったのだ。エンディングは想像を超えるが、不思議にこれほどに納得できるものもない。シルクロードのかなたから連綿と続く空間と、そして赤光の「時」から、あるいはもっと遥かな過去から延々と続く時間に想いを馳せる、梨木香歩の想像力と創造力。それらが珠玉のような梨木の言葉の「染め」と「織り」によって語られてゆく。そして、読後には、ひそやかでしみじみとした感動と、静謐な余韻が残るのである。最後の2行は秀逸。

  • 祖母が残した一体の人形を中心に
    女4人一つ屋根の下
    能面のウンチク
    意外な因果

    この作者の「西の魔女~」もそうだったが、
    自然が好きというか
    昔ながらの生活が好きというか
    そんな雰囲気がビシビシ伝わってきた。

    今はそんな感じが心地よい。

  • 「りかさん」の続き、でいいのかな? いいんだろう、りかさんをめぐる物語でもあるだろうから。

     タイトルにもあるように唐草のように人々の生活と手仕事と歴史が絡まる物語。4人の女性がひとつ屋根の下で素朴な生活をしていく話、機を織る音、植物を刻む音、台所の音。記載はされずとも確かにそこにあるだろう音に憧れる。
     梨木さんは本当に植物がお好きなんだなと思った。そして境界を描くのがお好きなのかもしれない。人と植物、連綿と連なる作業、内と外、人と目には見えないモノ。そういったものを否定せず内在しつつ溶けて解けていくみたいなものを物語にするのが彼女の命題なのかしら。

     りかさんのあの姿をわたしも見てみたい。

  • 最後まで読まなきゃ…りかさんの秘密知りたいし… と思いながら頑張って読んでいましたが、織物や色彩などの偏った話になかなか入り込めず、家系図がややこしくなったあたりで
    『あたし、この本読みたくないんじゃないかな。無理しないでおこう。』
    という結論に至り結局読みきれませんでした。残念。
    他の人のレビューを見る限り、中盤あたりから色々と山場を迎えておもしろくなるようですが…
    とにかく植物とか染物とか能面とか、色々難しいんだよ〜

  • また、すごい本に出会ってしまった。

    中盤までは複雑な人間関係が明瞭につかめないまま、はっきり言うと、躊躇しながら、読み進めたのだが、ラストにいたる最終盤で、私はすっかり物語に「飲み込まれてしまった」。

    読書で、飲み込まれるような経験は、初めてかもしれない。

    女性と機織りをめぐる、幾世代にもわたる、濃密な小説なのだが、それがクルド人の運命や様々な声なき民の生き様とも見事につらなり、果てしなく底の深い物語となっていることに本を持つ手が震えた。

    感動という言葉では足りない。陳腐だ。これは知性や情動を突き抜け、生きることそのものへ至ることができた、まぎれもない経験としか言いようがない。

    特に、最後の方で、あるおばあさんが紀久に語った「百反織らないうちは、機を織ったなんていうもんじゃない」という言葉には、私は返す言葉がない。深く沈黙するのみである。それは恥ずかしいとか、考えが及ばないというのではなく、豊かな、そして意味のある、ずっしりとした沈黙である。

  • 「りかさん」という不思議な存在の市松人形を中心として話は進んでいきます。
    梨木香歩さんの作品独特の開放的で静かな情景をベースにしながら、巧みに組み立てられていくからくりはさすがだなと思いました><

  • 素敵な作品。最初の方は「西の魔女」のような読みやすさよりは、「家守綺譚」のような古風な印象を受けましたが、半分過ぎからは一気に読みたくなるような展開で惹きつけられました。込み入った舞台や背景の設定が少し混乱させられましたが、「裏庭」や「西の魔女」に通じる喪失と獲得の物語で、読み終わった後の余韻は素敵です。

  • 何度となく読んでいる本。
    蓉子のつくる暮らしの基盤や家に流れる包み込むような空気に触れると丁寧に暮らしていくことへの憧れが強くなる。

    1番共感したのは紀久。

    それまで自然の作り出したものを受け入れ好んできた作り手たちだったのだけど、どうしても自然からは出来上がらない底の見えない黒を必要とする様はここのところ経験した黒い闇にとても似通っていた。
    人が生きていくということは綺麗なだけでは済まされないことがあり、それでも何世代も後に消化してしまえる強さが人にはあるのだなぁ。

    梨木香歩さんの小説は始まりから全てが繋がっていて、それは物語が始まる前からずっとずっと繋がっているというテーマでもあると感じる。

    紡いでいくということ。

    そして暮らしの丁寧さや言葉、自然の描写の美しさにたまらなく惹かれるのでした。

    うう、レビューは苦手だけど頑張ろうw

  • そもそも女の人の共同生活がとても苦手で、あんまり入り込めなかった。内容もどろどろしていて、なんで一緒に暮らしているんだろうと思った。そのドロドロの犠牲になるのが小さなミゲルであるところが、また嫌な感じだった。
    草木染や織物の描写はきれいだし、人形が燃えると場面はきれいな風景が脳裏をよぎったが、好きな小説ではなかった。

  • 入院中の読書だけど、この本は読むのに、ふー疲れたぜい。

  • このタイミングでこの本に出会った不思議
    と、思いたくなる内容でした。
    作品内の会話に出てくる
    『偶然は偶然』『偶然は必然』なんてよくあるコピーみたいなことはない…

    そう、そんな陳腐な表現は嫌だけど
    そう言いたくなる繋がりがあるように思えてきた。

    つながりについて、現れ方には、事例4つ挙げているようだ。
    人は、今、現在も、過去も未来も一人では成り立つことはなく、
    だからと、繋がらなくてはいけないのでもない。独りを見つ、なんとかしよう、その受け入れる力。
    『でも傷を持たない人なんていないでしょう。問題のない人も少ないと思う』
    『そうなんだけれど、彼と関わることになる人って、独特の暗さのある人たちなんだ、…』

    何処かそんな一端を持つ4人の女性
    それに、これまでの女性の社会的立場や土地とのつながり、芸術と職人技の境とつながり
    名もないひとたちが作っている
    この今を生きる、生き方に
    それも良いでしょうと伝えているようだ。
    後半、そしてラスト前は鳥肌のスピード感が
    また、前半の影から綺麗に光らせている

  • 連綿と続く人の営みは、普段見えていないだけでいつでも存在し、紡がれているんだ、と空を仰ぎたくなった。
    織られている時には、全容は分からない。今、ここ、は、いずれどんな模様になるのだろう。
    自分に流れてる川を辿ったら、水脈までの道のりはどれほどのものなんだろう。

    ぐるぐる頭の中にいろんなことが巡る。
    しばらくの余韻を、蝉の声とともに過ごすことになりそう。

  • 児童文学のイメージが強いのだけれど、とっても大人なお話。怨念とか、嫉妬とか人間の奥深くのドロドロとしたところがテーマの一つであるのに、清浄な気配が湧き上がってくるのはこの人ならでは。ミケルの庭を先に読んでしまったけれど、まだ覚えているうちに本作を読めてよかった。とっても哲学的。はっとする言葉が随所に散らばっていて、読む時々で惹きつけられる箇所が違いそう。
    能に興味が出てきた。手仕事もなにかやってみたい。

  • 2013.11.16読了。
    今年49冊目。

    西の魔女に続き梨木さん作品2冊目。
    好きだなこの世界観。

    西の魔女よりもより不思議な、少し霊的な?部分が強かったけれど根本のところは同じで良かった。

    一つ一つを大切にすること。
    物でも人でも何でもだけど、そういうのがたくさん詰まってて。
    特に私は料理や庭の植物たちの部分にとても惹かれた。
    私にとっての目指すべき暮らしというか笑

    りかさんという人形にまつわるたくさんの謎も面白かった。
    それぞれにドラマがあり、どれも濃くて。
    行き場のない怒りや気持ちが込められた物ってきっとたくさんあるんだろうなー。
    怖い話じゃなくて、昔の物にはいろんな人のいろんな気持ちがこもっていて、だからこその魅力もあるんじゃないかなと。
    昔の人たちに比べると全然物を大切にしていない私にとって、この本は大切な一冊になったと思う。
    し、物だけではないけど一つ一つを大切に生きたいなと思う。

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からくりからくさ (新潮文庫)の作品紹介

祖母が遺した古い家に女が四人、私たちは共同生活を始めた。糸を染め、機を織り、庭に生い茂る草が食卓にのる。静かな、けれどたしかな実感に満ちて重ねられてゆく日々。やさしく硬質な結界。だれかが孕む葛藤も、どこかでつながっている四人の思いも、すべてはこの結界と共にある。心を持つ不思議な人形「りかさん」を真ん中にして-。生命の連なりを支える絆を、深く心に伝える物語。

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