からくりからくさ (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101253336

感想・レビュー・書評

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  • たまたま共同生活を始めた4人の女性にまつわる不思議なお話。
    "からくり"が深すぎて、うまく消化できませんでした。
    私にとっては、もう少し単純な方が合っているのかも。
    梨木さんらしい物語だと思います。

  • 女性4人の共同生活。
    庭の草を使って草木染めをする人がいて、その糸で機を織る人がいて。テキスタイルを考える人がいて。庭の野草や野菜で慎ましい食事をして、生きる。
    共同生活も、こうした自立した人々との生活ならば、楽しいかもしれない。依存はしないが、影響を受け合う存在。
    その根底には、りかさんがいて、りかさんからすべてのものを慈しむ気持ちを育んだ蓉子がいる。その精神を見習いたい。
    博学で、それでいてそれをひけらかさずにじっと見つめる、梨木香歩さんの眼差しを感じられる作品。

    ―――――――――――
    女たちは機を織る。

    反物という一つの作品に並行して、彼女たちは自分の思いのたけも織り上げていった。

    古今東西、機の織り手がほとんど女だというのには、それが適性であった以前に、女にはそういう営みが必要だったからなのではないか。
    誰にも言えない、口に出していったら、世界を破滅させてしまうような、マグマのような思いを、とんとんからり、となだめなだめ、静かな日常を紡いでいくような、そういう営みが。 p.95

  • こういった丁寧さの中から美しさは生まれると思う。

    登場人物とか背景にある人形の歴史とかに関する記述は名前がぐちゃぐちゃになってしまって読みづらかった。

  • 読み返し。
    やっと児童文学以外も読むようになった頃に読んだためか、頭に刻み込まれてる作品なのですが、今、出版された月をみると、りかさんとの差が7か月しかないことに驚く。もっと経っていると思ってました。
    うーん、真剣に読んでた時期だったんだなぁ。

  • 前作『りかさん』に続く、お話。主人公の蓉子は、高校を卒業した後、染色家の道に。亡くなった祖母宅で、女ばかり4人の共同生活が始まる。りかさんは、祖母を見送りに行ったのか、不在。主に共同生活を送る4人とそれを取り巻く家族や友人、そして日々の出来事や心情の変化が主たるストーリー。りかさんを作成した人形作家や生い立ちなども、少しずつ明らかになってくるが、当のりかさんは、ほとんど登場しない。そして、結末は・・・・。
    個人的な感想としては、前作『りかさん』ほどのインパクトはなく、なかなか読み進まなかった。

  • 機織りにしろ、草木染めにしろ描写が細かくひたすらに創作意欲を掻き立てられる本でした。

  • 「生きて命があるって、異常事態なのよねぇ」

    『誰にも言えない、口に出していったら、世界を破滅させてしまうような、マグマのような思いを、とんとんからり、となだめなだめ、静かな日常を紡いでいくような、そういう営みが。私の曾祖母も機を織ることを知っていたら、少しは楽だったかもしれません。』

    「もしかすると家の中の全員他人の方が理想的な家族ができるのかもしれない」

    内容も勿論好きなんですが、文字を辿っていって気分が良くなる本でした。

  • 最初は、『女四人がレトロ感溢れる家屋で共同生活』で、爽やかそうな話だと思っていたのだが。
    ページをめくるごとに、段々ドロドロとしていき……。

    というか、あれですよね。やり逃げ……?

  • これを読んでから機織も草木染もやりたくなってしまって。
    ものづくりする人間の創作意欲を爆発させます。
    穏やかな語り口。嘘の無い表現。そこからは考えられない意志の強さ。
    梨木香歩さん、ほかも読みたいです。

  • 5年以上ぶりに再読了。以前はよく分からなかったところも少しは理解しやすくなった気がする。草木染めと能という、この小説の中の重要な二つの要素に、私自身が興味を持ち続けてきたことも興味深い。何度でも読み返したい作品。

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著者プロフィール

1959年生まれ。小説作品に『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』『丹生都比売 梨木香歩作品集』『裏庭』『沼地のある森を抜けて』『家守綺譚』『冬虫夏草』『ピスタチオ』『海うそ』『f植物園の巣穴』『椿宿の辺りに』など。エッセイに『春になったら莓を摘みに』『水辺にて』『エストニア紀行』『鳥と雲と薬草袋』『やがて満ちてくる光の』など。他に『岸辺のヤービ』『ヤービの深い秋』がある。

「2020年 『風と双眼鏡、膝掛け毛布』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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