エンジェル・エンジェル・エンジェル (新潮文庫)

  • 3680人登録
  • 3.47評価
    • (304)
    • (436)
    • (1108)
    • (86)
    • (20)
  • 425レビュー
著者 : 梨木香歩
  • 新潮社 (2004年2月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101253350

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
梨木 香歩
梨木 香歩
梨木 香歩
綿矢 りさ
有効な右矢印 無効な右矢印

エンジェル・エンジェル・エンジェル (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 旧漢字や古い言い回しを使うことで
    単行本版よりも場面転換も入りやすく、
    昔の景色がより濃く広がる文庫版。

    古い時代のお茶摘みの楽しさ、
    川で冷やされたお茶の景色、
    塀に沿って咲いたフランス菊、
    明るい陽射しと土間の危ういコントラスト。

    誰しの心にもある特別ではない「悪」が
    目に見えない振り子のように次第に
    大きな振動を伴って不穏な影のように圧迫する。

    どこにも逃げられない閉塞感に迫られ、
    やがてくる破壊の後のどこまでも広く
    心も体も空と溶け合うかのように
    昇華される開放感は圧倒的。

    水槽の濾過装置のように時を越えて
    同じ闇にもがくもう1つの心を
    自分が悪を引き受けることで救い、
    その姿に過去の自分を重ね、
    自らも清らかに救われ罪が緩む。

    時空を超えて得た2人の姉妹と木彫りの天使。
    さわちゃんの翼はきっと力強く美しい。

  • コウコと寝たきりのおばあちゃんとの夜の秘密の交流。
    現在とおばあちゃん、さわちゃんの過去とが聖書と熱帯魚、古びたテーブルを介して混ざりあう…。
    最後、コウコの何気ない言葉により何十年ごしの後悔からおばあちゃんは救われます。
    ツネが彫った天使様がテーブルから出てきたとき、ツネの優しさにホロリとさせられました。そしてその木彫りの天使が体現している、天使のような心を持ち続ける難しさですよね…

    神様が悪魔をどう思っていたか、自分のなかの醜い部分がこのお話を読んで少し救われたように思います…

    読みやすいのにすごく深い、というか重いという印象のお話です。

  • 「聖書・神・悪」祖母の過去と現在の主人公をリンクさせているお話し。

    ちょうど半年前に読んだ時とまた違って感想を持つことができ、梨木さんの魅力をより知ることができました。

    嫉妬や悪意、人を困らせる言動。

    反省・後悔することの重さ。

    この作品もまた繰り返し読もうと思う一冊。
    次回は自分なりにどのような感想を持つことができるのかと思うと楽しみ。

  • 本当になぜなんでしょうか。

    神さまは天使ばかりでなく、悪魔も必要だったのでしょうか。

    光があたるところ闇が出来、朝が来れば夜が来る。
    夏が過ぎ去れば、やがて冬が訪れ、この世には男と女が生まれる。

    宇宙に存在する、ありとあらゆるもの。森羅万象。
    片方が欠ければ、もう片方も存在することが出来ないといいます。

    コウコと娘時代の記憶を彷徨うさわちゃん。
    二人の会話は、すれ違っているようで結びついている。

    いくつものエンジェルが出会い、別れ、また交差する。
    その影には、必ず悪魔の存在。

    「おまえもかわいそうなことをした」
    わたしのなかの悪魔を抱きしめましょう。

  • 孫である公子(コウコ)がおばあちゃんの夜の世話をすることで、
    熱帯魚を飼うことになるお話。
    コウコとおばあちゃんのお話と、
    おばあちゃんの女学生時代の話が
    交互に展開されます。

    解説にからくりのあるお話とあったので、
    1回目は順番に、2回目はコウコの話だけ、
    おばあちゃんの話だけと読んでみました。

    隠されたからくりというのはわからなかったけれど、
    おばあちゃんが女学生の時にした罪を
    孫のコウコの言動によってゆるされたんだということがわかって、
    なんだか心がほっとするお話でした。

    途中、熱帯魚が殺戮を犯したり、残酷な描写も多少あったとは思いますが、
    私は読み終わった後にさわやかな、ほっこりした気持ちになりました。

    あっさりと読めたところもよかったです。

  • ちょっと良すぎた。120冊目、これにすればよかった。何度も読み返したい。『西の魔女が死んだ』の時のそれより、こちらの孫・祖母関係の方がつぼ。
    悪魔的天使である人間。カフェイン中毒、熱帯魚の殺戮。すべてが着地すべきところに着地している。センスの良い骨董品のよう。セピア色の記憶に、私自身の曽祖母の赤絨毯の部屋がふと、頭をよぎった。
    タイトルの「エンジェル・エンジェル・エンジェル」、読後解釈のし甲斐がある。

  • 風神招き、和紙のはたきで障子の桟を掃除する音、ほうじ茶で作った茶粥。
    記憶の奥底にはあるかもしれない、でも見たことはない、美しさが沁みてくるような一つ一つのこと。
    高野文子の作品を思い出したのは、私だけでしょうか?
    ばばちゃまの少女時代、同性の先生と友達に対する思慕、それが裏切られたと知った時の悲しみ。
    そして自分が望んだ通りの不幸が起こった時...
    そんな邪悪な存在である自分でも、神に赦されていると感じた時に得られる慰さめ。
    エンジェルという名の繋がりの中で、ばばちゃまにもたらされる慰さめを描いている、奇跡のような作品。

  • 死を間近に控えた「ばあちゃん」と、孫娘のコウコ、そして彼女が飼い始めた熱帯魚をめぐる物語。

    梨木作品には印象的な老女たちがいる。
    「西の魔女が死んだ」「りかさん」のような、知恵の象徴のような人たち。
    この物語でも、さわこの「おばばちゃま」はそんな感じ。
    一方、ここでは、さわこが年老いて、認知症の症状も出、死を迎えようとする状態の老女として出てくる。
    物語はさわこの少女時代と現在を往還しながら進んでいく。
    さわこばあちゃんは、少女時代、心を悪魔に売り渡した、つらい経験を背負い、今もまだその痛みから恢復していないようだった。
    物語の終盤、ツネの残した机の引き出しから手彫の天使が出てくる。
    これがさわこばあちゃんの人の救いになっていてくれるといいのだけれど、ばあちゃん自身はそれを知っていたのだろうか。
    安易にカタルシスを与えてくれないところが、梨木さんのいいところだと思う。

  • 少し怖かった、梨木香歩さんの言葉選びは本当に好き。今作もとても面白かった、少し難しいかなと思うところもあったけど一つ一つ理解しながら読むと凄く面白いと思う。

  • 後半からどんどん引き込まれて本当に圧巻だった…そんなに長いはなしでもないけど今と昔と聖書の世界と水槽の中と全部が絡み合ってすごいとしか言えない…!旧字体がすきなのでとっても楽しかった!

  • 現代と昔が交互に描かれていく物語
    ひとは誰にもいえない秘密を持って生きて
    そしてお空に召されるのだろうなぁ

    3つのエンジェルの意味
    なるほどなーー

    もうしばらくしてから、また読んでみたい。

  • エンゼル、天使。天使にも愛憎があり、悪魔との境が分からなくなる。山本さんは公子。孫娘は考子。ともにコウコ。おばあちゃんはコウちゃんと親しい友達になるという念願を果たし、再び天使と悪魔、愛情と憎悪の境に身を置く。

  • 大絶賛!もう読んでくれとしか言えない!!

    私とおばあちゃん、二人の語り手が交互に出てくるという構成。

    おばあちゃんの所は旧仮名遣い表記。

    私の方はリアリスティックで、

    おばあちゃんの過去の話はどこか夢語りのよう。


    作者特有の、美しい文章と、構成、そして涼やかなオチ。

    何故タイトルが「エンジェル」を三つ重ねたものなのか。

    その意味も読み終えれば分かるだろう。

    ページ上部にたっぷりと空白をもうけた、素敵な本作り。(単行本はもっと凝っていたという)


    胸に迫る感動をここには書ききれないのがもどかしい。

    小説を愛するすべての人に読んでほしい。

    他の作品「西の魔女が死んだ」も素晴らしかったので、

    ぜひ。

    梨木さん、最高!

  • 読書好きの職場の上司から貸していただいた本。
    梨木先生の作品は「西の魔女」以降2作品目。

    なんとも不思議な話。
    梨木先生の文章は読みやすく、物語自体も短いものだったので1日で読み終わりました。
    中学生か高校生であろう女の子が、1日に30杯もコーヒーを飲むものなのかなと、そこから「えっ?」となりました。(笑)
    お婆ちゃんの過去にまつわる話。
    ずっと自分の過ちに苛まれながら生きてきたのが、最後の最後に、仮初であっても救われる。そんな感じでしょうか。
    最初にツネのテーブルの中の人形を見つけていれば、早くに救われていたのかもしれません。

    短い物語ながらも、不思議な余韻が残る、そんな作品でした。

  • 「神様もそう呟くことがおありだろうか」
    「私が、悪かったねえって。おまえたちをこんなふう創ってしまって……と」
    ちょっとでも、そう言ってもらえたら。

    きっと――。

    インテリア雑誌で見た、壁に組み込まれた熱帯魚の水槽にいつになく惹かれたコウコ。
    ほぼ寝たきりのおばあちゃんの、深夜のトイレの介助を引き受けることで熱帯魚を飼う許可を得た彼女は早速水槽を用意するが、その夜からおばあちゃんが不思議な反応を見せ始める。
    若い女の子のような明瞭な口ぶり。いたずらっぽい、力のある目。
    全てを無機的に浮かび上がらせる蛍光灯の明かり、かすかに唸るモーター音が眠り姫となりつつあったおばあちゃんを目覚めさせ、そして水槽の中の魚たちの無残な振る舞いが、胸の奥に眠る少女時代の小さな罪と後悔の記憶を呼び起こす……。

    そんなつもりじゃなかったのに大切な人を傷つけ、謝罪をする機会もなく、いたずらに時は流れ、少女は老いる。
    意識の微睡と覚醒のはざまに、鮮やかによみがえる過去の切ない記憶。
    済まなかったと言ってもらえること、ごめんねと伝えられることの喜び。
    コウコと祖母のひそやかで不思議な深夜の交流のなかに淡々と描かれる、深い陰影のような、ごく普通の人間が持つ善性と悪意。
    短く淡泊だけと、胸に深く突き刺さるやさしい物語。

  • ちょっとぼけてしまったおばあちゃんと、そのお世話をするコウコ。
    コウコのところは新仮名遣い、おばあちゃんのところは旧仮名遣いでかかれます。うまいな。

    コウコの話とおばあちゃんの話は最初は全然つながっていないのですが、
    読み進めるとどんどん近づいていき、最後は2つが見事に融合します。

    梨木さんの作品は、(裏庭もそうだったけど、こちらも)魂の救済がテーマなんだと思う。
    すごく日本的に感じます。


    2013/04/30

  • 神をも揺さぶる宗教書である。世代を往復するなかで、苛つきと憎しみを描ききり、さいごに昇華させた。見事だ。

  • 寓話、かな?淡々としてるがしっとり優しく切ない小話。やんわり仄か。しかし甘さやぬるさも無い。怖くも悲壮感もおぞましさも無い。のが良い。

  • 神様も「私が、悪かったねえ。おまえたちを、こんなふうに創ってしまって」って呟くことがあるのだろうか…

  • 私と祖母の関係。祖母の学生時代。水槽の魚たち。母。短い小説のせいか細かな心理描写が描かれていない人物が発する言葉にその背景を考えてしまいます。神様がもし謝ったらこの世界、少し変わっていたかもしれない。後悔とは慈悲とは何だろう。

  • 長い話ではないしあっさりと読み終えそうだと思わせておいて、
    最後に急速に染み入るように響き出した。
    こんなに入れ込んでいたっけと自分でも意外な淋しさが押し寄せて、
    後にはほろ甘さが残った。
    おばあちゃんは昔からおばあちゃんな訳ではなく、
    若い頃は普通に娘さんだったっていう事実にハッとする。
    さわちゃんの昔の話のパートの旧仮名遣いの文体が匂い立つようなお洒落さですきだった。

  • いい子を演じてしまうコウコは、どこか満たされない想いを抱いていた。

    一人では立って歩けないおばあちゃん。
    そんなおばあちゃんのトイレのお手伝いを引き受けることで、
    コウコは、熱帯魚を飼ってもよいと母から許可が下りた。

    水槽の中の美しい世界を見ていると、心が落ち着いた。

    しかし、そこから変化が始まる…

    寝たきりに近いおばあちゃんは、ときどき急にまるで少女のような反応でコウコと話をするようになる。
    ボケて記憶が混同している様子でもない。

    変化は水槽の中でも起きていた。
    ふと見ると、熱帯魚の数が少し減っている気がする…
    それは気のせいではなく、日に日に数を減らしていっていた。

    なぜ、こんなことに…

    水槽の中という小さな世界を通して突き付けられる現実と、呼び起こされるおばあちゃんの少女の記憶…

    その2つの物語は、次第に交錯し、重なってゆく…


    コウコは、おばあちゃんの心を救えたのだろうか
    コウコは、自身の心を救えたのだろうか

全425件中 1 - 25件を表示

エンジェル・エンジェル・エンジェル (新潮文庫)に関連する談話室の質問

エンジェル・エンジェル・エンジェル (新潮文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

エンジェル・エンジェル・エンジェル (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

エンジェル・エンジェル・エンジェル (新潮文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

エンジェル・エンジェル・エンジェル (新潮文庫)はこんな本です

エンジェル・エンジェル・エンジェル (新潮文庫)の単行本

ツイートする