- Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101253350
感想・レビュー・書評
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読みやすかった
寝たきりの天使みたいなおばあちゃんと孫のコウコと熱帯魚
深夜のトイレを手伝うときだけ覚醒しておばあちゃんが昔の頃のように話す
おばあちゃんの少女時代のストーリーとおばあちゃんとコウコのストーリーが交互に進んでく詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ふわふわした雰囲気の中に、納得いくような精神的な囁きが不思議でたまらなかった。私は結構好き
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梨木香歩がこちらに少し分けて見せてくれる世界は、谷山浩子のいる世界と繋がっているような気がする。
表現の方向性は違うけど、草間彌生とも少し。
少女趣味で、メルヘンで、グロテスクで、甘く苦く、毒で薬で、ミステリアスというより不気味で、なのに美しくて優しくて、いつまでもここで道草食いたくなる。
どんな物語もこちらの核心を無遠慮にふんわりとこじ開けようとしてくる。
ファンタジックなくせに、汗ばんだ肌のようなリアルに生々しい質感と湿度を持っている。
暗闇を理解している人だけが表せる光があるのだと感じる。 -
梨木さんらしい境界線が曖昧な世界。
過去と現在
悪と善解説によると、からくり小説とか -
自分のしてきた最悪に意地悪だったこと思い出しながら読んだ。この本のように、誰かに悪かったね、と言われたら少し気持ちも晴れるのかな。わからないけど。
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タイトルからしてフワッとした優しいお話かと思わせておいて、意外と暗い影の差す感じが結構好き。
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「天使のよう」な祖母と同居することになったコウコは、自らの不安定さを補うものとして、熱帯魚を飼う。
過剰なコーヒーを摂取しながら、なお周りに合わせることをやめられず、深夜に宿題をするコウコ。そんなある日、母が祖母の排泄のため、夜中まで起きていることに気づき、コウコは代わりを買って出る。
深夜に交わされる祖母との会話は、現実のような、過去と話しているような不思議なもので…。 -
「家守綺譚」の梨木氏。本作は宗教的気配が濃厚。文体の、書き言葉での距離感と話し言葉での接近という見立てで、祖母と娘の不思議な接点を味わった。道具立てとしての熱帯魚が哀しく美しい。善悪と対峙すること、救いと赦し、きわめて宗教的な体験と示唆をおもわせる。おおむね登場人物が没個性であるなかで、謎めいてみえたのが、母の姿。ほとんど間接的にしか描かれない存在のようで、いちばん危うさを感じさせた。