春になったら莓を摘みに (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101253367

感想・レビュー・書評

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  • 日本の田舎に閉じ籠っている私に、ちょっぴり刺激的でふんわりとした優しい風を吹き込んでくれた!

    梨木さんが若い頃下宿していた英国の女主人と、その下宿先等で出逢った人達との交友記。
    色んな国の老若男女との異人種交流。
    楽しいことばかりではなく、時に緊張に満ちていて、価値観や倫理観の違いに驚かされる。
    世の中には人種や障害の有無等様々な境界が存在する。
    自分とは「異なる」相手の全てを理解することは限界があり「理解はできないが受け容れる」の考え方に共感した。

    梨木さんの描く物語の礎がここに詰まっている。

  • 世界にはいろんな国があっていろんな人がいる。
    すべての人を受け入れるウエスト夫人と彼女のそばでそれを見守るK。読者は彼女らと共にいろんな人を知り自分ならどうするか考える。みんな毒があってすごい。
    「理解はできないが、受け容れる」
    この言葉があれば世の中なんとか生きていけそうだ。

  • 久しぶりに読んだ。
    硬派で気高いひとだなあと思う。
    ところどころ、エピソードのあったかさや切なさに泣きそうになった。
    著者のようにストイックにはとても生きられないけれど(どちらかといえば私はモンゴメリのように閉鎖的な偏愛性質)、人間って意外とそんなに悪いもんではない、かも、とちょこっと思えてくる随筆集。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「硬派で気高いひと」
      ホント素晴しい人だと思う。
      最近、梨木香歩を読んで、それを強く感じている。
      「硬派で気高いひと」
      ホント素晴しい人だと思う。
      最近、梨木香歩を読んで、それを強く感じている。
      2013/08/26
  • 「理解はできないが、受け容れる」裏表紙に書いてあるこの言葉は梨木香歩さんの本に共通して流れている意識だと思う。ただひたすらに受け容れるのではなく対象をよく見て飲み込み消化をし、適切な距離をとる。尊重をする。
    彼女の言葉は私にとって、よりよい方向へ進むための道標みたいだ。

  • 最後の部分、

    You are not capable・・・・・

    "You are capable."を「あなたならやりかねない」と考えて、そのnotなので、「あなたであってもできない」という解釈をすることにしました。

    日本を訪れた友人が、「人と人が本当に相互理解して、お互いを認め合ったり助け合ったりして生きることや、違う国に住んでいて文化が違ったとしても人が分かり合うことは、頑張ったらできるんじゃないかと考えている(ように予てから見えていた)」作者に対して、「文化の違いは大きいと実感した。アフリカとかに比べれば受け入れやすいだろうと考えていた日本でもこんなに差がある。君がどんなに分かり合おうと思っても文化が違う人に相互理解を押しつけるのは無理だ。そういうのを取り除くのはできないよ。しょうがないよ」
    という半分あきらめ、半分慰めの言葉だったんだと思います。

    あくまで私の解釈です^^

  • 「西の魔女が死んだ」が大好きでこれを書いた方ってどんな人だろう?と思って手に取った。
    エッセイと言えば気軽に読めるもの、という思い込みが吹っ飛ばされ、思った以上に難しかった。
    ウエスト夫人の人間性に感銘を受けた。

  • 人種や性別を感じさせない、作者のフラットで真っ直ぐな視点とその表現力が素晴らしいエッセイ。

    軽く読み進めることができるのに現代を生きる私達へのメッセージ性も充分にあり非常に満足しました。

    “相反するベクトルを、
    互いの力を損なわないような形で
    一人の人間の中に内在させることは可能なのだろうか。”

    “あれはドリス(人名)そのものよ。
    全て青天白日にさらして、何の後ろめたいこともない。”

    上記2つのフレーズが、特に印象的。
    周囲の友人に自信を持って勧めたくなる一冊でした。

  • 文章がきれい!
    語彙がきれい…
    でもイギリスの人名入ってこず、内容入ってこず…

    いつかじっくり読んでもいいかも

  • ひとつの章を読むごとに、タイトルの言葉をくり返し思い、守られているような気持ちになった。

  • 三浦しをんさんの三四郎~より至。

    梨木さんにとっての人生の宝物が、この一冊に集約されているのかなと、タイトルの意味を知って深く感じました。英国、北米など描かれている情景も綺麗で、想像の中で楽しめました。この本を通じて一緒にまだまだ旅したいと思えるような一冊でした。

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著者プロフィール

1959年生まれ。小説作品に『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』『丹生都比売 梨木香歩作品集』『裏庭』『沼地のある森を抜けて』『家守綺譚』『冬虫夏草』『ピスタチオ』『海うそ』『f植物園の巣穴』『椿宿の辺りに』など。エッセイに『春になったら莓を摘みに』『水辺にて』『エストニア紀行』『鳥と雲と薬草袋』『やがて満ちてくる光の』など。他に『岸辺のヤービ』『ヤービの深い秋』がある。

「2020年 『風と双眼鏡、膝掛け毛布』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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