沼地のある森を抜けて (新潮文庫)

  • 1787人登録
  • 3.60評価
    • (128)
    • (228)
    • (270)
    • (53)
    • (9)
  • 220レビュー
著者 : 梨木香歩
  • 新潮社 (2008年11月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (523ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101253398

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三浦 しをん
伊坂 幸太郎
有効な右矢印 無効な右矢印

沼地のある森を抜けて (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • どこまでも感じること、表現することは許されているのだなと思いました。
    自由な発想の中でも、いわゆる日常的なシーンもたくさんあるから、ストーリーはしっかり進んでいるのがすごいなと思います。
    本来あるべき姿、何が必要で何が必要でないのかはとらえる枠が変われば、その線引きもやはり変わるわけで、全ては緩やかに1つなのかと大いに納得。
    今一度転がしながら読みたいです。

  • 梨木香歩さんの小説世界には、不思議がたくさん
    入っていて面白くて好きですが、
    コレは不思議過ぎる…
    文章からのイメージを頭に描こうと思っても
    「エ?」みたいな…謎過ぎる。

    どう言う事かは読み進んでから…と思って
    進む程に、「まじかー」と口にしそうになる。
    ファンタジーにも程が有る…
    予想外過ぎて、うおー、です。
    これ、映画とかに出来ないだろうなー…
    見てみたいけどー…何か、出来ないだろーなー。

  • 日常と非日常、科学と詩的ロマンが、分離しながらも溶け合おうとするような、奇妙で危ういバランスの世界観。序盤からもう只事じゃない。
    菌類のミクロの宇宙を久美たちと覗くうちに、一個の生命体としてここにあることの「不思議さ」に向かって目が開かれていく......。心にガツンとインパクトを食らわせてくれる、どでかい質量を抱えた物語でした。

  • 「西の魔女が死んだ」のような、ほんの少し影があるやわらかな森の中のような話を予想して読み始めたけれど、内容はもっと、濃いものであった。個体としての境界や性別、生殖について。わたしに響くものがあった。これから何度も読むことになるように思う。

  • 壮大な物語だった・・・
    生と死。
    それも細胞レベルでの生と死、形を変えながらも永遠とめぐっていく命がテーマなのかなと思いました。
    途中で入ってくる『かつて風に靡く白銀の草原があったシマの話』。
    最初は正直、良く分からないしこれいるのかな?と思っていたのですが最終章を読んで、何となく繋がったような気がしました。
    それまでは本編とサイドストーリーという感じだったのが、最後の最後にしてきれいに合わさったという感じ。
    うまく言葉にできないですが、パズルの最後のピースがパッチっとはまった時の喜びとも快感ともつかないような感覚を覚えました。

    そして、登場人物の人が主人公に問う、「自分って、しっかり、これが自分って、確信できる?」のセリフ。
    個性とは、自分とは何なのか。
    考えさせられるものがありました。

    最初の1日で1章・2章を読んで、えっ?!ホラー?と思い、読みすすめようかどうしようかと思ったのですが、しっかり最後まで読んで良かったと思います。

  • 前半は好き。後半はあんまり共感できない。なぜそうなる。

  • 有り得ない設定にビックリしてドンドン読み進めてしまいました。

    最後は、やらしさがないのになんだか官能的かつ神秘的でした。

    フリオの子どもはどうなるんだろう…
    それだけ、なんだか取り残されたような気持ちです。

  • 実家にぬか床があったので、ものすごく親近感を覚えつつ読んでいるところ。

  • 途中放棄。あまりファンタジーは得意ではないことがわかった。

  • 第16回(2006年) 紫式部文学賞、第5回(2005年度)センス・オブ・ジェンダー賞大賞受賞。
    梨木香歩さん初めて読みました。『西の魔女が死んだ』『裏庭』で児童文学系の受賞してるんで子供向けファンタジーかと思ってましたが、途中からの剛速球にびっくり。

  • これほど「シ」を美しく描かれることはあるだろうか。

    代々受け継がれてきた「ぬか床」という「ダサい」ものを囲んで次々と現れる「命」。この根源のある「沼」に辿り着くまでに、様々な人や歴史をたどっていく。
    これほど古臭いものが美しいラストを描けるって素敵。


    私は恋愛に「褪めて」しまった人が振り回される話がとても好きみたい。

  • 短編がつながり一つの話。最初の「フリオは私にこれを言いたくて出てきたのかな」という言葉からもう戦慄が始まる。あり得そうなファンタジーに呻く。しかしやはり梨木さんは難しいことを言葉だけではなく流れで悟らせるような文章が上手い。終盤は一気読み。ファンタスティック。タイトルが全てを語る。

  • ぬか漬けが恋しくなる初夏の頃に読みました。
    自己はどこまで自己か他者の介入が本当にないと言えるか…レイヤーの様に他者が重なった自己は自己か?竹藪の竹の様に見えてる部分は一本一本だけれども根は一つなのではないか?
    象徴的なものが繰り返し出てくるのでそれが何かはわかるんだけど。うーん。
    相変わらずこの方の文章は家の中に集約していく様で外を向いてる。そして人間以外の気配が多いなと。この雰囲気は好きなので楽しめました。

  • ぬかどこから始まる命と愛の物語。

    さあ、困った、という小説だった。梨木香歩の小説は、『西の魔女が死んだ』はまだすっと入りやすいけれど、『裏庭』『家守奇譚』みたいに、物語を掴んでうまく入れるまで時間がかかるものがある。現実(今)と不思議(とか昔とか)の層が混ざってしまっているのが理由。小説を読みなれていない人が挑戦したら挫折しそうな、何重構造。それが梨木香歩の魅力でもあるけれど。

    今回も戸惑った。特に三回挟まれている「かつて風に靡く白銀の草原があったシマの話」は。これを解釈して正解を出すことはナンセンスだな、と最後まで読んで思った。これが未来なのか過去なのか別次元なのか、考えてもわからない。本編(久美の話)とどんなつながりがあるのか、考えてもわからない。でも、イメージは浮かぶ。とても繊細な絵。

    最初はジェンダー的な話かと思った。そういう解釈をしてもいいかもしれない。でも違う。男がどうだとか、女がどうだとか、性とか命とか愛とか、なんだかそういう現実世界のぐだぐだしたものを超えたところに結末が行ってしまったので、ジェンダー的視点で読もうとするとぽかーんとしてしまう。とにかく不思議だ。単純な「命の大切さ」を訴える話とも言えない。命はかけがえのないもの、そんなことは導けない。むしろ、「私」というものが揺らいでいく話。

    他の誰とも違う「私」は、なぜ「私」なのか。そもそも「私」なのか。私は「私」をすべてコントロールしているのか。私はどこから「私」なのか。ルーツとか自分探しとか、アイデンティティを考える時期があるけれど、本当は、誰も確信を持って「私」なんてつかめていないのではないかと思う。揺らぎない「私」のふりをしているだけで。

    絵本で『ぼくのニセモノをつくるには』というのがあるけれど、自分を定義するには、かなり細かい情報が色々あって、でも、それをすべて並べたとしてもまだ「自分」を作ることはできない、そう思いたいのだ。私がどこかの「私」のコピーだなんて、思いたくないけど、「私」がここにしかいない、唯一絶対のもの、自分で作り上げた「私」でしかない、という証明はできない。ただ証拠もなく、私は唯一絶対の「私」なんだ、と信じていくしかない。だって、それを突き詰めようとしたら、受け止めきれない。だから、この小説も消化しきれなかった。

    消化しきれないことが、この小説の魅力だと、今は思う。歳をとって、結婚したり、子どもを持ったりして、自分の状況が変わればまた違う感想が生まれてきそうなので、いつかまた読みたい。

  • 一言で言えば、「感動〜!」
    じ〜んと心に染みる物語でした。

    実は、一度読みかけた事があったのですが、図書館からお借りしていたので期限が来て返すハメに。その時に読みかけていた所が物語の伏線部分に入った所でいまいち、パズルのピースがずれかけた感覚から抜け出せず、すごく読みたいーーーーという衝動にも駆られなかったのでとりあえず、ピリオド。
    でもずっとずっと気になっていて、数ヶ月ぶりに目に飛び込んできました!
    今度は、一気読みです!!伏線部分から難しくなるような覚悟(?!)を持って読み始めた為か、すべてがすんなり入って来ました!

    日本人にしかわからないだろうなぁ〜、「ぬか床」。
    ここがキーポイントで、すっごく良かった!!

  • ダ・ヴィンチ プラチナ本 2005年11月号

  • 「ぬか床」に支配されるということが古い日本社会のドロドロした部分の象徴であり、それを断罪していく話なのかと思いきや、そう単純ではない。後半、ストーリーは急展開して壮大な生物の歩みというテーマにまで突っ込んでいく。そこに戸惑う人もいるかもしれないが私は作者がテーマに正面から立ち向かった結果として肯定したい。

  • 代々受け継がれてきた「ぬか床」を譲り受けたときから始まった奇妙な出来事。いるはずのない人が現れ、奇妙な出来事がつづき、そしてついに彼女は先祖の土地へそのぬか床へ返しに行くことを決意してゆく。
    ぬか床、という鍵そのものから独自性を感じますが、奇妙な成り行きな話はユーモア交じりの描写も含みつつ穏やかに丁寧につづられていきます。その静かな説得力にほだされてか、いつの間にかしっくりとその「非現実」を受け入れて読み込めるようになります。
    ぬか床が抱えていた自分たちのいわれの深遠さは、くらりとするほど生命の根源にも迫るとてもダイナミックなものです。それに相対する終盤の場面ではこんな根源の問題にこれだけ真摯にアプローチするのか、という感銘を覚えました。
    形のみえないもの、今現在ここにないものにたいして、これだけの想像力を発揮してそして面白く読ませるという描写力を思い知った物語でした。

  • 糠床と新生命体の話し。
    りかさんから読み始めて梨木ワールドも、はやついていけなくなった。早期離脱。

  • なんとか最後までは読み切ったのだが…2つの世界が並行して描かれるあたりからは、もはやすべてを咀嚼することは諦めてしまった。

    奇天烈な設定は楽しめたのだが、この作品を理解できるだけのものが私には備わっていないようだ。それが何なのかは特定できないけれど。

    またいつか、もっとほかの梨木作品を読んでから戻ってみようと思う。それまでは可もなく不可もなくの3つ星で。

  • 結論→ぬか床は偉大。

    「ぬか床」からこんなに壮大な話になるとは思ってなかった。菌の名称頻出に数学に対する苦手意識がアレルギー反応。自然科学わからない。やっぱ中学〜高校初級くらいの知識は一般常識として必要だな。…がんばろう。

    閑話休題。

    理解できていないが、それで良いとする。時折挿入される「シマ」と「僕」の話は、解釈が幾通りもあるだろう。私は真っ先に久美の故郷の神話または祖先の物語を想起したが、その後も色々な可能性が連想され、どれが正しいとかいう結論はは出ない。とにかくスケールが大きい。生きていることが異常事態ならば、それが異常事態でなくなったとき、世界はその事態を受容できるのか。生命は、どうにかして当たり前に存在することを、やめたくなるに違いない。そして、自ら異常を起こすことで再び「異常な」生命としての価値を求めるのではないか。一度はこの道を辿ったものの、最終的には滅びを選んだ「沼」は、「異常」であることを捨てた。その先にまつのは「シ」なのか。「異常」を貪欲に求める生物とは対象的な「沼」の結末は何かを暗示しているようでならない。考えすぎか。

  • 難しかった。
    ぬか床から謎な人が出てくる前半はわりとサクサク読めたのだけど、後半話が壮大になり、難しかった。難しかったけれど、読みやすかった。
    時子おばさんの日記や安世さんの手記など、謎がどんどんと解けていく感じは爽快。
    何代にもわたって受け継がれてきた不思議なぬか床。また別の形でどこかで再生しそうなそんな感じをうけた。
    難しいけど、読むのをやめれない。そんなお話?

  • 久々…でもないけと梨木さん読んだ!

    からくりからくさ、とか裏庭と通じるものがある話でした。
    それと風の谷のナウシカのこともちろっと頭をよぎった。あの粘菌たちのこと。さみしいから、こわいから、他を融合?合体?しようとする。大きくなろうとする。変化しようとする。
    ものごとには始まる場所があってそれが終わる場所でもあって、常に変化してて、なるほどって思うけどやっぱり難しい。

  •  初めてこの人の作品を読む。おどろく程すんなりと入ってきた。ここ数年、ずっと考えてきたこととリンクして、登場人物たちに共感を覚える。人々(人外も含む)の交流がとても丁寧に描かれていて愛おしい。生物学、哲学、神話や伝説、ファンタジーにSF、あらゆる要素がぎゅっと詰め込まれ、それぞれがつながっている。ぐいぐいと引っぱられ、まるで最後の打ち上げ花火があがった後に感じる圧巻と充足感、心地よい寂しさに、読了後しばらくこちらに戻って来れなくなった。でも思うに、この話に入り込めたのは、自分が今に至るまでの色々があったからで、数年前の自分が読んでいたらまた違った感想を持ったかもしれない。
     何度も読み返したくなる宝物のような作品。

全220件中 1 - 25件を表示

沼地のある森を抜けて (新潮文庫)に関連する談話室の質問

沼地のある森を抜けて (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

沼地のある森を抜けて (新潮文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

沼地のある森を抜けて (新潮文庫)の作品紹介

はじまりは、「ぬかどこ」だった。先祖伝来のぬか床が、うめくのだ-「ぬかどこ」に由来する奇妙な出来事に導かれ、久美は故郷の島、森の沼地へと進み入る。そこで何が起きたのか。濃厚な緑の気息。厚い苔に覆われ寄生植物が繁茂する生命みなぎる森。久美が感じた命の秘密とは。光のように生まれ来る、すべての命に仕込まれた可能性への夢。連綿と続く命の繋がりを伝える長編小説。

沼地のある森を抜けて (新潮文庫)はこんな本です

ツイートする