冬虫夏草 (新潮文庫)

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著者 : 梨木香歩
  • 新潮社 (2017年5月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101253435

冬虫夏草 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 待ちに待った文庫化!
    大好きな『家守綺譚』の続編ということで、文庫化を心待ちにしていました。
    単行本の時に図書館で借りて読んでいるので、今回は再読ということになりますが、1回目よりも楽しかった^^
    途中出てくる、ダムのことかな?という記述、1回目に読んだ時はさらっと流してしまいましたが、今回は気になって調べてみたら物語に出てくる地名は現在本当にダムになっていて、廃村になってしまった村もあるのですね・・・
    こんな感じで地理的なことを調べてながら読んだことも関係して、今回の方がより深く楽しめたのかなと。
    また、イワナ夫婦が営む宿とか河童の中居とか泉鏡花の作品と繋がる魅力を凄く感じるなと思いながら読み進めました。
    『家守綺譚』と同じく何度も読み返すことになりそうな一冊です♪

  • 前作「家守綺譚」はまだまだ小説だった。
    本作はどうにもこうにも「難しい」印象。
    成長云々や、性格の悲喜劇や、といった近代小説の感覚では読めない、小説というよりは読み物に近い本。
    不思議な存在が、怪異でも驚異でもなく淡々とあり、仰々しくなく描かれる。
    「遠野物語」の世界を「冒険」する。ちょろっと南方熊楠っぽい人も出てきたりして。
    ネットの感想を漁って、なるほど。川桁とは、ダムのことかー。

    さらに驚いたのは、「村田エフェンディ」終盤で村田が持ち帰ったサラマンドラが、登場していること。
    「村田エフェンディ」→「家守」→「冬虫夏草」の、いまのところ3部作なのだ。関連しているのだ。
    凄まじいスケールの小説だ。

  • 大好きな『家守綺譚』のその後の物語。
    相変わらず心地好い世界観!
    独特の摩訶不思議な懐かしい民話の世界に浸れた。

    愛犬ゴローが突然姿を消したことから始まる、ゴロー探しの旅の物語。
    相変わらず飄々とした綿貫が一人、ゴローの足取りを辿り山中をさ迷う。
    道中で出逢う人、河童、天狗、イワナ、幽霊…。
    この男の向かう先には次々に不可思議な現象が起こる。
    でも全てがとてつもなく優しく温かく涙が出てくる位愛しい。
    今回は綿貫のお陰で美しくも懐かしい日本の原風景を体感できた。

    表題になっている「冬虫夏草」。
    人も生き物も皆、その時々で生き方が変わるのは仕方のないこと。
    与えられた条件で自分の生を全うしたい!
    今回も梨木さんの教えが心にゆっくり染み渡る。
    またこの続きを期待したい!

  • 文庫が出たので買ったんだけど、
    もう既に読んでしまっていたらしい。
    と言うわけで、感想は単行本の方に(^_^;)

    これを機に再読するか…。

  • 妖の世界と現実が溶け合っている
    綿貫征四郎の周りは そこに身を置くようにして
    堪能したい。

    できればこちらの世界に戻ってきたくなどないのだ。
    だから内山節さんのあとがきには強く共感した。

    読み終えたくない。心地よい。

  • 本は文庫で揃えると決めている。梨木香歩さんは、エッセイ以外なら全て手元に置いておきたいと思う、数少ない作家の一人です。
    家守が大好きだったので、冬虫も出た時は、すぐ欲しかったですが、文庫になるまで、じっと待っていました。
    待っていた甲斐があったというもの。

    人生の節目に、読み返すたびに、違う発見がある物語こそ至高と思っていますが、梨木香歩さんはまさにそういう物語を紡ぐ人です。
    人生どころか、ものが、人が、生きるとは。ということを、深く哲学的なまでに、考えさせられるのです。

    家守は、主人公綿貫が、様々な『出会い』をごく自然のものと受け入れていく様が、痛快と言えました。少し前まで、こんな世界との関わり方が、本当にあったんだと、信じ込ませてくれる説得力のある物語でした。

    今回は家守で特に、読者に愛されただろうゴローさんが、行方不明になるということで、愛犬家である私からすると、血の気が引くと行っても過言でない事件が起きます。

    基本引きこもりに毛が生えた程度の綿貫も、ゴローさんの目撃情報を頼りに、鈴鹿くんだりまで、単身山登りに出かけます。

    もちろん、山の中ですから、今まで以上に、それはもうたくさんの『出会い』があります。素朴な村人との交流も素敵でしたが、こちらの『出会い』は、なおのこと素晴らしいものがありました。

    その中でゴローさんの足跡も、一つまた一つと増えていきますが、果たして二人は再会できるのでしょうか。

    竜宮のシーンは…?と物足りない感じがしたのですが、家守の中にそれっぽいシーンはありましたね。なので、今回は書かなかったのかなと。

    また、ゴローさんや高堂が、何のために走り回っていたのか、はっきりとは告げられていません。そこも少しは気になりました。
    村が水に沈むのは、何十年後かのダム建設とかの話なのでしょうか。それとも、もっと近い時代のお話なのか。詳細は、次巻に持ち越されるのだと信じています。

  • 『家守奇譚』の続編。
    今回綿貫は家を出て外へと旅に出る。行方不明の愛犬ゴローを探しに。

    なんだかわからなけど、このシリーズには本当に癒やされます。
    綿貫が飄々として動じないのがいいのかもしれません。彼にとって人も物の怪も神さまも幽霊も同じ立ち位置にいるものなのでしょうね。だからあんなに優しい視線でいられるのかもしれません。

    どの話も好きですが、特にラストが好き。ゴローにあんなに慕われて、綿貫は果報者(笑)。

    続編出てくれると嬉しいな。

  • ゆっくりじっくり、自分のペースで読めて満足。作品に漂うやわらかな空気には、マイペースがぴったりとくる。前作は家の周辺、今回は遠出して鈴鹿の山々へ。綿貫が出会う「ふしぎ」に一層のバリエーションが出て、一層この世界が深まった。ときどきa垣間見える綿貫のゴロー愛が好き。

  • 一作目の『家守綺譚』と同じく、言葉のタッチや情景描写がたいへんすばらしかった。一作目に描かれたのが"あちら側"の世界(死者の世界、神の世界、妖の世界、無限の世界、見えざる世界...すなわち彼岸)であったのに対し、今作は"こちら側の世界"(生者の世界、時間世界、煩悩の世界、有限の世界、可視世界...すなわち此岸)。今作は前作に比べて此岸の人々との交流が圧倒的に多いことに気づきます。前作で、綿貫が高堂のいる湖底の世界に足を踏み入れたことで、彼が"彼岸への憧憬"にひかれていることを案じ、人々と交流しこの世の食物を口にすることで"生への執着"を意識した作者の意図なのでしょうか。
    行方知れずとなった愛犬ゴローを探す旅に出かけた綿貫は、ゴローを追ううちに少しずつ彼岸の世界に足を踏み入れていくんですね。ここでまた面白いのが、そんな綿貫を此岸へ呼び戻すのもまたゴローなわけで。ゴローとまた会えるならと彼岸の住人になることも厭わない覚悟の綿貫を此岸へ連れ戻す、つまりこの物語においてゴローは綿貫にとって彼岸と此岸の架け橋...彼岸から此岸へ主人を召還する"河桁"であるといえます。
    前作で梨木ワールドにどっぷりはまった私としては、少し物寂しい気がしないでもないかなと。あと、表紙のこの絵が、物語とどう関係していたのかが興味深いです。中国故事や水墨画の題材のような絵で。

  • 独特な空気感が好きです。
    旅に出て様々な人や人じゃないものと交流するのですが、そこに区別が無いというか自然に混在しているのが素敵。

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冬虫夏草 (新潮文庫)の作品紹介

亡き友の家を守る物書き、綿貫征四郎。姿を消した忠犬ゴローを探すため、鈴鹿の山中へ旅に出た彼は、道道で印象深い邂逅を経験する。河童の少年。秋の花実。異郷から来た老女。天狗。お産で命を落とした若妻。荘厳な滝。赤竜の化身。宿を営むイワナの夫婦。人間と精たちとがともに暮らす清澄な山で、果たして再びゴローに会えるのか。『家守綺譚』の主人公による、ささやかで豊饒な冒険譚。

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