- Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101254029
感想・レビュー・書評
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苦痛。さっき読了したのに、すでに忘れようとしているレベルで苦痛。
猫と、「猫の殺人」という話を書いた時のエピソードを私小説にアレンジしたという本。4つの短編アンソロジーだが、全部同じことを書いているので1本だけで十分な話。あらすじ関係省略。
吉行淳之介・エイスケ関連の人であろうことはわかっていたし、だいたいその人脈の人の文章は、読んでいて苦痛しか感じないのだけど、その最たるもの。
詩人だから詩と小説のアイノコですよ、という逃げを打ちつつ、有名文筆家人脈だから、出版社も無碍に出来ないのだろうが、主語もない、会話が会話になっていない、前の文章と繋がっていない、かと言って叙情的でも何でもない文章の羅列。とりとめがないのを通り越して、単に単語を並べただけのものを、小説として本にされても困る。
中盤で気がついたのだが、段落の最初の文だけは一応ストーリーを示しているので、そこだけ読めば話はわかるのだ。その後の文章は、繋がってもいない文、文にもなっていない羅列が続く。
最後の表題作まで行くと、それなりに文章として読めるようにはなってくるんだけど、それは単になれてきただけなのかもしれぬ。1本目の苦痛たるや。
吉行家がらみは、この先1年は読まぬ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
猫にまつわる少し不思議な小説。
一見ほのぼのした物語に見えるが、主人公たちの周りにいる人間は明らかに性格が悪く、主人公たち。苦しめる。小説家の主人公が書いている小説は嫌な人間ばかり登場する物語らしいが、主人公が書いてる小説こそ、この小説なんじゃないか?って思う。 -
芥川賞受賞作品。
当時読んだと思いますが再読。
愛猫の雲を見送ってから、似た感じのぬいぐるみに出会った作者。
趣味的にやっていた店のオーナーが留守の時に、手に入れる。
実は飾り物の非売品だったとわかるが、非売品というのは店主の父が母に送った思いである品ということで、これも縁と心地良く認めて貰える。
ところが、このぬいぐるみを「小さな貴婦人」と名付けて店に通っては眺めていた人がいた。
それも旧知の女性詩人で、ユニークな人だから、言うことがまた面白い。
間の悪い思いをする著者だが、店の人には黙って持っていてと言われる。
猫エッセイ風とも思える内容ですが、溺愛ぶりは前面には出てきません。
日常を細やかに描き、関わる人間の不思議なムードとひそやかなユーモアで読ませます。