硝子の葦 (新潮文庫)

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著者 : 桜木紫乃
  • 新潮社 (2014年5月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101254821

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硝子の葦 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • シリアスな人間ドラマでありミステリであり、素直に面白い小説だった。

    とある事情により幼い頃から知っている、父親ほどの年齢のラブホテル経営者・喜一郎と結婚した女・節子。彼女は元上司である澤木と結婚前から交際していて、結婚後も途切れてはいなかった。
    夏のある日喜一郎が交通事故に遭い昏睡状態に陥る。看病が続く日々の中、節子は短歌会の仲間である倫子が抱える家庭の事情に巻き込まれる。
    そして喜一郎の事故から数日後、節子の実家であるスナックで爆発事件が起き、一体の女性の遺体が発見される。

    “身体は繋がっても、心が繋がることはない”そういう孤独が漂う小説。
    節子はその生い立ちから気が強く男に頼ることはない性格で、人と群れることを好まず、どこか醒めている。
    澤木はそんな節子に惹かれて、彼女が結婚した後も彼女の助けになりたいと思い続けているのに、芯の部分では通い合うことが出来ない。身体では求め合って繋がっても、節子の本心はいつまで経っても見えない。
    一歩踏み込むことを躊躇うのはお互いを思うからなのだけど、その一歩の足りなさが二人の大きな距離になっているのが切ない。

    様々な面倒事に巻き込まれた後、節子がした選択。起こした行動が、ミステリの大筋になっていく。
    肉欲、暴力、嘘、怨恨、様々な想いが渦巻いているのに作品自体の温度は低い。
    実家がラブホテルだったという作者の桜木さんが、ラブホテルという場所に対して思うこと(恐らく)が登場人物の言葉を介して表されたりしていて、そこもまた興味深かった。
    この小説に出てくる“ローヤル”というラブホテル。桜木さんが直木賞を受賞した小説も「ホテル・ローヤル」だけどまたそれとはまったくの別物らしく、次に桜木さんの小説を読むならこれだ、と思った。

    節子の生き様を見ていると、女とは恐ろしい、と思う。業の塊で、欲深くて。
    でもそういう部分を偽らず格好つけずに「私は私」というスタンスで生きる様はとても潔い。
    そしてこの小説の中で一番恐ろしいのは、ある幼い子ども。女は幼い頃からやっぱり女なのだ。そんなことを思った。

  • 最近、桜木紫乃さんの本が面白い!と思っていたところなのですが、この本は…

    ホテルローヤルが舞台とのことで、楽しみに読み始めましたが、なかなか進まない…
    ホテルローヤルと関係はあるけれど、舞台という感じではないような気が…

    桜木さんの本はお気に入りのものもあるので、また他の本を読んでみることにしましょう!

  • 最後まで読んで、また序章に戻って完読です。
    女性の内面、奥底は女性にしか分からないと認識しました。

  • 一気に読み終わった。凄い。淡々と続く男女のこじれたストーリーを、淡々と流しあるく主人公。
    ラストに巡るまさかの展開までの伏線がとにかく凄い。

    淡々と進みすぎて驚く場所を見失うほどです。

    黙々と読み続け、読み終わってホッとしたあとに、


    ひっ!!!!!!

    となるなんとも言えない読後感。新しい。油断させまくります。まさか、サスペンスだったなんて!!!!!!!!!の、ホテルローヤルで有名な作者の一冊。かなりオススメです!!!

  • 淡々と話が展開されるが、中身なかなかの話。女性作家特有の空気感っていうのかな、けだるさっていうのかな、これがたまんないんだよね。初桜木紫乃だったけど、やはり好きな作家になりそうな予感。ホント女性作家ばかりだな(笑)
    最初にある程度の結末が描かれてるから、これをどうやって繋げるのだろう?って感じで引き込まれた。なかなか上手い手法だな(^^)/

  • まとめると小説やドラマでは有りそうな話なんだが、それでは終わらせない迫力がある作品でした。作家さんの力を再認識させられました!

  • 火事、交通事故、親との確執、不倫、DVといろいろ詰め込まれていたが、おもしろかった!序章と終章が時系列的には本編の後の話だけど、それがうまく機能してて巧みだと思った。真相は最後までわからなかったし、ラストの終わり方も好み。タイトルも良いし、全体的に文章も美しいし、主人公たちの内面描写も素敵。

  • 直木賞受賞作「ホテルローヤル」の番外編かと思って購入したのだが、全くの別物。舞台となるホテルの名前が同じだけ。想像以上のハードボイルド。主婦の逸脱を描いた「OUT」を思い出させる。宇都木とし子さんがいい味だしてる。

  • 釧路でラブホテル『ホテルローヤル』を営む幸田喜一郎が交通事故で意識不明になる。年の離れた妻・節子の平穏な日常にも変化が訪れる。女性の心の奥底をえぐるようなミステリー小説。
    主人公・節子をはじめ、何人かの女性が登場するが、表面的な姿と心に抱える闇の深さのギャップがえげつない。男たちの浅はかさや単純さがとても滑稽だ。美しい雪の白さに騙されてはいけない。積もればそれは凶器にもなる。

  • ミステリーとしては
    突っ込みどころ満載だが
    ストーリーとしては
    入り込みやすかった。

    全体的にスルスル
    読めてしまったが、
    中でも継母節子と継子梢との
    会話は自然で個人的には
    好きだった。

    感想としては・・・
    澤木のような都合の良い男性がいるもんなのか?
    少なくとも私の周囲には・・・・いない・・・。

  • 「道東・釧路で『ホテルローヤル』を営む幸田喜一郎が事故で意識不明の重体となった。年の離れた夫を看病する妻・節子の平穏な日常にも亀裂が入り、闇が溢れ出した――。愛人関係にある澤木と一緒に彼女は、家出した夫の一人娘を探し始めた。短歌仲間の家庭に潜む秘密、その娘の誘拐事件、長らく夫の愛人だった母の失踪……。次々と謎が節子を襲う。驚愕の結末を迎える傑作ミステリー。 」
    どろどろ系恋愛小説家と思いきや,しっかりとミステリ。
    久しぶりに良いミステリだった。

  • 「ホテルローヤル」で、すっかり桜木紫乃作品の虜になった。
    恋愛小説だと思い読み進むたら、あら?
    ミステリーでした。
    最後に進むまで、気が付かなかった。
    殺人事件→犯人はだれ?
    なんて単純な話ではない。
    誰にでもある闇を綺麗に書く桜木紫乃さんは、すごい作家さん。
    そして、舞台はぶれずに北海道。
    ますます、桜木紫乃作品を読みたくなりました。

  • 女性にしか書けない類の小説なんだろうとは思う。
    正直、日本語のリズムというかテンポというか、書きぶりがあまり性に合わないなあ…、と思いながら読み進めていったわけだが、中盤以降は気にならなくなった。
    桐野夏生氏ほどグロくはなく、また村山由佳氏や唯川恵氏ほど軽やかでもなく、女の情念のようなものが、淡々とした筆致ながら切々と綴られている。
    直木賞受賞作の「ホテルローヤル」は未読だが、その元作に当たる今作、若干ミステリーっぽい要素も入れられてはいるものの、本質的な内容は娯楽性よりも圧倒的に純文学に寄っていると感じた。

  • 内容はもとより、表現・文章力がよかった。文学的というか。ちょっとしつこいくらいだったけど。寒いを寒いと書かない美しさ。

  • 幸田節子の火事による焼死からから始まり、事故で意識不明だった夫喜一郎の死。経営していた「ホテルローヤル」の税理士澤木に届く佐野倫子の手紙と写真。疑う刑事都築。ラストまで読んで最初に戻って、おぉ!繋がった。

  • なんともいえない。とりあえず、もう読まない。

  • かなりよい。好き。
    しかし、旦那殺しって、あんなに簡単に行くものなのかな?w
    子供から大人まで・・・女はコワいね、ってお話w

  • 恋愛小説かと思いきやミステリーでした。
    激しい展開はないものの、次々と進んでいく物語の展開にひきこまれます。
    舞台は「ホテルローヤル」
    したたかに生きる女性の強さと怖さがとてもよく描かれている作品でした。

    冒頭の火災の意味が結末につながっていくとは...
    出だしが後半に実によく繋がっていて、納得のいく結末でした。
    主人公である節子のその後が気になりますが...
    はたして逃げ切ることができたのか。

    結末がとてもよかったです。

    図書館スタッフ(学園前):iku

  •  女性はミステリアスなほうが魅力的だと男性は言う。
     けれども、それは「男性にとって理解しうる範囲のミステリアス」なんだろうなと思った。

     ヒロインの節子は、この物語の主軸であり最大の謎なのだが、もう怖い怖い。節子のやることなすことは、男性にしてみれば、恐ろしいことばかりなのだ。
     節子それ愛やない、情やって言いたくなる。

     この本と直接の関係が無いけれども、「つまをめとらば」で男性作家の描く「怖い女」を知り、「田舎の紳士服店のモデルの妻」で女性作家の描く「普通のヒロインの奥深さ」を知り、そしてこの作品である。
     われながらタイミングが見事だ。

  • 文庫の帯に「ホテルローヤルが舞台」と書いてあったので、ホテルローヤルを読んでこの作品を読んだのですが、順番を間違った気がしました……。
    もくしは同じホテルを題材にした違う物語として読み始めるべきだったかと思います。
    硝子の葦では繁盛しているホテルローヤルの姿が伺えるので対比は楽しいですけれど、どうしてもホテルローヤルの影を探してしまって物語に入り込むまで時間がかかりました。

    女のしたたかさと男の幼さが交差するラストが好ましく思いました。
    どうにかして自分が好きだった女に関わりたいと思った気持ちが「逃げろ」になったんだと思います。
    節子はそんな言葉を望んでいないし、むしろ迷惑だっただろうなって思います。
    殺人を正当化するつもりはないけれど、母親はいけ好かない女性でしたし、佐野も同様で好きになれない人間で舌。女二人お互いに秘密を握り合って厳しい冬を閉塞的に生き延びて、互いの娘たちもいつか人を愛して秘密を抱えていくんでしょう。

    所々の描写がほんとに美しくて素敵な作家様です。二作品とも暗かったので違う雰囲気の本も読んでみたいな。

  • 母の長年の愛人と結婚した節子
    ある日、夫が交通事故で意識不明になったことから
    始まった穏やかな日常が崩れていく。

    元上司とのドロドロした不倫と思いきや
    女たちの企みの話だった。
    4人の女の中では、最年少というより子供の
    まゆみが一番のズルくしたたかな女になった様に感じる。

    生きていくうえで、必要なズルさはある。
    犯罪者となった女たちだけど、
    このまま逃げきって生きていって欲しいような気持ちにさせられた。
    「節っちゃん逃げて。」
    (節子は整形までしたのか・・)


    どんよりとした空の様な小説でした

  • ひとの繋がりの空虚さと尊さ。節子は強い。拒まず受け入れ、でも芯は失わない強さ。
    ホテル経営者の男性と、母子二代で彼と関わる女性と。かなしい強さ。

  • 解説には、削れるところはバッサリ削ったと。確かにそんなに厚くはないけど、厚さ以上の読み応えがあった。

    夫は母親の元愛人で、ラブホテル「ホテルローヤル」の経営者。その夫が自損事故で意識不明。またガンでもともと余命数ヶ月だったことが分かる。
    夫の継子の捜索、句会仲間のDV、税理士との関係、ホテルの経営といろんな綻びが出てくる。

    節子、倫子、まゆみちゃんは最後まで逃げ切ったのだろうか。たぶん、あの3人なら逃げ切れるだろう、って思えるくらい狡賢さが印象に残った。

  • この人のっていつも湿度が高い感じでドロドロと…

  • そういう結末になるのねーと驚いた。
    終わり方も ビミョー。

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硝子の葦 (新潮文庫)の作品紹介

道東・釧路で『ホテルローヤル』を営む幸田喜一郎が事故で意識不明の重体となった。年の離れた夫を看病する妻・節子の平穏な日常にも亀裂が入り、闇が溢れ出した――。愛人関係にある澤木と一緒に彼女は、家出した夫の一人娘を探し始めた。短歌仲間の家庭に潜む秘密、その娘の誘拐事件、長らく夫の愛人だった母の失踪……。次々と謎が節子を襲う。驚愕の結末を迎える傑作ミステリー。

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