アラビアンナイトを楽しむために (新潮文庫 あ 7-8)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101255088

作品紹介・あらすじ

今は昔、ササン朝ペルシャはシャーリャル王の御代。大王は夜ごとに処女を求めて夜伽をさせ、朝が明けると殺す、という日々を過ごしていた。そこに現われたのが大臣の娘シャーラザッド。彼女は妹とともに王の寝所におもむき、王の枕辺でたぐいまれな物語を語った…。奇想溢れる千夜一夜の物語を題材に、さまざまな人間模様を「奇妙な味」で味つけした阿刀田流やさしい古典読本第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • 大のお気に入り。この本をきっかけに阿刀田先生の古典解説シリーズを片っ端から買い求めるようになった。
    エピソードの紹介・引用の仕方が巧みで、本書内で元の物語の起承転結がきちんとわかる上に、シンプルに読み物として面白い。原作の千夜一夜物語に触れたいという気持ちも掻き立ててくれた。

    ともに異性嫌いのカマル・アル・ザマン王子とブドゥル姫の婚姻と冒険のエピソードがとくに面白く、記憶に残った。
    百合あり疑似BL要素ありで嗜好に刺さる人は多いのではなかろうか。
    珍説と前置きされた上での紹介だが、シャーラザッド(シェヘラザード)男性説も興味深かった。

    あえてアラビアンナイト一番の有名どころであるアラジン、シンドバッド、アリババを外して他のエピソードを紹介しているため、ピンポイントでこのあたりに触れたい方はご注意。

  • 阿刀田高さんが咀嚼してくれたアラビアンナイトを読む。
    ありがたい。
    もしバートン版のような「現物」を読むとなったら、それを楽しめるかどうか、と言うより読めるかどうか疑問。

    ひとつ気になったのは著者が女性の妊娠期間「十月十日」を310日と勘違いしている点でした。
    千夜一夜物語の語り手シャーラザットが話を終えるまでに3人の子供を産んだからには「310日x3」で産前産後を除いても最低でも「910日かかる」と書いてあったのです。
    これだけ博識の方でもこんな勘違いはあるんだなあ。

    著者も度々書いているように千夜一夜物語は話として筋が通った面白いものはあまりないと言う印象を受け、自分が若い頃幼なかった子供達に布団の中で聞かせた思いつきのお話しに近いのかもしれないと思った。
    話の結末も考えずに話し始め、子供達の「それで、それで?」に乗せられて突飛でも出まかせでも話を進めると、大体の場合は話が大団円を迎える事なく彼らは寝ついてくれていた。
    そんな事を思い出した。

    阿刀田高さんの「知っていますか」のシリーズもコーラン、旧約聖書、新約聖書の「さわり」を面白おかしく知る事ができてありがたい。
    これらの著書が無ければ一生触れることのない題材だったかもしれないので。

  • 2021/11/03 読了

     有名な千一夜物語。いきなり本物に手を出すのは、と思い阿刀田さんのポップな文庫本から読み始めることに。

     絶妙な著者の脚色や話題提供が加わり、ぐいぐい引き込まれて一気に読んでしまった。エピソードは多数あるが、どれも男女の色恋に関わること、また商人に関わる話が多かったが、それぞれ面白かった。

     本当の千一夜物語に手を出す前の入門書として良い。

  • 9世紀にイスラムで産まれた物語。アラビアンナイトと呟くだけで、ロマンチックな、ドキドキする気持ちが湧いてくる。

  • 千夜一夜物語をベースにした冒険活劇アニメ、「マギ」がとてもわたし好みでとてもおもしろい。

    そのせいで10何年ぶりくらいに本棚の奥に眠っていたこの本を読みました。
    ちまちま思い出したように読んでってペースだったので、ずいぶんかかったけど、アニメ放送が終わる前に読み終えられたのよしとしよう。

    3大メジャーな「アリババと40人の盗賊」「アラジンと魔法のランプ」「シンドバッドの冒険」については、本書で触れられてないので、別に読みましたが、大人風味のアラビアンナイトを感じられてまあおもしろかったです。
    ちゃんと読むことはなかなかなさそうだしね。

  • 千夜一夜物語のなかから著者が選んだ12の物語を翻訳、またそれについて著者自身の見解を独特の軽やかで馴染みやすい文体で著したアラビアンナイトダイジェスト風エッセイ。

    十八世紀初頭にフランスの東洋学者アントワーヌ・ガランが、アラビア人が古くから語り継いできた膨大な量の物語を翻訳、編集して世界に広めたのが千夜一夜物語だと考えられているらしいです。
    おもに庶民たちの間で語られていたものであるため、物語には必ずといっていいほど妖艶な美女とのベッドシーンが盛り込まれているのでそのたびに「またか(笑)」ちょっと笑ってしまいました。
    千夜一夜物語は「アラジンと魔法のランプ」とか、「シンドバッドの冒険」とか「アリババと40人の盗賊」とかのワクワクするような冒険譚というイメージを抱いていたのですが、実はかなり大人向けの物語だったんですね。
    それにしてもブドゥル姫の赤い宝石って一体なんだったのかな。

  • 『バートン版千夜一夜物語』の副読本として

  • アラビアンナイトと千夜一夜物語。
    どちらも名称は知っていたけど、中身は????
    同じものだったのね。
    概要もわかったし、アラジンもアリババもこの物語のひとつだったんだ。
    一つ一つの物語を今の大人が読むと陳腐なものだけど、昔々は人々の心を癒やし、楽しましたのでしょう

  • シンドバットやアラジンなどの主要エピソードがなかったのは残念だったが、毎度分かりやすく面白いトーンで概要を解説してくれるので読みやすい。

  • 似たような寓話とか訓話が世界中の至る所で作られてるのおもしろいな

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著者プロフィール

作家
1935年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続け、78年『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。79年「来訪者」で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞。95年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞。日本ペンクラブ会長や文化庁文化審議会会長、山梨県立図書館長などを歴任。2018年、文化功労者。

「2019年 『私が作家になった理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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