アラビアンナイトを楽しむために (新潮文庫 あ 7-8)

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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101255088

感想・レビュー・書評

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  • 阿刀田高さんが咀嚼してくれたアラビアンナイトを読む。
    ありがたい。
    もしバートン版のような「現物」を読むとなったら、それを楽しめるかどうか、と言うより読めるかどうか疑問。

    ひとつ気になったのは著者が女性の妊娠期間「十月十日」を310日と勘違いしている点でした。
    千夜一夜物語の語り手シャーラザットが話を終えるまでに3人の子供を産んだからには「310日x3」で産前産後を除いても最低でも「910日かかる」と書いてあったのです。
    これだけ博識の方でもこんな勘違いはあるんだなあ。

    著者も度々書いているように千夜一夜物語は話として筋が通った面白いものはあまりないと言う印象を受け、自分が若い頃幼なかった子供達に布団の中で聞かせた思いつきのお話しに近いのかもしれないと思った。
    話の結末も考えずに話し始め、子供達の「それで、それで?」に乗せられて突飛でも出まかせでも話を進めると、大体の場合は話が大団円を迎える事なく彼らは寝ついてくれていた。
    そんな事を思い出した。

    阿刀田高さんの「知っていますか」のシリーズもコーラン、旧約聖書、新約聖書の「さわり」を面白おかしく知る事ができてありがたい。
    これらの著書が無ければ一生触れることのない題材だったかもしれないので。

  • 9世紀にイスラムで産まれた物語。アラビアンナイトと呟くだけで、ロマンチックな、ドキドキする気持ちが湧いてくる。

  • 千夜一夜物語のなかから著者が選んだ12の物語を翻訳、またそれについて著者自身の見解を独特の軽やかで馴染みやすい文体で著したアラビアンナイトダイジェスト風エッセイ。

    十八世紀初頭にフランスの東洋学者アントワーヌ・ガランが、アラビア人が古くから語り継いできた膨大な量の物語を翻訳、編集して世界に広めたのが千夜一夜物語だと考えられているらしいです。
    おもに庶民たちの間で語られていたものであるため、物語には必ずといっていいほど妖艶な美女とのベッドシーンが盛り込まれているのでそのたびに「またか(笑)」ちょっと笑ってしまいました。
    千夜一夜物語は「アラジンと魔法のランプ」とか、「シンドバッドの冒険」とか「アリババと40人の盗賊」とかのワクワクするような冒険譚というイメージを抱いていたのですが、実はかなり大人向けの物語だったんですね。
    それにしてもブドゥル姫の赤い宝石って一体なんだったのかな。

  • シンドバットやアラジンなどの主要エピソードがなかったのは残念だったが、毎度分かりやすく面白いトーンで概要を解説してくれるので読みやすい。

  • アラビアンナイトに対する知識は、冒頭に奥様が著者の問いに答えたよりも少ない。玉石混交で石が多いとなると、全部に当たらずとも本書で十分な気がする。知っていますかシリーズの旧約・新約聖書を読了直後に本書を読むと、いきなり俗の世界に紛れ込んだ印象。アラーの神がおわすイスラム世界(当時)の、男女の営みに対する自由さが感じられた。

  • モリミンの『熱帯』でマルドリュス版の『千一夜物語』がたびたび登場したので、そういえば…と思い手に取った。ちなみにアラビアンナイトと千夜一夜物語と千一夜物語は同じものだが、バートン版、マルドリュス版、ガラン版、東洋文庫版と版はいくつかあり、異なる物語が入っていたりする。阿刀田氏の文体も森見氏に負けず劣らず面白いので、そこの森見ファンのあなたも読んでみては?

  • アラビアンナイトの中から12話を取り上げて紹介した短編集。最後の「人生は運か実力か」(縄作りのハサンの物語)、なかなか含蓄がある話だった。もって生まれた運や巡り合わせって絶対にあるよなぁ。まあ、運も実力のうち、ということか。

  • バートン版を全巻購入していたものの、長らく積読状態だっため、他に読みたい本もあり、読み始めるきっかけを失ってしまっていたが、改めて読み始めようと思う。

  • アラビアンナイトってこんな話なのか…。
    とっつきやすくて楽しい。地震とお姫様の話には笑ってしまった。

  • 阿刀田さんで読んだことないけど興味あるアラビアンナイトってことで古いけど買いましたわ。千夜一夜物語ってこんなにまとまりもなく主題もわかりにくい話だったんね〜、しかも登場人物がやたらエロいことばっかやってるんよ。この本では有名どこのアリババと四十人の盗賊だとか船乗りシンドバッドの冒険とかないんでそこら辺だけでも読んでみたくなった。

著者プロフィール

作家
1935年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続け、78年『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。79年「来訪者」で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞。95年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞。日本ペンクラブ会長や文化庁文化審議会会長、山梨県立図書館長などを歴任。2018年、文化功労者。

「2019年 『私が作家になった理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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