旧約聖書を知っていますか (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101255194

感想・レビュー・書評

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  • 先日『ダ・ヴィンチ・コード』を読み終わったのですが、その訳者である越前敏弥さんが参考図書として挙げていたのが、この『旧約聖書を知っていますか』と『新約聖書を知っていますか』でした。
    阿刀田先生については、以前図書館で借りた『ギリシア神話を知っていますか』が面白くて……手元に置いておきたくて改めて購入したほどです。
    ギリシア神話も、名前だけは知っているけど壮大すぎてどこから手を付けたらいいのやら、という読者に向かって、先生ならではのユーモアで面白くわかりやすく解説してくださいました。

    本書も、同じようなスタンスです。
    「旧約聖書ってアダムとイヴの話でしょ?」とページを開いたところ、まずは「アイヤー、ヨッ」と叫んでほしい、とのこと。そしてアブラハム、イサク、ヤコブ、ヨセフとつながる主要人物たちのエピソードに入っていくのでした。
    読み進めていくうちに、これは知っている、あれもこれも、と著名なお話がたくさん出てきます。ラピュタに出てきたゴリアテとか、ミケランジェロのダビデ像とか。
    私達日本人にとっては特にとっつきにくい世界観ではありますが、思わずクスッと笑ってしまう軽妙な語り口で、最後まで読み通すのは決して難しくないと思います。

    先生いわく、旧約聖書と新約聖書は「京都と奈良」のようともいえるとのこと。都は京都に移ったけれども、奈良にも敬意を払わなければならない。次は『新約聖書を知っていますか』も読んでみようと思います。こちらは、『ダ・ヴィンチ・コード』との関連で楽しめそうですね。

  • 旧約聖書を大雑把に楽しくある程度理解できるお得な1冊。

    「アイヤー、ヨッ」と叫んでほしいというのが冒頭の1文。これはアブラハム、イサク、ヤコブ、ヨセフの主要人物の頭文字。この4人をおさえれば、アブラハムの事蹟は理解しやすくなるといいます。
    本書はアブラハムから書き起こし、有名な出エジプト記を経て、ソロモン王までをそこそこ詳しく描き、その後で神話的部分について触れています。要は比較的馴染みのあるアブラハムから入ることで旧約聖書に入りやすくする構成になっています。
    韻文の多い預言書、すなわちイザヤ書、ダニエル書は駆け足で通り、ヨナの物語については少しだけ紹介するに留めているのも、旧約聖書の複雑さを回避するのに役立っていると思いました。
    著者は「私のこのエッセイ…。好みはともかくらくには読めるだろう。読まないよりはましだろう。西欧の文化に触れるとき、旧約聖書について多少なりとも理解があれば、かならず役に立つ」と自著を評しています。本書で旧約聖書の全体像が不十分ながらでもつかめれば、もうちょっと難度の高い本もスムーズに読めそうです。
    旧約聖書についての入門の入門書としてお勧め。旧約聖書をスルメに例えるのは賛成ですが、ときどき著者がつぶやく駄洒落は少々寒いです。

  • 断片的なエピソードが面白くきちんと繋がって理解出来た。
    古い本なのでギャグネタが古かったり、オッサンネタだったりするが、聖書を簡単に理解するには良書だった。

  • 第72回アワヒニビブリオバトル「【往路】お正月だよ!ビブリオバトル」第8ゲームで紹介された本です。チャンプ本。
    2021.01.02

  • 何となく聖書に興味あるけどそこまでは興味ない、という人にはぴったりの本。アイヤー、ヨ!

  • 西洋文化を学ぶうえで聖書の知識は不可欠だ。そう思って聖書を手に取ったのだが、読んでも読んでも内容が頭に入ってこない。そんな中、阿刀田高さんの「旧約聖書を知っていますか」購入した。「新約聖書を知っていますか」「私のギリシャ神話」「楽しい古事記」と読んでいき、阿刀田さんの教養書シリーズ4冊目である。すっかり阿刀田ファンだ。

    冒頭の、アイヤー、ヨッ から何言ってるんだこの人と思いながらもどんどん引き込まれて楽しく最後まで読ませてもらった。新約聖書と比べて、神話よりのはちゃめちゃエピソードも多くとても面白いなあと改めて旧約聖書の内容を少しだけ理解できてきた気がする。するめの例えも秀逸だ。神が世界を作った聖書冒頭がスルメの頭。アブラハム、イサク、ヤコブ、ヨセフ、モーセ、ヨシュア、ダビデ、ソロモンと続く歴史のお話がスルメの胴体。詩篇、雅歌、ヨナなどなど、その後のバラバラに描かれたエピソードがスルメの足。この考え方は聖書本文を初めて読んでいくにあたってとても役に立ちそうだぞ、と思った。これをコンパスにして、つぎは聖書本文もあらためて挑戦したいと思う。

  • 阿刀田高著『旧約聖書を知っていますか(新潮文庫)』(新潮社)
    1994.12発行

    2017.10.16読了
     阿刀田高さんの短編小説を読んだことがあるけど、その時に抱いた印象と違って、この本は開けっぴろげで、まるでエッセイを読んでいるかのように、さくさく読むことができた。冒頭、いきなり民謡のかけ声から始まり、最後は聖書をスルメに喩えて終わる。聖書の基礎の基礎から入りたい人は間違いなく、この本はおススメ。

    URL:https://id.ndl.go.jp/bib/000002387387

  • 旧約聖書をとてもわかりやすく、ダイジェストとして綴っている。
    本人は聖書を専門に学び、また、信仰している訳ではないが、文学者として、またギリシャ神話などフランス文学を学ぶものとして、知識があり、10年かけてこの本を執筆されている。

    異教徒的な発言、内容が節々にあり、それが日本人である我々にとって非常に読みやすく、とっかかりやすい内容に噛み砕いてくれている。

  • イスラエル/アラブに対する解像度がかなり低いのが気になった。

  • まんがみたいな本。
    そう思うのは最初の数ページを読んだだけでも
    感じずにはいられない。

    でも、
    非常にわかりやすく書かれた本。



    「アイヤー、ヨッ」
    アブラハム、イサク、ヤコブ、ヨセフの頭文字


    聖書は新旧2つある。
    旧約はユダヤ教の聖典。タナクとも。

    キリスト教はイエスの福音を伝える
    新約に重きを置くが

    旧約を決して無視せず
    充分な感心を保っている。




    ・アブラハム
    ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の神。

    ある日、アブラハムは神の啓示を受けて
    妻サラ、甥のロトとその妻子を連れて
    カナンへ行く(現在のイスラエルのあたり)



    ロトたちはソドムで暮らすことになった。


    アブラハムに子どもがいなかったのめ、
    召使いのハガルをサラは差し出し、
    身籠もりイシュマエルを生む。



    一方、
    ソドムの街の乱れようは
    あまりにもひどかった。


    ある日、旅人2人がロトの家を訪れ
    家に迎え入れた。

    男色の町ソドムは旅人を差し出せ
    という人もいたが、
    旅人は自分のことはいいから
    家族を連れて逃げ出すよう言う。

    ところが
    振り向いてはいけないと言われていたのに
    ロトの妻は後ろを見て、たちまち潮の柱に。

    子孫を残すために
    ロトの娘たちは父を酔わせ
    肌を重ねて身籠る。
    それぞれ男の子がうまれ
    モアブ人とアンモン人の祖先になる。



    また、
    サラは神のお告げ通り身籠もり
    イサクを生む。

    アブラハムは神の声を聞いて
    子どもイサクをいけにえにしようとする。

    その直前で
    神に試されたことを知る。

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著者プロフィール

作家
1935年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続け、78年『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。79年「来訪者」で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞。95年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞。日本ペンクラブ会長や文化庁文化審議会会長、山梨県立図書館長などを歴任。2018年、文化功労者。

「2019年 『私が作家になった理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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