新約聖書を知っていますか (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1879
感想 : 155
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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101255217

作品紹介・あらすじ

新約聖書の冒頭で、マリアの夫ヨセフの系図を長々と述べているのはなぜでしょう。処女懐胎が本当ならば、そんなことはイエスの血筋と無関係のはずです。ところで、聖書の中に何人のマリアが登場するか知っていますか?ではヨハネは?そして、イエスの"復活"の真相は?永遠のベストセラー『新約聖書』の数々の謎に、ミステリーの名手が迫ります。初級者のための新約聖書入門。

感想・レビュー・書評

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  • 『旧約聖書を知っていますか』に続き読了。
    御本人が書いておられる通り、イスラエルの建国史とも読める「旧約聖書」と異なり、こちらはどうしても信仰につながるだけに書きにくかったのかなと……。聖書からの引用が多く、阿刀田先生のユーモアがあまり感じられなかったのが残念でした。
    しかし、キリスト教が身近にない私でも、少なくともそのイメージを掴むことはできました。サン・ピエトロ大聖堂が聖ペテロのお墓の上に建っていることすら知りませんでしたから……。
    日本以外の地域で生まれた小説、建築、美術、音楽そしてその他のありとあらゆる文化は、キリスト教から多大な影響を受けています。
    たとえば今後絵画や彫刻を目にした時に、これまで気付けなかった発見がありそうでワクワクしますね。『ダ・ヴィンチ・コード』も、読み直したら印象が変わりそう。

    阿刀田先生のエッセイでもう一つ気になるのが、『楽しい古事記』。
    「古事記」もマンガやゲームでたくさん触れてきましたが、先生の洒脱な文体で改めて読んでみたいなと思っています。

  • 旧約聖書に続き新訳聖書を読了。

    旧約より抽象的な感じがして読み辛かった。

  • 旧約聖書に引き続き

    旧約聖書よりは知っていることも多かったが、聖書やイエスの立ち位置がよりしっかり理解できた。 
    イエスの復活を奇跡ではなく、推理してしまうなど、なかなか大胆なことをしているが、
    信仰を持たないものにとってはとても理解しやすい内容だった。
    欲を言えば、映画やドラマでよく引用されるヨハネの黙示録はもう少し解説が欲しかった。

  • 聖書について軽い気持ちで学ぶことができる。
    この本にも書いてあるが、触りだけでも理解していると今後活かせることがあるのかなぁと思ったり…。

    旧約聖書を知っていますか、を次は読んでみようかな。

  • 阿刀田高さんの教養書シリーズ。新約聖書について知らなかった知識を沢山教えてくれた。聖書について勉強したいと思いつつ、無信仰者の為、どの程度信じていいものか、またどういう姿勢で関わりを持てばいいのか悩んでいたところだった。この本では同じく無信仰者である阿刀田さんが、無信仰ならではの価値観で語っておりとても面白い。イエスは確かに実在した、ただし彼の起こした奇跡のようなものは流石になかったであろう。母マリアは受胎告知によってイエスを身籠ったのではなく、もしかしたら複雑な事情で別の男性との間に子供を儲けてしまった。しかし寛容なイエスの父親は、それを受け入れ、一緒に育てていくことを決めた。イエスとマリアは後年再開した時も、母よ、などと他人行儀な会話しかしない。それはイエスが僧侶としての遺言を保たねばいけなかったというだけではなく、そこら辺の複雑な親子関係のぎこちなさがあったのかもしれない。小説家ならではの洞察力で聖書を読み解いていく阿刀田さんの眼力はとても素晴らしい。信者ではない者でもこうして楽しく聖書を読ませてもらっていいんだという勇気をもらった。

  • 阿刀田高著『新約聖書を知っていますか(新潮文庫)』(新潮社)
    1996.12発行

    2017.10.26発行
     阿刀田高さんの『旧約聖書を知っていますか』の続編にあたるのが本書。信仰は持っていないけれど、人生に一度くらいは聖書を通読してみたいという物好きは、まずこの本から入ると良い。ダイジェスト版といった位置づけだが、エッセイ風に書かれていて読みやすい。この本の制作のために10年かけて現地調査を行っていたそうだ。作者がそうして培ってきた聖書観が随所に散りばめられており、一つの聖書解釈としても面白い。

    URL:https://id.ndl.go.jp/bib/000002540874

  • 聖書のことをこれほどおもしろく、わかりやすく書いた本は、はじめて読みました。
    ぼんやりとしていた部分が、はっきりとわかり、目から鱗が落ちるとは、このことだと思いました。

    それでいて、著者の姿勢は非常に謙虚で、語り口にも好感が持てます。著者は似たようなシリーズの著作を手がけているので、ぜひそれらも読んでみたいです。

  • 信仰をもたない作者ならではの見方で描かれる新約聖書の世界。おもしろい。エピローグで作者も言ってるが、洋画や絵画等は聖書の知識が前提になっているものが多い。ちょっとした小ネタとかでも知ってるとより楽しめる。そのために読むのにちょうど良い本だと思う。読みやすい。
    聖おにいさんのイエスってかなり本人に近いんじゃないか?とこの本読んで思ったよ。
    旧約聖書のほうも読んでみたい。

  • 新約聖書が家にあったため、教養になるかと思い頑張って読み終えた。
    キリスト教の信仰について、つらつら書いてあり、よく分かりづらかった。
    そのため解説書でも読もうと思い手に取った一冊。

    信仰を持たないことを前提に新約聖書を解説したこの本は、日本人としてすごく読みすいものでした。
    同じ名前の人がたくさん登場すること、盛大にかかれていることは実は当時の社会を写した描写であること等、
    まさに解説書として素晴らしかったです。

    他の解説書は読んでませんが、新約聖書に関するひとつの解釈として十分に満足できました。

  • 永遠のベストセラー「新約聖書」を著者の考察も添えながらわかりやすく解説している

    新約聖書はイエスの生涯を表す部分が終わると、新しい部分に入り
    イエスの亡き後、直弟子やその他の弟子たちがイエスの教えをどう伝えたからキリスト教がどう成立して、そこにどんな困難があったか、どんな励ましがあったかが語られる

    著者の推測も含め以下のエピソードが印象に残った

    ◎マリアもアブラハム以降の血を引いており、処女受胎にも納得がいく

    ◎ヨハネの首を討ち取ったのはヘロデス王国の政治的な判断とヘロディアスの憎しみによるものであり、サロメは傀儡にすぎなかった

    ◎奇跡のエピソードは一つの比喩であり、イエスの偉大さを大衆に伝えるために適した伝達方法だった

    ◎十字架に架かる前日、ゲッセマネでイエスは長い煩悶のすえ、再び確信を取り戻す

    ◎イエスの復活は、まだ脆弱であった集団の基盤を確かなものにするために欠くことができない、絶対に必要なものであった

    新約聖書の構成は
    福音書(4巻)、歴史的記録(使徒言行録)、手紙(使徒たちの檄文)、文学(黙示録)
    となっており、中核を成すのは福音書である

    ちなみに福音書はイエスの言動を伝えるものと思われがちだが、厳密に言えば、それぞれの著者がイエスをどう捕らえたか、どう伝えねばならないと思ったか、執筆者の主観と立場を反映させたものである

    聖書の知識が美術、演劇、映画、音楽の理解における不自由さを軽減させてくれると思うと、これから先芸術に触れていくのが待ち遠しい

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著者プロフィール

作家
1935年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続け、78年『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。79年「来訪者」で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞。95年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞。日本ペンクラブ会長や文化庁文化審議会会長、山梨県立図書館長などを歴任。2018年、文化功労者。

「2019年 『私が作家になった理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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