シェイクスピアを楽しむために (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101255262

感想・レビュー・書評

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  • 誕生日と命日は同じ4月23日。
    欧米の大衆娯楽演劇の原点、ハリウッドで最も売れている脚本家、世界で一番有名な作家。
    その名もシェイクスピアである。

    本書では、彼の生涯と30を超える彼の戯曲の中から11を選んで紹介している

    名前は聞いたことあるけど読んだことは…。そんな人にも楽しんでもらえるよう、ユーモアを交えつつシェイクスピアの魅力を解説している

    阿刀田さんの小説家ならではの着目と批評精神が本書の奥行きと面白さを生み出していて、ああこんなに面白いものなのか!と素直に思わせてくれる
    著書を読むのはこれが始めてだけど、すごい人だ…

    個人的に印象に残ったのは「オセロー」と「ウィンザーの陽気な女房たち」

    「オセロー」は主人公が黒人。
    決して差別問題がモチーフではなく
    肌の黒さというものが醸し出すどうしようもない心理的葛藤を描いているところに面白さがある、と。
    なるほど、これがシェイクスピアの凄さなのか…と腑に落ちた。

    「ウィンザーの陽気な女房たち」は唯一オペラの舞台で見たことがあって、
    本をちらりと読んでみたけど、むむ、入り込めない、、
    やはり戯曲はあくまでテキストに過ぎず、舞台になって初めて生き生きと動き出すのでは…?とも思ってしまう

    とはいえ活字の世界に分け入らない理由にはならないので、いつか原作の良さもわかるようになりたい

  • シェイクスピアの有名どころの話を簡潔に解説してあり、大まかなストーリをつかむのにいい。

  • いや〜阿刀田さんの『〜を楽しむために』と『〜を知っていますか』シリーズはどれもコストパフォーマンス高すぎます。めちゃくちゃおもしろいし、ためになるし、言うこと無し。

    このシリーズ読むと、必ずそこで紹介されている話をもっと知りたくなるし、その舞台となっている地に行きたくなるし、ちょっと教養を得た(気に)なるし(笑)

    入門書的な趣もあるんだけど、結構深いところまで言及してたり。阿刀田さん自身の解釈や四方山話も楽しいし、何度も読み返したくなりますね。そしてまた、その価値が十二分にあります(*´ー`)

    例に漏れず、シェイクスピアが読みたくなりましたし(笑)

  • シェイクスピア。あまりに有名な劇作家。だが、その出生からして謎の人物だったとは……。「ベニスの商人」やその他の作品も、実際に作者がその地を訪れた訳ではないらしい。シェイクスピアの作品は戯曲であり、それが舞台で様々な演出で上演されることで生かされるのであり、読書の対象には向かないものというのも目から鱗だった。また、イングランドがフランス王国のノルマンディー公に征服されたことや、にもかかわらず仏語ではなく英語が保存されたことを不思議に思った。まあ、本作とは関係のないことだけど……

  • 手にとった直接的なきっかけは、クリスティの「春にして君を離れ」を読んだからだけど、古くからの積読でした。
    わりと最近、「ベストセラーのあらすじなんか読むのは愚の骨頂」的なエッセイを読んだ気がするのですが、(たぶん岡崎武志の「読書の腕前」だと思う)、そんなむつかしく考えなくたっていいんじゃないかなーと思う。
    大人になってから何作かシェイクスピアを読んでみた。オセローとかハムレットとか。
    あとはガラスの仮面(!?)のお蔭で「夏の夜の夢」も、オケをやっていたので「ロメオとジュリエット」もメインスト―リはかなり正確に頭に入っていると思う。
    でも正直上っ面しか分からなかった。
    そんな人が再度シェイクスピアにきちんと興味を持つためには、こういう入門書が必要だと思う。
    イギリス人の常識である「シェイクスピア」を改めて読んでみようと思った一冊でした。
    そして、豊かな知識を持ちながら初心者のところまで降りてきて興味を湧き立たせる阿刀田氏の筆力に脱帽です。(2010.2.5)

  • シェイクスピア-1564~1616(ひとごろしイロイロと覚えます。謀略・発狂・嫉妬・情死、作品の登場人物は、考えられる限り様々な理由でこの世を去ります)。誕生日と命日は同じ4月23日。欧米の大衆娯楽演劇の原点、ハリウッドで最も売れている脚本家、世界で一番有名な作家です。名前は知っているけど、作品も大体見当がつくけど…、という方のための“アトーダ式"解説本。
    (2000年)
    — 目次 —
    第1話 人殺しから五十二年
    第2話 暗愁のハムレット
    第3話 恋はロミオとジュリエット
    第4話 黒いからオセロー
    第5話 まどろむ夏の夜の夢
    第6話 ベニスの商人もりだくさん
    第7話 ジュリアス・シーザーに追悼
    第8話 史実の中のヘンリー四世
    第9話 騎士とウィンザーの陽気な女房たち
    第10話 悪の楽しみリチャード三世
    第11話 花とマクベスの丘
    第12話 リア王は乱れる

  • タイトルは知っているけど内容は…、という名作を阿刀田さんの話しぶりで、あらすじをおもしろく知ることができた。『ハムレット』(有名なオフィーリアの絵が浮かぶ…!)、『オセロ』(ムーア人であることの意味)、『ヴェニスの商人』(ラストの裁判)、『リチャード3世』(当時の王朝との対比の悪)が特に印象的だった。
    シェイクスピアは、いざ本を読もうとすると台本のような書き方に面食らっていたが、阿刀田さんも指摘のようにセリフの多い小説と思って読んでしまうことが原因で…、できれば演劇を見た上で場面をイメージしながら読んでみたいと思う。

  • おおまかなあらすじの理解はできた。
    ただ登場人物が交錯してすっと入ってこない部分もあった。

  •  オリビア・ハッセー主演『ロミオとジュリエット』を観た勢いで再読す。
     ロミオはジュリエットに一目惚れするまで、ロザラインという女性に懸想している。この設定、必要だろうか?
     阿刀田高の見解は「消し残しのような気がしてならない。つまり元本にロザラインがいたものだから翻案のとき充分に考慮を払わずに、つい残してしまった」
     納得である。
     第5話『夏の夜の夢』のダイジェストを読んでいて思う。職人たちによる婚礼の座興は、行き違いによる悲劇で『ロミオ〜』と似ている。いっそ『ロミオ〜』そのままにしてしまう趣向もありではないか。
     
     イギリスはもとより、『ハムレット』の舞台とされるデンマークの古城を訪ねる紀行文も読めて、お得である。
     ただ『リチャード三世』など歴史劇のダイジェストは、時代背景と人間関係が錯綜していて難しかった。

  • やはりそうだったか!

    「あの」シェークスピアを面白く思えない自分の理解力・感覚に劣等感を抱き続けていた。

    シェークスピアは、本で読むのではなくて演劇として観なければ本当の良さが分からないのですね。

    トルストイのシェークスピア評は、まさに「よく言ってくれた!」の一言。トルストイだからこそ言える内容だろうが、それを敢えて取り上げた(行き着いた)著者にも感心。


    どの作品でも良いので是非ともシェークスピア劇を観に行きたいと思う。

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著者プロフィール

作家
1935年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続け、78年『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。79年「来訪者」で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞。95年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞。日本ペンクラブ会長や文化庁文化審議会会長、山梨県立図書館長などを歴任。2018年、文化功労者。

「2019年 『私が作家になった理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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