想い出あずかります (新潮文庫)

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著者 : 吉野万理子
  • 新潮社 (2013年11月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101256818

想い出あずかります (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 再読。

    「おもいで」と「記憶」の違い。
    <お母さんのオムライスがおいしい、っていうのは単なる事実で、めったにオムライスを作ってくれないお母さんが、二年ぶりに作ってくれて、すっごくおいしくてうれしかったっていうなら、想い出になる>

    「おもいで」って普段何気なく口にする単語ですが、意識して考えてみると、その実態は複雑で、自分はそれをどう扱っていけばいいのか、だんだんわからなくなってきた。
    何度も反芻したい楽しかった事、嬉しかったこと…二度と見たくない事、味わいたくない事。
    良いもの悪いもの、誰にでもある「感情を伴う記憶」。
    それを選別して都合の悪い事だけを質に入れて、お金を得られるなら…ラクに生きられるんだろうなぁ。

    でも、20歳になったら質に入れた想い出は二度と取り返せない…だとしたら、昔の私だったらどうしたんだろう。今、私が10代に戻れるのならどうしたいんだろう。
    質に入れてしまうのか…入れたとして20歳までに取り戻すのだろうか。
    迷う。何度シミュレーションしても答えが出ない。
    すごく泣いたあの時の事、辛くて食事が出来なくなって病気にまでなったあの時の事、次々に過去の嫌な想い出が蘇ってきても、今の私はとりあえず生きているし、雨風しのげる部屋に住んでいられて、豪華ではないけれど食べるものがある。
    不満や不安はあるけれど、それなりに生活ができている。過去の嫌な想い出をこうして想い出してみても、あぁ…あの時は辛かったなぁ、と冷静に見ることが出来ている。もちろん腹が立ったとか、苦しかったとか、そういう感情も蘇るけれど、でも何とかやり過ごすことが出来ている。

    そういう想い出があるから、今の平凡で質素な毎日がありがたいのだと思えるのだと理屈ではそう思うけれど、やっぱり辛い想い出は振り返らなくていいのなら、そうしていたい。嬉しい想い出は何度も反芻したい。
    勝手なものだ。

    そうやって逡巡しているうちに時間がたって、うまく想い出と付き合っていけているのも事実で。
    やっぱり、その実態のないふわふわした感情の記憶は必要なものなのか…。

    大人になってからの苦い想い出は、質に入れられるものならそうしたい。そして二度と取り戻さない…かも。

  • おもいで質屋。
    それは、想い出を担保にお金を借りられるところ。
    ただし、20歳までに取り戻さないと想い出は返ってこないというところ。

    誰しも嫌な想い出って1つか2つ、もしかしたらもっとたくさんあったりしますよね。
    もちろん私自身もたくさんあります。

    忘れたくても忘れられないこと。
    それはきっと、他の人から見たら小さいことで、既に忘れられていることなのかもしれないですけど。
    自分にとっては忘れられないこと。

    そんな嫌な想い出を預けて(忘れて)お金を借りられる。
    そんな嬉しいことはないって思うのが普通かもしれません。

    だけど、良いことも悪いことも想い出で、それらがあって今がある。
    それらがあって、今の自分の形が成り立ってる。

    そういった色々なことを考えさせられる素敵な物語でした。

  • 子供たちだけが知っている魔法使い。
    「おもいで」を質に入れると、その「おもいで」は頭の中から消えてしまう。

    さくさくと読めるやわらかいお話。

    でも、クライマックスはちょっと切ない。
    魔法使いが出来ることと出来ないこと。
    その矛盾の中で時折見せる表情が良かった。

  • 20歳未満の子供達が魔法使いに思い出を質に預ける話。
    はじめはちょっと変わってて面白い話だと思って読み進めていたけど、途中からすごく素敵なお話になってきて、ぐいぐい読めた。最後まで素敵な終わりだった。
    吉野万理子さん初読だったけど、好き!
    他の作品も読んでみたい。

  • 里華を中心にちょっぴり甘酸っぱい物語。
    質屋の魔法使いと関わりながら少しずつ大人になっていく姿が素敵でした。

  • おもいで質屋、そして魔法使い。なんとも魅力的な組み合わせ。思い出を売る子も売らない子も遊びに来る。魔法使いと子どもたちの間に本当に色々な事が起こり、「おもいで」という言葉からイメージする懐かしいようなほっこりする気持ちだけでなく、辛い事も苦しい事も織り込み色々な日常を見せてくれる。

  • 小さな入り江に魔法使いが住んでいて、想い出の質屋をやっている。というファンタジー。

    その町の子供達が「質屋」の意味を知っていたり、おもいでをひらかなで書いたり…という冒頭から興味津々で読み始め、あっという間に読了。

    魔法使いさんと里華には友情があったと思う。

    遥斗くんは子供らしさ故に深い痛手を負ったけれども。

    雪成はいつかしっぺ返しを食うだろう、いや、食え。

    二十歳になった里華は魔法使いさんにまた逢えるのかなぁ。
    ふんわりだけど、良いこともそうでないことも大切な自分の一部と思わせられる深い作品でした。


    フォローさせていただいてる棚にあった1冊です。
    感謝です。

  • 屋上でカップルがイチャイチャする中学校。今の中学校ってそんな感じ?笑

    とても読みやすくて甘酸っぱくて切なくて、何だか懐かしかった。

    ただ、雪成には最後までモヤモヤと…
    依頼を御断りした時、その理由をちゃんと説明してあげたらまた違ったのではないかと思ってしまうのは私だけだろうか。

    他の人と想い出を共有できないのは残念だけど、里華がいつかまた再会できますように。

  • びっくりした。
    前作に殺し屋の小説を読んだから今回はどこまでもほのぼのした物を…と思って手に取ったのが本書だったのでびっくりしちゃった。

    質屋さんのお話。
    預けるのは想い出。
    預かるのは魔法使い。
    子供たちしか知らない秘密で二十歳までに取り戻さないと想い出は帰ってこない。

    ほのぼのすると思うじゃん!
    自分だったらどうするかなぁと考えさせられたり…ほのぼのしてる暇なんてない。

    リスさん、私にもハーブティーをお願いできますか?

  • 2015.01.20

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想い出あずかります (新潮文庫)の作品紹介

子供たちしか知らない秘密。岬の崖の下には石造りの家があって、それは魔法使いの「おもいで質屋」だった。想い出を担保にお金を貸してくれるという。でも二十歳までに取り戻さないと想い出は返ってこない。中学生になって魔法使いと出会った里華は、すっかり仲良しになり、共に青春の季節を駆け抜けてゆく。やがて二十歳を迎えた時……。きらきらと胸を打つ、あの頃が蘇る魔法のストーリー。

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