タダイマトビラ (新潮文庫)

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著者 : 村田沙耶香
  • 新潮社 (2016年10月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101257129

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タダイマトビラ (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • カゾクヨナニー

  • 29.8.11読了。
    『家族というものは、脳でできた精神的建築物なのだな、とつくづく思った。』
    恵奈が家族というシステムはカゾクヨナニーを互いがし合ってるのと変わらない、と気づいてから、家族までもが一つの生命体のように描写されていて、読後は少しヒンヤリした。なんて予想外な結末。

  • 家族が絶対なのも、全てこの世が創ったもの.
    ふつうってなに?がいつも村田沙耶香さんの
    小説読むと突き刺さる.
    当たり前ってなに?揺さぶられる、揺さぶられる!!

  • 図書館で予約した「コンビニ人間」を読むまでに予習として購入してみた。中盤までは理解できていたと思っていたのですが、ラストで崩壊。心がザワザワとして、なかなか難解な作品でした。恵奈ちゃん、何でもかんでも小難しく考えすぎだよ~と言ってやりたくなりました。

  • さすが村田さやか。うーん変態(褒めてます)。
    とりあえず制覇しようと思った。
    でも意味不明。

  • フィクションを書くというときに、現実に何かを足したり現実の何かを入れ替えたりするのではなく、現実そのものが持っているフィクション性を引き算することでその外に出るというような。もちろん、この作品において引き算されるフィクションとは、家族である。
    家族の愛に飢えていてそれを自分で工夫してなんとかする主人公は、普通なら異常なものとされ、成長の過程で現実の家族と和解するとか、それができなくても新しい家族を見つけて満たされるとかが成功とされる。あるいは、ついに家族愛にめぐりあえなかった不幸ということになる。だが、この話では、家族という欲望自体が「人類」と一緒にフィクションとされて、生命体へと退化することが、最も合理的であるかのような気にさせられてくる。
    あと面白いのは、周りの恋愛が幼く見えるところだろう。彼女の家族欲が真剣すぎるだけに、家族欲にたどりつかず恋に燃える男とか、家族欲なのだろうが熱狂的で地に足がついていない男は、ぴんとこない。彼女の欲望は真剣だから、家族はオナニーのしあいであってはいけないし、持続的なものでなくちゃいけない。この欲求不満に耐えてそれ以外のものを受け容れるためには、彼女は他の人間全てを生命体に還元する必要があった。
    設定こそ突飛で独創的であっても、物語の運びにはやり過ぎ感とか余計な飛躍とかが感じられず、それでもぐいぐい盛り上がって引き込まれる、みたいなところがある。読者を置いていかないようにかなり気が配られているのだろうな。

  • 再読。カゾクオナニーという発想がとてもすき。

  • この世のすべての作品が、とはいいがたいかもしれないけれど、作品の結びに作品のタイトルがひたりと吸いつくことがある。
    主人公はいわゆる「かわいそうな女の子」ではなく、家族も「特別な家」では決してない。人は自分の人生しか歩めないのだから、彼女にとっての日常はそこにしかない。それはこの世に生きる誰もにとって、同じことだ。主人公は生きることに工夫をして、「ふつう」に生きている。ふつうに生き、ふつうに成長をした、彼女のふつうが、どうしても「ふつう」ではいられなかった。わたしは傷ついたのだと嘆くこともしなかった主人公が、ある日なにかを決壊させてしまうまでの、人生を見つめた観察日記のような話だった。

  • んんん~私には分からないやつ。
    これ最後どうおさめるのかなと思ってたらこういうラストね~凡人には理解できなかったです。この人の前読んだのは好きだったのでぼちぼち読んでいくと思う。

  • 家族という生活形態を成しながら絆を持たない親子4人。長女の冷めた視点から形骸化した人間関係を描く。この世の事とは思えない展開なのに一皮むけばどこにでもありそうな話だと思えてきてしまうのが恐ろしい。

  • ネグレクト寸前の母親に育てられ、父親は愛人宅に入りびたりの家庭で、食欲でも性欲でもなく「家族欲」に飢えている主人公の恵奈は「カゾクヨナニー」という独自の精神的自慰方法を編み出す。家族の愛情いっぱい育てられたかのように「脳を騙す」だけでいいのだという彼女の理論は非常に合理的だし、たとえば普通の子供にとってもライナスの毛布的なアイテムはあるし、疑似家族の役割分担をして遊ぶ「おままごと」も、一種のカゾクヨナニーなのかもしれないし、実は無意識に誰しもおこなっていることなのかもと思わされる。だから彼女のしていることはそれほど変だと思わないし、彼女が特別異常だとも思わないし、むしろそれを自覚しているだけ頭の良い子だなと感心してしまった。

    自分はたまたま母親の足の間にある扉からこの世に生まれ出てきてしまっただけ、だから母親に自分を愛することを強要しない、欲しいものは手に入れるのではなく自分で作り出せばいいと割り切る恵奈はとても逞しい。同じ家庭に育っても誰かが愛情を与えてくれるのを待つだけの受け身な弟に私もイライラしてしまった。恵奈の家族ほど荒んではいないし、渚さんほど徹底してはいないけれど、私もとにかく早く家を出たいと思い、二十歳でそれを実行した程度には家族というシステムに希望を見出していなかったから、途中まではとても共感して読んだ。

    終盤、大学生の彼氏が突然気持ち悪くなり(こういうタイプ、ストーカー化しそうで苦手だなあ)、カゾクヨナニーしない家族などないと気づいてしまった恵奈が壊れてからは、正直ちょっと急展開すぎてついていけなかった。なぜか三島の「美しい星」を思い出した。

  • 村田沙耶香ワールド全開、少し精神的におかしそうだけど、正常な方がおかしいのかも…と思わせるような世界観。
    でも、私は家族はいいものだと思う。

  • 母性が少ない母親、あまり帰らない父親、そんな家族を冷めた目で見て早く自分の家族がほしいと思う恵奈、両親の気を引こうと問題を起こす弟の啓太。

    恵奈によって語られる壊れた家族の物語。


    恵奈は小学生の頃から「家族欲」を満たすためにたくさんの工夫をして来て、高校生になってからは彼氏もできて、着々と自分の欲望を満たすために動いてきた。

    彼氏と夏休みの間、同棲したことによって、やっぱり自分の求めているものが手に入らないと気づいてしまう。


    そこからの精神の崩壊がすごかった。

    ラストにかけて渚さんや家族に恵奈が語ったことなんてホラーだしもう狂気しか感じなくて、読んでいて怖かった。

    恵奈の壊れた世界はもう修復されることはないんだろうか。

    母性ってみんなが当たり前にもつものじゃなくて、やっぱり育ってきた環境も重要で、恵奈の母親が十分に愛されてなかったから、こんな状態になってしまったのかなとも思う。

    それは恵奈にもかなりの影響を及ぼしている。

    もちろん恵奈が悪いわけはなく、ただただ恐くて切なかった。
    家族に与えられなかった愛情の代償は大きすぎた。

  • なんでしょう、怖いです。「家族欲」って。少女とその家族を描いていますが、こんな家族あるんか、いや、あるかもな、、、と思わされました。ただ、最後はよくわかりませんでしたが。。。

  • 今作も、変態すぎた。
    想像を遥かに超える展開。
    頭の中を見てみたい。

  • 家族小説の一つですが、これまで読んできたのとちょっと違います。
    子供達に愛情を持てない母親。かといって虐待する訳では無いが子供には無関心。しかし家事は義務としてこなす。父親は家庭を顧みない。そんな家に育った娘・恵奈の物語。
    今の家族に完全に失望した恵奈が行う家族欲を満たすための自慰的空想につけた名前がカゾクヨナニー。早く新たな本当の家庭を作ることを目標に「本当に好きな人」を探す恵奈だが、彼が自分に求めたものがカゾクヨナニーだと分かり。。。
    何だかつらい話です。著者は「家族愛なんて存在しないよ。そんなのまやかしだよ」と言っているようです。でも自分の体験から言ってもそんな事は無いですよね。
    最後は何だか妙なSF的世界に入って行きます。その辺りの違和感も含め、どうも私は村田さんを苦手なようです

  • 母親が「産んだからって、どうして必ず愛さないといけないの?」
    という子供に対する考え方が普通では考えられないです。
    父親は仕事に励んでいるという名目で母親に対してもあまり関心がなく、
    愛情に飢えている子供たちにもあまり目を向けることなく過ごしているのも
    両親共に家庭放棄、育児放棄に近いなと思ってしまいました。
    こんなことだから主人公の恵奈は家族という形にも憧れていたり、
    本当の家族というものや自分の居心地の良い場所などを
    見つけたくなったのかもしれなかと思いました。
    それがカゾクヨナニーという奇妙は行動にもなっていったわけですが。
    これも一見すると奇妙な行動と思ったりしますが、
    形を変えれば自分の居心地の良い場所というのは誰にもあることなので
    理解しようと思えば出来ることだなとも思えました。
    弟も姉に例え的を得たことを言われていても、
    それに動じず反抗をしていたのは
    実は本当の心や弱みを見せたくなかったのではないかと思えました。
    家族という形をこのような視点から見てみるとても不思議で
    改めていったい何なのだろうと考え直してしまいました。

    ラストの方ではSFのようなファンタジーのように
    自分探しの行きついた所が描かれていて意外な展開になり吃驚です。
    「コンビニ人間」の時にもユニークな世界観で驚きましたが、
    こちらはもっとスケールの大きな空間になっているので別世界のようでした。
    所々に少しグロテスクな表現があったりしますが、
    これが村田さんの独特な世界観なので斬新で
    想像力を掻き立てられた作品で面白いなと思いました。

  • 今年は村田沙耶香の一年だなー。
    脳が痺れるわー。

    何からレビューしたら良いのやら、と思うのだけど、私はいわゆる家族ごっこに冷笑的な、どちらかというと渚さん側、恵奈未満な人間である。
    母親が母親らしく、父親が父親らしく、何かの役割を演じさせられているようなのは、見ていて可哀想に思う方だ。
    かといって、システム自身に愛着がないわけではなく、そこに甘えていることを分かってもいる。

    100年くらい前の日本の小説は、きれいに整えられた家族の中で、ひたすら人と人の関係の中でもがき続けていたわけだけど、この小説は整えられた関係に疲れた家族の一人が、システムの外へ、いやむしろ人間以前に還っていく「工夫」を見つける。

    母親が、仕事として家事をこなすこと。
    恵奈が、早く帰らないと、母親が誰もいない自由に味をしめて仕事をしなくなる危険があるから、寄り道をしたくないと考えること。
    二人の女が、家事をビジネスと捉えているのに対し、父親は別の関係へ逃げ、弟は部屋に逃げる。
    そして、母親が「変化」し、ビジネスに愛が組み込まれることを陰から求め続ける。
    二人の男は、家事の顧客でしかない。

    描き方は過激だけど、そこに秘められた言葉の闇に共感してしまう。
    だから、また手を出してしまうんだろうな。

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タダイマトビラ (新潮文庫)の作品紹介

母性に倦んだ母親のもとで育った少女・恵奈は、「カゾクヨナニー」という密やかな行為で、抑えきれない「家族欲」を解消していた。高校に入り、家を逃れて恋人と同棲を始めたが、お互いを家族欲の対象に貶め合う生活は恵奈にはおぞましい。人が帰る所は本当に家族なのだろうか? 「おかえり」の懐かしい声のするドアを求め、人間の想像力の向こう側まで疾走する自分探しの物語。

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