大洋に一粒の卵を求めて: 東大研究船、ウナギ一億年の謎に挑む (新潮文庫)

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著者 : 塚本勝巳
  • 新潮社 (2015年6月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101260068

大洋に一粒の卵を求めて: 東大研究船、ウナギ一億年の謎に挑む (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 2015年(底本2012年)刊。著者は日本大学生物資源科学部教授。

     マリアナ海嶺からフィリピン沖、台湾を経由して列島に回遊する二ホンウナギ。回遊距離3000とも6000㎞ともされる中、産卵海域は僅かに1000㎥と推測され、「卵」は未見の謎の存在であった。
     かような二ホンウナギが絶滅危惧種に指定される中、完全養殖を採算ラインに乗せる観点からも二ホンウナギの産卵場所の特定とその生態環境の確定の重要性が叫ばれている。本書は、長年、研究者としてウナギを追跡してきた著者が卵を発見するまでの過程をドキュメントしたもの。
     群れを作らないウナギが、産卵時だけは非常に近接した海域に集結する。それはおよそ10万匹と推定される。この特定海域への集結行動は、微細な海水の塩分濃度の差と水温に左右され、かつ、それは卵から孵ったばかりの稚魚の食性に適した空間(塩分濃度の違いで各々の海水塊が混じり合わないことから、境界面においてマリンスノー=プランクトンの死骸が密集している)でもある。

     この事実が自然の神秘と微妙な匙加減で左右される危うさを秘めていることを物語っている。◆一方、ウナギの回遊可能性、つまり生命の持続可能性も海洋の性質に左右される。すなわち、地球温暖化の影響に加え、河川の環境激変(汚染のみならず、護岸工事やダム建設)にも影響される魚種でもある。という点で、僅かの人為的な変動が生息数や持続可能性に大きく影響することを解き明かしていく過程は極めてスリリング。かような真摯に探究する研究者の姿勢にも感服させられる。◆①ウナギを食べるのは専門店だけに限ろう、②生息数を回復させ絶滅危惧種から外していくためには、天然ウナギを獲らないこと(少なくとも数年間)、そのための補償や社会的な手当てを施そうという著者の指摘にも、残念ながら頷ける点が多い。◇しかも、ウナギ研究を越えた学者の有り方一般と社会の目線に関し、著者が真摯に訴える示唆にも納得させられる。

  • うなぎの話がなぜか好き。釣り師ということもあるし、地元でうなぎの稚魚を獲っているのも見たことがある、もちろん食べるのも好き。それ以上に、うなぎの卵を探す物語はロマンがあると思う。そのうなぎのロマンの第一人者の語る、うなぎの卵さがし、科学の意味するモノのお話。

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大洋に一粒の卵を求めて: 東大研究船、ウナギ一億年の謎に挑む (新潮文庫)の作品紹介

海で孵化して半年、その後姿をかえて川で十年、再び海へ産卵に戻る不思議な生態のウナギ。何千キロも大洋を回遊するウナギ最大の謎はその産卵場だった。海の塩分濃度、海底山脈の位置、月の満ち欠け。様々な仮説の検討の結果、浮かび上がってきたのは西マリアナ海嶺の南端部の海山域だった。広大な海で直径1.6ミリの卵を探しあてた世紀の大発見の軌跡。「世界で一番詳しい ウナギの話」改題。

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