さいごの色街 飛田 (新潮文庫)

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著者 : 井上理津子
  • 新潮社 (2015年1月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (493ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101263915

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さいごの色街 飛田 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 御堂筋線「動物園前」駅のごく近くに存在する飛田新地について著者がその関係者からの聞き取りをメインに綴ったノンフィクション。
    ネットの書評ではかなり酷評されているケースが目につきますが、私はそれほど嫌な印象は受けませんでした。そもそも正式な広報窓口があるわけでもなく、そこで営まれている活動が法律に抵触するかどうか際どいたぐいである事を考えれば、一人のフリーのライターさんがここまで情報を聞き出して一冊の本に仕上げたというだけでも称賛ものではないかと思います。
    読む前は本書が扱う題材が題材だけに暗く、重い雰囲気の本かと思いました。しかし、著者の突撃ルポ的な部分も多く、次々とアイデアを出して取材を進める様子には「そこまでするか」と感心させられますし、そこに登場する関係者の方が話す言葉が当然のことながらコテコテの大阪弁であることがちょっと明るい目のバイアスになって、読むのが辛くならない一面もあったように感じます。
    決して「風俗店の裏側の暴露本」といったような薄っぺらい内容ではなくて、真面目にそこで生きている人達の人間模様を描いている本だと感じます。

  • 2000年から2011年にわたる取材によるルポルタージュ。
    飛田の経営者、働く女たち、お客、警察などに取材したきわめて真面目な記録。
    女性であるが故、大変な取材だったと思う。
    ただ出版までが長すぎた。
    飛田の様子は動画、写真がネットで見られるようになり、体験談も多数。元経営者の本も出版され (杉坂圭介「飛田で生きる」「飛田の子」)、しかもこれが面白い。
    新鮮味がなくなってしまった。

  • この本に出会って初めて飛田のことを知った。最初手に取ったときは 昔の話なんだと思ったのに 実は現在もあるってわかってほんとにびっくり。表紙の写真も いつの時代?って感じで まるで時代劇の遊郭だし。
    お部屋は昭和初期って様相だし。
    長い時間をかけて丁寧に取材しているので 読みごたえあり。内容も驚くことばかり。
    1番衝撃受けたのは やっぱりトイレの描写。
    いつの時代だよー。シャワーつけようよ。
    場所がないなら せめてビデつけようよ。
    あり得ない。そこで働いてる若い子たちが それを受け入れてるって信じられないんですけど…。

  • 最初はらちが明かないルポという感じだったけど、少しづつ面白い話が出てくる。
    ある程度こういう世界の裏側のことがわかったけど、まだ表面的な感じもする。
    いろんな世界。こういう街。

  • 渾身のルポ。といっていいと思う。
    エロ系ドキュメンタリーかと思って読んだら違った。
    いわゆる底辺の色街の話。流れ着いた女の子たち、経営者、組合員たちの街への愛憎が切ない。
    それにしても体当たりの取材がすごい。400枚の手製のビラまきだの、ヤクザに一人で乗り込んでいくだの、「もしやられそうになったら私がやるから」っていって友人に協力してもらうだの。何もないところから、海千山千の組合員の信頼をよく勝ち取っていったなあと思う。

    関係ないが、「売る女」「仲介人」の気持ちは、いわゆる従軍慰安婦の気持ちを理解する手がかりにもなると思った。明治期以降、東北などの田舎から売られてくる女の子たちの話は哀しい。
    進歩的な女性が売春防止法を成立させようとするが、なくなって一番困るのは女性、という図式とかね。
    ソープランドやヘルスより、このほうが男女とも手間いらずでいいんじゃないの?って思ったり。

    街の歴史とともに、女性の意識変化、貧困の連鎖など社会的なことも考えさせられる作品だった。


    そして、解説桜木紫乃か!で笑う。すごく好きそうだもんなあ。井上さんと感性が似ている気もする。ふたりの会話を、ファミレスの後ろの席で聞いていたい。
    桜木さん、いつか、ここを舞台にした、したたかな女の小説書いてください。

  • 非合法地帯をテーマにしているにも関わらず、そこに暮らす人々の息遣いが聞こえ、人生の深淵を覗くようなルポルタージュだった。女性ルポライターが飛び込み取材を行うのは厳しいテーマであり、様々な抵抗があった事が読み取れる。

    タイトルに『さいごの色街…』とあるように古き日本を知る事の出来る色街は次第に喪われつつあるのだろう。明らかに非合法であるのだが、何故か消えて欲しくないように思えたのは、著者の真摯な姿勢のためだろうか。

    文庫化に当たり、ボリュームのある文庫版あとがきを収録。解説は、作家の桜木紫乃。鋭い視点で、果敢に斬り込んだ桜木紫乃の解説も秀逸。

  • 1955年奈良市生まれ、人物ルポや旅、酒場をテーマに執筆されてる井上理津子さん、今回は「さいごの色街 飛田」、2015.2発行です。2000年から2011年まで12年間にわたる取材をもとにした力作です。女性の取材、なかなか難しいと言いますか、実態に迫るのは難儀だったと思います。昔の遊郭のような雰囲気、今の日本に江戸時代が。飛田は1918年(大正7年)から歴史を刻んでいるそうです。700m北には「新世界」、300m西には西成署。飛田は売春防止法の前も後も、「素人」の女性と一期一会の「恋愛」をする場所」だとw

  • 『色々試してみたら“飛田の人びと”と知り合うことができました』というタイトルに変えた方がよいのでは。

    書店で『なぜ木村政彦は〜』と並び平積みされていた本書。
    “飛田のことを詳しく知りたい”“アンダーグラウンドな世界にどっぷり浸りたい”といった好奇心に応えるものではなかった。

    “古くからの売春市場”として広く認知されながらもある種ベールをまとったこの街に対して、あくまでエロを忌避して見ようとする作者の態度が、結果として“対象”を見失っている。
    そのアプローチは、まさに袖擦れ合う程度のエピソードにしか辿り着けず、中学生が書くエロ小説のように、新住民が書く村史のように、浅はか。
    目当てのものに手が届かずに、結局“街の風景”をいくつか取り上げて“フツーの街”に仕立て上げる。本末転倒ではないか。

  • 一人の女性ルポライターの、大きなタブーに取り組む愚直なまでの一途な姿勢に、どんなに困難に思える仕事でも、コツコツ粘っていけば成果に繋がるよ!と、勇気づけられる一冊。

    もう15年以上前のことだけど、ある仕事で同僚とあの町に足を踏み入れたことがある。ほかの女性も同様だと思うけど、今の時代の日本にこんな街があったのかと、ただショックを受けた。

    もちろん著者のように、あの街並みをひとりで歩き取材をすすめる勇気なんて、私にはどこをさがしても無い。

    私的には、女性著者のルポものとしては、家田荘子さんの『私を抱いてそしてキスして』と、がが~んと双璧になりました。

  • 今から25年ぐらい前になるかな?飛田の「鯛よし百番」で会社の飲み会があった。そのときに初めて飛田というところを知り、見てタイムスリップしたような感覚を味わった。正直、ビックリした。

    女性のフリーライターが12年という歳月をかけて取材したルポルタージュ。飛田新地の歴史やそこで働く人々への取材。こういう世界もあるのだと知っただけ。だからどうかと感想を聞かれても、うーん、答えようがないなあ。

  • 2017.1.15 5
    飛田の街について知れた。

  • 正直、助平心もあって手に取った本。でも女性作家によるものだから、当然視線は自分とは違う。より第三者的見方が出来るというか、働く女性よりも街そのものに対する関心が前面に出てるというか。そこに生きる人たちを通してかの街の栄枯盛衰が綴られ、そのさまがよりリアルに見えてくる。

  • アマゾンレビューで結構、酷評されているが、それも分かる気がする。一番疑問なのが、この本を書くに当たっての著書の動機がなんなのか、だろう。足かけ10年もの月日をかけて、しぶとく取材し続けたことを考えると確固たる動機があったと思うんだが、それは意図的なのか書かれていない。そこも含めてノンフィクション好きは、ふざけんなって思いたくなる部分が多々あるんだろう。ただ、ノンフィクションライターではなく、1人の中年女性が等身大の目線で描いたと考えると、それは他のノンフィクションにない魅力なのかもしれない。そして、等身大の記述でありながらこの本をこの本たらしめているのは、10年間と足で稼いだ経験の数々だろう。面白く読めるが、憤りも感じる不思議なノンフィクション。

  • 昔ネットで飛田の動画を見たことがあるような。
    異様な雰囲気で、おばちゃんとおねえさんがいる店先を眺めた記憶がある。

    読んでみると、なんだか事件のルポタージュを読んでいるような、若干くらーい気持ちになった。そりゃこんな所だもの。住んでいる人も働いている人もそれなりの事情があるよね。

    言い方は悪いけれど「日本の最下層の人々」という気がする。なんとなく、今時満足に教育も受けていないところとか。

    私が男だったら、一度は行ってみたいと思うんだろうか。でも本書のあとがきに書かれているとおり、やめておいたほうがいいんだろうな。

    というか、こういうの書く人って大変ですね。
    女性なのに危険な目にも合って。私には無理だぁ。

  • 読み始めたときは、あまりのピュアさに首をかしげた。この年齢、この経歴で、このアプローチってイタいなあって思った。読み進めても読み進めても、新たな事実はわかってこず、表面的な取材の様子ばかりが記される。謎が解けていったり、大きなドラマの展開もない。退屈に感じ、途中で読むのを止めようかと思った。
    しかし、最後の最後まで読んで良かった。井上さんは一貫して、めげない。好奇心を絶やさず、テーマに対して、怯まずにまっすぐ、向かい続ける。その姿勢に胸を打たれた。そう感じたのは、文章の尺や取材期間の長さゆえだろう。
    内容的にはもっと絞れるとは思うが、それだと書き手のキャラがこの本に関しては伝わってこないだろう。

    このしつこさ、ちょっと真似できない。

  • 大阪の飛田新地について書かれた本。
    一気に読みました。
    外からは伺えない内部のことを、描いています。ただ、重たい経歴を持った人たちの話しではあるので、どこか気が滅入ります。

  • なかなかない本。対象もだし、著者の目線が好き。
    井上さんの本をもっと読みたいと思います。

  • 知りたい事が書いてありました。無くなる前には街を見に行こうと思います。観光にね。

  • 大阪にいた頃から聞いたことのあった飛田。独特の雰囲気で、怪しげで、見てはいけないものを見るような、そんな雰囲気。飛田の深い闇を、まのあたりにするような感覚。闇金ウシジマくんの世界のような。読み終わった後、自分の中でなんの答えも出ないけど、日本人として、知っておかなければならない事実だと思った。

  • 今月から大阪へ単身赴任となり、38年振りに関西での生活となった。中学生の頃には、飛田のある動物園前は、物騒な場所だから行かないほうがよい、というのが同年代の常識であり、誰かが行ったという話は聞いたことがなかった。勿論、この歳で色街や新地を知らないとは云わないけれど、飛田は行ったことがない。
    ノンフィクションとしては、綿密な調査、苦労を重ねた取材などで読み応えのある内容だと思うが、女性の視点と男性の視点とではかなり違いがあるものだなと思わざるを得なかった。男であればもっと違う部分を掘り下げるだろうな、という部分も多く、良い悪いというより、不完全燃焼という感じだった。
    しかし、文庫版あとがきは秀逸。単なる一過性の取材で終わらせていないところが素晴らしいと思った。

  • 大阪にある飛田新地。男性なら多くが知っている場所であり、そしてDEEPかつたやすい気持ちでは行けない場所。
    女性の筆者がその場所に入り、いろいろな人のインタビューからこの飛田新地という場所について、そこに生活する人たちの声をインタビューしたもの。
    当然そこで働く姫達の事も書かれている。ちょうど読んでいる最中に千葉でホスト通いが原因と言われている殺人事件なども有り、本の中の女性と重なる。
    なぜ飛田新地が存在し、必要とされ、そこで働く人がいるのか色々感がさせられる作品でした。

  • 長年の謎だった飛田のことを垣間見させてくれた本。臨場感のある文章に、実際に自分がその場を見てきたかのような気分にさせられる。時折、女性である著者の本音が織り交ぜられ、飛田礼賛な内容にはなっていない。読み応えがあった。

  • 単行本出た時から気にはなりつつタイミング外して文庫待ち。しかし何で筑摩単行本→新潮文庫なの?新潮文庫のスピンはいつからはんきゅマルーンっぼい色から金になったの?と読む前から?連発。
    で、中身。情に流されるところと冷静な記述、取材した自分の主観・感情と事実の羅列、なかなか微妙なバランス。女性ライターやからもっと情に寄りがちかと、って言い方は良くないんだろうけど、文章の湿度みたいなものも上手く使い分けてるよなぁ。
    ただ、難しいのはこれを読んだら一度覗いてみたくなるわけで、それを後書きで「客としてでなければ行ってほしくない」とは書いてるものの、この「ただ行ってみたい、そういうことイタしたい訳ではなく」って感情はある意味このルポを追体験したい、みたいな話で、売れれば売れるほど著者が望まない方向に事態が流れるという逆説。

  • 読み応えがあって面白かった。

    「飛田」という街の存在は知っていたし、友人の行ったことがあるという話も聞いたことはあったけど、ここまで特殊な世界だとは…

    こういう全く知らなかった世界のことを知るのは刺激的。

    それにしてもアンタッチャブルな世界のことを本として出版にまでこぎつけて、さらに文庫本にまでしてしまったというのが驚き。心配になる。そのおかげでこうして読めたわけだけれども…
    インターネット全盛の現代だからこそ、実現できたのかなぁ。
    今の時代、アンタッチャブルな世界だとしても隠し続けるというのは無理なのかもなぁ。

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さいごの色街 飛田 (新潮文庫)の作品紹介

「おにいちゃん、遊んでいってや」客引きのおばちゃんの手招きで、男が一人、また一人と店に上がる。大阪に今なお存在する「色街」飛田。経営者、働く女たち、客、警察、ヤクザらの生の声に耳を傾け、「中」へと入り込んだ著者が見たものは、人間の性むき出しの街で懸命に生きる人々の姿だった。十二年にわたる取材により、一筋縄ではいかないこの街を活写したルポルタージュの傑作。

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