九月の四分の一 (新潮文庫)

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著者 : 大崎善生
  • 新潮社 (2006年2月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101265711

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九月の四分の一 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 解説を石田衣良さんが書いてるんですけど、一言一句本当にその通りだと思います。
    「報われざるエリシオのために」という一編を取り上げて、石田さんは「タイトルからして端正」とか「ぼくもこんなタイトルで小説を書いてみたい」とおっしゃってますけど、本当にこのタイトルは良い。
    私は表題作の「九月の四分の一」というタイトルも素敵すぎだと思います。

    ・「報われざるエリシオのために」
    タイトルはある実在する彫刻につけられた題であり、同時に古い民話のタイトルでもあります。
    ひたすら穴を掘っては埋めてという作業を意味もなく一生繰り返して死んだエリシオという人物の民話ですが、
    時間を掛けて掘った穴を自分の手で埋めさせるという行為は世界一残酷な拷問の一つで、これを何回かやられると人間は発狂して死ぬと聞いたことがあります。
    姿を消した頼子は、人生は一歩間違えば拷問だとでも思っていたのでしょうか。


    ・ケンジントンに捧げる花束
    冥王星が発見されていなかった頃と、発見された後という描写があちこちに見られました。
    つい先日ニューホライズンズが冥王星に最接近したニュースがありましたが、冥王星はあるにもかかわらず現在は惑星から外されてしまっています。
    この話は惑星から外されるよりギリギリ前に書かれたようですが、今なら主人公は何を思うのかなぁ。
    あと、話中に出てきた、動物園の通貨がぺリカンやらキリンだったという話は本当の話なのでしょうか? ググってもソースが見つからなかったのですが、面白いなーと思いました。


    ・悲しくて翼もなくて
    前ばかり見て生きていても、一度は真剣に過去を振り返り整理する必要がある。主人公にとってはその人生の整理をすべき年が43歳だったと書いてあります。
    私は43歳よりもう少し若いですが、もしかして今それをしているのかも。
    解説で石田衣良さんはこれを「青春期の喪失と終焉」と言っていますけど、これは最近私が良く考えるテーマの一つでもあります。
    これをしないと時々前に進めなくなってしまうんです。
    主人公は真美と音楽に対する気持ちを整理することでこれに替え、歌は遥か未来に飛んで行ける翼だと実感したのでしょうか。


    ・九月の四分の一
    冒頭でも書いたけどタイトルがいい。
    話の中でキーワードになるのはサルトルが提唱した「存在」と「実存」。
    消しゴムなど、あらかじめ機能を想定して作られたものが「存在」。
    予期すべき機能も設計図も持ち合わせていない存在、例えば人間などは「実存」。
    恋心はもちろん後者の「実存」。
    そして主人公は小説を設計図ありきの「存在」と位置付けていた時は一作も書けず、「実存」だと認識して書けるようになる。
    存在と実存に絡んでくる「できたばかりの綿菓子のような自由」。
    少し哲学的な部分が多かったけれども、「実存」に気付いた主人公だからこそ、九月四日駅に辿りつけたんだと思いました。

  • 題名も中身も美しい。石田衣良の書評では「美声」とされているが、まさにそんな感じ。文体とは違う、底を流れる静けさがあるように感じた。

  • 文章が綺麗で読みやすい。好きです。

  • 引っ越しをするので、本棚にあった再読し、整理しようと思っていた本を引っ張り出して読む。
    学生の時によく感じていた、寂寥感をまた感じ思い出し、懐かしく嬉しい気持ちになる。殆ど意義を見いだせなかった学生時代も、また本などを読むことで、感じることができる位には足掻いていたのかと思うと、無為に思えていた時間も少し救われる気分になる。
    この本はもう少し、この本棚にとっておこう。

  • 文章が綺麗。
    ストーリーはありきたりだけど。
    こんな大人ばかりなら、どんなにか世界は平和なことだろう。
    ほとんどファンタジーかと思うほどピュアすぎる。

  • キリン通貨、下落してないの?




    大崎善生はこういうさらっとした話の方がすきだな
    人が死なないやつ。

    先にドイツイエロー読んじゃったよ

  • この本を読んで流れる涙は、きれいな感情からやってきたものであってほしい。

  • 「もう、終わり?」
    「うん。もう終わり」
    「助かった」

    「危なかった」
    「本当に危なかったね」

  • 大崎さんの作品の中でも個人的に手元に置きたい作品

  • レッド・ツェッペリンに興味を持った切っ掛けの本。綺麗な文章と、危うさのある登場人物たち。時に共感してみたり。

  • 心の根源に、説明することも飼いならす事もできない悲しみの塊がある……。
    故郷の湖のほとりで、1億年前に死んでいった恐竜に向かって悲しく雄々しく叫んだ少女。
    彼女の残した1曲のバラードに今も耳を澄まし続け、青春の幻影を追う40歳を過ぎた男性。
    ヨーロッパの物憂い空のような空気感に満ちた、しかし鮮明な言葉で綴られる、過ぎ去った若い日の切なく美しい出会いと別れ。
    そして新しい人生への旅立ち。

    ビートルズ、ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリン、そしてアバ。
    60~70年代を代表するロックグループのナンバーをバックに綴られる4つの物語。

  • 大崎善生氏らしさのつまった4編の短編集。

  • 相変わらず綺麗な文章。
    短編集です。

    全ての通貨としてキリンを基盤として
    動物は流通されているという
    動物園で過ごした時間の中での二人の冗談話があり
    終盤にでた
    「あたしはあなたにとっての何キリン?」
    という質問があんまりにもかっこよくて。

  • どれもハッピィじゃないんだけど
    あったかい空気。

    先週箱根に行って
    登山電車に乗ってきたこともあり
    (電車楽しかった!)
    景色が浮かんでとても満足。

  • ケンジントンに花束を
    九月の四分の一

  • テーマとなる曲を聴いてもう一度読み直したい。ドイツイエローとの繋がりもあって、両者の立場を味わえることができる

  • 「報われざるエリシオのために」「ケンジントンに捧げる花束」「悲しくて翼もなくて」「九月の四分の一」の4編からなる男性視点でかかれた恋愛短編集。
    どのタイトルも美しく、大崎さん「声」の美しさと恋愛の何ともいえない男女のミリ単位のズレの切なさが深い余韻を残してくれる。

  • 短編

    物心ついたころから小説家になろうと志、ずっと丹念にトレーニングをつんできた。
    いざ原稿用紙を前に書こうとしたけれど、小説はおろか文章すらも、書きたいという強い欲求さえも失っていた。

    前を見失って、むかったパリで出会った奈緒に芽生えた感情。

    個人的には、悲しくて翼もなくてが、題名も内容もまあいいかな、と。

    北海道出身/東京上京/ビール/年の離れた妻/小説家/出版社での校正/飲み歩いた新宿/通う意味を失った大学/パリ/編集者/


    著者の話に必ず出てくる設定や小物?に、ちょっと飽きてきた今日この頃)^o^(泣

  • 40歳ぐらいの男性が過去と語り合う短編集。
    大崎氏らしい静謐な作品ですが、情景描写がやや過剰であり、心理描写は感傷的すぎる印象。
    熱帯魚のシリーズの方が好きです。

  • 大崎善生の透明感のある世界。この方の小説、本当に好き。
    読んでいる間ずっと切ないのに、苦しいほどなのに、読了後はそれを引きずらないのは、表現が聡明だからだ。

  • 人の美しい部分だけを取り出した本。

    なごやかでなんとなく分かるのだけど、物足りない感じ。綺麗ごとっぽい作り。将棋関係の作品はあれ程登場人物の肉声や情熱を感じるのに・・・?

  • 大崎善生の情景の描写、この透明感が好き。言葉がストレートに響いてきて、読みながら泣けてくる。

  • この作品の登場人物が幸せになってくれると良いと願う。

  • 九月の四分の一

    大好きな作家、大崎善生さんの、4つの作品を含む短編集。

    いやーいつも思うけどこの人の作品は読んだ後も、読んでいる最中も考えさせられるし、
    話が、そして作中に出てくる挿話がすごい印象深く、
    読んでよかったと思う


    四作品とも、裏表紙に書いてある通り、喪失と再生を軸として物語が進んでいく感じ

    んで全て『存在』について触れている
    この人はどんだけ存在と死について考えたんだろね

    個人的には「悲しくて翼もなくて」、「九月の四分の一」が心に残った

    九月の四分の一の本当の意味に気づくのは最後の方
    とても素敵な話

    実存主義的な恋が本当の恋なのかなーってちょっと思った


    レッド・ツェッペリンを意識して聞いたことはなかったけど、
    読んでいる最中は聴きたくて聴きたくてしょうがなかったー

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