ひらいて (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101266510

作品紹介・あらすじ

華やかでモテる女子高生・愛が惹かれた相手は、哀しい眼をした地味男子。自分だけが彼の魅力に気づいているはずだったのに、手紙をやりとりする女の子がいたなんて。思い通りにならない恋にもがく愛は、予想外の行動に走る――。身勝手にあたりをなぎ倒し、傷つけ、そして傷ついて。芥川賞受賞作『蹴りたい背中』以来、著者が久しぶりに高校生の青春と恋愛を瑞々しく描いた傑作小説。

感想・レビュー・書評

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  • 『存在するだけで私の胸を苦しくさせる人間が、この教室にいる』

    『私の胸を苦しくさせる』という『恋』の感情。目を合わせるでもなく、話をするでもなく、何の関わりも持たないにも関わらず、同じ部屋にいて、同じ空気を吸って、そして同じ時間を過ごしている、たったそれだけのことで、ある人がある人の感情を大きく揺さぶっていくというひたむきな感情、それが『恋』。『さりげないしぐさで、まなざしだけで、彼は私を完全に支配する』というすっかり心を囚われてしまう瞬間。『なんの気なしを装って、遠くの席の彼に視線を送るが、心臓の鼓動が急に勢いを増し、連動して喉がひくつく』という瞬間。それは、『まるで、同じ教室に彼が存在したのを、たった今知ったみたいに』と、もう彼のこと以外は考えられないというそんな瞬間。積極果敢にアプローチを仕掛ける人、慎重にその時が来るのをじっと待つ人、そしてどうしたらよいのか分からなくなり、恋していることに恋している状態になってしまったという人など、人によって『恋』の形は異なります。子供時代に別れを告げる準備をしながら、一方で大人の世界を間近に垣間見る高校時代。あなたにもきっとあったそんな『恋』する時間の物語。切なくて狂おしい感情に支配されるそんな『恋』の物語。『胸が苦しい』と感じる一人の高校生の『恋』の感情が狂気に変わっていくこの作品。それは自分でも止められない、もう誰にも止められない、そんな戦慄の『恋』の物語です。

    二年前に『雨天決行、小雨の降るなか』行われた『高校一年生の体育祭のパレード』のことを思い出す主人公の木村愛。『この日のために準備した仮装衣装は濡れ、各クラスの仮装のテーマを書いたプラカードのインクも、雨で流れて読めなかった』という悲惨な状況。『雨のなかのパレードなんて、もり上がらないよね』と愚痴を言い合う生徒たち。『うちのクラスの題目はピーターパン』で『五人いるティンカーベルのうちの一人だった』という愛。『コスプレに興味はないけれど、物語上の、自分とは違うキャラクターになるのは心が浮き立った』という心持ち。そんな時『パレードの開始時刻が来て、生徒たちが次々とクラスごとに学校の校門から出発』します。『友達としゃべるのに夢中』だった愛は自分は四組なのに『五組に一緒に歩いて行きそう』になります。そんな瞬間『待って』と『横から伸びてきた手が、…私の素肌の肩を押さえ』ます。『彼だった』と思う愛。『やめてよと手を払いのけそうになったけど、でもどうしてもできなかった』という愛。『つぎ、五組!』という先生の号令に反応して『彼の手はすっと引っ込んだ』という展開に『変な人』と思った愛。『あのときまだ、心は苦しくなかった』というその時の愛。そんな愛は、気づいたら『いつからだろう。授業中、ひまさえあれば彼を見るようになったのは』と思う日々を送っていました。『図体の大きい彼が小さなシャープペンシルを握って』いる姿、『ノートになにか書きこんでいる姿を見る』だけで『胸の奥がきしんだ』愛。彼が『風邪を引』いて咳をする『音が教室の隅の席から聞こえてくると、耳をそばだてて、次の咳を待ちわびた』愛。『彼の存在を濃く感じられる』瞬間に幸せを感じる愛。しかし、『私は今、いらだっている』と感じている愛。『私がこんなにかき乱されているのに、彼は私にはほんの少しの関心も寄せない』という現実。『三年生になってから、何度か話しかけようと試みたけど、未だにろくに挨拶さえ交わせていない』と嘆く愛。そんな愛の彼に対する悶え苦しむような狂気の『恋』の物語が描かれていきます。

    『説明的な文章じゃなくて、詩だとかイメージのような文章をたくさん入れたかった』と語る綿矢さんの意欲溢れるこの作品は、もう最初から最後まで、美しい表現が次から次に登場します。まずは冒頭。綿矢さんの作品の冒頭というと「蹴りたい背中」の『さびしさは、鳴る』という圧巻の表現が思い出されますが、この作品も絶妙です。『彼の瞳。凝縮された悲しみが、目の奥で結晶化されて、微笑むときでさえ宿っている。本人は気づいていない。光の散る笑み、静かに降る雨、庇の薄暗い影』。「蹴りたい」のような一言で読者を唸らせるようなインパクトはありませんが、まるで詩を読みはじめたのかと錯覚してしまうようなうっとりとする表現が読者にこの先に描かれる美しい描写に彩られた作品世界を予感させます。また、読み進めると、卵を使った面白い比喩表現も登場します。ある一線を越えてしまったことに戸惑う愛。自分で招いた事態にも関わらず、どうしたらよいのか分からなくてなってしまった愛。そんな感情をこのように表現します。『卵の黄身だったころにもどりたい。固い殻に守られて卵白の中央に浮かんでいた、幸福な黄色だったころに。それが無理なら、いますぐ灰になって、土にばらまかれて、緑あふれる森へ帰りたい』。まさかの卵の黄身を比喩的に使ったこの表現。短い文章の中に四色の色も使ってその感情を視覚的にも見せていく絶妙な表現だと思います。そして、最後にもう一つ。これはどう考えても一つの詩を読んでいるとしか思えなかったのが次の表現です。あらすじにある通り、惹かれてやまない彼に『手紙をやりとりする女の子がいた』ことを知った愛の自暴自棄な行動の後に訪れた数学のテストの時間。『私の将来は、いったいどうなるんだろう』と一問も解けない答案を見ながらその想いをこんな風に綴ります。
    『愛は、唾棄すべきもの。踏みつけて、にじるもの。ぬれた使い古しの雑巾を嗅ぐように、恐る恐る顔を近づけるもの。…。
    恋は、とがった赤い舌の先、おもいきり掴む茨の葉、野草でこしらえた王冠、頭を垂れたうす緑色の発芽。…。
    私は、乾いた血の飛沫、ひび割れた石鹸。ガスとチリの厚い層に覆われた惑星』。
    …というこの一節。抜粋という形で紹介させていただきましたが、体言止めで美しくリズムを刻んでいく、これはまさに詩そのものだと思います。そして、自分のことをこんな風に表現せざるを得ない打ちひしがれた愛の苦しい胸の内がひしひしと伝わってきます。また、この詩の『愛』は、主人公・『愛』を暗に絡めた表現であることもこの詩全体に奥行きを感じさせてくれます。このように作品全体に渡って見事なまでに圧巻の文章表現が多数登場し、そんな表現を、あたかも詩を読むかの感覚で読んでいけることが、この作品の最大の魅力ではないか、それこそが『やりたくてできなかったことをやったという感じ』という綿矢さんの狙い。その達成感が、読者に圧倒的な感動を与えてくれるのだと感じました。

    この作品は主人公の『愛』という名前そのままに、『愛』がテーマになっている作品でもあります。そんな『愛』は、決して真っ直ぐではなく、色んな方向に曲がって、捻れて、そして折れていきます。そんな中でも愛が想いを募らせる彼=”たとえ”に対する『恋』の感情は、その絶妙な表現もあってこの作品の最大の魅力になっています。『どんなものでも丁寧に扱う、彼のゆったりした手の所作。付き合う人も、あんな風に大切に扱うのだろうか』、と手の動き一つにも心を囚われる愛。でも、そんな愛の気持ちに全く気づく気配のない彼。『なんとかして、たとえと接点を持ちたい』と思うも『自然に話しかけようとすればするほどチャンスは無く、同じクラスで毎日会うのに、どんどん遠い存在に思えてくる』と彼に近づけない愛。『共通の友達もいなければ共通の話題もない』という現実を嘆く愛。そして偶然にも彼と話すことが出来た愛は『後ろ姿を見上げていると甘くて淡い、ほのかな酸味の桜色のお酒が、泡をしゅわしゅわ立てて胸に満ちていく』と感じます。『何気ない会話のやりとりでこんなに幸せな気持ちになるなんて、生まれて初めてかもしれない』とさえ感じる愛。また、『たとえに初めて、真正面から見つめられた。濃密な時間が流れて、幸福がまったりとした蜂蜜になって教室に流れ込む』という彼と初めて関わりを持てた時の表現は、まさかの『蜂蜜』を比喩的に用いる絶妙な表現で読者の気持ちをも盛り上げていきます。『ほぼ本人になりきって書けた』と語る綿矢さん。第三者的に描かれた存在ではなく、作者の綿矢さんが主人公の愛になりきって、その素直な心の叫びをきちんと描きとったからこそ、この狂おしい物語は生まれたのだと思いました。

    そんな物語は、愛の密かな恋心を描き出した後、愛に何かが乗り移ったかのように弾けていきます。それは、人によっては狂気にも感じる物語。そして、勢いのついた物語は、どんどんスピードを上げ疾走感のある物語へと変わっていきます。止まらない、もう誰にも止められないその圧倒的なスピードを感じる物語は、その頂点で突き抜けるように弾けて幕を下ろします。『最初は主人公を自殺させる』結末を考えたという綿矢さん。最終的に選んだ結末は、そう、圧倒的な突き抜け感のある物語でした。

    うっとりとするような美しい日本語の表現の数々に魅せられ、繊細な心の描写に胸を締め付けられ、そして、読者の心をどんどん昂ぶらせていく疾走感に溢れたこの作品。それは、そこに綿矢さんの”天才”をこれでもか!と感じる絶品でもありました!

    綿矢さん、この作品、凄いです!

  • 「彼とまた会う機会ができれば、私はきっと、文字通り飛んで行く。心と同じスピードで走れたら、どんなに気持ち良いだろう。」
    「こんな気持ち、恋とも愛とも呼んではいけない。彼を刺し貫く思いの矢だ。」
    激情を胸に秘めた木村愛は地味系男子西村たとえに恋をする。激情にかられるままにまっすぐ突っ走っていく愛に時間を忘れて読み進めてしまった。
    夜の学校に忍び込むドキドキ感。美雪への嫉妬からの行動。あちらこちら薙ぎ払っていくかのようで目を奪われる。
    青春ならではのスリルに満ちていて面白いと思った。
    スリルの果てにあるものは?!と読み進めるうち読了。
    綿矢さんは「蹴りたい背中」からさらに進化していた。濃密で、切なくて、激しい青春が縦横無尽に展開されていた。このところ時間がなかっただけに久々に満足行く読書ができた。

    やはり秋は読書に限りますね。としみじみ思いました。

  • 冒頭から、綿矢さんの圧倒的な文章にノックアウトです。
    「存在するだけで私の胸を苦しくさせる人間が、この教室にいる。さりげないしぐさで、まなざしだけで、彼は私を完全に支配する」
    高校生の恋を描いたこの物語。激しい心の動きは狂気にも思える。
    まるで詞のような美しい言葉で、人間の内面の狂気を表現していく。
    主人公の疾走する気持ちや行動と共に、あっという間に読了。
    読んでいて胸が激しく揺さぶられ、呼吸が苦しく、切ない。

  • ひゃ〜〜 こっわ........ 『勝手にふるえてろ』の2年後の作品かな。『勝手に~ のヒロインも危うい子だったけれど、こちらの 愛ちゃんは もっと危ない..... というか なまじ頭がよくて たぶんルックスも良く 世の中ラクに泳げる奴が勝ち みたいな薄いメンタルなんだよね。
    男の子だって イロで落とせば簡単に手に入るもんだと。

    その子が変わった名前の同級生 たとえ にハマってしまった。そのあたりの自分を掴みきれないような心理描写は さすが上手いです。トキメキだよね。
    そこから たとえの彼女 美雪も絡んで ぐちゃぐちゃドロドロになっていくところが 怖いというか意味わからんというか ココまで価値観が噛み合わなきゃ 普通気づくだろう?っていうくらいドロドロ。
    たかが高校生なのに!

    一般的な恋愛小説なら 彼らをとりまく人々や生い立ち 周りの人々も書き込むことで それぞれの心理を見せていくのだろうけれど、その辺の情報は極端に少ないのが、ああ、綿谷さーん!
    そのかわり(?)に 生々しい身体性を材料にして描いている。 美少女同士のカラミは出てくるわ 全裸で迫るわ....... いいの?映画化?
    たとえ はジャニーズなんでしょう?

    『ひらいて』というタイトルだけれど その前に開くべき自分の”心”そのものに関心を向けないと 開けたけど スカスカでした、になっちゃいそう。

    怖いし変だけれど 青春の失敗を 手ひどく あまりに鮮やかに描き出した作品でした。こっわ..........

  • ──心を「ひらいて」、からだを「ひらいて」
    過剰なまでの自意識と欲望は、いつか無意識という名に変わる。

    註:新潮5月号でこの作品を読んでのレビューです。

    「ひらいて」というタイトルを聞いたとき、ふと官能的な響きに聞こえたのは何故だろう。
    自分でも不思議だ。ぼんやりと淫靡なイメージが頭に浮かんだのだ。
    綿矢りさの小説だというのに……。

    それにしても、やはり綿矢りさはすごい。

    自意識の塊のような女子高生が、同級生の男の子に寄せる秘かな思い。
    思い描くことは、ある意味ハチャメチャで、自分勝手な妄想世界だけでの苦しみと、それとは真逆な破天荒さが入り混じった意識の塊が肉体を作り上げているような主人公。
    その意識の表現が素晴らしい。まさに綿矢節である。
    言葉の一つ一つに無駄がない。心に染み渡ってくる。
    かと思えば、思わず爆笑したくなるような表現が突然出現。
    本当にこの人の頭の中はどうなっているのだろう、一度脳みその中を覗いてみたいものだ。
    そのうえこの作品は意識だけではなく、主人公の行動までもが驚くべき方向へ向かう。
    「蹴りたい背中」では行動にまで及ばなかったが、この作品は違う。もっと進化した意識。
    片思いの男に振られた腹いせに、その彼女と……。
    ──かかってきなさい、気分は博打女郎だ。
    という表現は彼女の何の作品だったろうか。
    まさに怖いものなし。
    綿矢りさ、長年の苦しみを乗り越えて、書きたいように書いた作品だと思う。

    途中で「まさかねえ……」と読み進めたら、そのまままっしぐらに突き進んで行った主人公の行動には驚いたが、それもとりたてて小説の流れとしては不自然ではない。
    合間合間に挟みこまれた独特の表現やたくみな比喩も相変わらずだし、シリアスな場面であるにもかかわらず、時として吹き出しそうな笑いを誘う表現もあったりと、まさに小説を読む醍醐味を思う存分感じさせてくれる作品。

    この作品のテーマは“愛”なのでしょうね、やはり。主人公の名前も愛なのだから。
    その愛は、彼女の場合、いつも途轍もなくいびつな形で表現される。
    「蹴りたい背中」然り、「勝手にふるえてろ」また然りだ。そして、この「ひらいて」でも。
    綿矢さんは登場人物のネーミングも秀逸だ。「たとえ」君とか、普通思い浮かばん。

    ストーリー的に、核心の部分に少しでも触れるとネタバレになり、この小説の面白さが半減すると思うので、この程度までにしておきます。

    とにかく面白い小説を読ませてもらった、という読後感。
    最後にお約束の、この「ひらいて」に出てくる綿矢りさ『名文・名表現・名比喩集』を載せておきます。
    美しい文章も、官能的な描写も、笑える表現も、すごいですわ、やはり、この方。

    あんな可愛い清楚な顔をしてるのに。
    講談社で出会った生綿矢さんの顔を思い出しながら読んでいました。

    1. どんなものでも丁寧に扱う、彼のゆったりした手の所作。付き合う人も、あんな風に大切に扱うのだろうか。
    2. ぬるい水で何倍も希釈された薄くけだるい午後の授業のなか──
    3. 「女子は帰って勉強しろ」(中略)やだ~、なんて言ってみるけど、私は推薦入試だから、実はそれほど勉強しなくていい。
    4. でも少しでも食べ過ぎたと感じると、透明なジェル状の後悔が、体の表面にたっぷりと垂れて皮膚を覆い、(中略)ポテトの二本目を食べ終わると、満足感が急激に同じ体積のまま後悔へ変質していく気配があったから──
    5. 男の子みたいにふるまうと、男の子は喜ぶ。仲間だと思うのだろうか。
    6. 手だけはつないだ、というリアルな告白に、自分から聞いたくせに腹が立つ。
    7. 嬉しそうな美雪の顔に苛立ちがつのる。たとえと分かり合えるなら私だって病気になりたい。
    8. 女とキスしている生理的な嫌悪が私の肌を粟立たせて、喉元までゆるい吐き気がこみ上げる。
    9. 1ミリの勝負だ。たった1ミリ動かすだけで美が生まれ、たった1ミリずれるだけで美が消える。
    10.勝手に嫉妬して、横取りしようとして告白した挙句、ふられて逆上して捨て台詞を吐いて出てきた。
    11.もちろん私だって女など嫌だ。こんな良い雰囲気のなか抱き合っているという事実にさえ、ぞっとして鳥肌が立つ。
    12.おもしろい勘違いじゃないか。最後までその勘違いに付き合ってやろう。私はカップルの両方に告白する変人になってやる。(これ大爆笑)
    13.私はどうしても悦ばされる側にはなりたくなくて──
    14.この、相手を摑んで握りつぶしたくなるような欲を、男の子たちが今まで“かわいい”という言葉に変換して私に浴びせてきたのだとしたら、私はその言葉を、まったく別なものとしてひどく勘違いしていたことになる。(これ、秀逸!!!)
    15.私はなぜ、好きな人の間男になったのだろう!(夜中なのに大声で笑ってしまった)
    16.でもそれじゃ、ただの破壊じゃないか。(これも笑えた)
    17.心と同じスピードで走れたら、どんなに気持ち良いだろう。(言い得て妙)
    18.本能で求め合い、後戻りできる道を二人して粉々にぶっ潰した。

    これだけ書いても、この小説の表現の面白さが分かると思います。読みたくなりませんか?
    是非、ご一読ください。(文庫化されたので、こちらにも転載しました)

  • いやいや、めちゃめちゃ独特な感性を感じるストーリーに驚き‼️です。あんな複雑・不器用・正直な感情表現をする人っているのかなぁ、いるんだろうネ!
    でも犯罪スレスレかも、あの感情ご少しズレたり、タイミング悪かったりしたら『よくあるニュース』に登場しそう…激情って言えば、なんかポジに聞こえるけど今の時代、微妙だと思う。

  • 初の綿矢りさ作品。

    芥川賞作家。なるほどどうりで・・・

    ぶっ飛んだことを衝動的にしてしまう主人公。
    まえに、「勝手にふるえてろ」の映画を見たけれど、
    その主演が松岡茉優ちゃんで、
    あ、綿矢作品が似合うのかもなあと思った。

    文章がすごく変態感のある・・・
    そんなにひとつのことを掘り下げて描かなくていいよーっていうくらい
    しつこい描写が変態感・・・

    たとえくんの雰囲気がとても良いですね。
    お家も荒れているところとか、すごく「っぽい」

    「でも、信じられないのに、なにかを信じなければやっていけない。
    ‶なにも心配することはない。あなたは生きているだけで美しい“と
    丁寧に言い聞かせてくれる存在を渇望し、信じきりたいと望んでいる」

  • 綿矢りささんの作品を初めて読みました。
    本の厚さは薄いのに、内容は全然薄くない。とっても濃密。濃くてあつくて、どんどん息苦しい。
    繊細な表現で展開は予想外、これが綿矢さんの、女子高生・愛の世界感なんだぁ…と読了後は深い息を吐き出しました。
    序盤の雨の描写がとてもすき。

  • 2.6
    →表現がとても美しいなと強く感じました。
    主人公の狂気を感じるほどの懸命な思いが恐ろしかったです…

  • この本の感想は、一言で言うと”わかる”だった。
    思春期特有の
    衝動に身を任せたような行動
    人を傷つけることを躊躇わない狂気
    心に広がり深くなっていく闇
    自分の中に生じる矛盾
    どれも経験があって、愛のことを憎めなかった。
    制御不能で狂気的な自分を経験したことがある人はぜひ。

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著者プロフィール

小説家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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