途中下車の味 (新潮文庫 み 10-10)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101268101

感想・レビュー・書評

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  • お風呂読書用に手に取った。最長片道切符の旅とかに比べると、小作品な感じだが、お風呂読書なので問題なく楽しめた。

  • 「途中下車の味」というタイトルから期待した内容ではなかったです。読み終わったあと、色々美味しそうなもの食べてたな、という印象にはならない。
    とはいえ、鉄道旅は好きなので、旅程等は楽しく読みました。寝台列車含め、もう存在しない路線が多いのはしょうがないけど残念。

  • 編集者と一緒に細かく決めないで気ままな旅をする本。
    その編集者がねー、あまりにも電車に興味がない感じが。
    まあ私も電車旅は読むのは好きだけど、実際何時間も乗るとか正直うんざりするだろうけど。
    でもやっぱ一度は寝台車に乗ってみたいなー。

  • 【古書】編集者と旅する第二弾。本書は列車内で失くすという痛恨の経験をしただけに、かえって思い出深い本となった。やはり宮脇氏の文章は、他の鉄道紀行文とは出来が違う。路線や駅の簡潔な表現と、移動中の出来事の面白さと奥深さ。もう彼のような鉄道紀行作家は出てこないのだろうか?

  • 日本全国、気ままなローカル線紀行。「旅の終りは個室寝台者」の続編に相当し、迷編集の藍君に代ってごくイマドキな(と言っても単行本が出たのは昭和末期ですが)若手編集者、松家君との二人三脚が展開されます。

    ごく素直な松家君は宮脇先生のお話も素直に拝聴するので、前作が弥次喜多ならこちらは水戸黄門か。どちらを取るかはお好み次第。実のところ自分は藍君派ですが、宮脇氏が本領を存分に発揮している分、旅の描写はこちらの方が深みがあるかもしれません。最初こそ前作からの反動で「万事未定」に執着を見せていますが、徐々にらしさを取り戻し、本当の意味で「気まま」な旅を楽しんでいます。

    新幹線のネーミングの由来がさらりと暴露されたり、無性にカニが食べたくなったり、楽しみ方いろいろの傑作です。

  • 特に鉄道オタクというわけではないが、
    この本を読んでいると、鉄道に乗りたくなる。

    なかんずく、五能線。
    今なら、青森か秋田まで新幹線で行き、
    そこから五能線にすぐにアクセスできる。

    この本が書かれたのは、昭和の末ごろ。
    もうすでに30年前だ。
    いまや、寝台特急はそのほとんどが姿を消した。

    寝台特急と五能線をセットで味わいたかったが、
    それはほぼ不可能となった。

    五能線も怪しいかもしれない。
    今年中には乗りに行こう。

  • 途中下車。甘美な誘惑。旅の醍醐味は「途中下車」にあるのではないかとさへ思ふことがあります。
    江戸時代の旅はもとより徒歩の旅が基本で、その道中に大きなウェイトが置かれてゐました。当然現在の旅よりも危険も多く、目的地によつては命懸けといふ場合もあつたことでせう。

    それが明治以降、乗物が発達し、少しでも早く目的地へ、といふ風潮になつてゐます。用務とか緊急時などは大いに助かるのでせうが、特段に急がない観光客までが急ぐ、といふのは如何なる心情なのでせうか。もちろん目的地へ行つて、あれを見たいこれを食べたいと逸る気持ちは分かりますがね、そこまでの経路を蔑ろにし過ぎではないかと。
    旅は自宅を出るところから始まつてゐると存じますが、その考へ方は古いのでせうか。先達ても「旅は目的地に着いてからが始まりで、そこまでは単なる移動」と述べた人がゐて、わたくしは慨嘆し、頬に一筋流れるものを...あ、少しおほげさでした。

    さて『途中下車の味』は、『旅の終りは個室寝台車』の続篇にあたる作品であります。しかし道中の相棒たる「小説新潮」編集者は交代してゐて、そのせいか前作とはいささか趣きが異なつてゐます。
    内田百閒の『阿房列車』を思はせる前作は、基本的に乗る列車が決まつてゐたのですが、今回は行き当たりばつたりの方針を打ち出します。

    「ですから、前回とは趣向を変えて、こんどは万事未定でやりましょうか。気が向いたところで途中下車しながら......」
    「万事未定ですか。わかりました」
    「下車駅未定、宿泊地未定」
    「住所不定」
    「そうそう」
    (「一円電車と松葉ガニ」より)

    まあ切符の手配の都合とか、後半になるとシリーズ全体のバランスとか(まだ九州へ行つてゐないので、次は九州へ、とかね)を考慮するので、実際には事前にある程度の方角は決まるのですが、それでも宿泊地や見物・見学スポットは未定のまま出発する点は中中スリリングで良いものです。最近はテレビの旅番組でも同様の趣向が見受けられるので、さういふ旅が面白いといふ認識は皆あるのでせう。

    もつともそのおかげで、駅弁を買ひそびれたり、混雑したロングシートの車内でぬるいビールを立つたまま飲むはめになつたりします。芸人ならむしろオイシイ場面でせうが。個人的には、無計画結構ですがもう少し先を読まうよと突つ込みたくなります。ま、だから読者にとつては面白いのですがね。
    さて本書を読んだからには、次の旅行から目的地までの楽しみも追求してみませう。せつかく日常から脱出するのに、旅の道中まで日常の延長ではもつたいないと申せませう。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-530.html

  • 15/1/1、ブックオフで購入。

  • 国鉄全線を制覇したという鉄男の著者が、編集者と一緒に行き先を決めずに鉄道の旅をする。山陰のマツバガニ、高知のエガ二、宇和島のさつま汁などを求め歩く。他に、北海道、飛騨路、信楽線、五能線と弘南鉄道の旅など。
    たどった旅程を単に記録した文章を読んでいる感じ。鉄道ファンなので移動の場面が多いが、途中下車の味と題するなら、その地域の食についてもう少しふれて欲しかった。国鉄時代のダイヤや電車の蘊蓄は参考になったが、なにせ20年以上も前の話なのでそんな時代もあったんだなあというのが感想。

  • 若い編集者(今は有名な松家仁之さん)といっしょにあてのない旅をする50代の宮脇氏。飄々としてて説教くさくなくって素敵。日本の田舎を電車で旅したい。

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著者プロフィール

宮脇俊三
一九二六年埼玉県生まれ。四五年、東京帝国大学理学部地質学科に入学。五一年、東京大学文学部西洋史学科卒業、中央公論社入社。『中央公論』『婦人公論』編集長などを歴任。七八年、中央公論社を退職、『時刻表2万キロ』で作家デビュー。八五年、『殺意の風景』で第十三回泉鏡花文学賞受賞。九九年、第四十七回菊池寛賞受賞。二〇〇三年、死去。戒名は「鉄道院周遊俊妙居士」。

「2023年 『時刻表昭和史 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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