- Amazon.co.jp ・本 (517ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101269511
作品紹介・あらすじ
バブル崩壊前夜に買ってしまった分譲団地。20年近く経つ今もローンを抱え、織部頼子は節約に必死だ。その上、理事会では我儘なジジババに振り回される日々。一方、娘の琴里は27歳フリーター。ある日、幼馴染の三紀子にイケメン資産家の彼氏を紹介される。が、彼女は失踪、いつしか琴里が彼と婚約することに。織部家、まさかの人生大逆転?!一気読み必至の傑作「社会派エンタメ」誕生。
感想・レビュー・書評
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バブル崩壊寸前に購入してしまったニュータウンの分譲団地。
夫の収入が下がり住宅ローンに四苦八苦しているパート主婦の頼子は、家を売却しようにも購入価格の3分の1にまで下がってしまっているので売ることもできず。
一方団地は老朽化が進み、理事会で建替えの話が出てくるも、建替え反対派の意見や各家庭の事情が複雑に絡まり、話し合いも進まない…。
もうねー、読んでて胸が苦しくなるほどリアルでそして勉強になる本でした。
大規模集合住宅の建替え問題は各住民の事情が絡むからめっちゃ揉めるんよ。と聞いたことがありますが、なるほどこりゃ揉めるよなーと。
住む人たちの年代や家族構成や懐事情などまっったく違うのに、住まいという生活の根底に関わるもので足並みそろえるのなんて絶対難しいに決まってる!
こういった住宅問題に加え、頼子の娘・琴里のボンボンモラハラストーカー気質男との結婚問題も絡んできて、お金のこと、生活のこと、住まいのこと、将来のこと…いろいろ考えさせられる内容が盛りだくさん。
登場人物はあまり誰にも共感できないというか、自分だけが可愛いある意味人間らしい人たちばかり。
内容も重ためなんですが、でもなんとなくシリアスになりすぎないというか、垣谷さんの文ってどこかユーモアを感じられるのですごく読みやすいんですよね。
最後もスカッとしたー!って感じられるようなラストでは決してないんですが、読んで良かったと思える作品でした。
将来の住まいのこと…自分がどうしたいのか、どんな老後を過ごしたいのか、まだ考える時間の余裕があるうちに真剣に考えてみよう〜
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垣谷美雨さんの作品は3作目。毎回身近な問題を取り上げてくれて、参考になりました。主に家という資産をテーマに、複数の登場人物からの視点を見せてくれます。人によって考え方は本当に様々です。客観的には良い生活をしているように見えても
、当人からすればそうでもない。隣の芝は青く見えるとはこういうことなんだよな、と思いながら読んでました。読み終える頃には、とりあえずベストを尽くして生きようと前向きになれます。 -
読み物としては面白かった!
垣谷美雨さん、何冊目だろう。。。
なんか、読み疲れ?した時はこの人でさらさらーと何も考えず楽しめる。でも、ただ読みやすいだけでなく、色々な社会問題を提起し、考えさせられる。
今回はバブル期に買ってしまったニュータウンの行く末と、その子どもたち、いわゆるロスジェネを取り上げつつ、ストーカー問題も関わって昼ドラにしたら面白そう。
ニュータウンの悲哀と言えば多摩ニュータウンが必ず取り上げられる。
場所が、もう少し駅に近ければ、都心に近ければ状況は全く変わったんだろうな。
上手く代替わりしてるニュータウンもある。
いずれにせよ、バブルの頃購入した人は物件価格も、金利も、今では考えられない金額だったから、損は免れなかったんだろう。
子どもたちの世代で言えば、結果論としては朋美が一番羨ましいと感じるが、私はきっとあんなふうに割り切って、結婚まではできない。そこで言うと、三起子くらいが理想的。朋美と比べるとなんだか損した感じで書いてあったけど、充分良い生活を送っていると想う。
琴里は、実家がなんだかんだ東京だからお寿司屋さんのバイトでなんとかなってるけど、本当にキャリアを積もうと思ったら他にも道はあったはず。
あとがきで、垣谷さんのニュータウン購入と、その後の値下がりでの損害が実話だったと知り、なるほどリアルだなと思った。でも、その損害が今こうして小説のネタになり利益を生み出すのだから、人生って不思議。 -
読みやすくて1日で読んでしまった。いつもどおり面白かったけど目新しさはないかな。ローンの話も婚約者の話もリアルでぞっとした。
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駅から遠いニュータウン(団地)に住む人たちの悲哀物語。
自分もいわゆる公団に住んでいたので、その不便さたるやよく分かります。駅までバスで20分、しかも国道走るから渋滞に捕まることもしょっちゅうという、物語よりも劣悪なところ。両親もこんな想いを抱いて住んでいたのか(今も住んでるけど)と思うと、なかなか胸が熱くなります。
奨学金を抱えたまま社会人になる辛さの一方、地主の金持ち坊ちゃんのロクでもなさがあったり、またそこにうまく乗っかる人もあり、人生色々だなーと思いました。
いつもの変な設定からのハッピーエンドという感じではなく、ちょっと深みのある終わり方で面白かったです。 -
バブル崩壊前夜に買ってしまった分譲団地。20年近く経つ今もローンを抱え、織部頼子は節約に必死だ。その上、老朽化による建替え問題に振り回される日々。一方、娘の琴里は27歳フリーター。ある日、友人の三起子にイケメン資産家の彼氏を紹介される。が、彼女は失踪し、いつしか琴里が彼と婚約することに。織部家、まさかの人生大逆転?! 一気読み必至の傑作社会派エンタメ長編。
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家を買いたくないと思ってしまった。。。
人と比べないで自分の幸せを見つけるべしなんだな、と強く思いました -
盛りだくさんの内容だった。
お母さんの話、その娘と同級生2人の話、ニュータウンに住む人、住んでいた人々の話。
5200万円で買った家が今は1500ま万円で売りに出されている。そんなに下がってしまうんだと驚いた。他人事ながら、それは厳しい。これでは幸せになることに貪欲になるだろうな。 -
マンション買うのが恐ろしくなる本。
お金に苦しむのは読んでて辛くて時間がかかってしまった。
家は自分の居場所だから、マイホームに憧れているけど、無理して自分の自由を失うくらいなら、その時その時のニーズに応じた賃貸のほうが身軽でいいという考えに落ち着く。
人生、お金だけじゃない。 -
バブル崩壊前に購入した分譲団地。
これでも価格が下がったと5,000万円ものローンを抱えた。
しかし、その価格が下がったというお得感もすぐに崩壊の一途を辿る。
そんな団地も築30年を経過して建て替え問題が浮上。
しかし、集合団地のため、揉めに揉める。
パートに出ていた頼子は理事が回ってきて、会合にも出席するが、高齢化してきた団地内の揉め事に、ローンのことにも頭を悩ませながら疲れを見せる。
そんな母を見ていた娘の琴里は、幼なじみから資産家の彼氏を紹介され、なぜかその彼とオペラを見に行った。
しかし、その時から幼なじみとは連絡が途絶える。
残された資産家の彼と付き合うとこになった琴里は、その贅沢な環境に目を奪われる。
だが、その彼には問題が…
住宅問題は長きに渡って、人々の感心や苦労を引き寄せてきたが、生活スタイルはバブルを境に大きく変化を見せた。
今はそれぞれが自分の力で道を切り開いていくことが重要となる。
なかなか面白かった。
2019.1.6 -
ローンは怖い,面白かった!
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●あまりにも描写が細かく感嘆していたら、やはり筆者の体験談だった。女性作家ならではの容赦のない人物描写は時として心地よさすら感じられる。
●最後には荒れまくるマンション理事会のシーンは圧巻。綺麗事で終わらしていない展開がまたいい。まあ、議員立候補は唐突感はあったが。
●やばい彼氏を友達間で押し付け合うなんて、そんな展開思いつかない。
●どうしようもならない、がんじがらめな庶民の気持ちに、何回も心がキュッとなってしまった。 -
21世紀を迎える直前にニュータウンにある中古住宅を購入しました。築10年のもので当時勤務していた所に近く、駅近くに立地していて、学校や商店街など自宅から数分の距離にああるので満足して購入しましたが、友人や知り合いに購入金額を言ったら信じてもらえないほどの額だっと思います。
貯金をほとんど叩いて頭金に投入、その上で住宅ローンを組みました。住宅ローンを考慮すると当時の我が家の会計は赤字続きで苦労が続いたのを思い出します。繰り上げ返済を繰り返して、住宅ローンが終わって「抵当権削除」の書類が届いたときは嬉しかったのを覚えています。
そんな経験のある私にとって、垣谷女史の書かれたこの本は主人公の家族の気持ちがよくわかりました。また理事会の役員も2回務めましたので、理事会の雰囲気も手にとるようにわかりました。住み心地の良いニュータウンほど、出ていく人が少ないので高齢化が進んでいます。最後の解説に書かれているように、作者は実際に多摩ニュータウンを購入されたことがある様です。
実際に経験したから書ける小説は面白いだけでなく、ためになる部分もありました。ストーリーはニュータウンだけでなく、娘さんたちのある男性を巡っての出来事など、興味あるものが含まれていてドラマを見ているような気分になれました。通勤時間での読書タイムが待ち遠しかった1週間でした。
以下は気になったポイントです。
・この家を買うときは家が担保だったから銀行はお金を貸してくれた、だけど売ってしまえば担保はなくなる。担保なしで残高分を貸してくれたりはしない(p37)
・集合住宅はさまざまな世代の人々が交流できるから素晴らしいと綺麗事をいう人もいるが、それは間違っている。この団地を買ったのが失敗だと思う要因は金銭的なものだけでなく、世代の違いによる考え方の違いが大きくて、それがストレスの原因となる(p72)
・女性は歳を重ねると、顔の造作そのものよりも髪型、服装、姿勢や太り具合などに美醜が大きく左右されるように思う。全身が醸し出す雰囲気が大事である(p113)
・ハングリーでないとモチベーションを保つのは難しい(p375)
・ハッキリしているのは、幸不幸も勝ち負けも自分で答えを出すしかなく、人それぞれで違う(p403)
・大規模団地は都市計画法に縛られている、学校・保育園・病院・道路・公園・緑地・図書館などとセットになって都市計画は推し進められている、解除を申し出てもなかなか了承されない。建て替えに成功した団地のほとんどが建て替え完了まで20年以上の月日を要している、途中で挫折した団地もかなりある(p412)
・何事も諦めた時点で終わりである(p474)
・マイホームの夢を叶えるためにニュータウンが郊外に生まれた、これを支えたのが、定年まで雇用を保障する終身雇用、勤続年数によって上がる年功賃金、そして不動産は必ず上がるという土地神話である(p507)
2023年6月15日読了
2023年6月17日作成 -
身につまされる。
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住宅について。誰もが一度は悩む問題ではないか。賃貸か購入か、一戸建てかマンションか、価格か立地か、人生で1番大きな買い物ゆえに失敗はできない。恐ろしく思いながら読み進めたのに、まさか著者の実体験からきているとは…リアルすぎて怖いよー!
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面白かった!続きが気になって気になってあっという間に読み終えました。
同じ団地に住み管理の為の話し合いをもっても、購入時期、価格、家族構成、年齢などが異なる世帯が一緒になって一つの結論を出すのはいかに難しいかを痛感しました。
マンションの建設ラッシュ、特にタワマンが多く新規分譲されている今を思うと、団地とはまた違う立て替え問題が予想され、どういう問題が起きるかを想像してしまいます。
黛と琴里、同級生の考え方を見ていると、親の執着する対象に子供たちの考えも影響されるのかなと感じた。 -
垣屋美雨さんの作品は本作が初めて。
映画『老後の資金がない』の原作者という事で、作品のイメージは何となくコメディタッチなものを想像。
実際に読んでみると、そう遠くない将来、いや実は今でも気にしている将来に対する不安を駆り立てるような内容で、読み進めずにはいられなかった。
新手の経済観念育成小説です。
この作家さんの他の作品も読んでみたくなりました。 -
ニュータウンという概念をあまり意識してこなかったので新鮮な内容だった。自分がその世代ではないからか、バブル崩壊で負債が残るなどはピンと来ないテーマだった。
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今後も課題となる問題が溢れた小説。
マンションの建替え問題。空き家、高齢化、、解決しなければいけない問題は沢山。 -
2018/12/20作者自身の体験小説でバブルの頃(H4)に多摩ニュータウンを買ったもの、見につまされる。
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中々読み進められなかった。
住宅ローン問題についての話が読んでてしんどかった。
あんまりすっきりした話じゃないな〜〜
読んでてワクワクしなかった。