女たちの避難所 (新潮文庫)

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著者 : 垣谷美雨
  • 新潮社 (2017年6月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101269528

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女たちの避難所 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 九死に一生を得た福子は津波から助けた少年と、乳飲み子を抱えた遠乃は舅や義兄と、息子とはぐれたシングルマザーの渚は一人、避難所へ向かった。だがそこは“絆”を盾に段ボールの仕切りも使わせない監視社会。男尊女卑が蔓延り、美しい遠乃は好奇の目の中、授乳もままならなかった。やがて虐げられた女たちは静かに怒り、立ち上がる。憤りで読む手が止まらぬ衝撃の震災小説。

  • 読みながら、怒りで何度も拳を握りしめてしまったので、なんか肩こった。
    当時マスコミで報道する被災地には「美談」しかなかったような印象だが、ある文芸誌に多くの小説家が寄稿した「震災」についての文章は、まったく色合いが違っていた。
    支援物資の分配の不平等や、避難所によっては、危険な感じのリーダー出現でとんでもない「自治」状態だったこと。思いのほか多くの文化人(かな?)が放射能を避けて海外や遠方に避難したこと。

    あれから6年もの年月が流れ、別のところで起きた大地震や様々な事件の奥に記憶は薄れがちだが、まだ全然終わっていないし、当時起きた問題が解決されたわけではない。

    この本では避難所を舞台に女性に対する差別的因習が語られているが、それは過去からあったものが表に出ただけ。
    そう語って新たな世界に飛び出していった三人の姿に、ホッとした思いで本を閉じた。
    希望がある結末でよかった。

  • 私も五十年後ぐれえには、そっちさ行ぎますがら。
    (漆山遠乃)

    東日本大震災で被災した避難所が舞台。
    九死に一生を得た55歳の専業主婦は避難所で将来を不安に思うが、ごくつぶしの夫が行方不明になり、少し安堵している。
    夫を亡くし、生後6ヶ月の息子と生き延びた28歳の美人お母さん。しかし、避難所で傲慢な舅や義兄に支配される。
    40歳のスナック経営のシングルマザーは震災で母を亡くし、息子が行方不明になり、避難所を巡る。
    しかし、この3人が避難した避難所はダンボールの仕切りがない男尊女卑の監視社会。“絆”というフレーズで縛りあげ、授乳するにもままならず、ボランティアは高圧的な態度、意見をするにも田舎の風習で味方はいない。


    読んでいて怒りと不快でたまらなかった。
    ずっと不快、怒り、不快、怒りで少し希望が!と思ったとこにまた不快と怒り…

    「私たち被災者は家族同然なんです。これからも協力して生活していかなければなりません。互いに絆と親睦を深めましょう。 ーだからね、我々に仕切りなんてものは要りません」
    これが現実にあったっていうのが驚いた。

  • あの震災の美談報道ばかりの中で実態はこんなにも違っていたのかと慄いた。確かにダンボールの仕切りがある避難所と無い避難所があるとの報道は見たけれど単にダンボールが届かなかったんだとばかりお気楽に思っていた。避難者の中からリーダーが選ばれその資質による避難所の暮らしやすさに差が出ていたのか。しかもやはり感じる不便も危険度も男女では大分違っている。今の日本ではいついかなる時にどこに暮らしていても避難所に避難しなくてはいけない事態が起こるか分からないのだから、そういう時の為にお役所には避難所の運営のハウツーを是非きちんと整備しておいていただきたいとも思った。

  • 東日本大震災の避難所での生活を題材としたフィクション。
    ダンボールでの仕切りがあったとしても、いつまで続くかわからない生活には言いようのないご苦労があるだろうが、家族同然の絆が大切と仕切りを使わせない避難所が実際にあったようで、、。
    震災後、なんでも絆、連帯といったくくりで、美談めいたまとめ方に違和感を持ったことを思い出す。
    力のない人が権力を持ってしまい、そしてその権力にしがみつく怖ろしさ、翻弄される人々のもどかしい気持ち等、全く気持ちいい話ではないものの、登場する女性たちの描写が丁寧で応援したいような気持ちでどしどし読み進められた。

    本書で初めて知った作家さんですが、他の著書も読んでみたい。

  • 事実に基づいているらしいけれど、一体どこまでが本当でどこまでが創作なのだろうか。主人公たちの周りの「ダメな男性」たちがまるで良いところなしで……。ある程度極端に描写しているのだとは思うけれど。

  • 【最終レビュー】

    予約著書・約、1ヶ月半待ち。

    図書館貸出・新刊文庫本。

    〈既読著書・エール!シリーズ〉

    早速、このシリーズで執筆されていた作家陣から

    先月、書店店頭で見かけた

    美雨さんの新刊文庫本を見つけ出し、図書館貸出予約→先日、貸出という流れでした。

    キッカケとなったのは

    〈『エール!2』より:心の隙間は灯で埋めて〉

    の内容を通して。

    ※既読レビュー:7.12

    http://booklog.jp/users/sapphire913/archives/1/440855121X

    3.11並びに熊本地震において、避難所での女性への対応。

    度々、クローズアップされていたのをニュース等を通して、同性の立場柄、自分の中でとても関心度が高かったこと。

    +:実際、著書の土台となる

    〈参照著書リスト=膨大なノンフィクション著書がズラリ〉

    上記を取捨選択しながら、こうして一つの物語として書き上げている点でも、興味が高かったです。

    世代間の枠を越えた

    3人の女性被災者の『それぞれの立場柄の「目線」』を通した

    《現実味・緊張感・緊迫感・喜怒哀楽・悪戦苦闘・理不尽・心身のコントロールのせめぎ合い・生死と向き合うこと・マスメディアと現状との隔たり》

    これらが、入れ替わり立ち替わり、入り混じるかのように

    避難所での

    『一日一日の一つ一つのエピソード』を通しての

    《生活面を通しての避難所=社会の一部分》

    が鮮明に、くっきりと表沙汰になっていく中、どう彼女達が物事を捉えながら、変化していく『過程』

    +:奥底で抱える『ありったけの心の叫び』と『心理描写』

    一人一人それぞれが抱える想い。

    丁寧かつ比喩的表現の巧さが、しっかりと引き出されていたこと。

    釘付け、十分な読み応えがありました。

    『自身が抱える本音も幾つかあったり』

    『同性の立場柄、なるほど、思うところは同じということ』

    自分の中で、時折、立ち止まりながら、改めてこれらに気付くことができました。

    《美雨さんからの『現代女性たちへの熱き、暖かく、魂が込められたエール!』》

    この著書を通して、自身は、このように感じ取っていました。

  • 震災小説。東日本大震災の後、独り身を不安視し結婚する人が増えたと聞くが、本書を読めば結婚は止めておこうと思うだろう。男尊女卑が根強い日本、震災の時ですら男は足枷でしかないというのは何とも酷いものだ。震災の新たな一面が見えた気がした。
    あらすじ(背表紙より)
    九死に一生を得た福子は津波から助けた少年と、乳飲み子を抱えた遠乃は舅や義兄と、息子とはぐれたシングルマザーの渚は一人、避難所へ向かった。だがそこは、“絆”を盾に段ボールの仕切りも使わせない監視社会。男尊女卑が蔓延り、美しい遠乃は好奇の目の中、授乳もままならなかった。やがて虐げられた女たちは静かに怒り、立ち上がる。憤りで読む手が止まらぬ衝撃の震災小説。

  • 東日本大震災のときに、おぼろげにある避難所の
    仕切りがないということが報道されたような気がします。
    その時はちょっとした違和感しか感じませんでしたし、
    多分マスコミは好意的に報道していたような気がします。
    絆の一言でプライバシーややさしさ、人の尊重などが
    ないがしろになっていたのだとすると恐ろしいことだと
    思います。
    この小説に書かれてあることは、ある程度デフォルメ
    しているのではないかと思いますが、そうであって
    ほしいというか、そこまで馬鹿な下劣な人たちは
    そうそういないような気がします。
    本当にこういうことがあるのであれば、人のことを
    本当に考えることって、困難なことなのだろうと考えます。
    そういう老人にはならないようにしたいと思います。

  • 避難所で段ボールの仕切りを作る。
    そんなんじゃとても完全にプライバシーなんて保てないけど、それでもないよりは絶対にマシだと思う。
    生活する上で絶対必需品。

    この話にはその仕切りを「私たちは家族同然なんだから」と使わせないようにする、避難所のリーダーが出てきます。
    読みながら私は「いや、これは創作でしょ? ま、まさか本当にこんな人、いなかったよね……」と思っていたのですが、あとがきを読んでビックリ。
    現実に、いたとは……。

    そんなこと言える人って、全然周りが見えてないんだろうなぁ。
    どんなところでもそうだけど、リーダーにどんな人がなるかって大切。
    福子みたいに話しやすいおばちゃん、みたいな人が一番適任かも。

    遠乃に関しては、「役所に行けば、なんか姻戚関係を失くす、みたいな手続きできるよ!!」とそればかり思っていました。

  • 信じられないことの連続。
    「品性下劣」が服を着て歩いているような男どもの言動に怒りしか湧いてこない。
    どこか上から目線で、被災者に見返りを求めているボランティアにも呆れる。
    何より、これらのことが実際に起きたことが元になっているというのだから驚きだ。
    現実を知ることができてよかった。

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