百 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101270036

作品紹介・あらすじ

「おやじ、死なないでくれ-、と私は念じた。彼のためでなく私のために。父親が死んだら、まちがいの集積であった私の過去がその色で決定してしまような気がする」百歳を前にして老耄のはじまった元軍人の父親と、無頼の日々を過してきた私との異様な親子関係を描いて、人生の凄味を感じさせる純文学遺作集。川端康成文学賞受賞の名作「百」ほか三編を収録する。

感想・レビュー・書評

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  • 非常に評価が難しいです。まだ読み込めてない部分が多すぎる印象…もっと私自身の読書力を向上させたいと切に願います。

    家族とは似ているようで違う、ということを再認識しました。貸してもらえて、良かったです(^^)

  • 表題作のみ、授業にて読了。

    著者や、この小説について、なんの知識も持たずに読んだ。
    まず、父が母を突き落とした、というハプニングから始まる。父95歳であるが妻に暴力をはたらくーーという、ヤフーニュースに並んでいたらついついクリックしてしまうような、ちょっと興味をそそられる冒頭から始まる。
    その後は内省的な文章が続き、自己の人生を省みるうち、話はしだいに父親の老いを核としてすすんでいく。年老いて体が不自由になり、卑屈になっていく父親。
    特に何も起きず物語は終わるんだけど、なかなかリアルで味があります。
    心は老いてないのに、体ばかり老いて使いものにならなくなるといった切なさ。年をとったからといって、うまいぐあいに人生に諦めがつくわけじゃないない。

    耳が聴こえづらい父親と、ちぐはぐな会話をする場面がリアルで好きです。


  • 独特のことばを構築している人だと思う。そして、とっても説得力があり、読み終わってから何もかもどうしようもないのかもしれないと思ってしまった。元気な時に読むのがおすすめ

    家族との関係ややり取りからその人がどんな人か見えると思うけれど、著者は私が以前別の本を読んだ時に感じた通り「優しい」人に違いはないと思う
    ただ、この本を読んで、「優しい」なんて曖昧で絶対的なことばは人間全般に当てはまらない、と思うくらい人間の複雑な心理を垣間見た

  • 色川武大の川端康成文学賞を受賞した作品。短編小説が4つ詰まってる。
    タイトルの「百」は年齢を表してる。裏表紙の一部を抜粋すると、「百歳を前にして老耄のはじまった元軍人の父親と、無類の日々を過してきた私との異様な親子関係」とのこと。
    「猫や犬は死んだらどうなるの?」ではじまる作品など、生と死に関連しつつも、日常を描いたような不思議な作品集。

    • Fiftyさん
      読みたい!と思いました
      読みたい!と思いました
      2021/12/18
  • 大好きな作家・色川武大の大好きな一冊。自身の卑屈な部分を非常に繊細で絶妙に表現している。同時に、とても純粋な人間性を持っていた方なんだというのも見てとれ、読後のくどさがない。親との確執、愛情、自己との葛藤、自嘲……。誰もが持つ泥臭さを、美しい文体で著した一冊。何度でも読み返したくなる。

  • 「連笑」「ぼくの猿 ぼくの猫」「百」「永日」収録。

  • 色川武大 「 百 」 家族との関係を描いた私小説。

    この本で描かれているのは
    *劣等意識を基礎とした 著者の人と違う生き方
    *近すぎず遠すぎない家族関係、ただ在るだけの家族
    *死を描いているようで 徹底した生を描いている

    「小説は〜大きな道を歩いて造るもの〜お前は大きな道を歩いていない〜それじゃピエロになるだけだ」

    身の幅で生きる
    *身の内の自然に 出来るだけ沿いながら、得心し続ける
    *身の幅以外のものは 観念で、そういうものは信じない
    *内心を身の幅の中に入れて 自分の心にしている

    自分の内心が あまりに個人的な尺度を持ちすぎて 他人に通じる言葉にできない
    「僕の恐怖は 自分にこだわるわりには 自分を他人に主張する術がなくて 絶句して終わるしかないこと」

    他人に管理されて生きる=一兵卒になる

  • 息が詰まる思い

  • 初めて書いた小説は父親を薪割りで叩き殺す話であったー自らの創作のルーツから、父との複雑な関係を描き続けた色川武大の4つの作品を収めた短編集。

    作品全ては時系列は異なれど、父親との関係性を巡るものである。叩き殺したい、という明確な憎悪があるわけではないけれど、かといって愛情があるわけでもない。それでも父がただ寂しく亡くなるのだけは避けたいと思い、珍しく能動的なアクションを取る「永日」が印象的。

    日本文学の潮流の一つである私小説の流れを色濃く受けている作品である。そしてそこには、私小説というものの意味合い、つまり極めてパーソナルな事柄を突き詰めていけば、万人に通用するユニバーサルな何かが描けるはずだという観念が間違いなく具現化されている。いずれ自身にも父親のこのような場面に接するのではないか、という漠然とした不安が心に強く残った。

  • 鬱屈した、内にいろいろ秘めた大人と老人の話であまり好きではない。読んでて次が楽しみ、ということがない。しんどくなる。

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