繋がれた明日 (新潮文庫)

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著者 : 真保裕一
  • 新潮社 (2008年7月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (514ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101270265

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繋がれた明日 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • この間読んだ「天使のナイフ」が被害者遺族の立場から「贖罪」「更生」を考えた作品で、こちらは犯罪者側から見た物語。そしてまたまたこないだ読んだ「悪人」から引き続き、悪人とは何だろう、と考えた。人の命を奪った以上、圧倒的に許されざる立場である殺人犯…の気持ちが理解できるか…。隆太に感情移入しつつ、もし自分の大切な人が被害者になったら…と考えると「-僕は人殺しだ。でも、僕だって人間なんだ。 」の言葉を絶対受け入れられないだろうと思う。隆太が自身の罪深さを認めつつ、ともすると「俺だけが悪いわけじゃない」と思ってしまうところに、人間がきれいごとだけではいかないってことを感じた。小説自体は作者らしいはらはら展開。でもきれいにまとまりすぎかな。ラスト、温かい心に囲まれる隆太。もし、私の大切な人を殺したのが隆太だったら…やっぱりそんなの納得いかないだろう。遺族も立ち直らなきゃいけない。きっと「許し」がキーワードなんだろうけど、難しいな…。…とやはり答えの出ない思考ループに陥る。とにかく殺人事件なんてなくなってしまえ、としか思えない。

  • 殺人事件の加害者と被害者、そしてその家族。
    それぞれの立場で一つの事件を中心に、何故自分が、何故息子が、何故母が、何故妹がとそれぞれが被害者としての気持ちを恨みだったり、悲しみだったり、後悔だったりといった気持ちが書き綴られています。

    確かに人を殺すという事は究極に許されない事。
    でもそのきっかけとなった原因を作った事は当人にしかわからないため、周りは奇異なる目でしか見ないし、被害者側は恨むことしか出来ない。
    また、被害者のことを忘れないためにも恨み続ける事をして、自分自身の人生をそれに捧げてしまう。
    その結果として加害者に対して、自身が加害者ともなる。

    自分自身がそのような状況に置かれたことがないので、本当にわかったといえばそうではないが、非常に考えさせられる作品でした。

  • 久しぶりの真保祐一です。
    もう殆ど出ている作品は読んじゃっておりますので、新しい作品はなかなか読めません。読めたのは嬉しかったです。

    で、今回の作品は、読んで嬉しかったと思えるような良い作品でした。

    内容はケンカで相手を殺してしまった青年の話です。
    彼は刑期を務めて仮釈放になるのですが、そこからどのように暮らしていくのか?どのように立ち直っていくのか?という内容です。

    何で俺だけがこんなコトになるのか?ケンカで相手が先に手を出してきたっていうのに、裁判じゃ自分が先に手を出したコトになってしまっているし、刑務所でも損なコトばかりやって仮釈放の期間が遅れるし、何でこんなコトになってしまうんだ、という考えが、外の世界で真摯に人に接することによって変わっていきます。

    少し出来過ぎなんじゃないかな?とも思うのですが、かなり感動です。

    主人公の葛藤も、被害者の周りの遺された人々たちも、加害者の身内も、それぞれ心のなかに大きな傷を残して生きていきます。
    加害者でもがんばって生きていればそれを応援する人々もいますし、それが伝わらないと、生きていくのが非常に難しくなってしまいます。

    それは犯罪の加害者だけではなく、普通に生きている我々も同じようなものなので、非常に考えさせられる作品でありました。

    次の作品もまた是非読みたいですねぇ。

  • 地味である。
    小説世界に引き込まれていくのであるが、どうにも重い。

  • 罪が許されることがあるのか。とりわけ損害を与えて弁償できるケースではない場合、それはどこまでいっても許されるものでもない。一方で刑期を終えて社会に復帰する場合、それ罪が許されたことと同じなのだろうか。お疲れ!といって迎ええるようなケースは身近にはないが、元服役人として、白い目で見られることは想像に難くない。
    中道のように、「どうせ」という思いや、「俺だけが悪いのか?」という感覚は、なにも犯罪が絡んだ世界だけの話でもないような気がする。
    仕事上の失敗や、家庭内での不和が、「あのときそうしたのは自分だけのせいなのか?」と考えてしまうし、対人関係としても、出来上がってしまった人間関係の中では、「ほらまた」、「どうせ、こう思われてる」といった本ストーリーの主題そのものが日々展開されている。
    だとしても、本人の思いや、周囲のいろいろな人の想いが、あるいは相手の考えにも想いを致したとき、本人の鬱屈した思い込みや相手の思い込みをも変えていき、新しい関係性そ存在意義が浮かび上がってくる。その点がうっすらと輝かしく描かれている部分が、すっきりとした読後感を誘った。

  • 誰が? というより犯罪者更生ものかな

     主人公の成長が著しい。それを読む方に力が入って、ミステリーとしての楽しさは後回しになった。もちろん良い意味でよくできたお話だ。

  • 中洲が舞台のハードボイルド、街の描写が懐かしく読めた。
    展開も早く一気に読める作品
    違う作品も読みたい。

  • 勉強にはなる。ただストーリーがやや平板だったかな。

  • 殺人の罪を犯した少年院から仮出所した主人公に待ち受けた苦難の日々。人と接しながら心境の変化、成熟していく過程が綴られる。保護司という職業の輝きも発見できる。13.12.14

  • かなり楽しめました。 
    途中からストーリーの1つの軸となった”ビラを配った犯人”の答えは
    かなりお粗末なものだったけど
    犯罪を犯した者の絶望感、疎外感がヒシヒシと伝わってきた。
    途中からやめられず、一気読みでした。本当に楽しめました。

  • 罪とは何か、償いとは何かを考えさせられる本だった。

  • 決して泣かせものではないんだけれど、じんわりうるっときた。

    とことん「自分」を見つめていく作品。
    主人公の偽りない心情は人間の汚さを感じさせ、しかしその汚さにかえって共感してしまう。

    誰だって自分が殺人犯になることなんてないと思っているはず。
    だけどこの物語は、自分とは関係ない遠く離れた世界を興味本意で覗くのではなく、他でもない自分自身をそこにみる、そんな作品である。

    心がじんわりあったかくなる、そんな物語。

  • 殺人を犯してしまった主人公の気持ちの動きが緻密に描かれてる。
    周りの人の反応、被害者側からの仕打ちの中で成長してゆく主人公を見て
    現代の司法制度含めて色々考えさせられた。

  • 生きることは苦しい。
    正しく生きることは難しい。

    正しくない、過去をもつ人間が生きることは死ぬより辛いかもしれない。
    けれど、それが本当だと思う。


    懲役囚の再犯率の高さ、被害者の人権、加害者の人権、知る権利、どの立場からみてもその目線は偏っている。


    相変わらず苦しい話を書く人である。

  • 2011年に読んだ小説ではベストだったかも。当初ダメダメの犯罪青年の心情描写が、変化していく様にひきこまれた。最後はいろいろがうまくまとまりすぎていて無理もあり、こんなにうまくいかないんじゃと思いつつも読後感はよかった。

  • そもそも本当に罪を償うということは可能なのか?を考えさせられる。ラストはキレイにまとまっちゃっているけど。

  • 19歳で犯罪を犯してしまった主人公。仮出獄で塀の外へ戻ってきました。
    そんな彼を待ち受ける、苦難や嫌がらせ。
    けれども、強く優しく受け止めてくれようとしてくれる人たちもいます。

    刑務所で長い間、刑を受けたけれども、心からでは罪を悔いていなかった主人公でした。
    でも、ひとたび外へ出て、罪という枷につぶされそうになり、
    周りの人たちに助けられ、、、
    罪を自覚したのでしょうか。
    人を傷つけてしまった彼でしたが、さいごには、人を守ろうとする人になったと思います。

    東野「手紙」を読んだら、こっちも読んで比べてみて、と
    かなちゃんに勧めてもらったけれど、読んでなるほど。
    私は、こちらの方が納得するなぁ。


    あらすじに関係ないけれど、京葉線(たぶん地元か隣の駅も!!)や千葉など、
    馴染みのある地名がたくさん出てきて嬉しかったですー。

  • 一度罪を犯した人間がやり直すっていうのは、
    本人の心がけ以上に、
    周囲の支えがあってこそなんだなあというのがよくわかります。

    でも被害者の遺族からしたら、
    刑期を終えたからって、
    許せないというのもわかりすぎるし、
    正直、誰が正しいっていうのも答えはない。

    ただ、それにしがみついていては、
    いけないのかなっていうのは漠然と思った。

  • 人を殺し、刑務所に入り、そして仮釈放され、その後…。
    当然ですが暗いです。

    殺したからこそ背負わねばならないもの。
    被害者から受ける悪意ある行動。
    色々と凹んでしまいそうな状態ですが
    どうにか頑張っていれば…。

    内容は非常にがっしりとしたもので読みごたえはあるのですが
    暗くて辛くて悲しくなってきます。
    それはもう当然な事なのですが、何というか…。
    ちゃんと読み続けるのが大変でした。

  •  けんかで人を殺し刑に服していた主人公が仮釈放になったとたん、「殺人者です」と告発するビラがまかれる。世間の目の厳しさや孤独と向かい合いながら、次第に成長していく主人公の姿をじっくりと描いた作品。

     この作者はもともと文章を丁寧に書く人だけど、今回描かれる主人公の内面は、むしろ「おまえ、そんな風に思ったらおしまいだろ」と言いたくなるようなことが多い。自分の中にある弱さや苛立ちや怒りと戦い、必死でそれを克服しようとしている主人公の姿が、あまりにリアルに迫ってきて、読んでいて胸が締め付けられるようになる。そして、「もし自分がこの立場だったら?」と自問自答しては、また心の中が重くなる。

     じわりじわりと物語を追いかけながら、最後を迎えるのが怖いような気持ちになるのだけど、最後はさすがにほっと胸に落ちるようなシーンで終わった。

     正直疲れた。でも、読んでよかった。

  • 相手が悪くて人を殺してしまった犯人が、その相手を恨みながらも仮釈放される。その中で、周りの人がどう過ごしていたか、自分を支えようとしてくれる人。一方でいつもつきまとう、人殺しをしたという事実に下げずまれる毎日。自分が殺されかけて始めて気付く、殺された者の孤独。

  • 殺人加害者となった若者の物語。本当に俺は100%悪いのか?死んだ相手は死んだから贖罪したことになるのか?
     人と人との争いは、どちらか一方が悪いということはないだろう。喧嘩両成敗という言葉もある。メディアを通じたニュースは確かに加害者が悪いという表現が多く、確かに真実だろうし受け取るわれわれも、人を殺しておいてなんでこんなにすぐにでてくるのだ?と思ってしまう。人を殺めたことは確かに一生かけて償うべきことなんだろうけど、真実はどうだったのか?見る目は必要だ。殺したくて殺したという事件は少ないと信じたいし、おそらく事実だと思う。ならばなぜ殺したのか、被害者と加害者にあった確執とはなに?冷静にみなきゃいかんだろ!!
     ちと違うはなしだが、、死刑廃止制度についてある犯罪の遺族にきいた話があった。彼いわく。「加害者は殺してやりたい。だが被害者家族である私以外の人間にそう思ってほしいわけではない、、」とい言っていたことを思い出した。重たい言葉だ。

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