現着: 元捜一課長が語る捜査のすべて (新潮文庫)

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著者 : 久保正行
  • 新潮社 (2013年5月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101274812

現着: 元捜一課長が語る捜査のすべて (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 久保正行『現着 元捜一課長が語る捜査のすべて』新潮文庫。

    『君は一流の刑事になれ』を全面的に加筆訂正、改題・文庫化したノンフィクション。

    一般人が読めば、生々しい犯罪捜査の全貌を知ることが出来、刑事たちの熱意と苦労が伝わってくる。しかし、失敗例が中心でそこから学ぶべき点などが詳しく述べられており、どちらかと言うと先輩刑事が後輩に犯罪捜査のイロハから経験則を伝える書籍という色合いが強い。

  • 元元『君は一流の刑事になれ』といふ書物を、加筆訂正改題の上、新潮文庫から再発売されたものであります。
    著者は第62代捜査第一課長を務めた、久保正行氏。30年以上に亘り「花の捜一」で活躍した人であります。それだけに捜査一課での勤務を大いに誇りに感じ、背広の襟に燦然と輝く「S1S」バッヂに恥ぢぬ、刑事魂を持ち合はせる人物と存じます。なほ、S1Sとは、Sousa(Search)1Select=選ばれし捜査一課員といふ意味ださうです。

    元の題から分かるやうに、刑事を目指す若い人たちを主な読者に想定してゐます。ゆゑに、自ら体験した事件の数々を紹介するに当り、まづは失敗例から取り上げてゐるのです。色々と手柄話もあるでせうが、そして自慢話もしたいところでせうが、何よりも後輩たちの教訓となる例を開陳するのであります。中中好感の持てる姿勢。

    例へば、高知での資産家殺人事件。結果的にホシに自殺され、被害者の遺体も発見できぬまま終つてしまつた事件があつたさうです。逮捕状のゴーサインが出ないのを見越したホシにさんざん愚弄されながら、腰の重い検事を説得することができなかつたのが第一の反省点。
    そして、高知県警からホシに関はる情報を得てゐながら、年末の事件といふこともあり、年末警戒に人を割いたり、別の捜査本部に捜査陣を分散したりして、突込んだ捜査をしてゐなかつたことなど。

    捜査に「もしも」「たられば」は厳禁。必ずホシは検挙しなければいけないと著者は強調します。失敗には必ずその原因があり、いかなる些細なことでも検証しなければいけないのですね。
    少しでも捜査に手抜きや妥協があれば、著者のいふ「まさかの坂」を転がり落ちてゆくのでせう。考へ得るすべての可能性を潰していかねばならないのですが、先入感からこの「まさかの坂」に落ちるのださうです。

    他にも、DNA鑑定を活用した化学捜査や、立てこもりや誘拐事件などリアルタイムで進行する事件などの実例を挙げ、いかにして解決・検挙へ繋げたかを語ります。結果的にホシを検挙しても、必ず反省点や教訓はあるものです。常にさういふことを意識する著者だからこそ、後に続く若い刑事たちへの提言も説得力を持つのでせう。

    最終章では「刑事を目指す若者たちへの道しるべ」と題して、「まずマネから始めよ」「捜査力はヤカン酒のごとし(ヤカン酒を温めるには、弱火からじつくり手間をかけて温めなければいけない、手順を端折ると失敗する)」「ひらめきの源は健全な心と体」「撒かぬ種は生えぬ」など、実体験に基づいた含蓄ある言葉が並びます。
    説教臭くなく、素直に心に入る一冊と申せませう。刑事のみならず、あらゆる道に通じる教訓が詰まつてゐますよ。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-608.html

  • 「刑事の情熱がここにある」――今野敏。強盗殺人、誘拐、立てこもり。これが、現場だ。
    ガス自殺に偽装されたアパート殺人、残された柿を手がかりにホシを割った強盗殺人、指揮官自ら先頭で突入した酒店人質立てこもり──。若き日に捜査一課員に抜擢され、さまざまな現場で苦闘しながら観察眼と決断力を鍛え上げた。第62代捜査一課長を務めた著者が、犯罪捜査のすべてを語る。ノンフィクション、そして警察小説ファン必読の情熱的刑事論。『君は一流の刑事になれ』改題。(親本は2010年刊、平成25年文庫化)
    ・はじめに
    ・第一章 悔恨を噛み締めて
    ・第二章 基礎力こそ突破力
    ・第三章 科学捜査の時代に
    ・第四章 難事件に挑む
    ・第五章 生命の尊さと償い
    ・第六章 リアルタイムで進行する特殊事件に挑む
    ・第七章 刑事を目指す若者たちへの道しるべ
    ・あとがき

    面白く読みやすい。元は月刊誌「捜査研究」(東京法令出版)に寄稿したものだという。その為、内輪向けの飾らない内容となっている様(先輩が飲み屋で後輩を諭している様)に感じる。
    一般人からしてみれば刑事という職人の世界を垣間見ることが出来る。特に貴重なのは、失敗談を基調として論じている事にある。読んでいて同じ失敗を繰り返したくない(後輩に味あわせたくない)という気持ちがうかがえる。(本書にはそれでも警察官かと思うくらい唖然とする人も出てくる)
    本書を読むと著者の職務に真摯な姿勢がうかがえるが、あとがきによると全面可視化は反対との事。ここら辺はなかなか難しいものだと感じた。

  • 現実に起きた事件の刑事からの視点が垣間見る事ができて、面白かった。

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現着: 元捜一課長が語る捜査のすべて (新潮文庫)の作品紹介

ガス自殺に偽装されたアパート殺人、残された柿を手がかりにホシを割った強盗殺人、指揮官自ら先頭で突入した酒店人質立てこもり――。若き日に捜査一課員に抜擢され、さまざまな現場で苦闘しながら観察眼と決断力を鍛え上げた。第62代捜査一課長を務めた著者が、犯罪捜査のすべてを語る。ノンフィクション、そして警察小説ファン必読の情熱的刑事論。『君は一流の刑事になれ』改題。

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