レインツリーの国 (新潮文庫)

  • 22320人登録
  • 3.69評価
    • (1721)
    • (2940)
    • (2551)
    • (601)
    • (144)
  • 2295レビュー
著者 : 有川浩
  • 新潮社 (2009年6月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101276311

レインツリーの国 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 文庫化してすぐに読んだけど、
    ワケあって再読。

    自分が好きな本の結末を
    他のみんなはどう受け止めてるのか?

    感想なんて人の数だけあっていいし、
    自分が感じたことがすべてだと思ってるけど
    ほんの稀に他人の書評が
    妙に気になることがあります。
    (特にあまりに衝撃的な結末だった場合)

    そして他人の感想を読んで
    その人と話してみたいと思うことって
    意外とあるんですよね。


    中学の頃に読んだライトノベルのシリーズの書評を通して
    伸とひとみは
    メールのやりとりを続けながら
    少しずつ少しずつ距離を縮めていく。

    しかしひとみには
    会うことに積極的になれない
    ある秘密があって…



    読書というのは
    あくまで個人的な行為で
    自ら孤独の中に浸り
    自分自身と向き合う時間。

    だからこそ書評には
    素直な思いが溢れているハズだし、

    選ぶ言葉や言い回しや文体には
    その人自身の思想や
    生きるスタンスまでもが表れるものだと思うのです。

    そういう意味で
    ネットから恋もありえること。

    ネットって言葉がすべてだから
    解り合うためには
    じっくりと真摯に
    言葉を尽くさなきゃならないし、

    好きなものを通じて
    ものの考え方や
    言葉にまず惹かれているわけだから
    見た目から入る恋愛よりも
    実は深いところで結びついている強みって
    少なからずあるんですよね。


    読書好きだからこそ分かる、
    自分が書いたものに対して
    反応が返ってきた時の
    驚きと喜びの心理描写の妙。
    (繋がったっていう感覚、ブクログのみんななら分かるよね)

    伸とひとみのように
    趣味がある程度カブっているのに
    視点が自分とは微妙に違うパターンだと特にテンション上がるのも頷けるし(笑)、

    ネットやリアルに限らず
    本当に失くしたくない縁だと思うなら
    解り合う努力を簡単に放棄しちゃいけないってことを
    改めて思い知らされた気がします。


    お互い違う環境で育った二人だからこそ
    惹かれ合うんやし、

    そもそも人は違うからこそ
    解り合いたいものなんやもん(笑)


    できることなら
    一歩だけ前へと歩きだした
    伸とひとみの行く末に
    あたたかな光を。

    この小説が
    報われない愛の前で立ちすくむ
    誰かのバイブルとなりますように。

  • ネットで知り合った20代半ばの男女の恋愛もの。
    聴覚障がいを持つ彼女の事情も含めて、丁寧に描かれます。

    かって愛読した作品のラストが気になっていた伸行。
    高校生が活躍するSFアクションもののハチャメチャな楽しさにはまっていたら、彼女が彼との別れを選ぶという結末にショックを受けたのだ。
    仕事にも慣れてきた頃、ネットで感想を検索してみたら、「レインツリーの国」というサイトを見つける。
    ひとみというハンドル名の女性が書いている感想に興味を持ち、伸のハンドル名で書き込むと、互いに好印象で、3日とあけずにラリーが続くようになった。
    会いたいという願いを最初は拒んだひとみだが、紀伊国屋で待ち合わせることになる。

    重たそうな髪の少し野暮ったい彼女。
    それは想定内だったが、ところどころ不審な点があり、しまいに伸行は爆発してしまう。それは誤解だった‥
    彼女は補聴器をつけていて、それでも聞き取れない場合があったのだ。
    障がい者枠で就職していたが、身近な社員の理解を得られず、実は孤立している苦しみがあった。
    いちいち説明なんかとてもできないと思ってしまいがちだけど、ほんとは説明したほうがいいことも‥そのへん、下手なところがあるんですね。

    時にはぶつかり、行き違いを重ねつつも、また手を差しのべあう二人。
    聴覚障がいについても適度に説明されていると思いますが、障がいに限らず、育ち方の違いやコンプレックスのあり場所などで、互いにこういった問題はよく起こるものと感じられます。
    メールのやり取りがリアルでちょっとイタイ‥遠い昔に~身に覚えが‥?
    そういう意味で、恋愛として普遍的なものを感じました。
    彼にちょっと近づく女の子も、恋愛至上主義にしてはさばさばしていて、有川さんらしい。

    めんどくさい女の子の気持ちを理解したいと思う寛大な伸。
    その真っ直ぐさがまぶしい~!
    何の苦労もしていないからではなく、彼にも人にはわかりにくいかもしれない経験がある。
    それを乗り越えた後だからの知恵の回り方。
    「理屈っぽい」という理由で今まではフラれていたというのが笑えるけど。
    お似合いなのね~ふふふ♪
    用心して距離を置いていたのに、いつの間にか彼に甘えている彼女が、一歩ずつ成長していく甘~いお話です☆

    図書館シリーズの2作目からのスピンオフ作品。
    内容はこれだけで独立しているので、恋愛物が読みたいときにどうぞ!

  • 甘い往復書簡を読んでるみたい!
    と、恋気分で読んでたのも束の間…。

    お互いを想う気持ちはたくさんあるのに
    自分が自分がの自己主張が少しずつ降り積もって
    大きな溝になったり、歪になったり。

    恋の感情だから超えられること、
    恋だからこそ超えられないこと。
    でも、こんがらがりすぎた糸も
    言葉を届けあうことで時間をかけて解いていく。
    互いを分かるための労力を惜しまないことは
    大切に繋がっていくために何よりも大事なことだと思う。

    恋は成就することよりもその後お互いに
    幸せな気持ちを交換し続けられることが大変。
    最初すごく簡単に思えることほど本当は難しい。

    レインツリー=ネムノキの花言葉は
    「歓喜」「胸のときめき」。
    たくさんの辛い思いをぶつけあってもなお
    一緒にいたいと願った2人の未来が幸せだといいな。

  • 久々に良い本に出逢えました。価値観の合う人って恋愛において大事なポイントだしそれが好きな書籍について共感しあえるなんて本当に素敵だと思う。私は最近読書に目覚めてまだ読んだ本も少ないけど、私が良かったと感じた1冊が当サイトを通じて名前も顔も勿論知らない誰かも同じように同調して貰えた時は本当に嬉しかった。
    健聴者と障害者の恋愛がテーマってよく有りがちなドラマ仕立てが多いけど、現代的だけど奥ゆかしくてでもストレートで。最後の最後まで二人の距離が縮まる行程が青春菌満載で爽快でした。
    この本、凄く好きです。

  • 読後はさわやか青春菌。
    図書館戦争に出てきた本で気になっていたのだが、やっと読めた。
    でもまあ、こんないい男はいないんじゃ?(笑)
    有川さんは言葉を大事にしていることを言葉で表現してますよね。
    個人的にはボリュームが足りなかったかなあ。もうあと2つ3つエピソードがあって、仲良くなる過程を見たかったかなあ。まあ、それも読者の想像に任せたい、という一つの表現なのかな。
    この本のおかげで、人の書評を読みたくなり、ブクログエントリー。

  • 主人公の純粋でストレートな気持ちが、文章の1行1行に、爽快に描かれています。
    そのことが、一読者である私を、とてもわくわくさせました。


    「彼女は――彼女たちは、耳が不自由な分だけ、言葉をとても大事にしているのだ。」
    (p.184から引用)


    だからこそ、主人公の真っ直ぐで飾らない言葉は、彼女の心にきちんと届いたのだと、私は思います。


    言葉には、時に傷ついたり、逆に傷つけてしまうこともあるけれども、
    でもやっぱり、誰かの言葉に救われることが圧倒的に多いのですね。

    だからこそ、私は、ひとつひとつの言葉を大切にしていきたいし、
    できる限り、きれいな文章を書けるよう努力していきたいと思います。

  • きっかけは「忘れられない本」そこから始まったメールの交換。あなたを想う。心が揺れる。でも、会うことはできません。ごめんなさい。かたくなに会うのを拒む彼女には、ある理由があった。

    図書館戦争シリーズの「図書館内乱」から、出てきた本。
    とても、素敵なお話でした。

    聴覚障害者の方の大変さなどが、スムーズに書かれておりなるほど・・・と考えさせられる部分もたくさんありました。

    夏に読んでさっぱりする爽快ラブコメでした。


    有川先生らしい、終わりで私は好きです。

  • すぐに友人にオススメしました!

    短いから読みやすいし2日で読み終わった!恋愛ものだけど人間らしさが描かれててフィクションだけど物事が思う様に進まない辺りや同じやりとりの繰り返しが現実というかご都合主義ではなくて考えさせられることも多かったし、ストーリーの男性も綺麗すぎな感じじゃなく人間らしさがでててね。
    なんかこの本に出会ったときの自分に少し2人の気持ちがリンクするとこもあって良かった、話の取っ掛かりとかは今時ぽいかもだけど。

    本を読む人なら誰にでも忘れられない本てあるじゃない?それが子どもの時に読んだ本でも、急にふとしたときに思い出すみたいな。
    それで本のレビューをみて
    自分と似た感性の人がいる!って彼は嬉しくなりヒロインの彼女との本の感想などのやりとりがメールで始まるんだけど
    彼女には会えない理由があるの。

    私この本を読むまで聴覚障害の人は
    手話を使えるってイメージがあったけど
    中途失聴とか聾とか伝音、感音ってあるのを知ってさ自分なんも知らないんだなぁって思った。

    深く考えた。

    彼は自分と感性が似てるけど少し違う見方もする彼女に惚れたんだなってこの男の子もさ
    少女マンガのヒーローて感じじゃなくてさ
    ヒロインを傷つける言葉をいったり自分の意志の強さがあったりストレートでさ
    感性が似てる人と出逢うっていいなぁと思ったよ。

    私がこの本の中で
    印象に残る言葉があって
    痛みにも悩みにも貴賎はない。周りにどれだけ陳腐に見えようと、苦しむ本人にはそれが世界で一番重大な悩みだ。救急車で病院に担ぎ込まれるような重病人が近くにいても、自分が指を切ったことが一番痛くて辛い、それが人間だ。
    彼女は彼女たちは耳が不自由な分だけ、言葉をとても大事にしているのだ。第一言語として自分たちに遺された言葉を。その言葉を大事に使って、真摯に理屈を組み立てる。だから伸行はひとみの言葉に魅かれるのだ。あれほど真摯に使われる言葉はまたとないからだ。自分と似ていて少し違う心地よさ、それはひとみが言葉の限りある愛おしさを知っているからだ。
    その言葉で大切な思い出の本を語られたら、魅かれない奴はいないだろう。


    私もこんなに自分とぶつかってくれる人にいつか出逢いたいな。
    僅かな願望(笑)

    読後、友人に力説しました(笑)

  • 知り合ったきっかけがなんであれ、近づいていくプロセスがどうであれ、この2人は「出会うべくして出会った2人」。
    お互いにつらい過去を抱え(片方のはこれからも抱えていかねばならない性質のものだけど)、かなった恋も一筋縄ではいかないだろうけど、そんな2人だからこそ乗り越えられると信じたい。
    『阪急電車』を読んだ時も感じたが、有川浩は会話のテンポが実に心地よい。会話を通して、ストーリーにぐいぐい引き込まれていくんだなあ。

  • 今までにない衝撃を受けました。
    ただのラブストーリーだと思って読んでいた私にとって、この本の核となる部分は重かったです。
    いつもなら
    おもしろかったー、とか
    切ない…
    で終わる私のつたない感想ですが、なんだかこのおはなしはそんな簡単な言葉で終わらせちゃいけないような気がして、このレビューを書きながらも戸惑っています。
    ひとみさんもいうように『深く刺さって抜けない棘のよう』な作品になりそうです。
    私は、ひとみさんの前に自信を持って立てるのでしょうか。
    伸さんみたいに、真正面から向かっていくことができるのでしょうか。
    そんなことを読み終わってからずっと考えて、そして涙があふれてきます。
    ストーリーに感動して、という理由もありますが、自分に対するやるせなさ?みたいなもので。
    すごくすごく心が揺さぶられました。
    いつもの私なら、オススメの作品はみんなに紹介して回りたい性格なのですが、この作品はそうじゃなくて、私がひっそり書いたこのレビューをうっかり見つけてくれた人が、興味を持って手にとってもらえればなあという思いです。


    なーんて、偉そうなことを書いてしまいましたね。
    私も青春菌がうつったかも笑
    こうやってレビューを書いてる私にとって、二人の出会い方はすごく素敵で、憧れます。

全2295件中 1 - 10件を表示

有川浩の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有川 浩
有川 浩
有川 浩
有川 浩
有川 浩
有効な右矢印 無効な右矢印

レインツリーの国 (新潮文庫)に関連する談話室の質問

レインツリーの国 (新潮文庫)を本棚に登録しているひと

レインツリーの国 (新潮文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

レインツリーの国 (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

レインツリーの国 (新潮文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

レインツリーの国 (新潮文庫)の作品紹介

きっかけは「忘れられない本」。そこから始まったメールの交換。共通の趣味を持つ二人が接近するのに、それほど時間はかからなかった。まして、ネット内時間は流れが速い。僕は、あっという間に、どうしても彼女に会いたいと思うようになっていた。だが、彼女はどうしても会えないと言う。かたくなに会うのを拒む彼女には、そう主張せざるを得ない、ある理由があった-。

ツイートする