レインツリーの国 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.68
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101276311

感想・レビュー・書評

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  • 甘い往復書簡を読んでるみたい!
    と、恋気分で読んでたのも束の間…。

    お互いを想う気持ちはたくさんあるのに
    自分が自分がの自己主張が少しずつ降り積もって
    大きな溝になったり、歪になったり。

    恋の感情だから超えられること、
    恋だからこそ超えられないこと。
    でも、こんがらがりすぎた糸も
    言葉を届けあうことで時間をかけて解いていく。
    互いを分かるための労力を惜しまないことは
    大切に繋がっていくために何よりも大事なことだと思う。

    恋は成就することよりもその後お互いに
    幸せな気持ちを交換し続けられることが大変。
    最初すごく簡単に思えることほど本当は難しい。

    レインツリー=ネムノキの花言葉は
    「歓喜」「胸のときめき」。
    たくさんの辛い思いをぶつけあってもなお
    一緒にいたいと願った2人の未来が幸せだといいな。

  • 現代らしくネットでの交流から発展する恋愛を描いた小説ですが、シリアスな現実問題にお互いが葛藤するという大きな流れがあり、メール、チャット、ブログなどを通しての会話や、主客転換など、様々な技法も織り交ぜた意欲作といえるでしょう。
    ただ、あまりにも展開がベタすぎるせいか(笑)、普通、そういう思考やふるまいはしないだろうとか、設定ありきの前振りが露骨すぎて、いまひとつ自分には馴染めなかった。そもそもの発端である小説のラストで、普通そこまで根に持つ内容かなあ?(笑)とかそういう感じです・・・。
    ブクログのレビューを迂闊にも先に読んでしまって、前半のミステリアスな部分をネタバレされてしまっていたことも悪影響しているかもしれません。(泣)
    まあ、さらりとした知識提供があったり、プラスマイナスの心情の対置がきれいに描かれていてラストも落ち着いた風でしたので、その辺は良かった。

    • まろんさん
      図書館戦争シリーズ第二作の『図書館内乱』で
      小牧と毬江ちゃんのエピソードとリンクする作品なので
      ミーハーな私は、「わ~い、『内乱』の表紙に『...
      図書館戦争シリーズ第二作の『図書館内乱』で
      小牧と毬江ちゃんのエピソードとリンクする作品なので
      ミーハーな私は、「わ~い、『内乱』の表紙に『レインツリー』の表紙が出てる♪」
      と、うきうきしながら読みました(笑)

      私は、読んだお話のラストが悲し過ぎたり納得できなかったりすると
      勝手に空想の中でお話を作り替えたりしてしまう子だったので
      (たまに、どれが本当のラストシーンだったのかわからなくなったりしますが。。。)
      ラストに拘りを持ち続けて、同意見の誰かと意気投合!みたいな感覚は
      ちょっとわかるような気がします。

      障碍を外から見る視線と、障碍を持つ側からの拒絶というのは、
      有川さんがどうしても書きたかったテーマなんだろうなぁ、と思いました。
      2012/06/10
    • mkt99さん
      コメントありがとうございます!m(__)m

      自分は残念ながら未読ですが、著者ご本人の「あとがき」によると『図書館内乱』とのリンクはかなりこ...
      コメントありがとうございます!m(__)m

      自分は残念ながら未読ですが、著者ご本人の「あとがき」によると『図書館内乱』とのリンクはかなりこだわりを持った企画だったようですね。違う出版社ですがお遊び感覚があって良い企画ですね。(^o^)

      ラストの拘りの話は自分も「えー?」ということがあるので、誰かと語りあいたい気持ちはよくわかります。(笑)読んだ者同士でないとわからない感想の一体感もありますしね。ただ、彼女が彼氏を慮って別れるというラストはそれほど違和感がないのでは・・・と思ったものですから。(>_<)

      「障碍を外から見る視線と、障碍を持つ側からの拒絶」というテーマを描きたかったというのはまさにその通りで、お互いの気持ちのバトルが凄いと思いました。

      ラストシーンを自分で空想してしまうとは!著者さんにも伝えてあげたいところですね。(^o^)
      2012/06/10
  • 再読です。

    私に〝言葉にこだわる〟という軸をくれた作品です。
    〝聞く〟と〝聴く〟の違いは意識しています。

    私は〝偏見〟というのは「なくすもの」ではないと思うんです。「自分の中に偏見はある」と自覚することが大切だと思うんです。

    例えば「元殺人犯の人」を「殺人をしたことがない人」と一緒にはできないじゃないですか。
    やっぱり〝知ってしまえば〟偏見は生まれてしまうと思います。

    それでも、
    「元殺人犯の人」ではなく、「(元殺人犯の人)Aさん」として向き合うことが大切だと思うんです。

    これは極端な例えですね。

    身近だと、「店員さんに態度が悪い人」は自分の常識ではあり得ないです。
    でも、たまたまそれを見たからって「あの人はこういう人間だ」って思ってしまうのは怖いことです。

    6面のサイコロは1面だけ赤い。
    たまたまその部分を見てしまったのかな。って思うようにするのが私のコツ。

  • すぐに友人にオススメしました!

    短いから読みやすいし2日で読み終わった!恋愛ものだけど人間らしさが描かれててフィクションだけど物事が思う様に進まない辺りや同じやりとりの繰り返しが現実というかご都合主義ではなくて考えさせられることも多かったし、ストーリーの男性も綺麗すぎな感じじゃなく人間らしさがでててね。
    なんかこの本に出会ったときの自分に少し2人の気持ちがリンクするとこもあって良かった、話の取っ掛かりとかは今時ぽいかもだけど。

    本を読む人なら誰にでも忘れられない本てあるじゃない?それが子どもの時に読んだ本でも、急にふとしたときに思い出すみたいな。
    それで本のレビューをみて
    自分と似た感性の人がいる!って彼は嬉しくなりヒロインの彼女との本の感想などのやりとりがメールで始まるんだけど
    彼女には会えない理由があるの。

    私この本を読むまで聴覚障害の人は
    手話を使えるってイメージがあったけど
    中途失聴とか聾とか伝音、感音ってあるのを知ってさ自分なんも知らないんだなぁって思った。

    深く考えた。

    彼は自分と感性が似てるけど少し違う見方もする彼女に惚れたんだなってこの男の子もさ
    少女マンガのヒーローて感じじゃなくてさ
    ヒロインを傷つける言葉をいったり自分の意志の強さがあったりストレートでさ
    感性が似てる人と出逢うっていいなぁと思ったよ。

    私がこの本の中で
    印象に残る言葉があって
    痛みにも悩みにも貴賎はない。周りにどれだけ陳腐に見えようと、苦しむ本人にはそれが世界で一番重大な悩みだ。救急車で病院に担ぎ込まれるような重病人が近くにいても、自分が指を切ったことが一番痛くて辛い、それが人間だ。
    彼女は彼女たちは耳が不自由な分だけ、言葉をとても大事にしているのだ。第一言語として自分たちに遺された言葉を。その言葉を大事に使って、真摯に理屈を組み立てる。だから伸行はひとみの言葉に魅かれるのだ。あれほど真摯に使われる言葉はまたとないからだ。自分と似ていて少し違う心地よさ、それはひとみが言葉の限りある愛おしさを知っているからだ。
    その言葉で大切な思い出の本を語られたら、魅かれない奴はいないだろう。


    私もこんなに自分とぶつかってくれる人にいつか出逢いたいな。
    僅かな願望(笑)

    読後、友人に力説しました(笑)

  • 読後はさわやか青春菌。
    図書館戦争に出てきた本で気になっていたのだが、やっと読めた。
    でもまあ、こんないい男はいないんじゃ?(笑)
    有川さんは言葉を大事にしていることを言葉で表現してますよね。
    個人的にはボリュームが足りなかったかなあ。もうあと2つ3つエピソードがあって、仲良くなる過程を見たかったかなあ。まあ、それも読者の想像に任せたい、という一つの表現なのかな。
    この本のおかげで、人の書評を読みたくなり、ブクログエントリー。

    • HNGSKさん
      urarintyoさん、初めまして。あやこといいます。
      わたしも、伸のようないい男は、この世にはまず存在しないのでは・・・と思いました。
      有...
      urarintyoさん、初めまして。あやこといいます。
      わたしも、伸のようないい男は、この世にはまず存在しないのでは・・・と思いました。
      有川さん作品にでてくるすべての男子について言えることかもしれません。(笑)
      2012/11/15
    • urarinchoさん
      コメントありがとうございます!
      ネー。有川さん作品の男どもはカッコよすぎて、現実の男子はつらいっす(笑)
      コメントありがとうございます!
      ネー。有川さん作品の男どもはカッコよすぎて、現実の男子はつらいっす(笑)
      2012/11/15
  • 久々に良い本に出逢えました。価値観の合う人って恋愛において大事なポイントだしそれが好きな書籍について共感しあえるなんて本当に素敵だと思う。私は最近読書に目覚めてまだ読んだ本も少ないけど、私が良かったと感じた1冊が当サイトを通じて名前も顔も勿論知らない誰かも同じように同調して貰えた時は本当に嬉しかった。
    健聴者と障害者の恋愛がテーマってよく有りがちなドラマ仕立てが多いけど、現代的だけど奥ゆかしくてでもストレートで。最後の最後まで二人の距離が縮まる行程が青春菌満載で爽快でした。
    この本、凄く好きです。

  • 通じ合うのに中々通じ合えない。
    現実は、そうだよね。
    理解し合うためにはお互いに傷付き合いそれを伝えて、また自分が相手を傷つけている事も互いに理解しようとしなければいけない。
    恋愛小説としてだけではなく、人との関わりも教えてくれる。
    傷つく事にも逃げない2人がこれからどうなるのか、続きも知りたい。

  • ライトノベルがきっかけで、ネットを通じて知り合う男女の物語。
    女性は聴力障害を持っており、それゆえの自己主張か、あるいは我儘か、お互い相いれない思いをぶつけつつも愛し合う気持ちを重ねていくという、ハートフルな話である。

    有川さんの物語は『空の中』にも見られた、最後にほっこりするハッピーエンドになっているのが素晴らしいと思う。が、個人的にはどこかギスギスした人間関係が噴出して、ゴタゴタしつつも一つの答えに辿り着く方が「物語としては」楽しいなと感じてしまう。スレた大人のやさぐれだろ?と言われるとその通りなのですが。

  • 今日は時間がまだあるし、薄そうだしもう一冊読むか、と手に取った本。
    そうそう、本で共感できると仲良くなれるよねーって思いながら本の貸し借りをした高校時代の彼女のことを思い出してしまいました。
    さらさらと読めてしまってそのまま終わるのでちょっと物足りなく感じて、星3つ。

  • 有川浩。これまでに読んだ3冊がどれも素敵な作品で・・・、
    近年、好きな作家になったうちの1人。そんな有川さんの4冊目読みとなる本作。

    いきなりガツンとガッカリさせられた。

    だって・・・・冒頭が・・・・ライトノベルがうんたらかんたらっていう始まりなんだもの。ライトノベルについて熱~く語り始める主人公。ヒロインと思しきキャラまでも、それに輪をかけた熱心ぷりなんだもの。昭和生まれにはどうにもこうにも馴染めない設定。

    でも・・・・・・・・・。

    だのに・・・・・・。

    物語が動き始めて以降は、ぐんぐんとその世界観に引き込まれっ放しだった。
    「伸さん」の、なんと一途な恋心。こんな青年に想いを寄せられたヒロインが、羨ましいと感じた。(自分、男だけど)

    障害がうんぬん・・・については、深くは語れない。しかし、筆者のあとがきにもあるように、これは障害者への偏見だとか社会制度だとかではなく、(たまたま障害がある女性がヒロインな)恋愛小説なのだろう。

    こんな素敵な物語を読ませてくれた有川さんに、感謝。

    ★5つ、9ポイント半。
    2019.12.14.新。

    ※マイナス0.5ポイントは、冒頭の「ラノベ」うんうんの分。ライトノベルファンへの偏見かもしれないけれど・・・読まず嫌いかもしれないけれど・・・どうにもこうにも違和感が拭いきれず。。
    作品としては、文句なしに「大好きな一冊」のうちの一つにエントリー♪

    ※筆者のあとがきと巻末の解説文を読み、過剰・・・というか、どこかズレた人権意識によるメディアの自主規制問題に憤りを感じた。

    ・・・その流れで言うなら、十代最後の夏に夢中になって観ていた連ドラ「愛していると言ってくれ」も、現在なら放映できない作品だったのかも?と思ったら余計に。


    ※ライトノベル寄りな雰囲気(匂い)が漂ってくるために人気作なのは知っていても敬遠していた「図書館戦争」も、読んでみようかしら・・・・と思った。

    • moboyokohamaさん
      この作品を読んで、いわゆる健常者の無知を知らされてショックでした。
      今コロナ禍の中、マスク着用が必須になりマスク警察なる人達まで出てくるよう...
      この作品を読んで、いわゆる健常者の無知を知らされてショックでした。
      今コロナ禍の中、マスク着用が必須になりマスク警察なる人達まで出てくるようになりましたが、マスクのせいでリップリーディングできずに困っている聴覚障害者がいる事を知っているのだろうか?
      2020/08/29
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著者プロフィール

高知県生まれ。2004年『塩の街』で「電撃小説大賞」大賞を受賞し、デビュー。同作と『空の中』『海の底』の「自衛隊』3部作、その他、「図書館戦争」シリーズをはじめ、『阪急電車』『旅猫リポート』『明日の子供たち』『アンマーとぼくら』等がある。

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