- Amazon.co.jp ・本 (691ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101277721
作品紹介・あらすじ
日本の生命線フィリピンを保持するための、成算なき大博打-その名を「捷一号作戦」といった。運命の海戦の火蓋が切られる。爆弾・魚雷を一身に受け、武藏は満身創痍に。だが乗組員の尽力により、驚異的に浮かび続けた。巨大戦艦の沈没、そして、そこから始まる、幾通りもの数奇な運命。波瀾の時代に生を受けてしまった青年たちの真実を描き、絶賛を浴びた、不朽の人間ドラマ。
感想・レビュー・書評
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吉村昭作品なんかに比べればあまり知られていないが本書は戦記物の名作中の名作。高齢の関係者へのインタビューを見事にまとめきった対策戦記。後世に残したい名作。
何度読み返しても素晴らしい。巨大戦艦となると2千人以上の乗組員。半数以上が戦死する海戦。
下巻はシブヤン海の死闘から生存者のその後まで。
いずれ光人社NF文庫かちくま文庫入は間違いない。多くの人に読んでもらいたい名作中の名作。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ようやく読み終えたこの今の気持ちを、どう表現すれば良いのだろうか。
武蔵乗組員たちは必死で戦う。必死で、と書いたが、死を恐れない勇敢さを、戦闘員も機関員も応急班員も持っている。一方で海に投げ出されても生きる希望を捨てない。そして危険を冒しても救助を止めない駆逐艦員たち。特攻など生命の軽視ともとれる傾向が旧日本軍にはあるのだが、第一線に立つ彼らはより高次の精神で戦い続けたことがわかる。
武蔵が沈んでも、駆逐艦が沈んでも、フィリピンが陥落しても、物語は終わらない。何故かと言えば、武蔵乗組員も駆逐艦員も、生き続けているからだ。その生命の物語を丹念に拾い続け、十数年をかけて紡ぎあげた筆者の力量には感服としか言いようがない。押し寄せてくる将兵たちの真実の声にただただページを繰り続け、1週間の夏休みの間読み続けて、ようやく本を置くことができた。戦争ものの本は数多あるが、これまで読んだ中で間違いなく一番の労作と称賛したい。そしていつか、自分もこんな生命の迸りを物語にしたい、そう思った。 -
上巻が長くてつらかったのですが、がんばって下巻読んでよかったです。下巻からは武蔵が沈む話が中心なんで、あまり視点があっちこっちいかないので読みやすいし、辛いエピソードや泣けるエピソードなど、読みどころが多いです。死んでしまった人たちの話も生き残った人たちの話もどっちも辛いですが感動します。泣きました。
しかし、ルソン島で「ジャパンゲリラ」の恐ろしさを書いてましたが、これは知らなかったです。フィリピンゲリラより米兵より怖かったとか…極限状態になると人間、なにかを踏み外してしまうのでしょうか。 -
上巻に同じ
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内容(「BOOK」データベースより)
日本の生命線フィリピンを保持するための、成算なき大博打―その名を「捷一号作戦」といった。運命の海戦の火蓋が切られる。爆弾・魚雷を一身に受け、武藏は満身創痍に。だが乗組員の尽力により、驚異的に浮かび続けた。巨大戦艦の沈没、そして、そこから始まる、幾通りもの数奇な運命。波瀾の時代に生を受けてしまった青年たちの真実を描き、絶賛を浴びた、不朽の人間ドラマ。 -
2009 9/25読了
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分厚い本であるが、ずっしりと詰まった重みがある。「武蔵」で縁を結んだ人々の運命を追体験することで、太平洋戦争がどのようなものであったかを感じることができる。