肉体の鎮魂歌(レクイエム) (新潮文庫)

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制作 : 増田 俊也 
  • 新潮社 (2015年6月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101278131

肉体の鎮魂歌(レクイエム) (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 異なる著者のドキュメンタリー短編集で、共通するのは、被写体の内面にどこまでも踏み込んで行こうという貪欲さ。これが深まるにつれ、シンパシーだとか連帯感のようなものに純化される。
    共通しないのは、踏み込み方のアプローチ。これは、被写体の差というよりは、やはり著者の個性によるものだろう。
    ある者は、スポーツ選手としての生命を終えたその後の生活に切り込み、そこから勝負の世界の厳しさに光をあてる。
    ある者は、選手の遅すぎた全盛期を執拗に描き、一瞬のきらめきを見せることでそこに至る精神のあり方を陰として際立たせる。
    いいものを読んだ。選手生命の終わりを描く以上読後感は爽快なものではないが、そうであるからこほ、選手生命というものの尊さを感じる。

  • 「木村政彦は~」の著者増田俊成によるスポーツノンフィクションの傑作アンソロジー。流石増田俊成。所収の10編は、いずれも間違いなく傑作ぞろいである。一方で、個人的に違和感のある編があったことも事実である。瀬古の鬼コーチぶりを語った「オリンピックに嫌われた男」、王監督の解任の過程を語った「スーパースターの涙」など。その共通点を探してみると、どうも、自分は、スポーツの①集団性、②政治性、③師弟関係的なものに、馴染めないものを感じているようだ。だから、これとは真逆の将棋や棋士のエッセイを好んで読んでしまうのか、、、と、認識してしまった。

    なお、10編のうち、「江夏の21球」(傑作)と「超二流と呼ばれた柔道家」が既読。最も印象的だったのは、「遥かなる祝祭。ー吉村禎章の軌跡。ー」。これは、単に自分が野球に興味のあったごく一時期(2年ほど)吉村のファンだったことによるものである。

  • 増田俊也氏が選んだ短編スポーツノンフィクションの傑作選。
    例えば著名な「江夏の21球」のような超有名どころも対象外せず、編者が傑作と呼ぶ作品だけを選りすぐって収録している。

    冒頭から読み進めて3作品ぐらいまでは、なるほど確かに面白い作品だと思った。
    しかし、更に読み進めていくにつれて、読みながら冷めていく自分を感じた。
    それは別に、冒頭の作品だけレベルが高いということではないと思う。

    ではなぜか? 
    これらの作品の面白さは、読者が既にその人物を知っている、あるいはその出来事を知っている、ことを前提に成立しているのではないか?と感じたからである。

    私は、年代的にかろうじて吉村禎章(と試合中のあの事故)や西本聖を知っているし、興味分野として中井祐樹とバーリトゥード・ジャパンオープン1995を知っていたので、これらを扱った作品を面白く読むことができた。
    しかし、もし知らなかったとしたら同じように面白く読めたのだろうか?

    事実、自分がよく知らないホリフィールドや西眞一を扱った作品は、それほど感じることがなかった。

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    沢木耕太郎「三人の三塁手」(長嶋茂雄、難波昭二郎、土屋正孝)
    高川武将「オリンピックに嫌われた男。」(瀬古利彦)
    山際淳司「江夏の21球」
    茂田浩司「中井祐樹、戦いの記録/特別な一日」
    高山文彦「遙かなる祝祭。ー吉村禎章の奇蹟ー」
    海老沢泰久「嫌われた男 西本聖」
    佐瀬稔「アリを超えた男 イベンダー・ホリフィールド」
    増田俊也「超二流と呼ばれた柔道家」(堀越英範)
    吉崎エイジーニョ「266ゴールの男」(西眞一)
    織田淳太郎「スーパースターの涙」(王貞治)

  • スポーツにはドラマがある。最高だ。西本聖のエピソードが特に良かった。中井さんと柔道のエピソードは読んだことあったけど何度読んでも感動する。

  •  スポーツ物のノンフィクションはどれも実におもしろい。収録のうち、2つは読んだことがあるものだった。今読んでも色あせることなくそのシーンが蘇る。同時に当時の自分や周りの状況もつぶさに。名シーンと後に言われるものはもちろんのこと、そうでなく極私的な出来事にも、かなりの思い入れがあると認識。それをプロライターが記録すると、こんなに明瞭になるのかというところにまず敬服。これは蔵書の1つとしたい。

  • スポーツノンフィクションアンソロジー。あの増田俊也のセレクトだけに格闘技を中心としたラインナップかと思いきや、幅広く、様々なスポーツ界からセレクトされている。一番多く描かれているのはプロ野球界である。なかでも『江夏の21球』は秀逸。

    沢木耕太郎『三人の三塁手』。長嶋茂雄と同時期に巨人に入団し、球界の歴史に埋もれた二人の三塁手。スポーツにもしもは無いが、もしも、同じ時代に長嶋茂雄が居なかったら活躍したかもしれない二人の選手…

    高川武将『オリンピックに嫌われた男。』。選手としても、監督としてもオリンピックでメダルを手にすることが出来なかった瀬古利彦の実像に迫った作品。

    山際淳司『江夏の21球』。スポーツノンフィクションの中でも、名作中の名作。1979年の日本シリーズ第7戦で見せた江夏豊の21球を選手や監督の証言から描いてみせる。当時、NHKでも、山際淳司のこのノンフィクションに基づく番組が放送されたと記憶している。

    茂田浩司『中井祐樹、戦いの記録/特別な一日。』。総合格闘技で活躍した中井祐樹の戦いの記録。ジェラルド・ゴルドーを破り、ヒクソン・グレイシーと対峙した中井祐樹。もしも、中井がベストコンディションだったなら、日本の総合格闘技の歴史が変わったかもしれない。敗けないための戦術を徹底するブラジリアン柔術の最高峰を日本の格闘家が破っていたら…

    高山文彦『遥かなる祝祭。ー吉村禎章の軌跡。ー』。昔、巨人に吉村禎章という選手が、選手生命を脅かされるほどの大怪我をしたのを思い出した。確かにあの事故は衝撃的であり、当時は、よくぞ選手として復帰出来たと驚いたものだ。吉村の苦しみも相当なものだったと思うが、加害者の栄村の苦しみもまた…

    海老沢泰久『嫌われた男 西本聖』。ストイックゆえに他の選手に嫌われた西本聖の実像に迫る快作。巨人の中でも、奢りを見せない珍しい投手だった。

    佐瀬稔『アリを越えた男 イベンダー・ホリフィールド』。派手なパフォーマンスも無く、真っ直ぐなボクシングを見せたイベンダー・ホリフィールド。マイク・タイソンとの死闘と、その驚愕の結末は強く記憶に焼き付いている。

    増田俊也『超二流と呼ばれた柔道家』。古賀稔彦という天才柔道家を背負いで投げ、小川直也との闘いも、旗判定まで持ち込んだ遅咲きの花。堀越英範という武道家の歩んだ道は正しかったようだ。

    吉崎エイジーニョ『266ゴールの男』。余り知られていない西眞一という天才サッカー選手に光を当てた作品。

    織田淳太郎『スーパースターの涙』。このアンソロジーでは、珍しくプロ野球監督にスポットを当てた作品。名選手が名監督ではないが…巨人の王貞治監督の去就を巡るドラマ。

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    人生の勝ち負けって、一体誰が決めるんだ―。地獄から這い上がる男たちを描く、傑作スポーツノンフィクションアンソロジー。

  •  長島、王、江夏といった大物スポーツ選手についてから、ほぼ無名なスポーツ選手の伝説まで集めたノンフィクション短編集。格闘家の中井さん、九州リーグのサッカーの得点王の西。超2流の柔道家、堀越。結構味がある。ついつい、you tubeで動画を探してしまった。

  • 三人の三塁手/沢木耕太郎
    オリンピックに嫌われた男。/高川武将
    江夏の21球/山際淳司
    中井祐樹、戦いの記録/特別な一日。/茂田浩司
    遙かなる祝祭。―吉村禎章の軌跡。―/高山文彦
    嫌われた男 西本聖/海老沢泰久
    アリを越えた男 イベンダー・ホリフィールド/佐瀬稔
    超二流と呼ばれた柔道家/増田俊也
    266ゴールの男/吉崎エイジーニョ
    スーパースターの涙/織田淳太郎

    プロ野球にハマっていた頃があったので、自然とそれらに涙腺を刺激される。

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肉体の鎮魂歌(レクイエム) (新潮文庫)の作品紹介

人生の勝ち負けって、一体誰が決めるんだ――。地獄から這い上がる男たちを描く、傑作スポーツアンソロジー。長嶋茂雄(野球) 難波昭二郎(野球) 土屋正孝(野球) 瀬古利彦(マラソン) 江夏豊(野球) 中井祐樹(総合格闘技) 吉村禎章(野球) 西本聖(野球)ホリフィールド(ボクシング) 堀越英範(柔道) 西眞一(サッカー)王貞治(野球)

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