- Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101278223
感想・レビュー・書評
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この間、大きな虹を見ました。それも外側にもう一つ、うっすらとかかる二重の虹。ベランダから家族と一緒に、だんだんと薄くなり空に溶け込んでいくまで、ボーっと眺めていました。七色の虹にピンクがないのは、この世を創った神さまが人間の女の子のために残しておいたためだとか。
おーなり由子さんの作品は初めてでした。NHKのみんなのうたでも作画を担当されていたり、やわらかなタッチのふんわりとした感じの絵と文章ですね。
ある日知る
こころに色があることを
ことばに色があることを
音楽に色があることを
時間に色があることを
わたしに色があることを
桜色、萌葱色、茜色、紺碧、江戸紫
日本人は自然の中に色彩の淡い違いを見出し、季節の移ろいの中、心象風景と共に色とこころの中の結びつきに、より敏感な気がするのです。
夏の盛りに元気のよいひまわりの橙色
失恋とも分からない仄かな感じは、しずかな藤色
柔らかい薄緑色の豆には、滋養がいっぱい
故郷を離れる夜の列車の黒い窓には不安が宿る
にこりと微笑んでしまう表現も楽しい。
緑の葉をおいしそうに食べる青虫は、はむ、はむ
夏の風鈴が涼しげに、てろりん
こころの中から生まれるしゃぼんだまは、ぱくり、ぽわり
読後には、こころの中に色鮮やかな風景が残る作品でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
contentsというページを開くと、水彩で描かれた綺麗な目次がある。色別に目次が分かれていて、タイトルを読むだけで、少しわくわくした子どもの頃のような明るい気持ちになる。ひとつひとつのエッセイも同じような気持ちさせてくれる。
私は「透明な風船」と名付けられた枠の中の「透明な風船、水のようなひと、台風の夜、魔法のやりかた」4つのお話が好きだった。お話しというより、”感じ”の描写みたい。 -
やさしい心になれるような文章。
透明水彩の淡い色使いがカラフルでありながらやわらかく、
ちっともうるさくない。
何気ない日常にあふれる、きらきらしたものを見つけられるような気がするなぁ。 -
国際子ども図書館に行ったときに見つけた本。
挿し絵がきれい。
文は、ふわっとしてるのに実体感がある、抽象的過ぎない、いい感じ。
自分の中のお天気の回復力。今は大雨なだけ。雲の切れ間を思い出して信じる。
あついあつい部屋の中で、風をいれてそのまま昼寝になだれこむと、からだじゅうに夏が満ちてくる。いつの間にか私も夏の風景のひとつになってしまう。
とかとか。 -
ゆっくりページをめくるための本。
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初めて読んだ中学生の時、この作者は日常生活の中で様々な色を感じながら過ごされているのだなと思いました。
そして、自分もそんな風に感受性豊かでありたいなとも。
忙しさで気が急いている時こそ手にとりたい一冊。 -
やさしい本。
女の子に読んでもらいたい本。
色に関連させて、時々生じる小さな感情を切り取っている。
その感情を思い出してとても切なくなってしまう。
特にさんぽの時間は胸にささった。
やさしい。 -
言葉にかえることのできなかったもやもやとした気持ちを、美しい言葉で表現してくれている。もやもやした曖昧な気持ちを、はっきりくっきり形つくる様な表現ではなくて、もやもや曖昧なままのものを表現してくれている。そういうところが、とても良かった。
私は、少し強い風が吹いて風の乾いた匂いがしたとき、切なくて少し泣きたくなる。世界でひとりぼっちにされた気がして、こんなに小さい自分がひとりでいきていけるのだろうかと、急に不安になる。
そんな気持ちを、見事に書いてくれていたので、「ああ、私だけじゃないんだな」と、とても安心した。 -
全ページカラー!
きれいな色の挿絵と、その色にまつわる小さなエピソードが温かくて、思わず頬が緩んでくる。
幸せをもらえる本です。