墨攻 (新潮文庫)

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著者 : 酒見賢一
  • 新潮社 (1994年6月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101281124

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墨攻 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 中国の秦の時代の前の戦国時代を舞台にした小説である。墨守と言う言葉の元になった墨子という人物または集団があったそうで、詳しく知られていない彼らを物語の主人公においたものである。守りの傭兵という設定で、地方の小城に依頼されて大軍に対する、という内容である。戦闘場面が多いものの、一気に読ませる筆力がある。中島敦記念賞受賞作品だそうだが、確かに大作ではないが、独特で実力のある一級品という感じは中島敦の作品に似ているようにも思う。

  • 同映画の予告から気になって購入。
    墨子家の思想、軍略が分かりやすく纏められている。
    短いながら濃い内容で、個人的に手元に置いて読み返したい良作。
    結局映画も観たけど、ラストに納得がいかず本の方が好き。

  • 「任侠」に重きをおく墨子は、非攻を掲げながら、一方では戦争のプロ集団を組織する一見矛盾したような思想家です。墨子の教えを代々守って、この教団は細々と続いてきたのですが、大国秦の台頭とともに消失しまったそうです。この小説はその不思議な教団の職業軍人、革離が主人公。戦闘のプロが徹底した守城戦をくりひろげます。

    延々守城戦の話ですが、革離の指揮の見事さにあっという間にページ数が残り少なくなり、勢いで読める本です。非戦・非攻を唱える集団が、ここまで見事な守城戦を繰り広げるとは・・・。緻密に研究、練り上げられた作戦と兵器。革離の肝の据わりっぷり。すごいです。集団をまとめあげるのもまた驚き。恐怖と規律で民衆の心をつかみ、造反者を出しません。兵器がどれだけ優れていても、扱う人の心が一番重要なんだもんね。ああ難しきは人心掌握かな。

  • 面白いという意味では合格。でも、何か足りない、そんな感じのする小説です。
    わずか145ページ。並みの本の1/3の中篇というべきサイズ。あとがきと解説が25ページついても、薄っぺらです。一日で読了しました。
    話の殆どが戦闘シーン、それに墨子についての解説が少しついている。ただ、墨子の作戦の面白さだけで読ませている感じです。
    酒見さんは初めて。面白かったけど次に進むかと問われると疑問符がついてしまいます。

  • 戦国時代、兼愛・非攻を説くのに最強戦闘集団…という謎の思想家・墨子の籠城戦術をもとにした、架空の物語。虚実織り交ぜているからか、史実のような小説展開になってる!なるほどー!随所にある割注みたいな説明文が、歴史書っぽさを出してるのかなあ。

  • 大国が覇を競う古代の中国。平和を説き、戦争で助けを求められればあらゆる手段で依頼者を守るスペシャリストの集団、墨子教団がいた。いま小城が呑まれようとするなか、教団の俊英・革離はひとり救援に駆けつける。二万の軍勢に囲まれた町を彼は守り通せるか?映画化もされた中島敦記念賞受賞の傑作小説!

  • 墨守という言葉から転じて墨攻とは…なんともワクワクする題名である。

    著者も語っているように墨家はまだまだ謎の多い思想家集団であるが、兼愛思想と非攻説を解いたことは後の世にも伝わっている。

    しかし墨守するからには戦わなければならず、様様な戦闘能力を身につけた機械や戦術を編み出さなければならない。結局は非攻と言いつつも戦いを前提にした墨守にしかなりえないのである。

    これは今の世への大いなる矛盾も示唆しているように感じた。

  • すごく面白そうな集団なのに、資料があんまり残っていないのが残念。

  • 興味深くて面白い本だったけど、物語としては今一つ。

  • フィリピン出張で読んだ三冊目の小説が酒見賢一氏の作品『墨攻』だ。諸子百家が活躍したと言われる中国古代戦国時代を舞台にした小説で、諸子百家のなかですでに忘れ去れて歴史書にも多くは語られていない墨子が起こした教団の構成員が優秀であるが故に教えを純粋に信じて実行に映した故に出会う事になる主人公の悲劇が描かれている。
    墨子の教えは民を不幸にする戦を出来るだけ排除するというもので、しかたなく戦いをする際はあくまでも守りに徹するというもので政治色もすくなくかなりユニークな教えとして描かれている。わずかな情報の中から作者が作り出したものだが、この物語で描かれた墨子教団の様子通じで伝わってくる教えは本当にこの教団は存在したのではと思わせる位リアリティがあり魅力ももっている。ただこのお話で描かれているのは彼が教団で自らを鍛える事で得た技術を持ってして活躍する日のあたる部分が派手に描かれながらも、あまりに純粋に信じた事を多くの人と行動を起こそうとするときに人との関わりの中で全くの遊びのなさというかフレキシブルな付き合いが出来無いが為に物事の達成の前に内側から崩れてしまう悲劇に見舞われてしまうというちょっとこそばゆくなる教訓ののようなものだ。

  • 墨攻すごい!
    というか主人公である墨者の革離がすごい!
    この薄い本にものすごい人間ドラマがてんこ盛りな感じ。
    男も女も老いも若きもみんな守る為だけに、みんな戦う。
    謎は多いけれど、敵の将である淹中が最後に墨者用の葬りかたを知ってるのが
    またなんとも。
    賎民であるのかよく分からないミステリアスな墨者だけれど
    そんなことはいいのです。
    超人離れした戦わずして守る創意工夫みたいなのも
    またなんとも。
    なかなか普段読まない中国ものの小説だけども、これを機にもう少し掘り下げようかなーと思う。

  • 「墨守」の意味の由来になった。開祖墨子が作った教団は、非攻・兼愛などを説く。戦国時代、大国の侵略を防ぐために墨子の教えを受け継ぐ者たちが、小国を守る。のちに残る儒家は差別愛を説き、大国への猟官を望む時代。

  •  民衆の絶対的な支持を得るために、論功行賞、信賞必罰、それとは気付かれないまでも脅迫までやる。それ以前に、城主から絶対的な権力を得る。そうすることによって、軍隊としてのCommand and Controlのマネジメントスタイル。

     軍隊組織と企業組織。戦時と平時。比べるべくもないけれど。

  • 中国の戦国時代に墨子教団より派遣された一人の墨子が城を守るために淡々と奮闘する。
    その墨子は実は墨子教団の長と意見を違えて飛び出した者。
    たった一人ながらも効率的に素人を束ねて城を守ろうとする。


    中国古代に墨子という専守防衛を説く集団がいたとは全く知らなかった。
    墨子についての研究が進めばいいと思う。

  • 時は戦国時代の中国。多くの群雄たちは中国統一を競い、思想家たちは自説を広めることを競っていた。その結果、有名な孔子や老子などの思想家が登場する。そして、墨子だ。

    墨子の教えは「非攻」、戦わないことをモットーとする。が、戦わないためには、周囲から戦うことを諦めさせるだけの戦力を持たなければならないという考えだ。そのため、墨子集団は武器の発明や戦闘員の労務管理など、何よりも軍事技術の向上に力を注いだ。戦争をなくすために、戦争エリートを目指すのは矛盾しているようだが、抑止力として核兵器を持とうとする現代国家だって、やってることは同じだ。

    そんな墨子教団の教えを忠実に守る一人の男を主人公に、当時の中国の戦闘を具体的に描いたミリタリー歴史小説。シュワルツネッガーのアクション映画を見ているような痛快な娯楽性がある。とはいえ、あまりに突然で消化不良なエンディングにはガックリ。滅びの美学をもっと追求してほしかった。

  • 墨子の弟、革離による守り戦のフィクション小説。大国を相手に、小さな城とわずかな邑人(むらびと)を守り切れるのか…。

    中国の歴史をほとんど知らず、酒見賢一さんの作品も初めて読みました。現代的な言い回しが多く思ったよりも読みやすかったです。ただ淡々としすぎていて、感情移入もする間も無く終わってしまった感。

  • 墨子という集団を初めて知った。おもしろかった。

  • 図書館で。お話として面白かったです。が。挿絵は牧歌的すぎないだろうか?結構殺伐とした話なのに。戦争だし。職人さんが自分の仕事をきっちりこなす様を読むのはとても楽しいのですがでも結構厳しいですよねえ…。自分なら嫌だな。捕虜が敵に殺されずに保釈されたのに味方の陣営に殺されるってなんか理不尽。私なら反逆したいな。斬られるのはイヤだけど。戦争はイヤですねえ…本当に。

  • 二十年前に漫画で似たような題名があって、なんか一人で孤軍奮闘してる兵士の話かなぁと思って、気になり少し読んでいたことがあった。
    先日、本屋で「あっ!同じ題名」と思い手にとり、今読了。
    早速、ネットで調べたら…「なんじゃーい!あの漫画の原作かいっ!」
    映画にもなりそうと思ったら、映画にもなってるのかょっ!

    なんかタイムスリップした気分

  • 墨子の思想を信奉する主人公革離が小国の依頼を受け大国からの攻撃をさけ城を守る物語です。主人公の最後が主人公らしくもあるけれど、悲しい結末でした。

    九州大学
    ニックネーム:原田豊

  • 実は見そびれていたアンディ・ラウの映画版を、こないだテレビ放送で見たので、原作をついでに再読。
    こんな短かったっけかー。
    漢文の歴史記述を訳したような、簡素な文章のせいか、行間を妄想と後付の情報で補填して中長編クラスにまで育ててしまっていたらしいと判明(笑)。

    文庫版あとがき(←いきなり何を言い出すんですか、感満載)と解説があり、パッケージとしてのバランスは良いんだか悪いんだかもう分からない。

    「墨攻」に関しては、この小説から入ったほうがいいような気がするな。
    マンガ版も実はまだ読んでないので読まねば。映画のノベライズは墨子の解説とかどうなってるんだろという興味はいちおうあるんだが、やはり読むべきかしら。

  • 古本で購入。

    七大国が覇権を競う戦国時代。
    百花斉放・百家争鳴のこの時代に、儒教と並ぶ勢力を誇る墨子教団が存在した。
    博愛主義「兼愛」とそれゆえの反戦論「非攻」を説く一方、大国による侵略をくじくための戦術・技術を磨き上げた戦闘集団でもあった墨子教団。
    今、趙・燕の争いに巻き込まれた土着豪族梁氏の小城に、革離という墨者が救援に駆け付ける。
    怯懦な城主の下、素人にすぎない邑人たちを率いる革離の前に、万を数える趙軍が押し寄せる―

    何とも珍しい、墨者を主人公にした歴史小説。
    ここで描かれている戦いは全てフィクションで、史実ではない。
    ただ、墨子教団によって戦われたであろう防衛戦の凄まじさを想像させるに足る。
    「攻城戦」という響きにときめきを感じる人には間違いなくオススメできます。

    150ページ足らずの短い小説だが、淡々と描かれた小さな城郭の攻城戦は濃密。
    徹底した規律と公正な評価によって烏合の衆をまとめあげるというあたりは、一種の組織論としても読めましょう。
    これが原作となっている映画の方も気になるところ。

  • 中国の歴史に全く詳しくないが楽しく読めた。内容は史実ではなく創作。墨子は門番に対して「だれのおかげでこの城下が平和なのか知っているのか」って悪態をつくし、革離も梁城で『このような田舎の小城で、なにが大将軍、司徒、司空だ』と内心で笑ってる。なんか人間的にどうなんやろって思いながら読んだけど最終的にはオモロかった。馴染みの無い兵器名も出てくるが気になるのは最初だけ。もう少し長編で読みたかった気がする。140ページぐらい(挿絵が有るので実質140も無いと思う)しかないので読み易かったのかも。1人のアホの行動で国が滅ぶ。

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墨攻 (新潮文庫)の作品紹介

戦国時代の中国、特異な非攻の哲学を説き、まさに侵略されんとする国々を救援、その城を難攻不落と化す謎の墨子教団。その教団の俊英、革離が小国・梁の防衛に派遣された。迫り来る敵・趙の軍勢は2万。梁の手勢は数千しかなく、城主は色欲に耽り、守備は杜撰であった。果たして革離はたった一人で城を守り通せるのか-史実を踏まえながら奔放な想像力で描く中島敦記念賞受賞作。

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