四十日と四十夜のメルヘン (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.11
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本棚登録 : 383
感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101282718

感想・レビュー・書評

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  • 又吉直樹さんの本で紹介されていたような…。配りきれないチラシが地層をなす部屋で、裏が白いチラシを発掘し、原稿用紙代わりにメルヘンを書きつける「わたし」。グーテンベルクとニコライ先生、フランス語教室、高級スーパー メイキュー(メルキュール)と庶民派のOK、クロエとクロード、フィガロの結婚。何篇かの物語のプロットをシャッフルし繋ぎ合わせたような、規則性の見出せない羅列に混乱するばかり。

    それでいて妙に哲学的な部分を突いている気もする。

  • なんとなく再読したくなって再購入……。

    表題作の方しか読んでいませんけれども(もう一つの短編はあまり面白く感じられなく中途挫折…)、こういったどこへたどり着くのか分からないような小説もイイと思います! ただ好みが分かれるかとは思いますけれどもね…斬新だけれども、従来の小説、のような小説が好きな方には受け入れられない作品なんじゃないかと思います…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

    えーと、物語のあらすじは…まあ…amazonとかで確認してください! ともかく僕はこういった日記形式とでも言うのかな、自分の行動を記録するみたいな小説が割と好きなんですなぁ…。それは自分もまた、ノートに手書きで日記をつけているからかもしれません…何となくシンパシーを覚える、みたいな…。

    さようなら…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • 数々の賞を受賞しているようだが、一読した印象だとアプローチのポストモダン性が評価されたものなのかな、と感じた。若い著者のデビュー作なのでまだ巧さは感じられないが、評価の妥当性についてはその後の作品を読めば明らかになっていくのだろう。

  • 「四十日と四十夜のメルヘン」★★★
    「クレーターのほとりで」★★★★

  • 2009-09-00

  • チラシに埋もれた生活。チラシが配りきれず古ぼけた部屋に押し込めた色彩と商業宣伝の氾濫、スーパーの5円10円を見比べる一人暮らしの寂しさ、現実逃避のフランス語会話学校、現実的だけれども文脈が読み取れず、切り取られた写真の数片を見るようだった。
    教授の翻訳していた散逸した修道院の記録では、7年間の記録が曜日によってしか識別できず七日に集約されてしまったように、主人公の7月4日は、現実の7月4日でもあるし虚構世界であった7月4日かもしれないし空想の中の7月4日なのかもしれないが、そんなものを区別するのも無意味なのかもしれない。
    あとがきによると、書き直された文庫版と受賞作品はだいぶ違うらしく、原文()の方も読んでみたいものです。
    こんな感じの「分からない」本なんて、いくらでもあると思うんだけど、この本だけ取り立てて「難解」「意味不明」のレビューが並ぶのは、最初の方が楽しくてわかりやすい顔のくせに急変して、って事なんでしょうか。

    2つ目は、空想の湖のほとりにおける、伝説創世記と、架空の現代史。地図と領土のような現実離れしたリアリティ。でも意味はよくわからんかった。

  • 二度読みたい

  • 【本の内容】
    配りきれないチラシが層をなす部屋で、自分だけのメルヘンを完成させようとする「わたし」。

    つけ始めた日記にわずか四日間の現実さえ充分に再現できていないと気付いたので…。

    新潮新人賞選考委員に「ピンチョンが現れた!」と言わしめた若き異才による、読むほどに豊穣な意味を産みだす驚きの物語。

    綿密な考証と上質なユーモアで描く人類創世譚「クレーターのほとりで」併録。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
     面白い。

    “ああ、やってる”という感じで。現代文学では、分かりやすいプロットは忌避される。

    表題作は4日間の「わたし」の日記(日常)を解体、時系列をバラしてコラージュする。

    連結イメージは“紙片”。

    チラシ配りのバイト、自宅アパートに投げ込まれるチラシ、チラシの裏に創作する「メルヘン」。

    その小説内小説でも大量のチラシが舞う。

    本書は解説(保坂和志氏)が前代未聞。

    氏は新潮新人賞選考時、これは米国の作家、ピンチョンだと大興奮。

    4人の反対を1人で押し切った。

    この解説を書くにあたってゲラは嫌いだとし、受賞作を改変した単行本の内容に沿って書き進める。

    が、なんと文庫版にも改変が。結果意味不明の箇所が残る解説に。

    しかし、これはこれ。

    本の形が変わった時、そこでも処女作いじりを続ける著者と保坂氏がイタチごっこを繰り広げているんじゃないかと想像するのも、また愉し。

    “才気”の表題作、先史と未来が一気通貫になる“才能”のもう1編。

    今年の新作といい、大器、順調に育ってます。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 2014 3 3

  • わけわからなくて、後でもう一回読んでみようと思った。

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著者プロフィール

青木淳悟(あおき・じゅんご)…1979年埼玉県生まれ。早稲田大学第二文学部表現・芸術系専修卒業。2003年、「四十日と四十夜のメルヘン」で第35回新潮新人賞を受賞し小説家デビュー。05年、同作を収めた作品集『四十日と四十夜のメルヘン』で第27回野間文芸新人賞、12年、『私のいない高校』で第25回三島由紀夫賞受賞。ほかの作品に『いい子は家で』『このあいだ東京でね』『男一代之改革』がある。

「2015年 『匿名芸術家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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