日本人はなぜ戦争へと向かったのか: 果てしなき戦線拡大編 (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2015年7月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101283760

日本人はなぜ戦争へと向かったのか: 果てしなき戦線拡大編 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • NHKスペシャルを書籍化した「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」の果てしなき戦線拡大編。
    前半は戦中日本の概要が書かれ、四人の専門家への質問といったことがまとめられている。

    陸軍、海軍の統一がなく、また、軍部の暴走を制御出来ない政府ということもあり、国自体の方向性が定まらぬまま戦争に突入し、責任を負うことの出来るひとがいないためズルズルと戦争しつづける。
    こういう国のために犠牲になるのは駒のように使われる一般国民だ。
    勿論、国民は被害者という側面と、疑問を持たず言いなりになり戦果に沸いて躍らされた共犯者という側面を併せ持つ。

    わたしの学生の頃社会の授業では、近代史は殆ど学んでいない。サラッと読んでおけと言われた。
    学生の頃は、言われるままサラッと読んで終わったけれど、社会の授業で本当に学ぶべきことは近代史ではないかと思う。もっと時間をさいて知り、考えさせ、討論させてくれたら良かっただろうと思う。
    大人になって随分経つまで、何故戦争が起き、多くの犠牲を生んだのか、戦争から日本はどう変わったのか、何を得たのか何も知らなかったことが恥ずかしい。

    おわりに、にもあるように、戦前戦中の日本は国民の命に無関心だった。他人の犠牲に無感覚だった。
    国のため国のためと言いつつ国民が次々死んでいくことには何も感じない。
    この傾向は、最近の日本にも言えないだろうか。
    自分さえ良ければいい。
    自分の生活さえ安定しているのなら、他人は、他国はどうでもいい。
    悪いのは誰か一部のひと、と誰かに責任を押し付けてる。
    自分の平穏を乱す他人を厳しく弾劾する。
    そんな気がしてならない。
    それは日本だけでなく、一部の外国にも感じられる。

    日本も世界の国々も、今こそ戦争の悲惨さを考えるとき。
    ひとりでは生きていけない。
    ひとつの国だけでは存続出来ない。
    この当たり前で忘れがちな事実を、ひとりひとりが念頭に置いていればと思う。
    こんな簡単なことを、すぐに忘れてしまうのが人間ではあるけれど。

  • リーダーシップが欠如したまま、定見なく、
    ひたすら戦線を拡大してゆく・・・

    この組織的な問題は、現代においても変わらないと思う。
    それが多くの人の直接的な死を伴わないだけで。

    たとえば、ある企業が経営難に陥った原因が、
    経営者のリーダーシップの欠如に由来するのであれば、
    その会社の倒産によって多くの社員は路頭に迷う。

    もちろん、すべてをリーダーの責任にするのは酷かもしれないが、
    誰かが決めなければならない状況があれば、
    それはやはり、リーダーの最たる仕事だと思う。

  • 山本五十六がバミューダ海戦で大敗を喫する失敗をしても責任を問われることなく、うやむやになる。2011年でも同じことが見られた。これって日本独特の役人体質なんだろうか。

  • 【NHKの戦争を追求する特番が面白い。「日本人はなぜ戦争へ向かったのか」シリーズの第5回目、2011年8月放映の番組をさらなる、取材で再構成した本】本書には血沸き肉踊る戦記は登場しない。昭和16年12月の開戦から破竹の進撃、ミッドウェー開戦までが主題。
    予想外の早さで南方を抑えた日本。適度に攻略の限界点を見いだせずに、後生から見れば無謀な戦線拡大を検証した一作である。
    中国戦線に集中したい陸軍。日本海海戦のような劇的な戦いを求める海軍。この対立が戦線の拡大に無駄な労力を求めたというのが本書の内容。後書きに特に主張されているが官僚制を痛快に批判している。あなた方も特殊法人でしょ、という突っ込みは抜きに。
    日本軍が占領した地域の利権を巡る企業の争いや軍人の天下りが描かれている。
    日本はやむを得ず開戦したとの説が定説になりつつあるが、軍政も軍令も共に利権ばかり追っているようにも思われる。
    当時の官僚について記述した作は、自分は初めて、有意義であった。

    日本人として過去を礼賛するのも一つの手段だろう。だが、官僚を責めるつもりはないが、自己保身しか考えない姿勢が戦争を無益に拡大させたことは間違いない。
    戦記と合わせて日本人論をもっと学ばなくては同じ悲劇が繰り返されるかも。
    NHKの組織としての取材力の影に、個人のノンフィクション作家が淘汰されるのではとの杞憂を持ちつつ一気読みの一冊でした。

  • 陸軍と海軍の方針が一致していない矛盾を抱えながら、漫然と戦争が継続され、拡大していった。当初の戦果が予想外に高かったことも災いした。

  • 太平洋戦争開始後、なぜ戦禍に突き進んでいったのかがテーマ。統帥権と軍、陸軍と海軍の不仲、意味不明な戦争方針の策定。歴史を知り、教訓今後に生かさねばならない。2015.10.19

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日本人はなぜ戦争へと向かったのか: 果てしなき戦線拡大編 (新潮文庫)の作品紹介

1941年12月8日。真珠湾を急襲し、ついに対米戦争に突入した日本。ミッドウェー海戦、ガダルカナル島の戦いを境に戦況が悪化するなか、なぜ戦線は拡大する一方だったのか。戦争方針すら集約できなかった陸海軍の対立、軍と一体化して戦争方針に混乱をもたらした経済界の利権構造・・・・・・開戦から半年間の日本の歩み、知られざる歴史の転換点を徹底検証。副題「戦中編」改題。

日本人はなぜ戦争へと向かったのか: 果てしなき戦線拡大編 (新潮文庫)はこんな本です

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