原爆投下: 黙殺された極秘情報 (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2015年7月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101283777

原爆投下: 黙殺された極秘情報 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 2015(底本2012)年刊。

     ① 日米(独も)原爆開発秘話、②米国の原爆投下準備と実施、③戦後の原爆調査模様。これらは他書にもある。
     しかし、ⅰ)日本軍が通信分析等を通じ、原爆らしき兵器の完成を捉まえていた点、ⅱ)原爆投下の危険性をかなりの確度で軍令部や参謀本部が把握、ⅲ)殊に、長崎投下につき防衛・迎撃が確実に可能だったのに放置、ⅳ)広島後、従前、空襲被害のなかった新潟市は全市民疎開を実施、長崎市にも類似計画が有り、ⅴ)ⅳ)の計画、つまり原爆投下を予期できていたにも関わらず、米の原爆を保身の為か公に認めなかった軍上層部。
    ⅵ)にもかかわらず、東京への原爆空襲の報(誤報だったが)に、疎開計画を実施しようとした軍。これらを証言・文書等から解読し、現場は兎も角、上層部は日本軍を民衆防衛のために役立てようとは考えていなかった事実を暴き出す。こんな日本軍の上層部の有り様を雄弁に語る書。

     佐藤優の解説は、やっつけ仕事か?と見紛うばかりに「らしく」ない。

  • 衝撃なのは、陸海軍の諜報機関によって、特種任務を帯びた米軍部隊の存在はある程度察知されており、それが原爆に関するものだという予測は必ずしも不可能ではなかったと述べるところで、その結論が丹念な取材を根拠にして説得力を持って迫ってくる。特に長崎攻撃については、米軍パイロットが日本軍の迎撃を予想して不安に駆られたという証言からも窺えるように、軍が広島の前例を踏まえた対策を取り得た可能性を考えると、2度目の原爆投下を許した無策さに改めて気付かされるものがあった。情報を活かすも殺すもそれを扱う人次第というテーマが、先年の大震災時の対応とリンクして読者に突き付けられており、戦時の出来事に留まらない内容を含んでいる。本書のもう一つの意義は、原爆投下を知る様々な立場にあった人たちの肉声を遺した事で、最後の"機会"をとらえた貴重な史料ともなっている。

  • 広島、長崎の原爆投下の際、何故か空襲警報は発令されていませんでした。もしも空襲警報が発令されていれば、犠牲者の数はもっと少なくて済んだはずと言われています。一方、陸軍、海軍はアメリカ軍の通信を解析してB29のコールサイン(飛行機固有の呼び出し記号)を割り出し、ほぼその出撃態勢をつかめる程のレベルに達していました。そして、広島、長崎に原爆を投下したB29についても「特殊任務機」という呼び名で識別ができていたことが本書で明かされています。なぜ原爆を積んだB29の動向をつかんでいながら、なんの対応も取れなかったのか。当時を知る数少ない人達の証言をもとに事実を明らかにしていきます。国民の人命よりも軍などの組織の体裁を優先する歪んだ思想が、どれほど多くの人命を犠牲にしてしまったかを本書は訴えて来ます。
    追い詰められた軍首脳部の対応は、福島原発事故の際の東京電力、政府の対応と重なる部分も多く感じられます。
    かつてNHKスペシャルで放映された内容を基に構成されていますので、難解になり過ぎず、しかし肝心な情報は整理されて記述されていますので、どんどん引き込まれる本でした。

  • 原子爆弾の投下情報を日本軍はキャッチできていなかったのか・・・
    こんな問いから取材を始めてゆくと、ある答えに辿り着いて・・・

    ひとりの日本人として、その結論はあまりにも切ない。

  • なんとなく急に気になって、読んでみました。原爆投下の悲劇は避けられたのではないかという。

  • “重要情報”とはどういうものなのか?その「扱い」を巡っては、実は70年前の戦時も、“最近”も余り変わっていないのかもしれない…そんな問題提起もなされている…

    気軽に読める文庫本だが、大変に重厚で重要な内容の一冊だと思った…強い印象を受けた戦闘機搭乗員の挿話を軸に、簡単に御紹介したが、非常に読み応えが在る内容の一冊なので、多くの皆さんにお奨めしたい。

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原爆投下: 黙殺された極秘情報 (新潮文庫)の作品紹介

原爆投下はアメリカによる奇襲攻撃であり、そのために空襲警報さえ出せなかったという定説。果たして、これは真実なのか――。NHKスペシャル取材班は、元通信隊員ら当時を知る人々をたずね、日米の資料を紐解く。陸海軍の諜報部隊は、B29の謎のコールサインを傍受していたという驚愕の事実が、しだいに見えてくる・・・・・・。“唯一の被爆国”の出発点を解き明かす。解説・佐藤優

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