一勝九敗 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101284514

感想・レビュー・書評

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  • さすが柳井さん。一介のビジネスパーソンをやる者なら、一度は読む価値があるだろう。

    ○父は僕の人生最大のライバルでした
     やっぱそうだよな。男にとって、父とは、超えるべき相手として、意識するもの。それを、柳井さんも言語化してくれていることが、なんだか励みになる。

    ○トップダウンが生きるときとボトムアップが生きるときとある
     ユニクロも社員数が少ないうちは、柳井さんの意思決定のもと素早い動きを行っていた。ただ、組織が多くなれば、そのやり方は上手くいかず、ボトムアップ式に変更していったという。
     →よく、ボトムアップか、トップダウンか、のような二元対立項で語られることが、あるが、あまりセンスが良いとは言えないだろう。そのときの状況・目的によって、どちらがよいかは変動するに違いない。

    ○広告代理店に任せっきりではだめ
     ユニクロは「良いものを安く」「服に個性があるのではなく、着る人に個性がある」など、具体的なブランド、信条を強く意識してきた。そのブランドを創り上げるためには、常に主体的に見せ方や広告を制御することが必要である。ユニクロ自身、その宣伝方法には頭を絞りまくった。そこで、今のユニクロへの認識が創り上げられた。すべて、ユニクロの内部からの、推進である。

    ○現場に行っても、理解しようとする人は理解するが、理解しようとしない人は絶対に理解しない。時間の無駄だ。(こうすべき!という一元的なキャリアステップなどない)
     経営者になりたいと思って転職した人に、よく言うように「一度は現場を見ろ」といって、無理やり店舗に送り込むことなどない。経営業務をやりながら、現場を見たいと自分で思うようになってから、送ればよい。逆説的で、面白い。

    ○広証、東証二部、一部と成長を続けたかに見えるが、単に波にのって成長を続けたわけではない。その成長の都度、まったく一から会社を作り直さないとだめになると思い、ABC改革などの、様々な改革をすすめていった。
     成長途中の組織には、常に制度変更・変革が求められる。当たり前だが、この変革あっての、上場だろう。

    ○毎日でも変えたい組織図
     ビジネスの難しさと、変化の速さを物語る一言。外部環境が毎日変わるのだから、それに合わせて、ビジネスの仕方も変わるし、その実行役となる組織の変化も必要にきまっている。ホントに本気でそう思っていそうなところが、面白い。

    ○女性のマネジメントー生理日を把握しているか
     柳井さんは、女性の活躍を早くから推進しており、そのためには、女性の気持ちや意図を汲み留めれるマネージャーが重要だと説いている。その一例としてあげられているが、部下の女性の生理日を全員把握しているという、マネージャーだ。

    ○成功とは保守的になることだ
     この考え方には感服する。成功には常に失敗の芽が潜んでいる。どんなときであろうと、環境・社会の変化に目を凝らしながら、よりよく変化し続けていかねばならない。


     

  • 時間があれば

  • 父から受け継いだ紳士服店を一代で日本を代表する衣料メーカー”ユニクロ”にした柳井氏の一代記。経営者の遺伝子はやはり受け継がれ、壮年期の経験で決まるんだな。

  • ユニクロ経営者の柳井正氏の経営哲学、会社という組織のマネージメント術が綴られた書。2003年執筆。

    山口県宇部市の紳士服店から出発して、如何にして事業を拡大し、成功を収めることが出来たのか。著者は、カジュアルファッションに目をつけたこと、高品質・低価格の自社商品を開発したこと、そして何より、安定を求めず常に変革を指向したこと、失敗を恐れずにチャレンジし失敗を糧にして次のチヤレンジに繋げたこと、等をあげている。

    「会社はもともと期限のあるものと考えるべきで、新しい事業の芽を出し続けない限り、賞味期限が切れたらそこでお終いなのだ。」という言葉が印象的。

    ユニクロは、ユニーク・クロージング・ウエアハウスの略立ったんだ。

  • 失敗から学び、失敗を活かし、成功の芽とすること。失敗をすぐに見極め、目をそらすことなく分析して、適切な対応をすること。
    しかし失敗の見極めが難しい思う。まだなんとかなるかも…とだらだら続けていれば、損失は大きくなるが、現実はなかなか見切りをつけるのが難しい。しっかりと目標を設定し、都度その目標が達成できているか確認。達成出来ていないときは、達成出来るようどのように修正していくかが大事。

  • 『会社はもともと期限のあるものと考えるべきで、新しい事業の芽を出し続けない限り、賞味期限が切れたらそこでお終いなのだ。その本質はつねに変わらない。

    会社は安定成長を続けると、形式的に動くようになり、管理組織も次第に肥大化し、意思決定のスピードが鈍くなる。会社というもの、事業=商売というものは、安定や形式とは正反対に位置すべきものではないだろうか。』

    ヒートテックがヒットする前までのユニクロの物語。
    引退宣言した年齢はとっくに超えてしまっているけれど、彼に安心して経営を任せられる日は来るのだろうか?

    非常に心に響く作品。とにかくお客様と現場が大事。それさえ忘れなければ、会社はなんとかなる可能性がある。ただし、可能性があるだけだ。優先順位を常に間違えてはいけない。また、ただ言ってるだけではいけない。言っているだけの言葉があまりにもこの社会には多過ぎる。

  • 今読んでみてこれが15年近く前に書かれていたことに驚く。トップ経営者と言われ続けてきたのはまさにこういことかと。

  • 創業から成長、成熟までをダイジェストで追体験できる。“事を成す”ということの一例を示してくれる良書。

  • ,会社を経営するうえで一番重要なのは「どういう会社にしたいのか」と「どういう人たちと一緒に仕事をしたいのか」を明確に示すこと。

    ・全ての人たちの仕事の同期をとるには、やはりコンピュータの力を借りなければならないだろう。全員がムダ・ムラ・ムリのない仕事を同時並行でできて、早すぎたり遅すぎたりすると、赤ランプで警告される。どこかで問題が発生すると全員に、同時に、周知される、そんな仕組みが必要だろう。

    ・会社組織は優秀な人がいるだけで成長するわけではない。構成員全体のバランスが大事。優秀な人も必要だし、そうでない人も必要だ。バランスがとれていて初めて成長するものだ。全員が組織全体の目標を共有化していて、しかも自立しながら仕事をしないと成長しない。同期化する組織を作ることは、優秀な人だけを集めなければできないわけではない。優秀かどうかはまったく関係ないところで求められるべきこともある。職業倫理を理解し、モラルが高い人たちであることだ。

    ・店舗の仕事すべてマニュアル化できるわけではないがら非常にささいなこともマニュアルに書いて欲しいとか、それはマニュアルにないのでできませんということが現場で起こってくる。自分で判断し自分で行動することができなくなる。自分で判断するよりも本部の方針やマニュアルに従っていたほうが安心だ、自分は作業だけをやっていればいいんだ、という感じにさえ陥ってくる。命令やマニュアルを墨守していると、やがて組織も硬直化する。会社は休み悪しき官僚組織とは違うのだ。

    ・店長の次にスーパーバイザー、そしてその上のブロックリーダーで本部にあがるやり方ではダメ。店長を最高の仕事と捉え、店長の仕事を全うすれば、本部にいるよりも高収入が得られる仕組みを作らないと、小売業は繁盛しない。考えるのは本部、実行するのは店舗という図式になってしまったらもう将来性はない。そうではなく、店長が主役で、店長が本当の商売人だという具合にしないといけない。

    ・歯に衣着せぬ批判は大事である。組織の中で肯定することと批判することが渦を巻いて、組織全体が揺れているような、そんな状態が望ましいと思っている。組織は安定したらそこで終わりだ。あっちで揺れ、こっちで揺れることによって、その次はどこに行くのかというエネルギーを発散したり貯めたりすることが、商売にとっては大事なことなのだ。非常に難しいことだが、客観性と主体性のバランスをいかにしてとっていくか、が、商売の真髄なのだ。批判は批判としえ受け入れながら、どっちつかずではなく主体的に実行していくというのは、ある意味では矛盾する。しかし、それをやり続けない限り、いい商売とか、いい経営ということにはつながらない。

  • 唯一絶対の評価者は市場と顧客

    長期ビジョン 計画 夢 理想を失わなたあ

    現実を知る。その上で理想と目標を失わない

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