奪還―引き裂かれた二十四年 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101285511

作品紹介・あらすじ

弟は帰ってきた、二十四年ぶりに"あの国"から-。海岸で忽然と消えた弟は、どこへ行ったのか。全くの手探り状態から、徐々に明らかになる驚愕の真相。立ち塞がる国交の壁。無為無策の日本政府との軋轢。そして再会の後に待っていた、"洗脳"との新たな苦闘…。北朝鮮による卑劣な国家犯罪「日本人拉致」に巻き込まれた家族の闘いを、兄が綴る。文庫化にあたり新事実を大幅加筆。

感想・レビュー・書評

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  • 今年4月の南北首脳会談以降、朝鮮半島情勢に変化が見られるよう
    になったので日本人拉致の問題も前進するかなと注視しているの
    だが、我が国の首相は自ら「司令塔」と言う割にはアメリカや
    中国、韓国の首脳にお願いするだけなのだよな。

    少しでも進展すればいいとの願いを込めて、拉致問題のおさらいの
    為も含めていささか古くなった作品だが本書を手にした。

    北朝鮮による日本人拉致が公になったのは1988年。前年に起きた
    大韓航空機爆破事件の犯人・金賢姫の証言で日本語教育係だった
    「李恩恵」の存在が明らかになってからだ。

    著者の弟である蓮池薫さんが突然家族の前から姿を消してから10年目
    だった。

    家出なのか、恋人との駆け落ちなのか。なんの手がかりもない中で
    探し舞ったご家族の苦悩、北朝鮮による拉致が明らかになってから
    でも警察も外務省も当てに出来ない憤り。

    拉致被害者の家族のひとりとのしての率直な思いが綴られており、
    非常に重くて、痛い文章が続く。

    なかでも政治家はとことんダメすぎる。比較的に好意的に書かれて
    いるのは平沢勝栄氏くらいか。山本一太なんて家族会に「自分には
    国連とのパイプもあるから」と言っているのに言っただけ。

    拉致問題に関しても日本は本当に無策な国だと感じた。

    蓮池薫さんら5人の帰国以降、拉致問題はなんら進展を見せていない
    のではないだろうか。日本政府は最初の5人が帰国した時点で、この
    問題には距離を置いてやしないかと感じる。そうして、自分たちの
    都合のいい時だけ、拉致問題を持ち出して来てやしないか。

    拉致被害者家族という当事者であるからこその怒りや、哀しみが
    つまった1冊だった。

  • 個人の感情爆発!って感じです。拉致問題の問題点が凝縮されています。早々の全面解決をお祈りいたします。

  • 安倍晋三氏は、自分が政権にゐるうちにに拉致問題を解決するぜと、頼もしい言葉を口にしたのであります。
    もつとも、過去に似たやうな発言をした総理大臣が、結局何もできなかつたこともあるので、どうなりますやら。

    拉致被害者の一人である弟・薫さんと24年ぶりに再会した蓮池透さん。懸念してゐた「洗脳」は現実となつてゐました。本来の薫さんを取り戻すといふ意味の表題でもあるのでせう。

    弟が帰つてきても、家族会の一員として、まだ帰らない肉親がある家族に配慮する。重い腰を上げやうとしない日本政府との樽俎折衝。心無い国内世論(中傷など)との戦ひ...
    北朝鮮のみならず、まづ日本国内に多くの障害があることが分かります。

    世論が盛り上がらない現状は、いつたい何なのでせうね。人人は「他人事」と言ひます。ぢやああんたは何かしたのか? とかね。
    一般市民としては、具体的に行動するとか、金銭的な援助をするとか、さういふ大それたことではなく、声を上げることが一番ではないかと。世論の後押しがなければ、政府は動かないのであります。支持率が上るわけでもないし。

    怒りと無力感に襲はれる一冊。しかし目を背けてはいけない現実だと思ひますので、一人でも多くの人に読んでいただきたいのであります。ま、読んでも心に響かない人がゐるのも現実。残念ながら。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-124.html

  • 拉致被害者の家族の思い、それ以上でもそれ以下でもない感情が率直に書かれている。

  • 大学生の時に読了



    こんな舞台裏があったのかと思いました

  • 北朝鮮による拉致事件の経緯をよく知ることができます。
    主張の内容はよく理解できるものではあります。
    ただ、これだけ極端な体験(肉親が突然、海外の国家に拉致され、24年間も行方が知れなかったという…)をすると、思考がここまで極端になってしまうものなのか……とも思います。

    [07.12.6]

  • 恐ろしいほどの国家による洗脳。

    友人による説得で心を開いていく様子。

    日本の政治家の無能、無関心ぶり。

    北朝鮮という国家への怒り。

    様々な思いがめぐった一冊。

    生々しい話もあり読み応えがあった。しかし拉致された当人にとっては今回のことは大きな心の傷であることはいうまでもない。

    この本には続編もあるので読んで見たい。

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著者プロフィール

「拉致被害者家族会」元事務局長

「2010年 『拉致問題を考えなおす』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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