白蝶花 (新潮文庫)

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著者 : 宮木あや子
  • 新潮社 (2010年9月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101285726

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白蝶花 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 大正~昭和~平成と近代史の中では激動の時代を
    生きた女性たちの話。

    貧乏が故に、両親に妹共に売られた 菊代と雛代
    父親の事業の失敗のため妾になる 泉美
    奉公先で書生の子を身ごもる   千恵子
    寂しさを抱える知事の娘   和江

    さまざまな事情を抱えた5人の女たちの連作。
    女の自由がなく、日本が戦争へと向かっていく時代に
    逞しく、強かに、そして美しく生きた女性。
    女たちは、時に憎しみ合い、助け合い
    男のように一人で生きていけない時代の中
    女は次へ命を繋げようと決意を持ち
    困難に立ち向かう。

    女性同士なら誰でも持ったことのある感情。
    もっと、近づきたい 嫉妬する気持ち
    官能と一言でも、男性と女性の官能・女性同士の
    体こそ触れないが緊張感のある関係
    この二つの表し方がひりひりするように
    文から伝わる

    「ねえお嬢様、私からも一つだけ意地悪をさせてくださいね。
    薔薇の棘は、切り落とさないままお渡ししますからね」

    「乙女椿」の年老いた千恵子の心情に
    思わず針でチクリと刺されたような気持ちになった。
    奉公していた和江への意地悪の仕返し。

    ひりひりするような文。
    ただの恋愛じゃなくて激動の時代を生きた
    強い女が詰まった作品。
    花宵道中には無かった「命を繋ぐ」者、それを助ける者
    女たちは、深く繋がっている

    「菊代のこと、捨てんといて」
    薄っぺらい言葉を聞き、老人は可愛いなぁ、と言いながら嬉しそうに菊代の頭を撫でる。
    早う死んでくれへんやろか。


    「(前略)ねえ旦那様、そうして死んでゆく
    男の命を、せめて子を産むことでつなぎたいと、
    親になることを望む女の気持ちは考えようとは
    してくださらないのですか。」

    「僕が生きてゆかせるよ。
    そしてあなたに全てを与えてあげる」

    目次

    天人菊
    凌霄花
    乙女椿
    雪割草
    解説 三浦しをん

  • いやー、もう本当に好きだ。
    壊れちゃいそうに切なくて悲しいのに
    なんて美しくて強い、女たち。

    情感に溢れる描写と、理性的な文章の骨子
    何より作者の、人物に対する眼差しが優しくて
    泣きそうになるほど、みんな愛おしい。

    凌霄花のお話がときめきすぎて
    萌えましたすみません……。
    でもどの話も好きだよーー。ぶわっ。゚(゚´Д`゚)゚。

  • 恋のお話だと 思っただけで 憂鬱で、
    でも
    お友だちが貸してくれたから頑張って読み始めました

    長編な短編集?
    あ‼菊乃さんだ‼...えぇ〜と...
    と、パラパラ読み返したり

    結局 引き込まれて 最後は一気読みでした

    女を生きてる 女を貫いてる なんかスゴイです

    私は、恋のお話を読むと、なぜか うちの人に喧嘩ふっかけたくなります

  • たぶん、ネットでレビューを見て印象に残っていたのだと思う。
    著者の宮木サン(アリプロファンとか!)、うちとそうそう年が変わらない!
    ブログもかわいい。

    でも、物語は王道的に芯が通っていて、きゅんときます!
    それぞれの物語の女性たちが不思議な縁で繋がってゆく大河ストーリー。
    ああ、女の大河モノって大好物なのだよ!

  • 戦前、戦中という激動の時代を背景に抗えない時代の波にのまれながらも懸命に人を愛した女たちの物語。彼女たちが愛した男たちは、その時代によって彼女たちから理不尽な形で奪われてしまう。
    愛し合った刹那刹那が美しく激しく描かれていて、とてもドラマチックな作品だと感じた。

    最後に作中でずっと人に愛されることを求めていながら、愛されることを拒否していた和江にだけ、死ぬまで寄り添える夫ができたところに味があると思った。

  • 読み始める前、それぞれが独立した短編なのかと思っていた。
    その頭で読んでいたので、芸者に売られた菊代姉妹の出てくる「天人菊」、破産して自殺した父のせいで財閥の当主の妾になった如月泉美を主人公とする「凌霄花」が、とてもあっけなく感じた。
    が、どうやらそういう読み方は間違いであるようで。

    一冊の大半を占める分量の「乙女椿」で、それらの因縁がつながっていく。
    太平洋戦争が激化する頃、千恵子が女中として働く先で出会うのが泉美の息子、政吉。
    身ごもったものの実家にもいられなくなった千恵子を助けるのが、菊代と雛代姉妹。
    そうか、そう来るんだ、と驚いた。
    もう一方の主要な筋は、気難しいお嬢様の和江と千恵子のつながりの物語。
    そうか、この話は、女の絆を、複層的に描こうとしたのか、とやっと理解した。

  • 読む度に惹きこまれる宮木さんの小説。
    大正から戦後にかけてを強く、逞しく生き抜いた女性を描いたこの短編集は、読み進めていくにつれ連作短編小説だと気付きます。点と点が線になる。

    解説は三浦しをんさんが書かれているのですが、これがまた素晴らしく小説の魅力を伝えていて、ページを閉じるその瞬間まで、むしろ読み終えた後も余韻が残り、幸せでした。

    何をもって幸福なのか、不幸なのか。
    理不尽なことがない人生なんてない中で、登場する女性たちに、幸せなことも、辛いことも訪れて、それはこの小説に限らず、現実に生きている私たちも同じこと。
    全体を通して際立つのは、愛する男性の存在。
    そして、女性同士の深い繋がり。

    愛する人に出会えたこと、そのこと自体は、女性としてとても幸せなことだと思います。
    一方で、その人と離れなくてはいけないことは、どれ程魂がちぎれる痛みでしょうか。まして、戦地に赴く、命が助かるかわからない、それをどうすることもできない無力さは、想像するだけでも居た堪れない。

    三浦さんも解説で書かれていましたが、男性同士の友情とはまた違った、女性同士の友情、というのもあるんですよね。
    表面上は分かり合えなくても、深いところで繋がっていること。宮木さんの描く女性が好きです。

    そして、辛い出来事が起こりながらも、花の名前がつけられたこの短編集は、美しさを置き去りにしない。
    「花の匂いに溜息が出た。すぐ外に見える沈丁花が甘酸っぱい香りを部屋の中まで漂わせ、その横の寒緋桜は毒々しいほど鮮やかに花を垂れている。柊南天がひよこみたいに黄色い花をぽつぽつと星のように咲かせ、地面の近くを見れば、鈴蘭水仙が申し訳なさそうに小さな白い花を付けていた」
    と、まだまだ続けたくなってしまうけれど、なんて、美しく、素敵な目線を持って世界を見ているんだと思いませんか。

    泥に汚れても凛とした花のような、誇り高い美しさを見せてくれるから、泣きたくなる。日本ではもう戦争をしていないけれど、今も世界で戦争をしている国の女性たちは、同じように愛する人を送り出している。
    そう思うと、またさらに泣きたくなるのでした。

  •  愛って言うものはそんなに素晴らしいものなのだろうか。
     この本を読むと、女たちはみな、愛のために身を焦がし、生きていく。
     いや、それは素晴らしいとは思うのだけれど、すごいなぁとは思うのだけれど、愛だけでは生きていけないだろうとも思うのだ。
     あるいは、辛い時代であったからこそ、愛のみを頼りに生きるしかなかったのかも知れないのだけれど。

     いや、よく考えると、愛だけで生きてないか。
     最後の短編を読むと、お嬢様のすさまじさにおどろく。やはり気高さというのは尊いものなんだろうか。

  • その日、どれだけの女が獣の声をあげたろう。息子を返せ、夫を返せ、兄を、弟を、あのひとを。わたしの愛した男をかえせ――と。

    大正末期、かつて両親に売られた有馬温泉の芸妓姉妹・菊代、雛代。昭和元年、父親の借金のかたに妾として売られた東京の女学生・泉美。太平洋戦争ただ中の福岡県知事宅へ、女中として働くために酒田からやってきた千恵子、そして知事の一人娘・和江。それぞれの女たちの道ならぬ、つかの間の恋。
    いつだって時代は女を縛り、男を連れ去ってゆき、愛した男との短い逢瀬が、その後の女の長い人生を変えてゆく。
    激動の時代に咲く女たちの恋を描く連作短編集。

  • 第二次世界大戦を生きる2人の女性を題材にした二つの話。
    一人は姉妹で女衒に売られ、一人は知事の家に奉公に上がる。
    どちらも厳しい時代を強かに生きる様子に心打たれます。

  • 「花宵道中」に続き2作目の宮木作品。

    独立した短編かと思いきや、少しづつ見える関係性で、
    あの人のその後がちらと垣間見えて、「あー、あの時代をあの人はこうやって乗り越えていたのだ、」と感慨深い想いがする。

    女と男がいる以上、粘膜での会話はある段階からは
    あってしかるべしだが、それが過剰に嫌らしく無く、
    でもぬめぬめした質感と哀切に富んだ表現は、
    切なく胸に迫るものがある。

    今の世は、おんなひとりも当たり前だから、
    楽になったものだ。

  • 戦前~戦後の婦人解放も儘ならなかった時代を生きた5人のヒロイン達を4つの花の名に題した連作短編。
    花宵道中に引けを取らないぐらい官能的…。
    情婦、妾、女中、令嬢、立場も環境も異なる女性達の儚くも情熱的な純愛物語が最後1つに繋がった時は鳥肌が立ちました。
    それでもやっぱり戦争物は泣いてしまう。
    女だって必死に戦ってきたんだ…と。

  • 小説だな、と思う部分もあるけど小説だから良いのだ。そんな謎結論。

    男と時代に翻弄される女性達のお話。
    どの女も強い。泣いてるけど、みんな強い。
    思い返してみると誰も生きることを諦めていないのがすごい。
    そんなにも愛した男はいい男だったのだろうか。
    文にすると
    どの愛も短い。
    当たり前のことだけど読んでる側とと彼女達の時間の長さは全く違う。支えになり得る充分な時間をかけていると思う。
    でも、読んでる私から見ると短い。愛は時間の長短ではないと思うけど。もうちょっと恋愛してても良かったかな。
    それを許さない時代だったのだろうけども。

  • 「天人菊」「凌霄葛(のうぜんかずら)」「乙女椿」「雪割草」この4編が収録されていて、「乙女椿」は中長編、あとは短編のお話。

    昭和の始まりから戦後にかけての連作集。
    宮木さんの作品同士のリンクも出てきて「おお~この人が!」と嬉しくなったりも。

    お気に入りは「天人菊」。
    話はかなり短いが、神戸のヤクザの組長(70)に身請けされた菊代とその組に世話になっていながら菊代に想いを寄せる黒田との短い恋が描かれてて、何度も読んだ。(短いのですぐ読めちゃう)

    「凌霄葛」は親の借金の肩代わりに、ある実業家の妾になってしまう女子高生の恋の話。
    実業家よりも、その息子に恋をしてしまう悲恋。

    表題の花とその意味とがいいところで登場します。

    「乙女椿」で登場したお嬢様はその後どうなったのかしらと思ってたら、「雪割草」を読んで安心した。
    いろいろあったけど彼女らしく生きることが出来たんじゃないかと思うと、いい人に巡りあえてよかったねと千恵子の心境になった。

  • 激動の時代に生きた、5人の女性の物語。

    境遇がまったく違うのに、何らかの関わり合いをもって全員が繋がっていく。
    最後の章は蛇足に感じた。
    和江お嬢様は老いてもなお気高く、潔癖なお嬢様気質のままでいてほしかった。

    「雨の塔」に関係する人物が出てくるので、できれば先にこちらを読んだ方がいいかもしれない。

  • 解説・三浦しをん

  • 沢山の花。
    それぞれに咲き、散っていく。
    女って、なんのためにいるんだろね。

  • 三浦しおんさんの解説が的確すぎて、「ああ、うん、そうそうこんなカンジ」という完全なる読了感を味あわせて頂きました。

  • どうしようもない性(サガ)を感じる。。。

  • 宮木あや子が読みたくて、図書館で借りてきた。どっろどろの宮木あや子読みたいぜええええって気分を満たすほどどろどろでもなく、でも、さらっと読むにはどろっとしすぎてる、気がする…。戦時中のながめのお話が、なんか、こんなノリでいいの?ってくらい軽かった。あまり戦時中の恋愛を扱った話って読まないけど、ちょっと他のも読んでみようかなって思った。

  • 『花宵道中』で燃え尽き、あの感触よもう一度。でもそう簡単にあの感覚は味わえないかな? などと疑いつつ手にした本書。官能シーンは必然性はあるけど、ここまでの描写はいらないかな。ほほう、花宵道中と同じ仕掛けだね、もうその手には乗らないぞ。などと思いながらも、それは強がりでしかありませんでした。ページをめくる手は止まることなく...結果、電車内で大粒の涙をこぼすという失態を演じる羽目に。登場する人物は架空の存在、ましてや小説では印刷された文字でしかないのに強い生命力を感じ、懸命に生きる姿が心に焼き付けられます。

  • 宮木あや子さんの文章は綺麗ですごく好きです。短編小説かと思いきや、ひとつひとつが繋がっていて長編小説のようです。明治、大正、昭和の女性って題材がもともと好きなので楽しく読めました。

  • 短編集ですが、どの話も切なくてよかったです。話の長さにばらつきがあるのが気になりましたが、乙女たちの恋の悩みなどは細かくて、性描写もありますがそこさえ抵抗がなければ、読んで損はないと思います。

  • 好きです。
    この時代を生きてもいないのに情景が浮かぶよう。
    女性に自由がない時代においても、女性はいつも強い。

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白蝶花 (新潮文庫)の作品紹介

傾いた家のために財閥の妾となった泉美、貧しさ故に芸妓として売られた姉妹の菊代と雛代、奉公先で書生の子どもを身篭る千恵子、豪奢な屋敷で愛に飢える県知事令嬢の和江。人生を選びとることも叶わず、女は明日死ぬかも判らぬ男を想うしかなかった時代-戦前から戦後の不自由さを吸い上げ、荒野の日本で美しく野性的に生を全うした彼女たちが咲かす、ドラマティックな恋の花。

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