江戸時代のロビンソン―七つの漂流譚 (新潮文庫)

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著者 : 岩尾龍太郎
  • 新潮社 (2009年9月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101286211

江戸時代のロビンソン―七つの漂流譚 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 【本の内容】
    大黒屋光太夫、土佐の長平、尾張の重吉―鎖国下の江戸時代に不慮の海難事故に遭って漂流しながら、旺盛な生命力で、奇跡の生還を果たした船乗りたちがいる。

    『ロビンソン・クルーソー』研究で知られる著者が、彼らの肉声をもとにした詳細な記録を読み解き、それら漂流譚から七人を選んで、江戸時代の漂流者たちの壮絶なサバイバル物語と異文化体験を紹介する。

    付・江戸時代漂流年表。

    [ 目次 ]
    はじめに―「海の論理」
    序章 漂流の背景(「鎖国」の本質;太平洋長期漂流の発生)
    第1章 無人島漂着編―鳥島サバイバル(志布志のロビンソンたち;新居のロビンソンたち;土佐のロビンソンたち―無人島長平)
    第2章 異国漂着編(北方のガリバー―大黒屋光太夫のパフォーマンス;南方への漂流―大野村のガリバーたち;博多のロビンソン―唐泊孫太郎ボルネオ漂流記;尾張のオデュッセウス―船頭重吉の苦労と語り)
    あとがき「頭で漂流、心でサバイバル」
    江戸時代漂流年表

    [ POP ]
    江戸時代、日本では多くの漂流譚が生まれた。

    外洋航海の技術は進歩しなかったものの、和船は頑丈で沈まず、長期の漂流を乗り越えて生き延びた人々がいたからだ。

    本書は『ロビンソン・クルーソー』の研究者が、江戸の文書を読み解き、七つの漂流譚を紹介する。

    印象的なのは、太平洋にある無人の火山島・八丈島鳥島を舞台にした三つの漂流事例だ。

    鳥の落ち餌を拾い、アホウドリを捕らえ、火山の噴火口近くまで行って火を採取する。

    孤独と郷愁の念から自殺しかけながら、念仏を唱えて現実と向き合った者もいた。

    生きる気力を保つ執念、実験的な行動、自己分析力……。

    「奇跡」の生還が偶然ではなく、努力と工夫の結果だったことがわかる。

    大黒屋光太夫などの異国漂着の事例も、異文化交流の原初の姿を伝えているようで興味深い。

    環境に順応し、底知れない生命力を見せる人々の力強さに、身震いするほどの感動を覚えた。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • なんというガッツ…
    江戸時代の日本人のたくましさに
    驚きと尊敬、ちょっぴりうらやましさが隠せません…

    鎖国という世界でもまれな状況下にあった江戸時代の日本、
    その時代に漁や貨物の輸送中に流されて
    遠路はるばるロシアやフィリピン、アメリカあたりまで
    いっちゃって、頑張って帰ってきた人たちの
    貴重な記録を丹念にまとめてある。
    そもそも鎖国下の日本では、海外に行ってきたことを
    語るのすらタブーとされていたので、
    正確でない記述、伝聞、装飾は
    もちろん考えられるけど、それだけでは覆い隠せない、
    シビアな現実もやっぱり見えてくるわけで。

    ①無人島
    日本近海の鳥島に漂着した人々。
    中でも20年を生きぬいた3人は圧巻。
    最初はもう少し人数がいたけど仲間は次々亡くなり、
    島に繁殖していたあほうどり(のおかげで命をつないだ)の
    毛を使った着物など自作して20年、
    たまたま漂着した別の船の人々と力を合わせて船を造り
    とうとう島を脱出!!
    肉食が禁忌だった江戸時代、生き残るためとはいえ
    火も持たずに上陸した島で生の鳥を食べ続けたため、
    火を通した食べ物がのどを通らなくなっていたという、
    まさにリアル。

    ②ロシアに行った大黒屋光太夫。
    結構有名な人だけど、きちんと話を読んだことがなかった。
    卓越した耳を持っていた彼は
    ロシア語を習得し、最終的には女帝に謁見し、
    日本帰国の許しを得る。
    一介の漂民が、度胸で異国、異文化を渡る。かっこいい!!!

    ③フィリピンに流されて苦労。
    フィリピンのいわゆる原住民につかまってしまった漂民、
    奴隷として扱われ、次々と死んでゆく仲間…
    これではいけない、と共謀し、
    フィリピンにない貴金属を持って帰ってくるから!!本当に!!
    という一世一代の嘘をついてなんとか
    島から逃げようと図る。
    病気で死の床についても、貴金属を持ってくるだけだ…
    と苦しい息の下から、嘘をつき続ける仲間!!
    現地の女性とできてしまい、おれは危険な目にあうくらいなら
    降りる、と宣言するも、
    最後まで仲間を売らなかった男!!
    木の釘、木の皮の船で、原住民の疑惑の目をなんとか
    そらして脱出、懐かしの故郷へ…
    もう一本の小説になりそうな、戦う男たち。

    ④ボルネオからの脱出。
    やっぱりつかまって奴隷とされるも、
    裕福な華僑の家に売り飛ばされた男、
    年老いた華僑の母を見て、
    儒教発祥の国だもん、きっといけるはず、
    と故国に置いてきた母に、せめて一目会いたい…と
    切に訴えると、さすが儒教の国!!
    年老いた母親も我が息子をかんがみて、
    それは人さまの息子だって、母親は恋しいに違いない、と
    奴隷の主人にあたる息子を説得、儒教精神が
    見事に彼を奴隷の座から解き放つ。
    最終的にはお土産を持たせてもらって、オランダ船に乗って
    お見送りつきで帰るという、
    これまた事実は…というお話。


    もちろん歴史にのらずに生き残った漂民もいれば、
    生き残れず人知れず命を落としていった漂民たちもいるわけで。
    なんというか、そのバイタリティ、
    そのユニークさに、久々に心がわくわくしたのでした。

  • 江戸時代の海運の様子、幕府の鎖国政策が航海技術の遅滞を招いたことが理解できたがそれ以上なにもない。

  • 海洋漂流譚は好きなのだが、本書は本来であれば海洋国家になれたはずの日本が徳川の世に航海術を衰退させた云々の序章に紙数を費やし過ぎたか。

  •  「漂流物語」としては、以前、大黒屋光太夫を主人公にした井上靖氏の小説「おろしや国酔夢譚」を読んだことがあります。
     本書は小説ではなく、著者が渉猟した当時の記録・原典の紹介が中心です。ロビンソン型の「無人島漂着編」とガリバー型の「異国漂着編」の二部にわけて、7つの漂流譚を紹介していますが、やはり現実の記録には、まさにそのものとしての強烈なインパクトがありますね。

  •  江戸期の漂流譚七点を紹介してくれる滅多にない本である。その漂流譚については原文を校訂の上解説もあり、分かり易くできているから大変面白く読めた。
     問題は著者の文章力の低さと思想的なレベルの低さであろう。文中に括弧を補うことで補足をした気になったり、前世紀的な決めつけを常識として反省のない全共闘レベルのコルホーズ頭なので筆者の見解には辟易すること夥しい。そこで、主に漂流譚の筋にのみ視点を絞って読むのが手である。

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江戸時代のロビンソン―七つの漂流譚 (新潮文庫)の作品紹介

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