ボトルネック (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101287812

作品紹介・あらすじ

亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した…はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人間なのか。世界のすべてと折り合えず、自分に対して臆病。そんな「若さ」の影を描き切る、青春ミステリの金字塔。

感想・レビュー・書評

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  • まるで映像を見ているかのような描写に魅了されて、一気読みしてしまった。

    自分が存在した世界と存在しなかった世界。

    主人公が両方の世界を知り、対比することで知る自分の存在価値。

    読者に委ねられる結末は、ボトルネックというタイトルから私としては最悪の結末を【想像】して胸が苦しくなった。

  • めっちゃ酷な…
    確か崖から落ちたはずやのに…
    気がつけば、今までとは、微妙に違う世界に飛ばされる。(パラレルワールドやな)
    そこは、自分自身が存在しない世界。
    代わりに違う人がおる。(姉?)
    その姉の存在が自分のいた世界との違いを生んでそうな事に気づく。
    それも、自分の世界より、ええ感じになってそう…自分は要らん?ボトルネック?
    と本人は思ってる。
    そんなん、隣の芝生は青く見えるだけやって!
    お父さん、お母さんのギクシャクした関係は、2人の問題!兄貴も!ノゾミも!
    そんなもん、当人の問題や!
    って考えられる人なら、こうならんか…
    やっと、もとの世界に帰って来たと思ったら…
    お母さん〜! アウト!ʅ(◞‿◟)ʃ

  • 米澤穂信氏の描く、青春SFミステリ小説。

    自分の住む環境とは似て非なるパラレルワールドへと迷い込んだ高校生・嵯峨野リョウ。彼が訪れた世界には、リョウが生きていた世界には存在しなかった姉・嵯峨野サキの姿があった。
    リョウの世界とサキの世界。二つの世界の相違から見出した真実には、哀しい結末が待っていた。

    自分の存在した世界と、自分が存在しなかった世界。その二つの違いを比較しなければいけないのは、読者目線でもゾッとするような体験だった。
    軽快に進んでいくストーリーとは裏腹に、読み進めるほど、その残酷な展開に胸が苦しくなる。村上貴史氏の解説から一言借りるのであれば、まさに『なんと容赦なく主人公の痛々しさを暴いたことか』。

    ラストの畳み掛けるように襲い来る絶望感含め、メンタルに亀裂が入っているときに読む作品ではないなと感じた反面、自分がいたことで誰かが救われるように、せめて『ボトルネック』にならないように、今よりも少しだけ必死に生きてみようと考えさせられた作品だった。

  • 哲学。ありそうでない話。無さそうである話。

  • ずいぶん昔、テレビで観たコントは秀逸だった。
    ウッチャンこと内村光良扮するサラリーマン風の男が、颯爽と登場して道端に落ちている空き缶を一つだけ拾って去っていく。ただそれだけ。
    しかし空き缶が拾われずそのままの未来では、風が吹いたら桶屋が儲かる式に現象が連鎖して、最終的にはタンクローリーがガソリンスタンドに突っ込んで大惨事となる。
    ウッチャンは実は世界を救うヒーローで、事件や事故の原因となる「芽」を日夜摘んでいたのだ。
    しかし誰も彼がヒーローであることを、ましてや世界が彼の手で救われていることを知らない。

    バタフライ・エフェクトなどという言葉を知る由もなかった僕は、笑うと同時に大きな衝撃を受けた。

    日常の自分の些細な言動がどれほど世界に影響を及ぼしているのか。「世界」が大き過ぎるのなら、自身の人生とその周辺にどのような変化をもたらすのか。考えてみると、面白いと同時に恐ろしくもなる。

    嵯峨野リョウ。
    友人の弔いのために訪れた東尋坊で不意に平衡感覚を失う。
    ところが気がつくとそこは金沢の街。
    自分が「生まれなかった」世界で出会った「生まれてくるはずだった」姉。
    「間違い探し」の過程で遭遇する事件の予兆。

    パラレルワールドものでありながら浮ついた感じがない、現実と地続きの米澤穂信の筆致。
    そして伏線の張り方と不可解な状況の解きほぐし方は、まさにミステリのそれ。再読して唸る。

    読者自身をも東尋坊に投げ出すかのようなラストには驚いた。
    しかしラストを「絶望的」に解釈するブクログユーザーさんが多いのにはもっと驚いた。
    僕自身は「決別」と「最初の一歩を踏み出す勇気と希望」の物語だと読んだからだ。

    浦沢直樹の『MONSTER』や東野圭吾の『白夜行』のように、ラストの解釈によって余韻や物語の意味合いまで変わってくる。
    あのシーンは、嵯峨野リョウにとっての「分岐点」であり、読者にとっての試金石だと思う。
    当然そういうことも織り込み済みであり、僕らはまんまと作者米澤穂信の術中に嵌まっているのだろう。

    • kwosaさん
      アセロラさん

      コメントありがとうございます。

      そう、そのウッチャンのコントは当時の自分には衝撃的で、ずいぶん昔のことなのにいまだに覚え...
      アセロラさん

      コメントありがとうございます。

      そう、そのウッチャンのコントは当時の自分には衝撃的で、ずいぶん昔のことなのにいまだに覚えていますもんね。

      『ボトルネック』
      僕は面白く読んだのですが、もしこの本が「ファースト米澤」なのであれば、ちょっとビターな味わいに次を控えてしまうかもしれませんね。
      是非、他作品もいろいろ手に取ってみてください。
      2013/02/05
    • 九月猫さん
      kwosaさん、こんばんは。

      コメントでは、はじめまして。九月猫と申します。
      フォローしていただき、ありがとうございます。
      また『...
      kwosaさん、こんばんは。

      コメントでは、はじめまして。九月猫と申します。
      フォローしていただき、ありがとうございます。
      また『ライフ・イズ・ビューティフル 』にうれしいコメントまでいただき、ありがとうございます!
      (そちらにもお返事書かせていただいています♪)

      米澤穂信さんの作品、小市民シリーズと古典部シリーズが大好きなのですが、
      この『ボトルネック』は出だしで「あれ、テイストが違う?」となり、
      さらに他の本に気をとられ、数ページ読んだまま放置中です(^-^;)

      でもkwosaさんのレビューを読んで、こんなに面白そうなお話なんだ!と
      読みたい気持ちがぐぐぐーんと!!
      積読山に戻さずに、すぐ読む予定山にあるので(どちらにしても山なのですが;)、
      近いうちにちゃんと読んでみようと思います。
      ラストの解釈、どちらに受け取るのか・・・楽しみです。

      素敵なレビューがたくさんのkwosaさんの本棚、こちらからもフォローさせていただきました。
      これからどうぞよろしくお願いいたします(*_ _)ペコリ
      2013/03/31
    • kwosaさん
      九月猫さん

      花丸とコメント、そしてリフォロー! ありがとうございます。

      米澤穂信さんは僕も大好きな作家で、小市民シリーズはすべて、古典部...
      九月猫さん

      花丸とコメント、そしてリフォロー! ありがとうございます。

      米澤穂信さんは僕も大好きな作家で、小市民シリーズはすべて、古典部シリーズは『クドリャフカの順番』まで読みました。
      これら二つのシリーズは、青春のほろ苦さをカラフルな糖衣でくるんで上質なミステリに仕立て上げた感じですよね。
      でも米澤さんって、結構カカオ純度高めのかなりビターな物も書きますので、ひとくち味わって食べ残してしまう気持ちもわかります。
      全部の作品を読んだわけではないのですが、それでも総じてクオリティは高いので、他も手に取ってみてはいかがでしょうか。

      それにしても、積読山と予定山。いいですね。
      僕も予定山をつくっているのですが、いつの間にか積読の雪崩に浸食されていたり、掃除の時に妻にかってに並べ替えられていたりでなかなか......
      水木しげるとゲゲゲの女房みたいになっています。

      こちらこそどうぞよろしくお願いいたします。
      楽しい本の話がたくさんできると嬉しいです。
      2013/04/01
  • 読みやすい文体、途中ゾクっとする人物像。もしも○○だったらどうだったんだろう…の物語。ただ、ちょっと物足りない。ラストも??な展開。

  • 青春SFミステリー。舞台は金沢、東尋坊。

    パラレルワールドに迷い込んでしまい、自分が生まれた世界と生まれなかった世界の違いを容赦なく見せつけられた少年。
    自分自身の存在意義を深く見つめ直さなければならないというビターな物語でした。
    痛々しくて切なくて辛いです。

    北陸旅行したばかりなので思わず手にした本でしたが、読みやすくてあっという間に読み終えました。
    大学時代から温めていた着想を元にした作品とのこと。さすが完成度が高いと思いました。

  • 記録

  • 10年くらい前に読んでまた読みたくなった話。
    自殺の名所東尋坊で死者に誘われたような話。
    一文一文が短いためペース良く読めるが、内容はかなり暗い。始終、曇天のような雰囲気が漂っている。

    東尋坊を訪れた主人公が、何かに誘われるようにそこから落ちた…先がぼくが生まれず、姉、サキが生まれていた世界。
    流されるばかりで何もしなかったぼくと、お節介な性格なサキとでは、岐路となる所での選択が変わり帰結するところも違っていた。

    何もしない事が悪い事とは思わないし、子どもである彼らにできる事なんて限られているから、仕方ないとも思う。
    でも、呼び込まれた世界が、何もかも上手くいっている理想の世界、だった。
    ぼくが感じた絶望はどれほどだったか…。
    環境のせいに出来ず、どんどん追い込まれていく。
    最後自分の世界に戻った時に送られるサキの電話と母からのメール。
    ここも大きな選択の一つになるだろうが、ぼくがどちらを選んだのか結果が書かれていない。
    後味が悪い作品でした。

  • 残酷過ぎる。

    パラレルワールドに飛ばされて、自分がいない世界の方が周りがみんな幸せとか耐えられへんな。

    切な残酷青春ミステリーでした。

  • はじめは不思議な話だなと感じていた。間違い探しをする度にサキの生きる世界がリョウにとって自分の存在意義を否定することに繋がる。絶望しかない。最後のメールからどう解釈するかは読者次第と言われているがいずれも辛い選択だったと思う。

  • ミステリという皮の下に隠されていたものを知ったとき、自分は“自分”の存在意義を見失わずにすむだろうか…?

    この小説を読みきること、
    それは一種の賭である。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    同級生のノゾミは、東尋坊で亡くなった。
    それから2年という月日を経て、ようやく嵯峨野リョウはノゾミの死を悼むために、東尋坊を訪れることができた。

    母親からの連絡で、帰宅せざるを得なくなったリョウだったが、崖からの一瞬の風がリョウの感覚を狂わせた。

    そして気がついたときにはリョウは、“自分が存在しない”世界に迷いこんでいたのだった…

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    この「ボトルネック」という小説は、“ミステリの皮をかぶった、自分の存在意義を問いかける小説”だと感じました。
    ミステリ小説を読みたい方には、少々肩すかしをくらうお話かもしれません。

    はじめの内は、どうしてリョウがパラレルワールドに迷いこんだのか?その理由がリョウも読み手もわからない状況が長く続きます。
    それは、目的地を知らずに走り出した列車のようなものであり、何に視点を定めて読み進めればよいのがわからず、モヤモヤした状態に置かれる、ということです。
    このどこに連れて行かれるかわからないモヤモヤ感を乗り越えられるかが、このお話を読み切れるかどうかの境目かもしれません。

    後半に入り、リョウの世界にいたノゾミの死の背景がポンと明かされたため、一見するとミステリ小説のようにも思えましたが、しかしこの小説の真のねらいは、そこではありませんでした。
    なぜなら、この小説はリョウの存在意義を問いかけるお話であり、ふたつの世界の相違点、ノゾミの死の真相ですら、“リョウ自身が世界のボトルネックである”と思いこませるための情報でしかなかったのです。

    リョウ、つまりリョウのような状況に置かれた“あなた(読み手)”なら、このパラレルワールドを存分に“味わった”あと、どういう選択をしますか。
    自分の存在意義を見失うのに十分すぎる情報を与えられた“あなた”なら、一体どうしますか…?

    その問いかけこそが、この小説の伝えたかったことだと感じました。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    情報をつなぎあわせ、それにどんな意味をもたせるのかを決めるのは、誰でもない“あなた”です。
    その解釈に、正解も間違いもありません。

    自分がボトルネックかどうか。

    それを決めるのは、結局のところ自分自身でしかなく、自分の進む方向を決められるのもまた、自分自身でしかないのです。

  • 嵯峨野リョウが、古典部シリーズ折木と重なった
    終わり方が個人的によかった




  • 救いようがなく、悲しい気持ちに…。
    米澤穂信作品には、必ず1人ナチュラルにサイコなやつがいるよな。笑
    金沢に縁があり4回ほど訪れているので、小説の中に出てくる金沢の街や情景が目に浮かび、また金沢を訪れたくなりました。

  • 別の世界戦に飛んでしまった嵯峨野リョウと平行世界の姉である嵯峨野サキとの3日間の物語である。

    正直言って中身、そしてその結末はとても暗く、残酷なものである。平行世界の登場人物はリョウが今までいた世界とは全く違い、それなりに幸せな生活を送ることが出来ている。

    例えば
    ・諏訪ノゾミの性格(これは本人が出会った人に依存して性格を作っている)・死
    リュウ→ニヒリズム・東尋坊で不慮の事故に巻き込まれ死亡
    サキ→天真爛漫・サキの機転により生存

    ・周りの人達の運命
    リョウ→イチョウの木が切られず、それにより定食屋の亭主は寝たきり
    サキ→イチョウの木が切られ(サキが事故に遭いそれにより切られた)、救急車の到着が早まり生還

    このようにサキが起点となり、全てのことが変わっていき、それをこの3日間の「間違い探し」によってそれが証明されたことがとても胸が苦しくなった。
    そして最後のメールは序盤の約束で母との関係を繋いでいたものが切れてしまった事で、自分がこの世界においてのボトルネックであることを悟ってしまうところで終わることがとても胸にグサリとくるものを感じた。

  •  しっかりとした構成ながら読み易く、一息に読んでしまった。米澤先生らしくない展開からスタートする本作だが、ぐいぐいと引き込まれて面白く読める。こういう切り口も行けるのか!と、正直驚いた。
     また、さりげなく張られた伏線を回収する手腕は見事で、脱帽する。
     ただ、ミステリを期待して読み始めると、少し肩透かしを食らうかも知れない。随所に謎が解き明かされ爽快感は仕込んであるが、小さな爆弾がぽつぽつと爆発するようなもので、深い納得に導かれたりする訳ではない。一応、事件の解決めいたシーンもあるが、推理としては複雑でないし、また犯人像については、世界観が(一点を除いて)地に足がついているために、少し浮いているようにも感じた。また、物語としても、今回は推理がさほど主題になっていないようにも思う。
     ビターな青春小説というカテゴリに括ることも、できるかと思う。ただ、〈古典部〉シリーズにおける、日常の中のやるせなさ、みたいな味わいと比べると、こちらは苦味一辺倒な気がして、あまり心を揺さぶられることはなかった。ほろ苦い、程度の方が、甘味のおかげで帰って苦味が引き立つのやもしれない。

    • ヤヌスさん
      ネタバレあり



      リョウが持ち、ノゾミが羨んだものとは、母親のことなのだろうか。
      ネタバレあり



      リョウが持ち、ノゾミが羨んだものとは、母親のことなのだろうか。
      2020/08/01
  • 福井の東尋坊で事故に遭ったらしい少年が、自分の存在しないパラレルワールドに迷い込むSFミステリ。そこでその世界の姉と現実世界で亡くなった友人の死の真相を探り始める。それは、自分の存在意義の模索ともなる。
    二つの世界の差異は、実生活での失望感に追い討ちをかける。
    絶望感を抱いたまま現実世界に戻るが、最期のの審判を「ふるさと」であるべき母親が下す。
    室生犀星の小景異情「ふるさとは遠きにありて〜」を第二章で触れているが、やはり異土の乞食となっても帰るところではなかった、という伏線となっているのかな。

  • す、すごかった……。
    畳みかけるような人格否定にくらくらした。そんな辛いことってある……?と思いながらクライマックスへ向かっていたら、最後の最後の2行の落とし方が最悪すぎて完璧。最高でした。

  • 「自分のいなかった世界」に飛ばされ、間違い探しをしながら自らの存在意義を確認していく嵯峨野リョウ。

    自分は、ある人の存在は誰かにプラスの影響を与えるか、マイナスの影響を与えるか、それとも無影響なのか。これまで「無」だと思っていた自身の存在がマイナスに働いていた事実に絶望したリョウは次のどういう行動を取るのか?

    私はリョウは自殺という道を選ばないと思う。無関心というのが一番辛いように、人への影響が無ということはあり得ないと分かったことが、まずは大きな「成長」であり、彼の存在がプラスに働いているケースもあるはずである。取り返しのつかない道のりにはまだまだ巻き返せる選択肢もあると考えることが踏み出す一歩となるのではないだろうか。

    サキによって、考えたくもなかったことを考えさせられたという点など随所に成長物語としての一端が見られる。

  • パラレルワールドミステリー
    しかし、重く、辛く、自己否定の物語。読後感にいやな感じが残ります。
    気分が落ち込んでいる時にこの本を読んではいけません(笑)

    ストーリとしては、亡くなった恋人を追悼するために訪れた東尋坊で、主人公はパラレルワールドに陥ります。
    そのパラレルワールドでは、自分は生まれておらず、その代わりに姉が存在する世界。
    無邪気に自分の世界と姉の世界の違いを確認し始めましたが、徐々にその違いに驚愕していきます。
    同じような事件、事象に対して、自分がとった対処と姉がとってきた対処。その対処の違いがこんなにも違っていて、姉の世界の方が良い結果を生んでいる。
    自分は生まれない方が良かったのか。
    自分自身がその世界のボトルネックと気が付いてしまった時の残酷な現実。
    これでもかと、その違いを見せつけられた主人公は絶望の気持ちを持った途端、元の世界に戻されます。
    元の世界で主人公が最後に取った行動は?
    という展開。
    そして、その最後の行動は、記載されていません。
    私達読者に解釈が委ねられています。
    希望か絶望か...
    難しい物語となっています。

    なんとも読後感が良くありません。

    • 5552さん
      こんにちは(^-^)
      はじめまして。5552と申します。

      この作品、主人公の性格に私自身を重ねてしまい、読了した後胃が痛くなりました...
      こんにちは(^-^)
      はじめまして。5552と申します。

      この作品、主人公の性格に私自身を重ねてしまい、読了した後胃が痛くなりました。
      ラストの解釈は人によって様々みたいですね。
      米澤さん屈指の青春ものだと思います。

      >気分の悪いときにこの本を読んではいけません(笑)
      確かに、ですね(笑)
      2018/06/23
    • 5552さん
      ‘落ち込んでいる時に’ですね。
      引用間違い失礼しました。
      ‘落ち込んでいる時に’ですね。
      引用間違い失礼しました。
      2018/06/23
    • masatoさん
      5552さん、コメントありがとうございます!
      誰でもが少なからず持っている自己否定感を顕著に表していて辛い物語でした!
      5552さん、コメントありがとうございます!
      誰でもが少なからず持っている自己否定感を顕著に表していて辛い物語でした!
      2018/06/23
  • なんだか嫌な後味だった。
    東尋坊と金沢が舞台なのでワクワクして読んだが、北陸の空のようにどんよりしてしまった。
    両親にとって第二子であるサキが生まれた世界と、サキを流産したために僕が生まれた世界。微妙に異なる世界。僕の生まれた世界はサキが生まれた世界より少しずつ不幸だ。
    テーマとしてはもっともっと深い内容にできそうなのに、軽いタッチで描かれて、中身も軽い…そんな感じがした。

    最後の一文に絶望した。

  • どうかな?タイムスリップの要素もあり、面白かったかな?自分で考えさせられる集結しかたかな?
    異世界の姉の洞察力が、ご都合主義になっていなく、心地よい会話のテンポ感を出していて良かったかな。
    ※いずれは東尋坊に行ってみたい。

  • 東尋坊の崖から墜落死した恋人を偲ぶ僕(嵯峨野リョウ)が、母親からの兄(嵯峨野ハジメ)の葬儀の連絡を受け、金沢の自宅に戻った僕を迎えたのは、流産で生まれなかったはずの、嵯<峨野サキ>と名乗る姉だった! 僕が今まで生きてきた世界とは相容れない異空間に迷い込んでしまった、奇妙極まる運命の出会いに翻弄されていく青春ファンタジック・ミステリ。「瓶の首」は、細くなっていて水流を妨げる。その部分のことを「ボトルネック」という・・・嵯峨野家に生まれたはずの僕のこれからの人生には、何が待ち受けているのだろうか?!

  • Amazonの紹介より
    亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した……はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人間なのか。世界のすべてと折り合えず、自分に対して臆病。そんな「若さ」の影を描き切る、青春ミステリの金字塔。



    北陸を舞台にした摩訶不思議な物語となっています。東尋坊の崖から落ちたと思いきや、金沢の街にいて、そこは自分のいた世界ではなく、どこかのパラレルワールドであり、自分の人生とは真逆の人生を歩んでいることがわかります。

    自分の人生では、死ぬといった不幸の連続であるが一方、こちらの世界は、生きています。
    一つ一つパラレルワールドでの事実を知るたびに、なんとも切なかったです。

    2つの世界が存在すると、どうしても比較してしまう人間の性なのですが、それで生じる絶望や哀しみが、まぁ辛かったです。

    なぜタイムスリップしたのか?その仕組みは?といった真相はなく、2つの相反する世界を見ることで、主人公はどう見解していくのかが、この小説の読みどころかなと思いました。

    一つずつ消されていく希望の灯に、人生の辛さを感じつつも良い影響を与える人にも出会ってほしいと思いました。

    小説の中では、大きな括りとして、考えが似ている人だけにしか出会っていないので、これがもし、別の考えを持っている人に出会ったなら、もしかしたら主人公の動向は変わったかもしれません。

    最後、主人公がどんな行動をとったのか、読者は想像するかわかりませんが、どちらも地獄?と考えると、なんとも複雑な気持ちになりました。

    そういった主人公の心の揺れ動きだけでなく、恋人の自殺事件を深堀りしています。
    なぜ自殺したのか?もしかして殺された?といった推理をしていくのですが、あくまでも推理なので、本当はどうだったのかモヤモヤ感は残りました。

    もしかしたら別の解釈もあるんじゃないか?といった視点もあったので、気になるところです。

    いずれにせよ、パラレルワールドがあるにせよ、ないにせよ、現実を生きなければなりません。
    こういう表現だと、キツキツな気持ちになってしまうのですが、現実を受け止めながらも、こうできるんじゃないか。ああできるんじゃないか。といったポジティブな気持ちになることも大切です。

    周りの人達の影響で、心が変わることもあるので、色んな人に出会うことが大切なのではないかなと思いました。

  • 青春ミステリーものかと思って読んだけど、若干違っていた
    なんか見た事あるなあと思いながら読んでいたけど、森絵都さんのカラフルに似ている
    最後のメールが誰からなのかでバッドエンドかハッピーエンドか決まる。
    自分はサキからのメールであって欲しいなあ
    母からのメールであっても、かぞくはこんなんだけど自分は頑張るぞ!って気持ちで主人公は微笑んだのだと思いたい、、、

  • なんつう本だ……ただ私がこの本を学生時代に読んでいたらと考える。社会人として読んだこの本は最早懐かしささえ覚えた。薄ら笑いさえもした。
    もし自分とは逆の性格をしている誰かが自分の代わりをしている並行世界にワープしたら。ミステリと絡めた最高の本

  • 辛い……辛かった……。
    主人公リョウの性格もあってか、終始雨が
    降りそうな空のような暗く淀んだ雰囲気。

    サキの存在が明るい太陽のように感じた。

    自分を責め過ぎてしまいやすい人や、
    気持ちが落ち込み過ぎる人にはおすすめしにくい
    ですね……(リョウに同調してしまいそうで……)

  • なんか、終始ふわふわして
    退屈→オモロい→普通→なかなか→普通→えっ?みたいな感じでした。

  • 崖から落ちたはずなのに、気がつけば見慣れた街にいる。そんな非現実的な出来事から始まる物語は読んでいて最初からワクワクしっぱなしでした。
    時折登場する恋人の従妹の怖さが米澤さんらしいなとも思いました。

    私も4兄弟で弟や姉がいますが、もし自分が生まれていなかったとしたら、もし他の兄弟の誰かが生まれていなかったとしたら、他の兄弟の人生は違ったのかと思うと不思議な気持ちになります。
    運命(人生)は最初から決まっている。全ては必然である。と聞いたことがあります。不遇の事故で亡くなったとしてもそれは最初から決まっていることであると。
    そう思うと、全ての選択は最初から決まっているのであれば、世界に分岐点は存在せず、似たような世界線は存在し得ないのですかね?いわゆる作中のような並行世界が存在しないというわけですが。
    考えれば考えるほど不思議な気持ちになります。今こうしてボトルネックの感想を書くことも運命づけられていることなのだろうか。

  • 面白かったです、設定もリョウとサキの対比も。
    ずっと鬱々としているリョウ。
    リョウはサキと出会って嫌でも客観的な視点で自分の存在価値について向き合ってしまい、そして劣等感爆発。
    サキは快活で気持ちのいい性格だけど、陰からすると眩しすぎるし、結果残酷だった。
    めちゃくちゃイタイところを突いてくる米澤さん。


    リョウを救ってやりたいという気持ちで妄想を膨らませ読後に浸る

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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