白い夏の墓標 (新潮文庫)

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著者 : 帚木蓬生
  • 新潮社 (1983年1月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101288017

白い夏の墓標 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 2016/10/03 - 2016/10/09
    パリで開かれた肝炎ウィルス国際会議に出席した佐伯教授は、アメリカ陸軍微生物研究所のベルナールと名乗る見知らぬ老紳士の訪問を受けた。かつて仙台で机を並べ、その後アメリカ留学中に事故死した親友黒田が、実はフランスで自殺したことを告げられたのだ。細菌学者の死の謎は真夏のパリから残雪のピレネーへ、そして二十数年前の仙台へと遡る。抒情と戦慄のサスペンス。

  • 読了。僕達を封じ込めているのは社会とか思想とかではなく、1日24時間という物理的制約と知性という生理的限界だけである。テーマの割に明るい展開と相変わらず引き込まれるわ。ただ、読書に絶望的な虚脱感を求める僕としてはハッピー(?)エンドにそうなの?感はあり。間違えなく面白いけどね。

  • 黒田は手記に書いてあるように佐伯とずっと一緒にいれば人生が全然違ったのかもしれない…。
    貧しさゆえに両親に愛されず、兄は狂い、自分は狂わないために殻に閉じこもり、ウィルスだけに心を注ぐ。
    自分が発見した仙台ヴァイラスが認められアメリカに行けると決まった時はどんなに嬉しかっただろう。心を許せる友になりつつある人よりも、たった一人の肉親の兄よりも黒田はウィルスを選びアメリカへ行った。そこで得て、失った物はなんだったのだろう。
    「水を得た魚という評は正解だろう。だが水を得た代償として何を売り渡してしまったのだろう。」

  • 今回は細菌学をテーマとしており、多少医学の知識がある私でも難しかったです。しかしさすが帚木氏。黒田の死の真相が明らかになっていく過程が良かった。佐伯氏が本当の黒田を理解したのかなぁ~と感じた。ベルナール氏も本当は心優しい科学者だったんですね。最後までハラハラしながら読める作品でした。

  • 細菌の研究というジャンルは新しかった。

  • 医学の世界がリアルに書かれてて、お見事!の一言。派手に知識をひけらかす訳でなく、基礎がどっしりしていて、医学を学んだ者でも納得しながら読める。
    なおかつ、故人を訪ねて死の謎を追っていくミステリーの要素もテンポよく進んでいく。最後の手紙で、エンターテイメントとして丸く収まったか?

  • テーマや環境が似すぎていて、だんだん全部が同じに思えてきた。
    細菌兵器を作るために引き抜かれ・・・だけどやりきれなくなり逃げて自殺したと思われていた友人の足跡をたどる話。

  • 純粋エンタメに近い医療サスペンス。帚木氏ならではのスケール大きな舞台展開と一気に読ませる筆力。一方でテーマの深みにはやや欠ける感があり、帚木氏独特の壮大な人間愛を期待した身としてはやや物足りなかった。

  • 生物学に多少の造詣が無ければ読みにくいかもしれない。むしろ、あればこそこの作品はもっと意味深く読み取ることが出来る。帚木蓬生の書く医療ミステリはそのミステリ性のみならず、医療の暗部に警鐘を鳴らすような社会的な主張が強く感じられる点が特徴的だ。今回も細胞融合の技術を利用した生物兵器という起こりうる闇を描きつつ、ミステリとしての本筋からも外れない見事な作品となっている。

  • 医学サスペンスというよりは純文学のようでした。医学としての題材といい舞台のヨーロッパの情景も書かれておりとても興味深く読めました。とても好きな作品です。

  • 『聖灰の暗号』でおまけしたので、こちらは★2つ。
    その『聖灰』と同じなのだが、惜しいんですよね、この作家。
    十分な魅力を振り撒きながら、結末が尻切れトンボ。
    というより締めの重厚さが欠落している。
    興に乗って読んでいる内にはたと残りのページ数が余りに少な過ぎることに気づき、その落差からか余計に失望感が増してしまうといったところでしょうか。

  • 医学者佐伯が、パリで開かれた国際会議で知り合ったベルナール教授から懐かしい人物の名前を聞かされる。
    大学時代の忘れられない友人黒田が、自分とは別の道に進んでからの様々な出来事を、佐伯は旅しながら知ってゆくことになる。

    ウィルスや様々な医学的な実験の話が細かく綴られているが、医学サスペンスというよりは、純文学のような味わいの本に思える。

  • 科学的な内容が大半を占めているが、人物の表現は純文学のよう。知的興味をそそる一方で、登場人物の切ない思いが綴られた良作。

  • 科学が最も進むのは、政治に利用されるときなのかもしれない。

  • 2012.04.03
    『閉鎖病棟』からはじまって帚木蓬生のファンなのだけれども、
    この作品は、初期の頃のものかな。
    わたしが「好きだ!」って思う一群とは、少し作風が違う感じがしたよ。
    ストーリー性ははっきりしていて、スピード感もあって、おもしろい。
    だけど、もっと“人”に近くて、登場人物ひとりひとりに寄っていく感じが
    いつもの、ってわたしが思う部分だったのかな。

    と、それは置いておくとしても、
    これはこれで迫力のある、読み応えのある物語だと思います。
    クロダのノートの部分が、なんといっても一番息をのむ部分。ハイライト。
    明晰な頭脳を持つウイルス学者が、最先端の設備での研究を任されて、
    何を思い、何を感じながら、自分の研究と向き合うのか。
    最先端の設備をそろえるその環境は、なんのために存在していたのか。

    その、医学的倫理を問う部分はもちろんのこと、
    人の生き方とかあり方とか、そういうことについても考えさせられる。

    今って、ものすごく“自分”が大事にされてる時代だな~と思う。
    自分らしさ、自分探し、個性とか、オリジナルとか。
    でもその一方で、社会への参加とか、貢献とかがものすごく評価される。
    いつの間にやら、社会に貢献できる自分を自分が一番評価してる、
    そんな感じになってっちゃうかんじがする。

    自分のしたいこと、野心、認められたい思いとか、いろんな欲とか、
    社会から、他者から、求められること。
    それを重ね合わせることに苦しむクロダの思い。
    わたしたちにもじゅうぶん通じるものがあるなと思った。

    …物語終盤。
    佐伯が、「このノートは、どうして残されているんだ…?」と、気づくところ。
    そこがもうひとつの見所だと思います。

  • 帚木さんのデビュー作で直木賞候補にもなった作品。

     ウイルス学者である主人公がある学会に出席した際、学生時代アメリカ に渡ってウイルスの研究をしていた友人の消息を知る人に出会う。
     彼は事故死ではなく自殺したというのだ。
     その彼が眠る場所を訪れた主人公は彼がウイルス兵器の開発をさせら れ苦悩していたという事実を知る・・。

    さすが、帚木さんの作品。デビュー作とは思えないくらいしっかり構成され、登場人物それぞれの心の動きが綿密に描かれていて、ずっしりとした読み応えがあった。
    すごく重くて最後は悲惨な結末かと思ったのに、救いがある結末になっていてほっとしたし、読んだ後さわやかな明るい気持ちになれた。やっぱり帚木さんの性格が素晴らしいんだと思う。

  • 佐伯は医療学会に参加するために赴いたフランスでベルナールという老人から学友の黒田が事故死ではなく自殺したのだと聞かされる。黒田はなぜ死んだのか、黒田の残したノートや友人、元恋人の話をもとに彼の人物像や死の謎を解き明かしていく医療ミステリー。

  • 2011.10.24(月)¥100。
    2011.11.3(木)。

  • 黒田の不器用さ

  • 医療の研究分野は、一歩踏み間違えると、恐ろしい研究へと繋がっていくんだなあ~と言うのが一番の印象。
    この話の主人公は、研究者としての卓越した才能がありながら、生い立ちから負の連鎖で、自分では望まないのに、負の方向へと追い込まれていくしかない…それが悲しい。
    その悲惨な生涯で、心を許したただ一人の友が、途中で投げ出さざるを得なかった研究を、受け継いでくれそうだ…という最後に救いがあるかな。

  • 深い。
    じっくり読みたい作品。

  • クロダのノート。ジゼルの想い。ベルナールの償い。サエキの…。

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