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閉鎖病棟 (新潮文庫)

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著者 : 帚木蓬生
  • 新潮社 (1997年4月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101288079

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閉鎖病棟 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 作者は精神科医というだけあって、登場人物の描写や病棟内の様子はかなり現実に即した内容でした。
    とは言え、あくまでフィクションなので極端にデフォルメされているのは否めません。
    精神科医療のあり方、障害を持つ者が自立すると言うことについて考えさせられる内容でした。

  • 戦後まもなく精神病院に入れられた人々。梅見や患者や医師について、患者の目からの描写。
    少し昔にかかれた本だからか、方言が多用されているからか、穏やか、というか素朴な日常が書かれていた。背表紙にあるような「病院内の殺人!その理由とは…?」みたいなサスペンス調ではない。
    分裂病、ひとまとめにされているけど、家族や病気や背景でそれぞれの個性を生きているんだ、と思いました。

  • この中には、我々がいる。
    昨今のストレス社会を考えた時、決して対岸の火事ではないことがみえてくる。

  • 泣けました。殺人や殺人未遂で精神病棟に入院した人たちが、何十年もの入院を経て自立していくまでの話。良い本でした。

  • 気分が滅入ります。途中で三冊ほどはさんだ。

  • 島崎、秀丸、昭八の過去から、病棟での話に移った途端に、登場人物がインフレ。輪郭もぼんやりとしてるから、誰が誰だか分からない。精神病院という割には、精神に異常をきたしている描写もなく、なんとなくモヤモヤとした感じ。ただ、秀丸の裁判で、チュウさんが放った言葉、「退院したよ」は、すごくストレートで、この物語の中核であると感じた。が、しかし、入院中に読む本ではないな。

  • とある精神科の病棟。
    過去に凶悪犯罪を犯してしまった患者たちを
    優しく暖かく描く物語。
    ラストのクライマックスでは思わず涙。
    しかし、忘れてならないのは彼らは重い罪を
    犯したということ。
    その前科さえ霞むくらいの純粋さが美しい。
    罪を犯し精神病院に入る=危険と
    簡単に認識してしまう自分と社会。
    改めるのは難しいが努力してみようと思う。

  • 受賞歴

    第8回(1995年) 山本周五郎賞受賞

    内容紹介

    とある精神科病棟。重い過去を引きずり、家族や世間から疎まれ遠ざけられながらも、明るく生きようとする患者たち。その日常を破ったのは、ある殺人事件だった……。彼を犯行へと駆り立てたものは何か? その理由を知る者たちは――。現役精神科医の作者が、病院の内部を患者の視点から描く。淡々としつつ優しさに溢れる語り口、感涙を誘う結末が絶賛を浴びた。山本周五郎賞受賞作。

    内容(「BOOK」データベースより)

    異常の烙印を捺され社会から肉親から隔絶されたまま流れ流れる果てしない時間が突如として破られた…。とある精神病棟。殺人事件。熱い血と熱い涙。感涙を誘う長編。

    内容(「MARC」データベースより)

    とある精神病棟、異常の烙印を捺され社会から切り離されたまま流れる果てしない時間が、ふとした事件によって破られる。心のさざ波の中でおこる殺人劇、熱い血と涙が感涙の結末を迎える長編小説。

  • 2016.11.06
    暗くて明るい世界に癒された。
    最低限のことしか書かない文章もすごく良かった。
    優しい人ほど落ち込みやすい世の中なんだよなぁ。

  • 京急で横須賀方面に向かう途中で読了。悪趣味な好奇心を反省させられる、静かで穏やかな精神病棟の日々。物語である以上事件は起きてしまうけれど、最後の裁判シーンでは思わず落涙してしまった。個人的には、筑後弁がまたグッと。

  • タイトルと挿画から、もっと暗くておどろおどろしいミステリーを想像していたのだけど、良い意味で裏切られました。
    舞台は、福岡の精神病院。精神病者の隔離収容という長年の政策がようやく見直されはじめ、患者たちの社会復帰が模索され始めた時期だ。
    みんなで梅を見に行ったり、お芝居を作ってみたり。チュウさん、秀丸さん、昭八ちゃん、敬吾さんら、何十年も病院で暮らしてきた老人たちと、家族から性的虐待を受けて病院に逃げ場を求めた少女との、世間から切り離された穏やかな日々が、どこかとぼけたようなチュウさんの言葉でつづられていく。
    実はこの老人たちは、精神病で苦しんだ結果、人を殺してしまったり放火をしたりといった過去をもつ。そうして世間からも家族からも切り離されたまま、数十年も病院のなかだけで暮らしてきたのだった。たとえ今は症状が落ち着いているとしても、何をするかわからないから病院に閉じ込めてくれていた方が安心だ、というチュウさんの家族の反応は、実はそのまま私の中にある偏見を表した言葉でもあることに気づかされる。この小説はそうした偏見を告発するのでなく、自分たちの暮らしを自分たちの言葉で語るチュウさんの声に耳を傾けるように促してくるのである。
    物語の中ではまた悲劇と殺人事件が起きてしまうが、チュウさんは最後に、自らの意思を譲らず、病院の外で生活することを決める。地味ながら味わい深い文章で大事なことを伝えてくれる小説である。

  • 先輩にすすめられた。
    最初は精神科の独特の雰囲気と
    患者のエピソードが入り混じり
    とっつきにくかったのが徐々に絡み合う感じ。

    最後は暗く湿った感じからすこしは
    希望がもてた。、

  • 面白かった。精神病棟の日常を温かい視点で綴った新鮮味のあるストーリー。最後に希望もある。

  • 作者が精神科医だからか?
    患者の表情や状況が目に浮かぶほど
    リアルである。
    精神疾患を発症した本人も辛いが
    周囲もそれを受け入れるのに
    何十年もかかる・・・
    そんな現実をつきつけられた作品だった。

    自分をコントロールできずに苦しみ続けた人。
    誰よりも冷静に自分を分析出来てしまう人・・・・

    最後に少しだけ出てきた
    女医先生の暖かい言葉に
    人間は平等とは言うが
    そうで無い時や場面も多々ある。
    そんなときにこそこの医師のように
    患者側や弱い人の側に
    立てる人間になりたい。と
    改めて思った次第である。

    社会で救われないが
    人の温かさに救われた作品だった。

  • このくらい重くて暗いと、読み応えがある。帚木蓬生ワールドにどっぷり浸かれる一冊。

  • 会社帰りの地下鉄で、左手に文庫本、右手に湿ったティッシュを握りしめつつ読了。ちなみに、ティッシュが湿っていたのはローションティッシュのせいだけではない。

    主な登場人物3人の人生が断片的に描かれた最初の数章は読みづらくて、さらに小説の半ばまで読んでもいっこうに話が進まず、ある事件が起こるまでは読むのがつらかった。多少の事前情報は必要だったかもしれない。とはいえ、精神病棟の入院患者の目線から見た世界は新鮮で、人間の本質が深くそして優しく描かれていると思った。

  • なんというか、感想が思い浮かばない。

  • 病院の精神科病棟で20年の年月を送った「チュウさん」こと塚本中弥を中心に、病棟で暮らす患者たちの日常を描いた作品です。

    暴力団員で、殺人事件を起こしながら覚醒剤中毒のためにこの病棟に送られてきた重宗という男が、中学生の島崎由紀をレイプする事件が起こります。さらに、チュウさんから事件の事を聞かされた梶木秀丸は、島崎の復讐のために重宗を殺害してしまいます。そしてこの一連の出来事がきっかけとなって、チュウさんは退院して一人で暮らし始めることになります。

    上の事件が一つの山場になってはいるものの、作品全体としては事件の顛末よりも精神科で生活をしている人びとの、ある面では世間から外れたところがあっても、やはり一つの世間の中で生活を送っている様子を描き出すことに、著者の努力が傾けられているように思います。

  • 山本周五郎賞受賞作。
    主人から回って来たこの本は、病院勤務の友達からイチ押しされたこともあって一気読み。 作中、色々と考えさせられる事があって、そしてちょっと読むのが辛いからというだけで投げ出さず、最後までじっくりと読めてホント良かったと思った。 結構、泣いた。 

  • タイトルから勝手に病院の中で殺人事件が起こって……みたいなミステリーを想像していたんだけど、全然違った。
    どちらかというと、精神病院に入院している患者が、いろいろなきっかけで少しずつ自立していくような話

  • 最初出てきた人達はその時点では普通の人です。
    そして、心を病み精神科へ入ります。
    それまでは、普通の人なんです。
    病気の元が心にあっただけです。

  • 精神病院の暗い重いサスペンスかと思いきや出てくる人がみんないい人であたたかく感動する話。
    昔一度読んだが、母が友達から借りて面白かったと教えてくれて、なんだかその話知ってると思ったけどほぼ忘れていた。その借りている本を又貸ししてもらい、再読。
    「ここは開放病棟であっても、その実、社会からは拒絶された閉鎖病棟なのだ」これがこの小説のタイトルの所以と思われる。
    また、秀丸さんの手紙にある「病院は終の住処ではありません。渡りに疲れた鳥たちが羽を休める杜でしかないのです」にも心打たれた。他にも、新しい女医さんが退院を勧めてくれるシーン、チュウさんが台本を書いた演劇、それを褒めてくれる婦長さん、梅見や宝さがし、退院した昭八ちゃんの家に泊まりに行くところなど本当に心温まるエピソードが上手に続く。
    秀丸さんも島崎さんも昭八ちゃんもみんな患者だけど健常者以上に想いがあって素晴らしい人に書かれている。それぞれが罪や事情を背負って生きている。
    解説にて「ただ一人の悪役を務める重宗のようなやくざに対してさえ、救いのひと筆を惜しまない優しさがある」と。
    同じ著者で「臓器農場」も持っていて母が読みたいというので交換して読んだ。こちらも臓器提供の重い話だけど、また登場人物がいいんだなぁー

  • 著者が精神科医なので、ほとんどが本当にあった事を下敷きにしているのだろうなと思いながら読んだ。(本当はどうかわからないが勝手な思い込み)
    ピュアな人間模様に涙が出ました。
    秀丸さんの手紙とラストの法廷は泣けて泣けて困った。

  • 精神病患者達をまさに「公平」に描いている作品だと思う。おかしなところはありつつ、危険だとか哀れだとかいう偏りなく、淡々と書かれておりとても読み心地がよい。最近は、精神障害を厳罰回避の手段であるように捉える論調もあるが、例え小説であっても、精神障害に対する正しい理解を促すものが増えればいいと思う。
    どうやら福岡が舞台のようだが、方言が少し違うような気もする。

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閉鎖病棟 (新潮文庫)の作品紹介

とある精神科病棟。重い過去を引きずり、家族や世間から疎まれ遠ざけられながらも、明るく生きようとする患者たち。その日常を破ったのは、ある殺人事件だった…。彼を犯行へと駆り立てたものは何か?その理由を知る者たちは-。現役精神科医の作者が、病院の内部を患者の視点から描く。淡々としつつ優しさに溢れる語り口、感涙を誘う結末が絶賛を浴びた。山本周五郎賞受賞作。

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