- Amazon.co.jp ・本 (551ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101288093
感想・レビュー・書評
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作品中にも出る「正義は弱者にある」そういう視点から書かれた小説です。
相変わらず帚木さんらしい抑えたれた丁寧な文体で、ナチスによる迫害や戦争の悲惨さが次々と冷静に語られていきます。声高でも押し付けでもないヒューマニズムです。
近年発見された日記という形式で語られるのも、リアリティを生み出すのに成功しています。そして、終わり方も上手く余韻を残しています。
やや冗長な感もありますが、「三度の海峡」と並ぶ作品だと思います。
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居合いの剣でヒトラーを魅了し、護衛に選ばれた日独混血の駐在武官補佐官。だが、祖国・日本は、そしてもう一つの祖国・ドイツは彼の思いとは別の道を歩んでいた。第二次大戦下のドイツを舞台に描く、ヒューマン・サスペンス。
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「強い者はひとりでも生きていける。弱い者には手を差し伸べなければいけない。とくにこんな時代にはね」
2019/11/4読了
作品の舞台ナチスドイツが跋扈した1930-40年代。ただ、「こんな時代」は、そっくりそのまま現代にも当て嵌まると思って引用した。 -
東西の壁が崩壊したベルリンで、日本の剣道の防具が発見された。「贈ヒトラー閣下」と日本語で書かれ、日本からナチスドイツに贈られたものだという。この意外な贈り物は、国家と戦争に翻弄されたひとりの男の数奇な人生を物語っていた―。1938年、ベルリン駐在武官補佐官となった日独混血の青年、香田光彦がドイツで見たものとは、いったい何だったのか。
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私の、初めての、帚木蓬生。
二次大戦中のドイツが舞台。
帚木蓬生の、歴史小説のなかでは、私的1番かも。 -
理性の眠りが怪物を育てる、第二次世界大戦のドイツを舞台に期待を裏切らない一冊。歴史と事実は違うからこそ、魅せられる。
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2000.01.01
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ドイツ物だからなぁ・・・私の採点は甘い!だなんて思わないでくださいまし~。
本当に感動しました! 上・下巻に分かれているものの、あっという間に読むことができますよん。
戦争中のドイツの残虐な行為についても書かれていますし、それに対抗しようとしていたアンダーグラウンド組織のこともでてきます。もう涙・涙ですよん。
戦争の悲劇は人間を狂わせてしまうところですよね。
日本国家を背負って駐在している主人公のヒューマニズムはだまってはいませんでした。
しつこいですけど、満点をうなずいていただける作品だと思います。
著者である帚木(ははきぎ)氏は元精神科のお医者様。
初期の作品はお仕事柄か、精神医学ミステリが多かったのですが、作家を本業になさってからは広範囲のミステリやボーダー小説を書いています。
一貫してヒューマニズムや正義感をテーマに書かれ、悲しいかな、そんな人いるの?ってこともありますが、そういう人たちが現実にいて欲しいという望みが生まれ、読んでいてスッキリするところが大好きなんです。
今のところ、新作がでると必ず読む作家さんのひとりとなっています。
それにしてもこの剣道の防具、実存しているんですよ~。
いろいろな人の手に渡り、フランスにあったらしいのですが、今は日本剣道協会が保管しているそうです。見てみたいものです。 -
日本はナチスにあこがれていた時代があったよね。歴史の反省が好きならそこんとこももらさないで欲しい。帚木蓬生さんの著書だからさすが内容。でも大事な人がバンバン死ぬ話なので、精神的体力があるときに読んだ方がいいです。