ヒトラーの防具〈下〉 (新潮文庫)

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著者 : 帚木蓬生
  • 新潮社 (1999年4月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (557ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101288109

ヒトラーの防具〈下〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 光彦の心がよくつかめなかった。
    本当は東郷大使に言われたように光彦が目となり耳となりドイツを知り、それを日本に伝えたかったのだろう。だけど、最後まで口にはなれなかった。
    自分の声は全然日本には届かなかった。その悔しさがもどかしさが常にあったのだろうか。
    最後ヒトラーに自分の護衛についてほしいと言われた時光彦は何を思ったのだろうか。
    最後まで日本式の敬礼をしていたことが光彦なりの気持ちの表れだったのだろうか。

  • ヒトラーの防具
    第二次大戦前に、ドイツを訪れた日本の剣道団体がヒトラー総統に剣道防具を贈呈するとこらから物語は始まる。側近に渡すことができればよいと考えていた贈呈団は、ヒトラー本人が表れて感激する。
    ドイツ駐在武官補佐である主人公の香田は日本陸軍中尉だが、折に触れヒトラーの関心を引く。一方で、香田自身はナチスドイツに対し、違和感を抱き続ける。それというのも、香田の周りには、両親、兄をはじめ、魅力的な人間が集まっており、やはりナチスドイツに違和感、あるいは反感を持っているからだ。通常の生活では明らかにすることができない各人の本心が、香田に対しては明らかにされていくところに、香田自身の魅力が表現されているのだろう。
    ゲシュタポの一斉捜索後、思いがけずヒルデを預かることになるが、香田にとっても大きな人生の転機となる。
    戦局の悪化に伴い、大事な人が次々なくなっていき、香田の考え方もますます純化していく。その精神の深まりが丁寧に描かれている。
    物語全体は、香田の日記をたどりながら、香田の周辺状況と歴史的事実が巧みに組み合わされており、ダイナミックな展開を味合うことができる。「日本の目となり耳となり、本国に事実を伝えていくのが外交官の役割だ」と強く意識するも、日本国内とドイツとの認識ギャップや、真実を伝えることのできない時局の面映ゆさが物語の主要な展開である。実在した剣道防具からここまでの物語展開を作り上げる技量は相当であり、非常時の人間の在り方について改めて考えてしまった。

  • これはもちろんフィクションの小説なんだけど、ヒトラーと主人公は、今にして思えば出逢った時から、お互いの運命と、相手に対して自分がどんな位置に立つのか、わかっていたのだな…と、そんな気持ちになるラストだった。
    いつも本を読み終わると、間髪入れずに他の本を読み始めるのだけど、今日だけはこの小説に敬意を表して、他の小説を読まないでいようと思った。

  • コレは間違いなく今年一番引き込まれた。これだけの描写とスケール感に感動する。

  • 2000.01.01

  • 第二次大戦中のドイツを軍の駐在員の視点から描いた話。
    実際にどんなことが起き、市民の生活はどうだったのか、という描写が生々しい。
    総統の最後が少し迫力が足りないような気もするが全体的には読み応えがある。

  • ドイツでヒトラーに贈呈された剣道防具が発見された。贈与に関わった日本人武官を通して激動のドイツを描く。
    題材は最高。文章力・表現力がどこか拙く残念。

  • 一気にだだっと。
    最後はアクションというかドキドキする展開で、でも感動する。
    戦争によって、人が一人死んで二人死んで…大事な人が消えていくことのつらさが伝わる。
    精神科医として、精神患者を排除しちゃいけないっていうのは大事なメッセージだと思った。
    社会で邪魔になる人を排除してはいけない。

  • 寝る前に少し、が一気に読み終えてしまった。中盤からは戦火がベルリンを襲い、次々と香田の周りから人やものを奪っていくシーンは矢継ぎ早ながらも無駄の省かれた濃密な展開。護衛として任命されたときにうっすら予想はできていたが、それでもやはり感傷的にならざるを得ないラストシーン。
    さて、それでは実際の防具にはどんなストーリーがあったのか、そちらもそちらで気になる。

  • 東西の壁が崩壊したベルリンで、「贈ヒトラー閣下」と書かれた剣道の防具が発見された事実から描かれた作品。
    ナチス政権下のベルリンに武官補佐官として派遣された日独混血の青年将校の苦悩と数奇な運命。回復の見込みのない精神病者の処分、ユダヤ人弾圧、ヒトラー・ナチスの外交戦略に惑わされる日本軍部の定見のなさが冷静な日本青年の目を通して描かれる。ナチスを通して更にその上を行く無定見な日本をも描いている。
    結末は少しどうかなとも思ったが、全体としてはすばらしい作品。
    視点としては戦争末期、朝鮮人の九州炭鉱への強制連行を朝鮮人の視点で描いた「三たびの海峡」と同じ目線。
    作者が精神科医として、精神病院の入院患者の姿を通じて、生きることの意味を描き出そうとした「閉鎖病棟」と通じるテーマ。

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