逃亡(上) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (623ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101288116

感想・レビュー・書評

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  • 戦時中の惨たらしい描写、その爪痕を背負いながらも歩みを進める主人公。ついにその怯える背中が捉えられ、下巻にかけて物語が駆け抜けてゆく。

  • 2014.10.17

  • 第二次世界大戦中、香港で憲兵をしていた主人公「守田征二」。上巻では戦犯になることを恐れ、身分を偽って収容所に入り、帰国のチャンスを窺う様子が描かれる。

    ときおり挟まれる戦時中のエピソード。憲兵という仕事柄、自分もスパイを使うし、敵もスパイを使う。正々堂々というと皮肉な響きにはなるが、敵も味方もそういうものだと思って行動する。スパイを捕まえれば拷問によって吐かせようとするし、逆にスパイがばれた側は、ときには死も厭わない。戦争のダークサイドというか、普通には表に出ない部分であるが、裏を返せば、すべてが明らかにされれば、戦犯となってしまう。

    戦争という場では当然だったことが、戦争が終わった瞬間に犯罪とされてしまう、BC級戦犯の理不尽さがここにある。

    そういった様々な不安定さをはらみながら下巻に続いていく。

  • レビュー

  • 前半は戦時中の香港、広州が舞台

  • 戦時中に幼少から教え込まれた価値観と、自分の仕事として責任感を強く感じ働いたがために、敗戦と同時に敵国の者たちに追われ、帰国すればGHQの配下となった同じ日本人の警察に追われ、飢えながら逃げ続ける姿に胸を突かれた。
    どうか無事に逃げきってほしい。。。
    下巻に続く。

  • 帚木作品の中で一番おすすめ。

  • 2011.4.14(木)。
    1997年 第10回柴田錬三郎賞

  • 下巻も含めた感想を。

    日本が中国占領時に犯した残虐な行為の数々,敗戦直後の日本人に対する中国人の態度,アメリカが日本に犯した大きな罪。
    全てがノンフィクションのようにリアルでした。

    スパイを処刑することが死刑に当たるのに,原爆を落としたアメリカは無罪?
    勝てば正義?

    征二の家族への想い。家族の征二への想い。戦友同士の友情。
    涙が出そうになりました。

  • 戦争は良くない。いいことなんてあるのだろうか。

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著者プロフィール

1947年、福岡県小郡市生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、TBSに勤務。退職後、九州大学医学部に学び、精神科医に。’93年に『三たびの海峡』(新潮社)で第14回吉川英治文学新人賞、’95年『閉鎖病棟』(新潮社)で第8回山本周五郎賞、’97年『逃亡』(新潮社)で第10回柴田錬三郎賞、’10年『水神』(新潮社)で第29回新田次郎文学賞、’11年『ソルハ』(あかね書房)で第60回小学館児童出版文化賞、12年『蠅の帝国』『蛍の航跡』(ともに新潮社)で第1回日本医療小説大賞、13年『日御子』(講談社)で第2回歴史時代作家クラブ賞作品賞、2018年『守教』(新潮社)で第52回吉川英治文学賞および第24回中山義秀文学賞を受賞。近著に『天に星 地に花』(集英社)、『悲素』(新潮社)、『受難』(KADOKAWA)など。

「2020年 『襲来 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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