安楽病棟 (新潮文庫)

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著者 : 帚木蓬生
  • 新潮社 (2001年9月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (640ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101288130

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安楽病棟 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 安楽死のことより、老人の抱える問題、特に痴呆老人のことが詳しく描かれていて、興味深い。
    40歳から老後が始まる、という記述にドキリとした。

  • 深夜、引き出しに排尿する男性、お地蔵さんの帽子と前垂れを縫い続ける女性、気をつけの姿勢で寝る元近衛兵の男性、異食症で五百円硬貨がお腹に入ったままの女性、自分を23歳の独身だと思い込む女性…様々な症状の老人が暮らす痴呆病棟で起きた、相次ぐ患者の急死。理想の介護を実践する新任看護婦が気づいた衝撃の実験とは?終末期医療の現状と問題点を鮮やかに描くミステリー。

  • 刊行されてから20年近く時間を経ているが、
    内容は色褪せないどころか、むしろ、切実になっている。

    いずれもモノローグで記述されており、読み始めは戸惑ったが、
    読み進むにつれ、全体像が掴めるようになり、
    その結末たるや、読者に大きな問いを投げかけるものである。

    高齢化してゆくのが自明である現代日本において、
    誰しもが考えるべきテーマだと思った。

  • 初めてこの人の本読んだけど、この人すごい!と思った。
    痴呆老人、介護士の客観目、安楽死。
    日本がこれから直面する問題であろう題材をミステリー仕立てに仕上げられている。

    最初の語りあたりは、正直気怠くて、ずっと最後まてこんな調子かなあ。。だったらこの本海外小説並みに分厚いし、途中で挫折しようかなと思ってたんだけど、途中からドンドン面白くなっていって引き込まれていった。

    直近未来に痴呆になる可能性がある親を持つ私には、小説の話だけとはいかず、かなり学びの感覚で読んでいった。

    それにしても、登場人物の看護士の着眼点は見事としかいいようがない。
    途中涙あり、笑いあり、驚きあり、で読み終わったらなんともいいようがない充実感に満たされた。

    もしかしたら、中年の私だからこの本に感動したのかな(*^^*)

    ま、でも年齢層関係なしにぜひいろんな方に読んでもらいたい一冊だと思ったよ。

    この人の本はこれ以外にも評価が高かったので
    今度読んでみよっと!

  • 2014.9月 読み終わり

  • 痴呆病棟を舞台にしたミステリーという括りだが、ミステリー要素はオマケ。新米看護師の目から見た痴呆病棟の叙述は密着ドキュメンタリーを観ているように細部まで描写されている。(身近に痴呆の人を見たことがない方は信じないだろうけど、かなりリアル)新米看護師の患者や家族との関わり方は慈愛に満ち、病棟で起きるハプニングもユーモラスにも思える。終末期の人間に関わるすべての人に対して粛々と問題提起する本。読んだ人は、家族なら、自分ならどうする?と考えずにいられなくなるはず。興味がある人は是非読むべき。

  • 冒頭だけ読んで眠るつもりが結局読破。
    手紙、あるいは報告書による細かいオムニバス形式で話が進む。安楽死の是非、尊厳ある死とは。医療ミステリの枠を大きく越え、筆者の描く問題提起が痛切に伝わってくる。
    「閉鎖病棟」とはまた違った切り口からの精神病棟の描き方。どちらも無視出来ない人間の有り様で、どちらも読者に強く考えを促す作品だ。
    倫理観が邪魔をしていないか、その倫理観は誰の立場に立ったものなのか、本当に患者のことを考えるとは何か。真の意味での「思いやり」を問われる長編。

  • まず、痴呆老人の実情にびっくりします。この小説の主人公の看護婦の観察眼のするどさ、気配りの細やかさに感心します。
    物語が進む中でじりじりと噴出してくる終末医療の問題点と疑念。
    ミステリーとしてではなく、私たちが向かっていく老人としての生活を知る上でも必読の書です。

  • 「少しくらいなら考えたことはあるけれど、【自分の意見はこうだ】といえるところまでは考えてはいなかったな」と思わせる問題を取り扱った小説でした。「安楽死」や「老人介護」など、今なお課題の多い内容に、序盤は家庭場面・中盤以降は医療場面を舞台に触れられていました。
    意外なラストにも注目、です。

  • 数年前に読んだときは辛くて60ページくらいで断念していたけど、とてもよかった。

  • 考えさせられる。

  • 職場の人から、オランダでの安楽死の話が衝撃的だよ、と言われて読み始めたのですが、本当に衝撃的でした。
    多分、日本人的には有り得ないと思うのですが、現実、こういう国が存在するのですね。
    文化の背景が違うということはこういうことなんですよね。
    この部分だけでも皆さんに読んでもらいたいです。

    小説全体としては、前半は痴呆病棟に入院する本人や家族の独り語り、その後は痴呆病棟に勤務する看護師からみた病棟の日常で、高齢者に接する機会の多い自分の仕事の事も考えましたし、認知症のすえ、グループホームと、病院で亡くなった私自身の二人の祖母の事も思い出しました。

    最後に近づくにつれ、この本どうやって終わるんだ?と思いながら読んでいたのでいたのですが、そうきたか、って感じでした。
    ミステリー作品?だったのね…。

  • ミステリ要素すら終末医療という避けられないテーマに組み込んだ良作。自分の未来を投影出来ればいくつもの読み方ができる。

  • 帚木さんの『閉鎖病棟』が良かったので、今度はこちらを~。
    て久しぶりの帚木さんの作品だよ。

    老人性痴呆症、老後の生活、そして終末期医療を主筋にして書かれた小説です。
    かなーり重い内容で460ページの長編。
    考えさせられるね~。
    パパが死ぬ前に入院してた頃、ちょっとだけ看病したのを思い出しながら読みました~。

    今の時代、介護や看護は誰にでも切り離せない問題となったけど、
    本当にみんなは理解してるのか?
    そう思うわ~。

    私は癌のパパの看病をそんなにしてたわけじゃないけど、最後は寝たきりになって少しは看護婦さんの手助けを少しはしたかな?
    オムツの替え方、洗浄の仕方とかシーツの替え方、少しは知ってるからね~。
    でも、果たして今の人たちの何人がそれを知ってるのか?

    呆けても、一人の人間。
    それぞれ自分の人生を生き抜いてきて、呆けも人それぞれ。。。
    『呆け老人』を一つにひっくるめられるのではなく、一人一人の尊重がないと本当の介護はできないんじゃないか?と思う。

    今は本当に物が豊かにありすぎて、それが当たり前のように生活してるけど、
    おじいちゃんやおばあちゃんの若い頃は戦争から生き延び、物のない貧しい生活を生き抜いてきた人たち。本当に尊敬しないとダメだし、呆けても一人の人間として扱ってあげないと可哀想。

    そして衝撃的だったのはオランダの医療事情。
    もうダメだと思うと、医者や肉親は患者を死なせることに賛成してしまう。。。
    生きても障害を持つだけ。金がかかるだけ。生きてることに意味がない。
    そんなことを勝手に思って、患者を殺してしまう。
    それが普通なんて信じられない。
    それって殺人だよね~。
    オランダ人じゃなくてよかった。。。

    呆けて自分が誰かも他人が誰かも、何を食べたかも分からない人を殺す権利は誰にもないはず。
    脳死の場合は別として、意志をもって何かを出来る生活を送ってるなら、誰でも生きる権利があるはず。
    私はそう思う。

    最後の章では、まんまとやられたな~。
    これ、ミステリーだったとは思わなかったから、私としては大どんでん返しされた感じ。

    でも、この一冊は絶対持ってて損はない本。
    とても勉強になりました。

  • 長編ではあるが、ショートストーリーが集まったような構成。一つ一つ良い内容であり、考えされるものである。とても良い。

  • 戦争のクダリは多すぎだと思ったけど、現場の生の声聞いた気持ちになった。

  • 終末期医療の作品。

    閉鎖病棟も読みましたが、痴呆病棟内の描写は秀逸だとかんじました。

    ミステリーに仕上げてあるので、読み続ける愉しみも持ちつつ、また、主人公の看護師の公私ともの心の動きも興味深く読める帚木氏ならではの作品だと思います。

    看護師さんが、ある種語り部みたいな役割を担っているので、
    作品全体が優しいかんじになっているのかな。

    ただ、ミステリーとして読むとラストは、ちょっと寂しかったなあ。

  • 先輩に薦められて読んだ本、その2。最後のほうを読むまでミステリーだと気付かなかった。

  • 痴呆になりつつある数人の老人の描写から始まる。この人のようになるのかあの人のようになるのか……。それぞれの理由で痴呆病棟に入院になる。
    次は病院での様子を看護婦の目で教えてくれる。家族にとっての毎日は身内であるゆえの辛さや苦しさがあるのだと思える。仕事としてのほうが冷静に対応できるのかも知れない。痴呆になった人はもう人ではないのか?動く屍なのか?他人に迷惑をかけるなら早く死んだほうがいいのか?割り切れる回答は無いのかもしれないけれど、痴呆になっても生きていることを許していける社会だといいなと思う。
    安楽死を、死なせることを医者が選ぶのではなく自然に、命の火が消えるのがいいな。ぽっくり逝きたいと言う気持ちもある。病院で沢山の管につながれて生かされるのはいやかもしれない。
    見えてきた生の終わりを考える時期にきたと最近良く思う。

  •  安楽病棟(痴呆病棟)で働く新人看護師・城野。ここには認知症が進んで家で生活できなくなった患者さんがたくさん入院している。一口に認知症といっても症状は十人十色。基本的に回復の見込みは無い患者さんばかりだが、城野は先輩看護師達と一緒に、どうすれば患者さんが快適に過ごせるか、楽しく人生を謳歌できるか。介護を工夫したりイベントを企画したりと毎日一生懸命働いていた。

     裏表紙のあらすじを読んでこの本を購入したのは随分前である。そして、私はいざその本を読み始める時に改めてもう一度あらすじを読んでから読み始めることはしない。ということで、どんな話なのかわからないまま読み始めたのも同然だったので、これは痴呆病棟で奮闘する新人看護師と患者さんの日常が実録風に書かれている小説なんだと思いながら9割読んでいた。ところが最終章の「動屍」で雰囲気は一変。そうか、ミステリーだったのね(^^;残りの1割は食い入るように読んだが、いかんせんそれまでが冗長すぎたのが残念。主人公の城野看護師がとても熱血な優しい看護師だったおかげで、想像していたような重々しい痴呆病棟の話ではなかったのだが、もっとスマートに削れると思う。こうした病棟では切っても切れない糞尿騒動や家族と介護の問題なども、驚く程ポジティブに、そして何より患者さんのことを考えた看護がされていて、「こういう病棟や看護師さんばかりだったら幸せだなぁ」と思わされるものだったので余計にそう思った。タイトルからすると”安楽死”について書かれている部分が大半かと思われたが、そうでもなかったなぁ。それよりも、認知症介護について読みたい人に薦めたい。

  • サスペンスとしては★★。終末医療の現場をリアルに描いた作品としては★★★★★。この作品にでてくる患者さんは純粋で生き生きしており、訴えかけられる部分が多い。なのでサスペンスにしてしまったのはとても残念。

  • ラストで全てが台無し。急遽サスペンスで締めくくったという印象。凄まじい介護の現場の描写など、後で読み返したいと思えた場面も多々あっただけに残念でした。

  • 分類では医療サスペンス?だけど、小説の本質と良さとは全く違うところにある。なので本書がサスペンスの角度で紹介され、また呆け老人の行動の描写でまるで好奇心を煽るような紹介文には個人的に違和感を感じる。
    小説の構成は、病院の中の老人個人個人のストーリを集めて構成される病院の日常、新人看護婦の視点、サスペンスのキーとなる医師の講演、その後老人のあいつぐ急死、手紙での告発。
    小説後半のスピードが早く、たたみかけるような終結も箒木蓬生さんのパターンではあるが、今回も終盤で一気にギアチェンジし急にサスペンスに入った。だから医療サスペンスなんやけど、なんかちょっと奇妙。

    本質は老人医療、安楽死等の倫理を問うもので小説中に答えもなく、私にもまとまった考えはないけれど、老人ひとりひとり生きてきた人生(特に戦争を体験した人の話は今の私のブーム)と、呆け方、呆けた後の人とのかかわり方、死に方については人間ドラマが凝縮されており興味深かった。この人の書く小説は淡々と書かれているのが余計、感情を深くさせる。(日本語が謎)

    印象的で忘れられないのは、腰が痛くて曲がってしまったおばあさんが性格のキツイ実の娘に嫌味を言われ生活しにくい日常を過ごし、とうとう老人病棟への入院にあたり医者に対して語る言葉。
    「本当にもう自分の体は焼いた方が楽かなと思ったりもします。何もかも焼いてしまって煙だけになり、まっすぐ空に昇っていくのもよさそうなきがします。・・・ほんに無様な格好になってしまいました。せめて煙になるときには背をピンと伸ばして空に昇っていきたいと思います。」っていうところ。
    泣けた。

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