風花病棟 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.71
  • (25)
  • (68)
  • (38)
  • (10)
  • (3)
本棚登録 : 485
感想 : 66
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101288215

作品紹介・あらすじ

乳癌と闘いながら、懸命に仕事を続ける、泣き虫先生(「雨に濡れて」)。診療所を守っていた父を亡くし、寂れゆく故郷を久々に訪れた勤務医(「百日紅」)。三十年間地域で頼りにされてきたクリニックを、今まさに閉じようとしている、老ドクター(「終診」)。医師は患者から病気について学ぶのではなく、生き方を学ぶのだ-。生命の尊厳と日夜対峙する、十人の良医たちのストーリー。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 十編を収めた短編集。
    いずれも老若男女の「良医」が主人公・花が必ず登場するもので、どれもものすごく大きな起伏があるという話ではないけれど、なんだかじんわりよかったなと思わせられた。
    現役精神科医である作者によると、メディアなどで大きく名医だと取り沙汰される医者よりも、日の当たらないところに良医はいるのだと、それを伝えたかったのだと。
    たしかに作中に出てくる医師たちは、患者をよく見て、患者との関わりを常に模索している人たちが多かったな。
    1話目は個人的に導入が入りづらいなあと感じだけど、どの話も全体的にどこか印象に残る。
    あらすじには紹介されてない話だけど、藤籠、顔、アヒルおばさんという話が好きかな。

  • まずは図書館で借りて来て読む。
    本当に手元に置いておきたいと思った本だけ買う。
    それが私のスタイル。
    そして、これは絶対に買おう!と強く思った本。
    病院での診察待ち時間に読んでいて、涙が滲んで困りました。
    どの短編も…。

    「逃げんで、踏み止まって、見届ける」

  • ちょっと心が辛いときに読みたくなる本。立ち止まって後ろを振り返って良いし、そうやって日々を過ごしていけばいいんだな、と。優しい気持ちになれます。

  • 性別、診療科、状況のそれぞれ違う10人の医師の視点から描かれる短編集。淡々とした筆致の中に、著者の主張・テーマが差し入れられた内容は、素直に共感できる。「かがやく」と「終診」に心惹かれた。
    「逃げんで、踏みとどまって、見届ける。」支援者としてのあるべき姿だと...。

  • 逃げんで、踏みとどまり、見届ける。

  • しんみりと寂しさを憶える。でもその狭間に、ちらほらと医師の良心を垣間見ることができる。「アヒルおばさん」のショットグラスには戦慄に近い恐怖を覚えるものの、結末にホッと胸をなでおろした。

  • 地域の医師・開業医の重要な役割、守備範囲の広さ、診療において根底で大切なことを改めて学んだ。
    総合病院勤務医の仕事とは根本的に違うし、人間力が問われる。
    医師として専門性を突き詰めることも大切だけど、同じくらいか、もっと大切なことを改めて気付かされた。

  • 帚木さんの作品はやはりとても読みやすい。
    短編なので、気楽に読むことができた。
    長編のようなずっしりとした読み応えはもちろんないが、読後感のさわやかさがあった。

  • 美しい話だなとは思う

  • 短編10篇の、うちはじめの2篇はしみじみとした趣があるものの物足りなく感じてしまった。
    しかし3遍目からは前のめりに読み耽ってしまった。今まで読んできた医療小説とは少々趣を異にするものだった。
    私の我儘ではあるが、最後の「終診」は泣けるものであって欲しかった。

全66件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1947年、福岡県小郡市生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、TBSに勤務。退職後、九州大学医学部に学び、精神科医に。’93年に『三たびの海峡』(新潮社)で第14回吉川英治文学新人賞、’95年『閉鎖病棟』(新潮社)で第8回山本周五郎賞、’97年『逃亡』(新潮社)で第10回柴田錬三郎賞、’10年『水神』(新潮社)で第29回新田次郎文学賞、’11年『ソルハ』(あかね書房)で第60回小学館児童出版文化賞、12年『蠅の帝国』『蛍の航跡』(ともに新潮社)で第1回日本医療小説大賞、13年『日御子』(講談社)で第2回歴史時代作家クラブ賞作品賞、2018年『守教』(新潮社)で第52回吉川英治文学賞および第24回中山義秀文学賞を受賞。近著に『天に星 地に花』(集英社)、『悲素』(新潮社)、『受難』(KADOKAWA)など。

「2020年 『襲来 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

帚木蓬生の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
伊坂 幸太郎
高野 和明
三浦 しをん
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×