水神〈上〉 (新潮文庫)

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著者 : 帚木蓬生
  • 新潮社 (2012年5月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101288222

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水神〈上〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 再読です。
    ややドロドロした本が続いたので、真っ直ぐな物語が読みたくなって。
    江戸時代、両側を川に挟まれながら台地ゆえに水が回らず、困窮する村々。そこの五人の庄屋が立ち上がり、私財をなげうって筑後川に堰を設けて村に水を引くまでの物語です。
    彼らの無私な熱意は藩を動かし、最初は反対をした他の庄屋や町の商人をも巻き込み突き進んでいきます。
    悪人が一人も出てこない、真っ直ぐな話です。真直ぐゆえに、ストーリーの曲折は少ないのですが、それを十分にカバーする力があります。
    でも、地図くらい付けて欲しかったなぁ。どうも水路の構造が理解できずに、話が見えなくなるところがありました。

    ==================
    12-055 2012/06/07  ☆☆☆☆☆

    『国銅』に続く帚木さんの2作目の歴史小説です。奈良時代と江戸時代の違いはあれ、難工事に臨んだ庶民の話というテーマは同じです。
    「大石堰」とか「五庄屋物語」で調べると様々な記録がネット上に存在します。帚木さんは福岡県小郡市生まれ、調べてみると大石堰の近くです。たぶん小さい頃から聞かされていた話なのでしょう。

    読み応えのある、ページをめくる手が止まらなくなる様な上下巻です。全ての登場人物が見事なほど善人として描かれ、その分物語として浅くなった感じはするものの、それを補って余りある程に貧農の痛々しいまでの生活と諦念が書き込まれます。
    庄屋達の見事な心意気、それを支える武家や商人達、そして希望の未来へ進み始める農民たち。
    帚木さんらしい端正で抑制の効いた文章と相まって、静かで爽やかな感動を生む作品です。

  • 登場人物で誤魔化さない歴史小説。

  • 日本三大暴れ川・筑後川の治水工事を扱ったフィクション。九州には似たような実話も多い。農民の苦労や、治水に当った庄屋(現代のリーダー)の苦労が、悠大な自然の描写と共に描かれている。

  • 筑後川大石堰の工事に挑む5庄屋.その心意気に共感が持てる.

  • 「水神 上」

    目の前にたくさんの水を蓄えた筑後川があるにもかかわらず、台地に住む百姓のところには全くその恩恵は無い。

    毎年の年貢を納めることもままならず貧しい小さな村の5つの庄屋が筑後川の水を堰き止め渇水に苦しむ村々に水を分配する大工事を計画!

    とうぜん新しいことをやる時には反対派やたくさんの困難が付きまとう!

    九州地区の暖かい訛りで読みやすいけど、物事を順序立てて上にあげて行く様子はまるで企業と同じ!

    果たして、無事に川は堰き止められ村は水で満たされるのか
    ?涙涙なんです。

  • ゆっくり読むつもりが
    一気に上下と読んでしまった。
    面白かった。

    ハッピーエンドなのが何より。
    五庄屋もすごいけど、菊竹さんもすごい。

    心入れ替わった反対派からもらった150両はどうやって使ったんだろう?

  • 舞台は島原の乱後の筑後川流域の農村。上巻は5人の庄屋が立ち上がって久留米藩に堰を作りたいと嘆願書を出すまでの話。川から水を毎日朝から晩まで水を運ぶ仕事をしている若い小作農の眼を通じて話が進んでいる。歴史小説なのに戦国大名や幕末志士が登場する訳でもない。でも心温まる感動的な話。登場人物が筑後弁でしゃべってくれるので、すぐに話に入っていけた。没頭しすぎで最寄り駅に到着したのにも気づかず…。

  • 筑後川を目の前にしながら高台にあるため、水不足で農作物が育たない。
    朝から晩まで川から水を汲み上げ水路に流す作業は打桶といわれ、元助と伊八の二人で行われていたが、桶で汲み上げられる水の量はたかが知れている

    この貧しい農民達を救いたいと、五人の庄屋が私財をなげうって堰を作る作業を奉行所に申し立てる

    下巻につづく…

  • やっと大石水道の溝掘りが始まるのか・・・
    郷土の歴史として子どもの頃から知ってはいましたが、小説として読むと、当時生きた人々の強い思いに心打たれます。

  • こういったストーリーに定番の悪役が出てこないのに感じ入った。表現力がすばらしい。
    「元助は深く息を吸い込む。朝方の空気と夕方の空気は匂いも味も微妙に違った。早朝の空気は、草いきれと土の匂いが入り混じったすがすがしさがあるが、夕方の空気はどこかかまどの匂いがした。」幼い頃に田舎で味わった体感そのものではないか。2014.8.2

  • 前半は百姓の悲惨な生活…松皮粉、藁餅など農民文学かと思いきや、後半は涙涙の展開。下巻はもっとウルウルするのかな。

  • 感動した。方言がまた良い。

  • 皆さんの周りを流れる川を調べてみると,先人が苦労し築き上げた農業用の水路だったということが少なくありません。この本は「眼前を滔々と流れる大河の水で乾いた農地を潤すため,庄屋,百姓らが思いを一つにして,取水施設,用水路を築き上げる」という話で,農業における灌漑(かんがい)の大切さを感じさせてくれます。

    *推薦者 (農教)H.M.
    *所蔵情報
    http://opac.lib.utsunomiya-u.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB00360598&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB

  • 2013.8.30(金)¥300。
    2013.9.12(木)。

  • 泥流地帯を思い出した。でも、愚直だけではない、志というものの尊さを感じさせる。いい本だ。

  • 上下巻読了。骨太ないい話だった。この作家の奥付の経歴を見ると一体何人分の経歴かと驚くのだが、書く小説の幅も大変広い作家だ。この小説を書くために一体どれくらいの民俗資料を読んだんだろうか。
    筑後川を含めた三つの川に挟まれているにも関わらず土地が高いがために水が田畑にゆき届かず、困窮した一生を終える江南原の百姓たち。代々伝わる困窮生活は自分たちの一代で終わりにしようと、五人の庄屋が失敗したら死をもって償う、という誓いと共に筑後川に大石堰と水路を作り江南原全体に水を運ぶという一大計画を練る。
    失敗したら死をもって償う時代、それを前時代的と笑うのはたやすいけど当時の価値観を無視して今の尺度で歴史を語るのは愚かしい。それに時代で言えば300年も前の話なのに不思議なことに現代に通じることばかり。
    苦しいとはいえ、現状に甘んじてさえいれば誰も死ぬことはなかったと後悔する発案者。大きなことを成し遂げるためには何かを失わなければいけない。ノーペインノーゲイン。命の危険なくどんな挑戦もできる我々現代人はなんと幸せなのだろう。
    百姓たちを始め方言の会話も楽しめた。五木寛之の「青春の門」と同じやつですね。作中「未来を語るのに、希望を持って語るか絶望をもって語るかは全然違う」という台詞がよかった。今の日本に対して不安材料を挙げれば少子高齢化、破綻寸前の財政に天災リスク、高い失業率とキリはないが、そういったマイナス要因だけ見て生きることはしたくない、諦めて日々を食いつぶすように生きるより希望に目を輝かせて生きたい、そんな気持ちにさせられる。

    あとは最近よくあるのだが帯でネタバレするのはやめて頂きたい。下巻を見た途端気が抜けた。

  • 江戸初期久留米藩が舞台。治水工事がテーマ。しかも農民が起案の前代未聞の治水工事。前半は百姓の水に関する苦労を実際の日々の生活に重ね合わせて淡々と記述。後半は藩への命がけの嘆願が通りいよいよ工事へ。楽しみだ!

  • 保有状況:所有&購入日:41080&購入金額:578

  • 筑後川の堰、そして九州に多く残る石橋などを巡りながらもう一度
    読み返してみたい。

  • 福岡県うきは市に残る大石堰にまつわる歴史小説。

    土木工事は歴史小説の代表的テーマだと思うが作品数は少ないようだ。工事の難儀さ、作り手と為政者との軋轢が共通した内容になる。

    長良川治水工事を扱った「孤愁の岸」という傑作があるが、これは島津藩の苦渋が描かれていた。

    「水神」は農民の視点で描かている。為政者発案の工事でなく、農民発案の工事だからだ。

    物語は農民の窮状から始まる。

  • 実家にあったので。買わなくてよかった。総評は下で。
    庄屋の勉強にもなった。

  • 2012年10月2日予約。予約順位1位。なおさんオススメ。2012年10月4日借りてくる。

  • 渇水に苦しむ村々。筑後川の堤作りに立ち上がった庄屋たちの悲願は叶うのか。
    農民たちの暮らしや庄屋たちの想いが淡々と、生き生きと綴られます。

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水神〈上〉 (新潮文庫)の作品紹介

目の前を悠然と流れる筑後川。だが台地に住む百姓にその恵みは届かず、人力で愚直に汲み続けるしかない。助左衛門は歳月をかけて地形を足で確かめながら、この大河を堰止め、稲田の渇水に苦しむ村に水を分配する大工事を構想した。その案に、類似した事情を抱える四ヵ村の庄屋たちも同心する。彼ら五庄屋の悲願は、久留米藩と周囲の村々に容れられるのか-。新田次郎文学賞受賞作。

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