- Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101289229
感想・レビュー・書評
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それほどためになった感じはしないが、「ユーモアなんて必要ねえ」と言い切る吉本隆明の考えに、ユーモアは善なるものと信じ切っていた私は「そういう考えもあるのか」と思わせられた。私はユーモアはあったほうが絶対いいなあという考えだ。
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「子どもの「書く力」は家庭で伸ばせるby高濱正伸&竹谷和」の中で、著者が小6の頃からずっと悩みだったことへの答えをくれた本として紹介。
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吉本さんは、自分自身や自分の暮らしに足を置き、自分の考えに基づいてぽつりぽつりと話をしている。自分があるからどんなことでも多く、少なく語ることができる。
この本では、生きる、ということや、人助けをする、など広くいろいろなことが語らいのテーマとなっているけれど、自分というものを高めつつも、怪しげな風潮に左右されず、人には自由に動いてもらえるような、そんな人を目指しているように思われた。 -
インタビューものだが、糸井さんが会話に入る形式じゃないのがいい。糸井さんが章ごとにまとめを書いていて、その大衆的な視点に安心するし、学ぶこともある
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死ぬほど深く思考をこねくり回さないとたどり着かないような結論が、とても簡単な言葉と、わかりやすい説明で書いてある。
目からウロコなところもたくさんあって、なんども心が軽くなるように感じたけど、自分で同じように思考を辿ってそこに行き着くまで、本当の意味ではきっと理解できないんだろうな。 -
2016/10/22:読了
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P240ページ 『「ネット社会」ってなんだ』での糸井さんによる”吉本さんの発言要旨”ページ。
「ITが発達することと、人間の精神の発達にはなんの関係もないのだ」という考え。こりゃ、すげぇー。
「感覚が発達することは、魂の発達を意味しない。」
「ITの基本にあるのは”利益”と”損害”だ、という視点は理解できるが、なにか過大に人間が変化すると思おうとしているのは遊びの範疇なんだ」と。
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P250ページ『「情報」ってなんだ』での糸井さんによる”吉本さんの発言要旨”ページ。
「情報は、基本的には新聞でだいたい間に合います」
「酸素と水素を見つけられれば、水ができる」
「分析したい問題を水としたら、酸素にあたる情報はどれで、水素に当たる情報はどれか、ということをうまく見つけることができれば、どこの国のどんな問題だって、だいたい当たるものだ」と。 -
オッと思う言葉もあるが、集中して読まないと忘れてしまう。あと、いまの人の感覚では分からないなーという内容もある。分かったふりをせずに何回か読んだ方が良さそう。
以下、気になった言葉。
親鸞曰く、人助けなんて誰にもできない
自分の記憶の中にのみ、友達関係は残る
終戦の日、捉えどころのない挫折感を味わった
自己評価よりも下のことなら何でもやっていい
借金も財産と思えなければ、金持ちにはなれない -
糸井重里が、吉本隆明に人生や社会の関する様々なテーマを投げかけ、その回答をまとめたもの。
書名の「悪人正機」とは、『歎異抄』第三条に「善人なほもつて往生をとぐ、いはんや悪人をや」と語られ、「阿弥陀仏の本願は悪人を救うためのものであり、悪人こそが、救済の対象だ」とする、浄土真宗の親鸞の念仏思想の神髄とされるものであるが、逆説にこそ真理があるという本書のアプローチを示しているのであろう。
本書では、現代社会は、一見正しそうに見えたり利口そうに見えたりするが、どこかウソ臭い言葉や考え方が充満しているという糸井氏が、「生きる」、「友だち」などの28のテーマについて、吉本氏の考えを聞いていく。そして、吉本氏の “ザラザラしていたり意表を突くような逆説に見える”言葉は、ごまかしたりウソをついていないからこそ、聞いていて気持ちがいいという。
例えば、吉本氏は以下のように語るのである。
「生きる」~今の時代、「これがいい」という生き方なんてない。
「友だち」~「純粋ごっこ」の時期を除けば、この世は全部ひとりひとり。結局、人生というのは孤独との闘いなんだ。
「正義」~アメリカの正義は主観的なおせっかいだ。
「宗教」~「信ずること」と「科学的に明瞭なこと」をつなげたい。 等
辺見庸は、『瓦礫の中から言葉を』の中で、東日本大震災直後に民法テレビ各局が繰り返し流した、ACジャパン(旧公共広告機構)による「あいさつ」、「楽しいなかま」、「ごめんね」、「思いやり」などの単語だけのCMの不気味さを指摘しているが、表面上誰もが否定しない単純な言葉や考え方を、敢えて自分に引き寄せて考え直してみることの大切さを再認識させてくれる、吉本節満載の一冊である。
(2006年5月了)