銃 (新潮文庫)

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著者 : 中村文則
  • 新潮社 (2006年5月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101289519

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銃 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 死体の傍らに落ちていた拳銃を拾い、その美しさに取り憑かれる私。

    結局その銃に操られるように残酷な妄想をするようになり…

    虐待を受けている子供の描写はやっぱり上手くて、救いがなくて、中村氏らしい世界観だなー。これがデビュー作か。

  • 銃を持ったことでなんでもできるなんて、自然と洗脳されるその物の威力がストレートに伝わる.
    撃ったらどうなるんだろうってもやもや、破裂しそうな一歩前をもっと読みたい.

  • 中村文則のデビュー作。デビュー作でこの気迫はすごい。
    とある青年が拳銃を拾ってからの日常と心の変化をとことん描き尽くしている。
    ただこの場合は普通が異常に変わっていくのではなくて、もともとこの青年の中に潜んでいた闇が、拳銃をみつけたことで惑わされ、魅せられ、支配されていくことではっきりと目覚めてしまったかのような感じを受けます。
    「私」という一人称ですすんでいくのに、あくまでも第三者的なのが印象深い。
    犯罪心理学のような側面としても極めて秀逸な小説だと思いました。
    この小説における銃とは、自由と可能性のメタファーのようなものだと述べる解説も好き。

  • 初めて読む作家さん。
    図書館で見かけて、急に読みたくなって手に取った。

    「普通の」青年が、或る日ふとしたことで拳銃を手に入れる。
    本当に普通に。
    それで何かしようという下心など無く。

    彼はただ、そのフォルムの美しさに惚れぼれした。
    それを「お守り」のように持っているだけで、毎日が楽しくなり、前向きな気持ちになった。
    家に愛する女が待っているように、いそいそと帰って銃を磨く。
    眺める。
    撫でる。
    そう、彼の銃に対する気持ちは、得難いレベルの愛する女を自分の物にしたような…

    しかし、彼の心はだんだんと銃に支配されてくる。
    銃は自分を主張し始めるのだ。
    自分は磨かれるために存在するのではない。
    観賞されるために存在するのではない。
    早く本来の働きをさせて。
    …物がそんな事を考えるはずはないのだけれど…
    青年の心はどんどんと囚われて行く。

    なるほど芥川賞作家、と思った。
    この作品で取ったわけではないけれど、明治~昭和の文豪のような雰囲気を持った文章だ。
    内面に深く染み込むような心理描写が、淡々と書かれているようで、無駄が無くすごい。
    なんとなく現実感が無い感じがする中、聞きこみに来た警察の男だけが、生きている人間のような気がする。
    あとは、夢が醒めた瞬間と言った感じのラスト。
    この終わり方も、出来事としては予想の範囲内だけれど、描写がすごい。

  • 「私」はいつの間にか「自分」に凌駕され、侵される。
    「おかしいな、こんなことをするはずじゃなかったんだ」
    「自分」がまさに「私」を飲み込んだ瞬間。

  • 2014/07/06
    不安や動揺の描写が鮮明。泥酔した時のような気分になる。
    銃という機械が持つ目的に心が乗っ取られていく。携帯電話が無いと外に出られない僕らも同じかもしれない。

  • 何度読んでも、読み終えてから数分間は体がじーんと痺れるような感覚に陥る。

    この小説を自分はこれからの人生において何度も読み返すことになるでしょうね。

  • 中村さんのデビュー作。
    あらすじはともかく読了感として。
    不安の中だからこそ感じられる圧倒的存在感。それを感じてしまったからには動かずにはいられない。自らを突き動かす歴史は自分自身に他ならない。
    絶望で溢れかえった物語のように感じられるが、書かれているのは本質そのものだ。ただ「私」のように気づいているかいないか、違いはそれだけのこと。

  • 偶然銃を手にいれた日から、「私」は大きく変わった。自由を得たはずが束縛される。13.5.25

  • この人の小説を読むと、胸が苦しくなって息苦しくなり、または悪夢も見たりと眠れなくなるのが苦痛だ(笑)。遮光に続いて2作目だが、文体はもちろん、あらゆる面で主人公が似ている。「私」を客観的に見ている「私」も興味深い。やはり、幼い時の生活環境からの影響か、どこか冷めていて、自分を演じているような主人公。誰にもある人間性。そして、平凡でつまらない日常に非日常的な銃を拾うことにより、それに依存することで感性に化学変化を起こす。最後は救われそうで救われず、やはり、そうなるのも人間性、不安定さがあると思う。

  • 銃を偶然手に入れた男はそれを磨き大切に布で覆い、そして想像する。

    撃ったら自分はどれだけ不自由になるのか、他人と自分の命の価値が分かるのか。

    現実と想像の世界の狭間のスリル。生きてる実感。全能感。もはや銃は自分自身。

    撃つことで自分を超えることできると信じていたのだろうか。

  • ちょっと日常から浮遊した暗い感じがたまらなく良い。自分にも有るのかな、ああいう感じ。

  • ずっと読みたかった中村文則さんの本。きっと大切になるから先延ばしにしていた。やっぱり、この人の本は私にとって大切なものになりそう。選択すること、選択したこと。その選択が正解か間違いかではない。それはすでに過去の話だから。絶望を把握することが希望に繋がるという考え方、とても共感します。私もそう思っていたから、同じことを考えている人の本に出会えてよかった。

  • さすが中村さん!!!心情描写がとても上手くて、ハラハラする。

  • 銃を手に入れた事で自由を手に入れたつもりが、逆に捉えられていく様子が面白いと言うか怖いと言うか。バッドエンドだけど。

  • ある夜、
    死体の傍らにあった拳銃を拾った青年が、
    拳銃に魅せられていく。

    ストーリー性を重視しているわけではない小説は、
    面白いとか楽しいとか、そういうことじゃなくて、
    純粋に個人の好みによるんだろうなと思うので、
    単純に評価できないと思ってしまいます。

    文章も内容も、
    個人的に琴線に触れるものではなかったけれど、
    他の著作のあらすじにとても興味をそそられるので、
    もっと読んでみたいです。

  • 最後がこれかー!って感じ。すごい。ジェットコースターの最後の下りを思い出す意外な結論が新鮮やった。

  • 読みにくい文章とは、そこに作者の何らかの意図が絡んでいるものである。
    解説に書かれていた人称の使い分けには気付かなかったが読み返せばなるほどと思う。
    一見古びた小説かと思いきや舞台はかなり現代風で少し混乱した。


    銃が何のメタファーであるのか、作者後書きと合わせて考えると興味深い。
    一般的に見て眉をしかめるようなオチかもしれないが、すとんと落ち着く。銃と私の行き着く先はこうでならなくてはならなかったような気もする。

  • 個人的には『土の〜』より好き。

  • 出だしや、文章の進め方は好き。
    衝撃的で、目を反らしてしまう描写が何度かあるのに、引きつけられるものがあった。

    ただ、主人公に共感できなかった。

    予測を裏切る展開は面白かった。

  • チェッカーズの曲に、ピストルを手に入れた夜~~♪ってのがある。この小説はまさにそういう内容。

    私を一番苦しめていたのは、たぶん、人間を撃つという自分の想像だった。

  •  この人の書かれる陰鬱、心の闇、憂鬱、絶望、無機質、虚無感……こんな雰囲気が個人的に非常に好きです。
     偶然銃を手に入れた主人公が徐々に銃に支配されていく描写は凄い。
     そして読んでるこっちまで主人公の狂気じみた好奇心に引きずられ、「何だよ、さっさと人間を撃ってみろよ、このチキン野郎め」と思ってしまったのが、怖い。

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銃 (新潮文庫)の作品紹介

昨日、私は拳銃を拾った。これ程美しいものを、他に知らない-。ある夜、死体の傍らに落ちていた拳銃。それを偶然手にした私は、次第にその"死と直結した機械"に魅せられていく。救いのない孤独と緊張。膨らみを続ける残酷な妄想。そしてその先には、驚愕の結末が待っていた…。非日常の闇へと嵌まり込んだ青年の心の軌跡を、確かな筆力で描く。若き芥川賞作家、堂々のデビュー作。

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